※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
レイとダルクは着々と独立の準備を進めていた。
第三王子は常に反乱に備え、常に重要な箇所には警備を配備していた。
その配置は的確で反乱など不可能としか思えなかった。
--通常の方法では。
「やり難いな。第三王子って結構有能なのか?」
「有能かどうかは知らんが、武勇に優れているという話で、兵には人気があるようだな。
もっとも、クルダに来て早々あの方を殺して自分の武勇を証明しようとして失敗したが」
「・・・あのジジイに挑もう、なんて命知らずがいたのか?
それだけは尊敬出来るかもな。」
「数百の剛剣死(士)の兵団を率いて挑んだらしい。
あの方の一撃で壊滅した挙句、後ろも見ないで逃げ出したそうだ」
「正しい選択だな。あのジジイの目の前に立って、まだ生きているだけで大したもんだ」
「同意だな。あの方にとっては纏わりつくうるさいハエを追い払った程度の話なのだろうな。
それ以前も以後も第三王子の事があの方の口から出た事はない」
「眼中にも無いか。まあ、そうだろうなあ」
「・・・あの方の協力が得られれば簡単なのだがな。自分達の愚かさを悔やむばかりだ」
「やめておけ。ジジイが手助けしなくても、「ジジイが後ろにいる」と思っただけで安心するなら、それはジジイの手を借りた事と同じだ。
自分達の手で達成してこそ「独立」の意味がある」
「それはそうだが・・・」
「独立後の手はずはどうだ?」
「商人たちからは協力を約束してもらえた」
「よく出来たな?まあ、精々独立が上手くいった場合の空手形だろうが」
「まあ、そうだろうな。連中も本気でクルダが独立できるなどとは思っていないだろう。
だが、万一クルダが独立出来ればそれにもっとも最初に食い込めば利は大きい。
それに言うだけなら懐が痛むわけでもない。どんな事でも言える」
「まあ、そうだろうなあ?」
「商人たちもジュリアネスとの取引が、ほぼ全てキシュラナに握られている事に我慢が出来なくなっているのだろう。
大規模な軍や商隊がジュリアネスに向かうにはクルダを通るしかない。
通るたびにキシュラナに税を巻き上げられているのでは商売にならない。
『クルダ独立に協力した商人から税は取らない』と言えば商人は従うものだ」
「当たり前の話だよなあ?」
「しかし本気か?」
「ん?何がだ?」
「税の件だ。本気で商人から税を取らないつもりか?」
「本気だ。一々クルダを通るたびに税なんか取っていたら、荷を確認する為の人手や、税を集める人手や、商人を留める宿の手配や、ウマの飼葉の手配なんかも必要だ。
それにどれだけ金がかかると思っているんだ?
クルダにそんな事に回す人手も金もない。
そんな事をするぐらいなら、いっそ税を取らずにいた方がずっとましだ」
「確かにそうだが・・・」
「それよりもジジイの様子はどうだ?」
「相変わらずだ。あくまで我々に関わろうとはされない」
「まあ当然か?いっそ『独立』の間、ジジイにクルダを離れていてもらえれば話は早いんだがなあ?」
「無理を言うな。あの方を意のままに動かすなど誰にも不可能だ」
「そうだよなあ〜?」
そのレイの意図は思いがけない形で果たされる事になる。
王虎はクルダを離れ聖地ジュリアネスに近い山の中に動いた。
ただし、レイは「どれ、ちゃんと技が身に付いたか確かめてやろう。身に付けていなかったのなら死ぬが良い」という王虎の言葉と共に一緒に連れて行かれたが。
独立蜂起予定の3日前だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
独立蜂起直前にクルダを離れる事になったレイ。
彼は蜂起までにクルダに戻る事が出来るのか?
王虎を相手に生き延びる事が出来るのか?
次回お楽しみください。