アベコベ少女ノヤンデレ裁判 作:MS
※ネタバレ、ヤンデレ注意
「にしてもこの島なんにもないな……デジタル社会に慣れ過ぎたせいか、ここまで自然しかないと逆に不安になってくる」
自分が打ち上げられていた浜辺に立ちって海を眺める。この水平線の向こうにはかつて自分が生きていた現代社会が……ないのだろう。
「詳しい日付は分からないが……大魔女様が言ってるのを信じると今は×××年、オレが生きていた20××年の随分前だ」
――理由は分からないが、死んだハズのオレは子供の姿になってこの島へと漂流していた。この島には二人の魔女が住んでいて……すぐには信じられなかったが、魔法だって見せてもらった。
「はたして異世界転生ってやつなのか、それともタイムスリップなのか。言葉は通じるし文字も読める。都合よく日本人の魔女なのか、それとも魔法で読めるようにしてもらったのか?そもそも日本に近いのか?」
よくある映画ならば、太陽や星の位置からこの島の座標を割り出すんだろうが……あいにくオレにそんな知識はない。
「映画とかであったはずなんだがな……メガネとか腕時計を使うんだっけか?こんなことならもっとしっかり見ておけばよかった」
知識もなければ情報だってない。八方ふさがりの状態ではあるが、命の危険がないだけマシだろう。だが魔女は魔法が使えるから怒らせたら一瞬でまたあの世いきだろうな
「この島から出たところで国に帰れるのかも分からんし、てか航海術が無いから無理だ。つーか帰っても居場所どころか生まれてすらねぇんだもんなオレ……お先真っ暗だぜ」
島に一人きりではないだけマシなのだろうが、帰る場所も無ければ方法すら分からないってのは精神的に結構キツい。
「時を超える魔法を大魔女様にかけてもらえればいいんだが……そう都合のいい魔法はないんだろうな」
「あ、あああ、あのぅ……○○さん、今ちょっといいですか……?」
「この声はメルルさんか、そんな遠くから話しかけなくてもいいんですよ?」
「ひゃ、ひゃいっ……聞きたいことがあってぇ……!」
遠くの木陰から白い修道服のような恰好をした少女、メルルさんが話しかけてくる。なんでもこの浜辺に打ち上げられたオレを発見してくれた命の恩人らしい。
「あ、あの、私と○○さんは同い年ですし、そんな敬語で話さなくても大丈夫なんですよ?」
「そう?なら遠慮なく……実はあんま堅苦しいのは苦手でね。話しやすくて助かるよ、それで聞きたいことって?」
「き、昨日お話していただいたことの続きを聞きたくって……」
メルルさん……じゃなくてメルルとはよく会話するくらいには仲良く馴れた。
「昨日はなんだったか、あぁ錬金術師の話だったな」
「は、はい!魔法のことは大魔女様から教えていただいたりするのですが、外のことはあまり教えてもらえないのでとっても気になるんです!」
「物心ついた時からこの島にいたんだっけか……これだけ自然にかこまれてるなら身体には良さそうだけどね」
「えへへ……○○さんが来てから色んな事を知れて楽しいです!」
メルルは外の世界に興味があるようだった。
12、3歳くらいならばそうだろうな……
「昨日の続きだが、その錬金術師はついに賢者の石を――」
といっても20××年の話をそのまま伝えても仕方ない。それに毎日が繰り返すだけのつまらない日々だったから話すことがないってのもある……なので読み込んでいた漫画の話をそれっぽく伝えることにしていた。
「発火の錬金術……魔法とは少し違うんですね?」
「錬金術は確かその物を構成している物質を色々して~みたいなものだった気が。オレにとっては魔法の方がよくわからないけどな?」
「魔法はこう、使うぞ~!って思いながらやると使えるんです!」
メルルはそういうと足元に落ちていた折れた小枝を拾って、両手に力を込め始める。みるみるうちに折れていた枝がくっ付いて……
「え、えっへん!どうですか○○さん!これが大魔女様に授かった治療の魔法です!」
「治療っていうより時間を巻き戻すとかの方が近い気が……生物だけじゃなく無機物まで治すって凄い魔法だな本当」
最初に出会ったころはメルルは魔法を使えていなかったはずだが、いつの間にか治療の魔法を使えるようになっていた。誇らしげに枝を見せつけるメルルは可愛いが……一体どうやって使えるようになったんだ?
「メルルはオレと同じ人間、なんだよな?」
「は、はい、ですが大魔女様が魔法を使えるようにと色々としてくださり……」
「ふーん……オレも魔法を授かれないもんかね」
「ど、どうなんでしょうかね……?」
メルルは今"教えてもらった"ではなく"授かった"と言っていた。何か呪文とかを教えてもらうのではなく、力を分け与えてもらったのか?まだよく分からないが……
「にしても治療の魔法だなんて、メルルは優しい人間なんだな」
「え?ど、どうしてそう思うのですか……?」
「人間は何かを破壊して生きていると言ってもいい生き物だ、ならメルルの治療魔法はそんな人間に寄り添える最も優しい魔法だろう。だからそれを使えるメルルは優しいってことだ」
まぁこの言い方も好きなキャラの受け売りなんだが……実際メルルは優しいしな。
「ふふっ、褒めて貰えてよかったですねメルル」
「あ、だ、大魔女様!」
「こんにちは大魔女様、今日もパトロールですか?」
「そうですね、もはや日課になりつつありますから」
話しているともう一人の白い魔女……大魔女様がやってきた。名前は知らない。見た目はメルルと変わらない少女に見えるが、実際は何十倍も年上らしい。魔女は歳をとらないのだろうか?
