フラグマン製機体に!!!勝ちたい!!!!!!   作:雨傘なななな

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5話 手紙

■【機械工】ノーイ・デクステル

 

 【極炎炉 ヘルフレイム】をエルブレイン君に引き渡してからゲーム内で早2週間。

 ちょうど先程彼が追加だのなんだの言って一億リル分の金貨を置いて行ったことを除けば概ね平和な日常を送っていた。

 

 あー嘘。クラウディアが今真横にいることも除けば概ね平和な日常を送っている。

 

 うーんなんでいるんだ。週に2回は来てるよこの人。

 

「お友達だからですわ!」

 

 そっかぁ。

 最近色々と諦めが滲み始めたお付きの武官の方曰く、王国で出来た数少ない友人と中々会えないことでクラウディアは寂しい想いをしていたらしい。

 

 そこに文字通り落ちてきたのが僕、と。

 

「それで、こんな朝早くから何しにきたのさ」

 

「むぅ、私不満ですわ! せっかくですから歓待を求めますの! 友達ですわよ!?」

 

「テンション高いなぁ……」

 

 まぁ実際の所、ガレージに設置された【精密作業補助機体:Mark III】を見れば分かる通りクラウディアには心から感謝している。彼女がいなければ今も僕はヘルフレイムの動力炉をどう作成するかで悩んでいただろうし。

 

「クラウディア、コーヒー飲める?」

 

「え? の、飲めますわよ………?」

 

「なぁーにゆえ警戒するんだい」

 

 自慢になるが、僕の淹れるコーヒーはめちゃくちゃ美味しい。

 昔から器用だったとか色々理由はあるが、お茶を入れても料理をしてもコーヒーほどうまくは作れないので多分偶々コーヒーを淹れる能力だけがハチャメチャに高かったようだ。

 

「ほ、ほ〜」

 

 立ち上がってガレージの壁際にあるカウンターでコーヒーを淹れていると、クラウディアがわざわざその作業の様子を見に来た。

 

「皇族ってやっぱしコーヒー自分で淹れたりとかしないの?」

 

「しませんわねぇ。もちろん趣味で淹れたいと言えば可能ですが、理由がありませんもの」

 

「まぁそれはそう。忙しい中わざわざ趣味にコーヒー抽出を選ぶ理由がないわな」

 

「ですです」

 

 そうこう言っている内に完成。

 コーヒー豆挽いて、お湯沸かして、コーヒーのフィルター出してきて、注いで、マグカップに移すだけ!

 

 匂いの良さもあって気に入っている趣味の一つだ。

 

「どぞー」

 

「ありがとうございます」

 

「んん」

 

 さっきまでの警戒とは打って変わってやけに素直で怖いんだけど……まぁいっか。

 

「お、」

 

「お?」

 

「美味しいですわ!!! えっ!? 本当に美味しい!」

 

「分かるんだそういうの」

 

「ワタクシ、皇族として最高級のコーヒーを最高級の職人が淹れたものを日頃から飲んでいますのよ!? それと比してもなお美味しいなんてことが本当に……!?」

 

「ん、天才だからね僕」

 

 僕もお気に入りの深緑色のマグカップに淹れたコーヒーを口に含む。うーん95点。

 

「【機械工】より【料理人】系統の方が向いてられるのでは……?」

 

「コーヒー以外の料理の才能はあんましだったから」

 

「あぁ……」

 

 クラウディアが納得したように頷いた。おいどこに納得したんだよ。

 

「自分の才能のある分野以外は他人がやればいいと思ってそうですものね」

 

「口に出てるよその悪口」

 

「自分の才能のある分野以外は他人がやればいいと思ってそうですものね」

 

「2回言ったね悪口」

 

 まぁ実際そうでしょ。僕より料理が美味い人間なんて無数にいるのに僕がやる理由は本当にない。

 だから料理はしないし、【極炎炉 ヘルフレイム】のデザインをタイクさんに相談したわけです。

 

「そう、今日の用件ですが……先日ノーイ君がエルブレインさんに作成した機体についてですの」

 

「ほう」

 

 マグカップを置き、クラウディアに向き直る。

 なんか問題があったか? あんまり皇国にとって良くない機体だったとか?

 

「本当に興味のあるなしが分かりやすい人ですわね……コホン、かの機体を《鑑定》した者によりノーイ君と所有者設定スキルの所在が探されていますわ」

 

「おぉう……」

 

 面倒な話ぃ……!

