アベコベ少女ノヤンデレ裁判 作:MS
※ネタバレ注意
※エマ編、ヒロ編、メルル編は三話構成にすると
「おや、もう来ていたのか」
「そういうあなたはいつも時間通りですね。必ず放課後の十分後にやってきます」
夕焼けが照らす屋上へといつものように足を運ぶ。ほとんど毎回一番乗りなのだが、今日は親友のユキが早く来ていた。楽しそうに屋上の縁で脚をぷらぷらさせている……
「隣失礼するよ……今日はイジメられなかったかい?」
「えぇ、愛しの彼が守ってくれましたから。やはり守ってもらうのは心がポカポカしますね」
「愛しの彼、か。本当キミたち2人はお似合いだよ」
靴が落ちないように脱いでおく。スカートの中身が見えないように気を付けながら座れば、ひんやりとした感触が伝わってくる。
「おや、守ってもらうなんて正しくない、とは言わないのですか?」
「確かに一般論で言えば女の子がか弱い男の子に守られるのは如何なモノだが……彼は強いからな。それにユキだって"耐える強さ"を持っているじゃないか」
「えぇ、彼はとっても強いです。身体もそうですが、何より心が……」
恍惚とした表情でそう語るユキの顔は、まさしく恋する乙女と言った感じだ。いや実際恋というか恋愛をしているのだが。
「ヒロも強い子ですね」
「私なんか……キミにも彼にも遠く及ばないさ」
「ふふっ、エマよりは強い自覚はあるのですね。確かにあの子と違って嫉妬を表に出しませんものね?」
「……バレていたのか。だがまぁ、確かにエマは分かりやすすぎる。いつかやらかさないといいが」
私とエマと○○、三人は昔からの幼馴染だ。
幼いころから一緒に遊んで泣いて喧嘩して……男が圧倒的に少ない世界だ。距離の近い男の子がいれば惚れるのも仕方がないだろう。
「あらあら、そんなに見つめられると恥ずかしいですよ。キスでもしてほしいのですか?」
だが……彼はユキを選んだ。
理由や経緯は教えてくれなかったが、好きになった理由など説明できるものではないのだろう。私だって上手く言葉には表せない。
「悪いが、私にソッチの気はない。だがエマなら快く受け入れてくれるのではないか?」
「であれば私とエマと彼で……ふふっ、あなただけ仲間外れなのは可哀そうですね」
それならエマも嫉妬しなくなるかもな……
付き合いの長さで言ったら私やエマの方がユキより長いのだ。心の中では盗られたと思っているだろう。
「魅力的ですが……あまり幸せな思いをさせてもいけませんね」
「何か言ったか?それにしてもあの二人遅いな……そうだ、気になってたことを聞いてもいいか?」
「答えられる範囲でしたら」
「その……彼やエマのことは実際どのように思ってるんだ?」
正直私はあきらめがついている。
どうこうしたって今さら彼が私に振り向くわけではない……だがエマは、きっとそうは思っていない。隙があれば奪うのだろう。
恋敵であり親友のエマと、彼氏となった彼のことをどう思ってるのか聞きたくなったのだ。
「そうですね……彼への思いはとても言葉では言い表せないですね。もし出来たとしてそれは小一時間では済まないでしょう」
「聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるな」
「聞いたのはそっちでしょう?それに過ごした年月が違いますからね。私と彼とメルルの三人で過ごしたあの甘い時間は……今でも鮮明に思い出せます」
「中学で初めてあったのだから長さではこっちに分があるハズだが?」
「口が滑りました、【忘れてください】」
ユキは時折分からないことを言う。私よりも大人びているせいだろうか?だが彼も妙なことを言ったりするし、その辺りも似ているな
「エマはいずれ禍をもたらす魔女になるでしょう。たくさんの人を殺します。みんなを不幸にします」
「魔女か……それにエマが人を殺す?絶対やらない、とは言い切れないのが悲しいところだな」
「やる時はやる強い子ですからね」
「ごめーん二人とも!ちょっと頼まれごと受けちゃって!すっごい遅れちゃった!」
「オレも手伝ったんだがな、待たせてすまん。お詫びにほら、飲み物買ってきたからよ」
自販機で買ったであろうコーヒーや紅茶を二本ずつ持ってくる二人。エマは……久々に二人で過ごせたからか凄く嬉しそうだ。
「遅いですよ、私を待たせた罰です。隣に座って頭を撫でなさい……膝枕でもいいですよ」
「えぇっ!?そ、そんないくらボクの身体がもちもちだからって……ヒロちゃんも見てるし」
「よし、頼んだぞエマ」
「逃げないで下さい、あなたに言ってるんですよ?」
騒がしいが、大好きな日々だった。
このまま四人でずっと過ごしていくのも悪くない、本気でそう思っていた……
なのに、なのになのになのに!!!