「それとメルルを少し借りていきますよ」
「どうぞどうぞ……むしろ独占してしまって申し訳ないと思っていたところです」
「で、ではまた今度お話聞かせてくださいね!」
あまり話を長引かせずに、さっさとこの場を切り上げる。大魔女様は一日のうち何時間かをメルルと過ごす。その間がチャンスだ。
二人が森の奥へと進んで行くのを見送って、オレは三人で住んでいる家へと駆け足で戻る。
「魔法の使い方が乗った本が何処かにあるハズなんだ、そして人間だったメルルが使えるようになったんだからオレにだって……」
今まで何度か大魔女様に魔法のことを聞いてみたが、ニコニコと笑って流されるだけだった。オレには帰ってやらねばならないことがあるんだ、少しだけ、ほんの少し探るだけなんだ……無いならないで、諦める。
「すみません大魔女様……」
家の玄関を開け、大魔女様の部屋へと足を進める。一緒に住んで分かったが大魔女様はかなり生活力がない、不老不死?のおかげなのか生に無頓着で大雑把だ。
「よくこんな汚い部屋に住めるな……足の踏み場がないくらい本で埋め尽くされている。こんな中から目当ての本を探せるのか?」
目に入るのは大量の本、汚れたベッドに簡素な机、何処を探すか……机の上とかに何かないだろうか?
机の上にも本が山積みだが、どれも関係ないように見える。引き出しの中は空っぽだったり埃だったり……いや、一冊だけ薄いノートのようなものがある。
「表紙に題名すらない、中身は……日記?いや何かしらの研究を書き記している。この中にヒントはないだろうか」
悪いとは思いつつも、今はこれくらいしか目ぼしいモノがない。調べさせてもらおう……といっても大方メルルの成長日記とかだろう、が――?
○月×日
今日は少年が浜辺に打ち上げられていた。
どうやら私の魔法は無事成功したようだ。
前世の記憶があるようだが、何か不備があったのかもしれない。ループの始めだからなのだろうか?
「あ……?少年が、浜辺?オレのことだよな、実験?ループ、だと?」
ノートはこの○月×日から書き始められている、ならオレが来た日が研究開始日ってことなのか?
「オレ、もしかしてここに来たのは偶然なんかじゃないのか?大魔女様に呼び寄せられた?」
△月☆日
今日はメルルの魔女因子が適応して魔法が発現した。彼を治した魔法を使えるようになって嬉しそうだった。
「魔女因子?それにこの日付は確かメルルが魔法を使えるようになった日……メルルも実験体なのか?」
Ω月ν日
二人を見ていると癒される。だが同時に人間たちへの憎悪も膨れ上がる。人間は二人のように純粋無垢な者ばかりではない、私はどうすれば。いつかこの島が見つかった時に守れるのか?
ページをめくる手が止まらなかった。
読んでいるのは大魔女様のノートだ、何かプロテクトがかけられていてもおかしくはないのに……
Σ月ψ日
メルルの魔女因子は完全な適応とはいかなかったが、十分な不死性や不老は得られた。後は問題ないでしょう。それに彼にかけたループの魔法は"消えない魔法"ループの度に記憶は消え、様々な者に出会うでしょうが……魂はその度に強くなり、きっと未来で逢う時に私に相応しい器へと成長を遂げているはず。
Ж月▽日
彼が私の愛に耐えられるようお膳立ても必要でしょうか。魔女因子をバラまくと同時に男の出生率を下げるよう細工すれば、生まれなおす度に回りの女から執着されることは必須。それに人類が緩やかな絶滅へと進むのでこれこそ一石二鳥。
「なんだよ、これ、人類の絶滅?や、やっぱり大魔女様は人類を敵対視してるのか?メルルから聞いた話だとかつて人間から攻められて同胞が皆殺しにされたんだよな、その仕返しに――」
「楽しそうですね」
「――っ!!?だ、大魔女さ【忘れなさい】」
「全く油断も隙もありませんね、ノートにかけていた魔法で見られたことは分かりましたが……もう少し隠し場所を凝るべきでしょうか?ですがここ以外ですとどこに隠したか分からなくなってしまいますし、どうしましょう?」
つ、次の方を選んでくださいぃ……!
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黒部ナノカは疑わない
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佐伯ミリアは奪わない
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蓮見レイアは縛らない
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沢渡ココは覗かない
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宝生マーゴは真似しない
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紫藤アリサは燃やさない
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城ケ崎ノアは描かない
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夏目アンアンは操らない
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遠野ハンナは浮かれない