 依頼が増えるのは悪いことじゃないんだけれど、僕のアイディアって別に無限に湧いてくるわけじゃないからな……。

 

「幸い周辺地域の方々はノーイ君の味方ですし、エルブレインさんも考えなしに広めるつもりはないようですの」

 

「いいね。いやいいのか? お金払ってくれるなら予約制とかにして応じるけれど」

 

「ノーイ君は専用機体という言葉の重みをなにも分かっていません」

 

「…………………はい。」

 

「ので、ココはエルブレインさんの厚意に甘えて名を広めすぎないよう動くべきかと思いますわ」

 

「まぁ……そのへんは僕よりクラウディアの言う事のが正しそうだ。そうするよ」

 

「ですわね。私としてはノーイ君が依頼に追われて余暇時間を失うのは悲しいのでそうしていただけると助かりますわ!」

 

 まぁ遊ぶ暇もなくなるのは僕も嫌か。

 タンクさんも言っていた。余裕あってこそのアイディアだと……!!!!

 

 んー、とはいえ微妙に違和感があるね。

 専用機体の重みとやらは確かにあまり深く理解していないけれど、わざわざクラウディアが僕に忠告するほどならエルブレイン君とかギルドの人達が黙ってくれている程度じゃ名前が広がり過ぎるのを止められるはずもないわけで。

 

 そして微妙にソワソワしてるクラウディア……まぁそういうことだよね。

 エルブレイン君が爆発事故の後処理をしてくれていた時も、快くタイクさんがデザイン案を出してくれた時も、こうしてクラウディアがわざわざ忠告に決めくれたこともそうだが、僕の周りには人の良い者達が集まりすぎている気がする。

 

 ……本当にありがたいことだ。

 

「つまり、クラウディアも色々と手を回してくれたってことかな」

 

「あっ、いえっ、そのぉ……!」

 

「ありがとね」

 

「いえいえいえいえ! お友達ですもの!」

 

「顔真っ赤だよクラウディア」

 

「〜〜〜〜っ! おバカ!!」

 

 言わん方が良かったか。

 

「帰ります!!!」

 

 ………勢い良く立ち上がって、コーヒーを飲みきってないことを思い出して、一旦座ってコーヒーを飲みきって、僕の頬を強めに引っ張って、そんでもって帰っていった。

 

「うーんクラウディア……天才の面影ないけどいいのかあれ」

 

「皇女殿下が子供らしくいられる時間などほとんどございませんから…………最初は国家犯罪者かと思いましたが、今は私共もノーイ様に感謝しておりますよ。」

 

 と、一緒に来ていた武官の方も僕に深々と頭を下げて帰っていった。

 怒らせたのに感謝された……どういうことだってばよ……?

 

「まぁいっか…………ん?」

 

 クラウディアと僕のマグカップを片付ける最中、作業台の上に先程まではなかったはずのドライフの国旗を象った封蝋で閉じられた手紙が置かれているのに目がついた。

 タイミング的にも置いたのはクラウディアかお付きの武官2名のどちらかで間違いない。

 

『ノーイ・デクステル様へ』

 

 忘れ物か、と思い届けに行くため拾い上げたその手紙には、しっかりと僕の名前が刻まれていた。

 

「クラウディアがこんな遠回りな手を使う理由はない、はず。なんらかの危機に瀕していて助けを求めるにしてももう少し迂遠な手を使うでしょ」

 

 …………となれば武官2名のどちらか?

 クラウディアに隠れて僕に伝えたいことがある、という線が濃厚だろうか。

 わざわざクラウディアを通さずに俺に伝えたいことがあるって時点でキナ臭い要件なのはほぼ確定なわけで、全然開きたくない……!

 

「ま、開けてみないと分かるものも分からないか」

 

 パキ、と封蝋を割るようにして強引に手紙を開封し、中身の便箋へと目を通した。

 

 

 

 

 

 

『ノーイ・デクステル様

 

超級職【機械王】と最高峰の素材、そして皇国でのより良い待遇の準備がございます。

 

ぜひとも明日の正午に皇王宮へ謁見にお越しください。

 

貴方様が正しい選択をすることを願っています。

 

ラインハルト・C・ドライフ』

 

 

 

 

 

 

 

 ─────そしてゆっくりと、軋むような音と共に悪意の歯車が周り出す。












・エルブレイン・ソーリス
粗野で仲間想いの世界派マスター。
ノーイに出会うまではマジンギアに巨大な火炎放射器を装備させて戦っていた。
近くに魔術由来でない炎があるとき必殺スキルを使うと周辺一体を焦土地帯にした上でマジンギアも溶けて破壊される。
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