※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
遂にレイと王虎の闘いの決着です。
どうぞお楽しみください。
レイは自分の胸元に迫る王虎の掌を『眼』で見ていた。
拳ではなく掌
自分の懐に踏み込んできた
つまり“
あの体勢からくる技は・・・
“
王虎の掌が胸元に触れると同時に、レイはパンチを払いのけるボクシングのディフェンス技術“パリィ”で王虎の掌を払いのけると、
全力で“
空を切り裂く巨大な“
「ぬっ!」
王虎はこれを“刹那”で迎え打った。
超高速の貫手と衝撃波の連撃。
『どんなに素早い踏み込みでも、周囲を“面”で打ち抜く“刹那”であれば捉える事は可能』
それが王虎の判断だった。
飛び込んだレイにはカウンターとなり、躱す事など出来ないはずだった。
しかし“刹那”の間合いに入る直前、レイは急停止し、右手を前に、左手を腰溜めにする構えを取った。
それは昔ながらの伝統派ではなく、時代に合わせて進化した近代空手の構えだった。
カウンターとなって放たれた“刹那”を、レイは“足の親指、足首、膝、股関節、腰、肩、肘、手首”の全身八箇所を連動させた近代空手の到達点、“マッハ突き”で迎撃した。
“生身の人間が音速を超える速度を放つ”という近代空手による奇跡の体現を、レイはクルダの地で実現して見せた。
“刹那”による貫手も、それに伴う衝撃波も、音速を超える拳と、それに伴うソニックブームによって全て叩き落とされた。
“刹那”によるカウンターを突破したレイはそのまま王虎の懐に飛び込んだ。
ドラゴンフィッシュ・ブローを打ち込んだ時と同じように、またしてもリバーブローが王虎の胴体に向かって放たれる。
(何度も同じ事を・・・)
冷笑して王虎はリバーブローをブロックせずに躱して“刹那”を打ちこもうとした。
ぞくり。
その時、王虎の背に今まで感じた事のない悪寒が走る。
リバーブローは途中で止められ、代わりにレイの右手が王虎の胸に押し当てられていた。
(偽打ち?今度は右手であの強打か!)
瞬時にそう判断した王虎は、右手で放たれたレイの“虎砲”を躱していた。
レイでさえ不完全とはいえ、接触した状態から放たれた王虎の“
王虎にとって例え密着した状態であっても、放たれた“虎砲”を躱すのは難しい事ではなかった。
(終わりだ!小僧!)
全身の力を使って“虎砲”を放った事によって動きの停まったレイに向けて、王虎は“
“ドクン”
その瞬間、王虎の身体に予想もしなかった衝撃が走る。
身体が、頭が、腕が、足が自由に動かない。
レイが王虎に打ち込んだのは“虎砲”ではなく《陸奥圓明流奥義 無空波》だった。
王虎は放たれた無空波の拳そのものを躱す事は出来た。
しかし押し付けられた拳から瞬間的に伝達された振動波を躱す事は、王虎をもってしても不可能だった。
常人であればその場で意識を刈り取られる修羅の技を、クルダ人の力で放たれればその威力は言うまでもない。
しかしその技を受けたのは王虎だった。
「!!!」
王虎は数瞬の間ふらついただけで、すぐに身体の自由を取り戻しつつあった。
陸奥圓明流の奥義を、クルダ人の身体能力で実行しても王虎には届かなかった。
しかし、例え一瞬であっても王虎の身体の自由を奪う事は出来た。
(今しかない!)
その一瞬、無空波を放って動かない身体を無理矢理動かしたレイの両掌が、身体の自由を取り戻そうとしていた王虎の頭部に、挟み込むように軽く当てられた。
「ぐふっ!」
次の瞬間、王虎の口から、両目から、両耳から鮮血が噴き出していた。
“菩薩掌”
相手の頭部を僅かな隙間を開けて掌で挟み込み、左右の掌の間での連続した頭部への打撃によって脳を頭蓋骨に激突させ続ける、一瞬で数百発の拳を打ち込むに等しい絶技である。
真空波でも、打撃でもなく、肉体の強靭さだけでは防御不可能な、唯の人の身でしかない“天才”が生み出した技だった。
この「本気でやれば頭蓋が割れる」とまで言われた技をレイは手加減抜きで使用していた。
さすがの王虎でも数瞬の間、意識が途切れる。
だが、それでも王虎の身体は無意識にレイへ攻撃を続けようとしていた。
次の瞬間レイは自分の『全力』を繰り出した。
「我は無敵なり!」
武技言語。
それは『言霊』の高速催眠による自己暗示と、それによる潜在能力の解放、
そしてそれによって相手に「畏怖」や「萎縮」をもたらし、一瞬静止する事を強制させる事により、
自分の攻撃を「必ず当てる」という、『世界への干渉』に等しい超絶技法だった。
「我が拳にかなうものなし!」
レイはどうやっても『世界への干渉』はできなかった。
しかし、武技言語によって自分の力を数倍に高める事は可能だった。
「我が一撃は無敵なり!」
その『力』が王虎に対して解放された。
「ウオォォォォォォォ!」
咆哮と共にレイは“
“菩薩掌”によってもはや意識が混濁しているであろう王虎は、それでもレイの動きを捉えていた。
(小僧が儂の隙を見逃す事などありえない!
最速の技“
例え“
それは王虎の今までの膨大な戦闘経験によるものだった。
“刹那”では“マッハ突き”で迎撃される。
ならば放とうとしていた、近距離で最大の威力を誇る“
(今だ!)
王虎の膨大な戦闘経験は、本来捉える事が不可能な筈のレイの“
間髪を入れず、王虎は全力で“
“ヴォン”
(何い!)
王虎が“
《陸奥圓明流 四門》
只人による四分身を可能とする、陸奥圓明流の奥義のさらに上にあるものの総称である。
レイは“
もちろん“
しかし、
菩薩掌のダメージによる視野と思考の狭窄。
膨大な戦闘経験により、本来捉える事が不可能な“
“
四分身により目標を絞る事が出来ない事。
“
さらにレイの『“
それは王虎の動きを、一瞬にも満たない、僅か半瞬の間であっても停めるには十分だった。
そして僅か半瞬であっても動きが停まれば、“
もはやレイの分身は姿が見えるのに王虎を持ってしても触れる事は出来ず、“実体を持つ幻”に等しかった。
正に《
そしてやはり“菩薩掌”のダメージは大きく、もはや意識が混濁し、驚愕で半瞬動きが停まり、再度全力で繰り出した王虎の放った“
王虎の放った“
さらに“
最後に“
傍で見ている者がいれば、三人のレイが王虎を取り囲んで同時に心臓に一撃を加えたようにしか見えなかったであろう。
二千数百年後に第59代
それは『“
しかし、レイが使用したこの技は“四門”によって王虎の“
さらに武技言語を使用して打ち込まれた“徹し”は、ほぼ同時に三方向から心臓に集中する事になった。
顔面から血を流し“
それは、初歩的な技である“
動きを見逃さない『眼』、
近代空手の到達点である“マッハ突き”、
リバーブローを繰り返す事による「思い込み」の誘導、
天才の技、
陸奥圓明流、
四門、
近代ボクシング、
骨法、
クルダ流交殺法の真髄である武技言語。
レイが自分の持つ“全て”を全力で注ぎこんで手繰り寄せた奇跡だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
レイと王虎の闘いの決着でした。
次回、この二人の死闘の結果は、予想もしない結末を迎えます。
次回お楽しみください。