※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「はっ!」
「気が付いたか?」
「ぐ、おおお〜!」
「無理はするな。呪符で治療はしておいたがまだ当分動けんだろう。まあ、あの方の『修行』で生きているだけで運が良かったと思うのだな」
「な、何が運だ!アイツは一体何なんだ!」
「・・・あの方は『王』だ』
「何?」
「最も強い者、誰にも止められぬ者、誰にも従わず、誰も従える事の出来ない者を『王』以外に何と呼べば良いのだ?」
ダルクの言葉には隠す事の出来ない畏怖が含まれていた。
「あの方は人間ではない。虎だ。人の姿をしているだけの、『王の虎』だ」
それは畏怖を超え、人間でない者を目の前にした恐怖と畏敬の念が込められた言葉だった。
「我々は過去に何度もクルダを独立させようとした。50年ほど前もそうだった。その時はあの方もいた」
「あの爺さんでも独立出来なかったなんて、その時のキシュラナはそんなに強かったのか?」
「ああ。何やら黒い本を抱えたキシュラナの
近づいただけで力が抜け、呪符も真空波も届かず、それでも抵抗する者は生命を吸い取られ干乾びて死んでいった」
「何だと・・・」
キシュラナにそんな奴がいるとは・・・
レイはそんな奴にどうやって対抗するか思案を巡らせた。
そんなレイの思考をダルクの声が引き戻した。
「それをあの方が覆した。どれだけ
「なに!」
「今でこそ剛剣死(士)はそこそこの数がいるが、
それ以来、あの方のおかげで我々は連戦連勝。
遂には当時の王太子、現在のキシュラナ王を捕える事も出来た」
「おいおい、それで何で独立出来なかったんだよ?」
「キシュラナが上手だった。我々が愚かだった。それだけだ」
「どういう事だ」
ダルクの話によるとキシュラナの王太子を捕えた爺さんは、家族の元に向かったという事だった。
これで独立できる!戦争も終わる!と勢い込んで家の扉を開けた爺さんの目に飛び込んで来たのは、数人の男達によって無惨に殺された妻の姿だった。
男達は独立なんか出来るわけがない!
このままだったらみんな殺される!
それなら爺さんの妻を人質にして、王太子を解放すれば自分達は助かる。
というキシュラナの話に簡単に騙され、老人の妻に激しく抵抗された為、思わず殺してしまったという事だった。
「・・・何だそれは?そいつらはバカなのか?」
「今日を生きるか死ぬかの奴隷に難しい事など理解出来ない。主人に言われた事を実行するだけだ。
あの方の妻の生命はそんな奴隷によって奪われた。
それからあの方はそんな我々の望む『独立』というものに価値など見出さなくなってしまわれたのだ」
「・・・」
「あの方は『独立』というものを毛嫌いしている。
妻の生命がその為に奪われたのだから当然だな。
そしてそんな我らも『同じように価値がない』と思っている。
今では我らに関わろうともされない。
我らもいまさらあの方に協力など求める事は出来ない。
あの方の妻を見殺しにしておいて、いまさらどんな顔で協力を求める事が出来るというのだ?」
「だからと言って・・・」
「あの方を止める事など誰にも出来ん。精々死なないように頑張るのだな」
「おい!もっと他にかける言葉はないのか!」
「こればかりはどうしようもない。諦めるのだな」
「ふざけるな〜!」
レイの叫びはクルダ中に響き渡ったが、当然だが現実には何の役にも立たなかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
本作における『中ボスにしてラスボス』
ーー片腕の老人の強さですが、原作でも
この老人が本作においてレイの最大の壁として立ちはだかる事になります。
レイはそれをどうやって乗り越えていくのか?
それがどれだけ困難な事か。
そして『真の秩序法典』を持った
これも話の中で明らかになっていきます。
次回お楽しみください。