※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
男は大きかった。
もちろん身体は大きかったがそれだけではない。
存在が、意思が、在り方そのものが常人とはかけ離れていた。
そんな、もはや老人と言っていい男に叩き伏せられてレイは呻いた。
「どうした?その程度か?もう少し気合いを入れんと死ぬぞ?」
(ふざけるんじゃねえ!誰が好き好んでこんな自殺じみた事をやるってんだ!)
心の中でレイは毒付いたが、当然だが現実には何の役にも立たなかった。
――――
レイは陸奥圓明流の真の奥義を解放した結果、全身の筋肉を酷使し、数日間動けなくなった。
それ以後も日々の剛剣死(士)との闘いでは何度も100%の力を解放せざるを得ず、それによりレイは闘いの後、何度も倒れる事になる。
しかし、レイが成長するにつれ倒れる頻度も減り、いつしか100%の力を解放しても倒れる事は無くなっていた。
その頃にはレイの『
――――
ある日ダルクとレイは今後の事について話をしていたが、何度話し合っても結論は変わらなかった。
『戦力が足りない』
これに尽きる。
クルダから第三王子らのキシュラナ勢を追い出す事は出来るだろう。
しかしその後が続かない。
「独立しました。滅びました」では話にならない。
せめて独立後、進軍して来る数万の軍勢に対抗する必要がある。
それが出来れば独立も十分現実味が出て来る。
「せめて一人で数万を相手にできればな〜」
軽口を叩いたレイだったがその時ダルクが顔を強張らせたのをレイは見逃さなかった。
「おい、何か心あたりがあるのか?」
「・・・まあな・・・」
「何だ!そんな心当たりがあるなら早く教えろよ!」
「やめておけ。あの方は誰の手にも負えん」
「どういう事だ?」
「生命が惜しかったらあの方の前で『独立』など口にするな。その場で殺されても文句は言えん」
「どう言う事だ?」
レイが疑問の声を上げる前にノックもなく扉が開かれた。
「邪魔をする」
その男は大きかった。
身体もだが、見ただけで只者ではない雰囲気を纏わりつかせ、常人と異なる存在である事が即座に理解出来た。
「あ、あなたは?・・・何故ここに?」
ダルクの声は震えていた。
ダルクの言葉を意に介さず、老人は自分の意思を口にした。
「面白い小僧を見かけたのでな。弟子にしようと思ってな?もらっていくぞ」
「おい!」
まるで犬か猫のように襟首を掴み上げられると、レイはそのまま老人に連行された。
老人に連れ去られたレイは訳も分からぬまま『修行』という名の絶望を味わい続けた。
老人の繰り出す技ひたすら避ける、老人と同じ技で返す。
それがレイの修行だった。
朝から晩までひたすらボロボロになり続け、日が暮れる頃にやっとレイは解放された。
「また来るぞ。それまで少しでも今よりも腕を上げておけ」
(ふ、ふざけやがって・・・今に見ていろよ・・・)
そう決意するレイだったが、その時初めて老人の左手の袖が風に棚びいている事に気づいた。
(か、片腕?あの強さで?あの爺さん、一体何者だ?)
その考えを最後にレイは意識を失った。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
本作におけるある意味中ボスにしてラスボスの登場回でした。
この老人を超える事がレイの最初の、そして最大の関門になります。
次回お楽しみください。