影技異伝~連環の幻影~   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。






第17話 衝撃

 

 

 

レイは王虎によって聖地ジュリアネスに連れてこられた。

もっとも王虎に拉致されて連れてこられたのは、なぜか闘技場の中だった。

そこでしばらくすると周囲の風景が変わった。

地面が歪み、壁に亀裂が生まれ、空中に裂け目が入り、光が溢れ出した。

そこから現れたのは異様な男だった。

全身に包帯を巻きつけた異様な出立ちの男。

しかも呪符を書き込んだ服を身に付けているだけでなく、全身に巻き付けた包帯にまで呪符が書き込まれていた。

男は一言も発さず、王虎とレイを一瞥すると、短く「行くぞ」と声をかけ、王虎とレイが付いて来ていることも確認せずに、光の中へ歩き出した。

王虎は何の躊躇も見せずに男の後に続き、レイも慌てて王虎の後に続いた。

 

天と地が逆になり、光を暗く感じ、暗闇を明るく感じる異様な感覚の後、レイは大地を踏みしめていた。

 

「ここは?」

 

レイの呟きに答えたのは異様な出立ちの男だった。

 

「ここはジュリアネスだ。師がお待ちだ。しばらく待て」

 

男はそのまま口をつぐんだ。

 

ジュリアネス?

バカな!

ジュリアネスまではウマを使っても数日かかる距離だ!

あの一瞬でクルダからジュリアネスまで来れるわけがない・・・!?

 

「“魔導士(ラザレーム)”か?」

 

思わず呟いたレイの声に異様な出立ちの男は不機嫌そうに答えた。

 

「俺はただの“呪符魔術師(スイレーム)”だ。

“魔導士(ラザレーム)”は我が師だ。

師が御出でになるまで待て」

 

“魔導士(ラザレーム)”?

ここがジュリアネス?

 

そう思って周囲を見廻したレイの眼に異様な光景が目に入った。

幾つもの巨大な岩盤が空中に浮かんでいる。

その岩盤の周囲を石造りの巨大な円環が囲み、まるで石造りの巨大な網が空中に浮かんでいるようだ。

 

その巨大な宙に浮かぶ円環を繋ぎ止めているのはやはり巨大な何本もの鎖だった。

その鎖を見た瞬間、レイの身体に衝撃が走った。

さらにその鎖の中に赤く染まった鎖を認めた瞬間、レイの全身から余計な力が抜けた。

頭がクリアになり、周囲の全てがスローモーションのようにゆっくりに見える。

力の抜けた全身に漲るように力が湧いてくる。

理由は分からない。

意味も不明だ。

しかし、王虎との“闘い(修行)”では不要になるはずもないとレイは自分の身体の変化の原因追求は後にした。

そんな時、異様な出立ちの男の師と思われる男が姿を現した。

 

「やあ、久しぶりだね王虎!君がジュリアネスに来るなんて珍しいね?一体何の用だい?」

 

くすんだ金髪のどこにでもいるような顔立ちの、へらへらと薄っぺらい笑顔を浮かべる男。

ジャラジャラと宝石の嵌め込まれたペンダントや指輪をいくつも身に付け、早口で捲し立てる軽薄な男は、

どう見ても世界で名高い“魔導士(ラザレーム)”のひとりには見えなかった。

 

「例の件を頼みたい」

 

王虎はそれだけを口にした。

それは信じられない言葉だった。

 

“やれ!”という命令でも、“やる”という断言でもなく、王虎が他人に“頼んだ”のだ。

それだけでもこの“魔導士(ラザレーム)”の男が常人とかけ離れた存在である事が伺えた。

 

「ふ〜ん?いいのかい?」

 

「ああ、もう決めた」

 

「やめておいた方がいいんじゃない?後悔するかもよ?」

 

「儂の考えを変えたければ腕尽くで変えて見せろ」

 

「それは勘弁してもらいたいね〜?もう君とやり合うのは懲り懲りだよ?」

 

「儂の左腕を奪っておいて何を言う?」

 

「その代償で死にかけるのは割に合わないんだけどねえ?」

 

「“魔導士(ラザレーム)”のお主が死ぬ筈がなかろう?」

 

「物事には“例外”と言うものがあるんだよ?君は自分がその“例外”だと理解した方が良いよ?」

 

「いまさら意味はあるまい?」

 

「それもそうだね」

 

そう言って“魔導士(ラザレーム)”の男はレイに顔を向けた。

 

レイの顔を見た瞬間、“魔導士(ラザレーム)”の男は大きく目を見開き王虎に確認した。

 

「ねえ?この子が君の言っていた“例の件”かい?」

 

「ああ、そうだ」

 

その瞬間、“魔導士(ラザレーム)”の男は声を上げて爆笑した。

 

「ワハハハハハハハハ、ワハハハハハハハハハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、そ、そうか?そういう事だったのか〜〜〜〜〜〜、ワハハハハハハハハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・、ア、アイツもひどい事を考えるなあ〜〜〜、いや?これも自業自得と言うのかな?ワハハハハハハハハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

王虎が自分と対等と認める男が存在する事、

その男が“魔導士(ラザレーム)”である事、

王虎の左腕を奪った男である事、

自分の顔を見て爆笑を始めた事、

ジュリアネスの鎖を見た途端、身体に説明出来ない変化が起こった事、

衝撃的な出来事を立て続けに体験して、レイは混乱して立ち尽くす事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

王虎の左腕を奪ったのは“魔導士(ラザレーム)”である事、

その“魔導士(ラザレーム)”でさえ王虎を相手にすれば死にかける事、

ジュリアネスの鎖を目にする事でレイの身体に変化が起こった事、

話が進むにつれて、これらの謎が解き明かされていきます。

次回お楽しみください。



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