「おかえりヒロちゃん!長旅ご苦労様!」
「少し背が伸びたか?以前は可愛いって感じだったが、大人びた綺麗な女の子になったな」
「ちょっと!彼女の前で他の女の子褒めるってどういうこと?嫉妬しちゃうよ!?」
どうして二人が付き合ってるんだ!!!!!
……ユキは死んでいた、首つり自殺らしい。
二人はそのことについて一切話さなかった。いや、記憶から抹消していると言った方が正しいか。
「ふ、二人がユキのことを忘れるハズがない、何より彼とユキは付き合っていたんだ。愛していた彼女を忘れる彼氏がどこにいる?エマだって恋敵だったとはいえ親友を忘れる白状無しか?そうじゃないだろう!」
短期留学から帰ってきて初めて知るのが親友の死、とはな……流石に堪えた。
「はあっ、はあっ……落ち着け、落ち着くんだ二階堂ヒロ。取り乱すのは正しくない。落ち着いて情報を整理するんだ」
そう、私の心の痛みなどなんてことないのだ。
だって……ユキの死体の第一発見者は彼なんだ
「いくらいじめられてはとはいえ、幸せだったハズ。何の理由も無しにユキが自殺するとは思えない」
ユキは自殺する前に彼を家に呼び出していた。
だから死んでしまったユキを間近で見てしまったのだろう、恋人の死んだショックで記憶を無くしたとしてなんら不思議では……
「エマだって……親友が自殺したんだ。一番の親友の私が近くにいなくて心細さもあっただろう、同じように記憶を無くしてもおかしくはない」
記憶を無くした理由は分かった。だが自殺の理由はなんだ?エマは私に二人を守ると約束してくれたのだ、それにわざわざ呼び出した理由も謎だ。
「二人が気付かないほど陰湿にいじめが行われていたか……では呼び出したのはその相談のため?自殺にみせかけた他殺だった?」
だが警察がそんな間違いをするのはフィクションだけだろう、ならば他には……
「自分の死にざまを見せつけてトラウマを植え付けるため?いやしかし、ありえないだろう」
くそっ、情報も何もかも足りない。
一旦外に飲み物でも買いに行こう、ずっと部屋の中で考えていても仕方がないんだ。
「ふぅ……ちょうど夕暮れ時か、こんな時間まで長く考えていたとはな」
吹き抜ける風が身体と頭を冷やしてくれる。心地良いな……新鮮な空気を吸い込めばさらにリラックスしていくのを感じる。
「そういえばこの路地の向こうにクレープ屋が出来たとエマが言っていたな、ついでに糖分も補給して帰るとしよう、か――」
「ねぇねぇ何食べる?どれも美味しそうだよ!」
「種類が豊富だな。いちごにバナナに選び放題だ」
まったくもって運がない。どうして二人に出くわしてしまうんだ……出来れば今は顔も観たくないというのに。離れているせいかまだ気づかれてはいないようだ、少し隠れて耳をすませよう。
「よし、オレはチョコバナナクレープにしよう。今はチョコを食べたい気分だ」
「ならボクはいちごホイップクレープ!甘くて美味しそう!」
「なんで私は盗み聞きなど……別に出て行って一緒に食べればいいじゃないか」
正しくない行為だと理解している。親友二人を裏切る行為だと言ってもいいだろう。だが、それでも私は……
「う~ん甘くて美味しい~!来てよかったね!」
「だな、これは中々の美味さだ。最近はコンビニスイーツも進化してきているが……やっぱり専門店のが一番美味い」
「図書館で調べものして頭使ったからね~、こうやって糖分補給しないと!」
幸せそうだユキの場所を奪っているだけのくせに。
楽しそうだ愛した彼女を忘れてしまっているのに。
正しくない
「そうだ思い出させてやるんだこんなのは正しくない絶対に絶対に絶対にだそもそも私が近くにいなかっただけじゃないかそれにユキが死んだからって彼と付き合うエマもどうなんだいくら記憶がないからってやっていいことと悪いことの区別もつかないのかそれはユキへの裏切りであって何より私への裏切り行為だ許せない許してはならないあってはならないことで――「でしたらやり返してみては?」――そうだ」
エマはただ横取りしただけじゃないか
だったら私が
奪ってしまえばいい
ヒロちゃんはそんなことしない!(心の中のエマ)
そしてここから先は読まなくてもいいので小声ですが……来月から夜勤に回されそうでキレそうユキねぇ!今まで帰宅してから書いて予約投稿してましたがどうなることやら……毎日更新のためにも清き感想と高評価をお待ちしてるユキねぇ!短い感想でも舞い上がり一票の高評価なんて貰えたら飛び上がるほど本当に嬉しいユキからねぇ!
次のヤンデレを選んでくれ
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黒部ナノカは疑わない
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佐伯ミリアは奪わない
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蓮見レイアは縛らない
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沢渡ココは覗かない
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宝生マーゴは真似しない
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紫藤アリサは燃やさない
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城ケ崎ノアは描かない
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氷上メルルは癒さない
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夏目アンアンは操らない
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遠野ハンナは浮かれない