※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
(やった!とうとうジジイに一撃くらわせたぞ!)
かつてダルクに『海の水を飲み干す方が現実味がある』とまで言われた事を、遂にレイは実現してのけた。
そのまま追撃しようとした瞬間、レイの背中をぞわりと猛烈な悪寒が走った。
無意識にレイはその場から全力で離れていた。
王虎は変わらずその場に立ったままだった。
殺気を出している訳ではない、何か技を出そうとする様子もない。
口元から一筋の血を流して、一見無防備にただその場に立ち尽くしているだけだった。
しかしレイはその場から一歩も王虎に近づく事が出来なかった。
口元の血を拭い、手に付いた血を眺めて王虎は呟いた。
「我が身が血を流すなど何時以来の事か・・・
最後は彼奴に左腕を奪われた時か?
その時に『我が身の把握』は完了したからそれ以来の事か・・・
面白い!やはり儂の判断は間違いではなかったな」
そう言って王虎は笑みを浮かべた。
それは今までの「虎の笑顔」とは異なり、普段とはかけ離れた「優しい」とも言える柔和な笑顔だった。
しかしレイは全身に叩きつけられる圧倒的な威圧感に、その場から一歩も動く事が出来なかった。
王虎は腰から何やら細長い袋を取り出すとそれをレイに向かって放り投げた。
思わず受け取ったレイがマジマジと袋を眺めていると王虎が「開けてみろ」と声をかけた。
その言葉に従い袋を開けると、中に入っていたのは、途轍もなく長い時を経たと思われる細長い箱だった。
「それは我が流派の秘伝書だ。それをお前にくれてやる」
「!!!」
秘伝書?
陰流の?
たった王虎に一発入れただけで?
それにこの威圧感が収まるどころか益々膨れ上がっていくのはいったい何だ?
レイの疑問を無視して王虎は淡々と語り始めた。
「我が流派の開祖は二千年前、アシュリアーナ建国王に従ったクルダの者と伝えられている」
思いもしなかった話にレイは驚愕した。
さらに王虎は続ける。
「当時、ジュリアネスは『忌地』と呼ばれ、近づく者もいない死の大地だった。
それを建国王が『聖地』に変え、ジュリアネスを中心に周辺の部族をまとめ上げ、キシュラナやリキトア、フェルシアの国としての礎を築き上げ、
我が流派もその時に建国王より授けられた。
我が流派の目的が何か分かるか?」
予想は付く。
しかしそれはあまりにもあり得ない事だった。
「世界最強か?そうでなければ人間相手にあれだけの威力なんか必要ないからな」
そう、陰流の技は強力過ぎた。
人間相手にあれほどの威力の技など必要ない。
それこそ人間同士の通常の『闘い』では不必要なほどに。
「そうだ。我が流派の目的は爪も牙も持たない、生物としては最弱の存在である『人間』がこの地上に立つ全ての者に勝つ存在になる事だ。
例え相手が獣でも、人でも、『神』であってもな」
「バカ抜かせ!神様なんてどこにいる!だいたい逆立ちしたって人間が神様に勝てる訳あるか!」
益々膨れ上がる威圧感に抗うようなレイの叫びは王虎に一蹴された。
「『神』ならこの地に居るではないか?世界を己が意のままに操り、無造作に奇跡をばら撒き、世を混乱に陥れる、『神』と同じ存在がな」
「・・・まさか?」
「そうだ。世界中の『神』と同一視されている“
それが我が流派《クルダ流交殺法 陰流》だ」
王虎の口から明かされたのは世界を揺るがす秘密だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
本作では、陰流は原作開始の四千年前にアシュリアーナ建国王から授けられたものになります。
それが原作開始時には、《
その謎も話の中で明らかになって行きます。
次回お楽しみください。