冷笑なんてぶっ飛ばせ!   作:リアル充実

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⚠︎オリキャラ出します。
万城目 麗香
天樹 祐介
桜井 湊



自己紹介しようよ!

 校門の近くでは、メガホンを持った学校の職員たちが、拡声器を通した大声でせわしなく新入生たちを誘導している。

 

『新入生の皆さんは、掲示板で自分のクラスを確認したあと、速やかに配属クラスの教室へ向かってください! 繰り返します、まずは体育館ではなく、配属クラスの教室へ――』

 

 新入生でごった返す掲示板の前。俺は人だかりをかき分けながら、必死に自分の名前を探した。

 

 【1年Aクラス:水瀬晴人】

 

「あった!俺のクラスはAみたいだ!なんだか縁起が良いな。」

 

「そっか〜。水瀬君とは、別クラスか〜残念!クラスは分かれちゃったけど、お互い頑張ろうね!」

 

「うん!じゃあ一之瀬さん!またどこかで!」

 

「いろいろありがとう!また話そ!」

 

 お互いに大きく手を振り、掲示板の前で爽やかに解散した。そして、それぞれ自分のクラスへと向かう。俺のクラスにいるのはどんな人達なのか。これから苦楽を共にする仲間……会うのがとっても楽しみだ。

 

_____________________

 

 職員の指示を聞き、案内表示を見ながら、迷わないよう慎重に進む。そしてついに1-A教室の前に到着する。少し緊張しながらドアの前に立つ。

 落ち着け、バスの中で何回もシュミレーションしたじゃないか。普段通り行けば良い!余裕だ、余裕!

 

「――っ」

 

 覚悟を決め、教室内へ一歩足を踏み入れた瞬間、肌がピリつくような錯覚を覚えた。教室内は、驚くほど静かだった。すでに席についているクラスメイトたちは、誰一人として私語をしていない。教科書を黙々と読んでいるか、背筋を伸ばして微動だにせず前を向いている。

 なかでも目を引くのは、めちゃくちゃガタイのいい強面な坊主頭の男子や、杖を傍らに置いたお人形さんのような美少女。彼らの放つオーラが、とにかく尋常じゃなかった。

 

(な、なんかみんな、高校1年生に見えないくらい大人っぽいぞ……? 俺、完全に浮いてないか……?)

 

 小・中学校では、ゲームの話をしたり、友達と馬鹿みたいなことで大笑いするような生活を送ってきた。だが、この場でそんなことをしようものなら睨み殺されそうな雰囲気だ。

 

(こ、これが高校生か…俺も、皆んなに合わせてかっこよくしないと…。)

 

 冷や汗を流しながら指定された席に座る。学校のパンフレットを見ながら時間を潰していると、チャイムが鳴り、それと同時にガラガラと引き戸が開く。黒いスーツを着た生真面目そうな男性教師が入ってきた。

 

「1-Aの担任の真嶋智也だ。これから3年間、よろしく頼む。さて、入学式の前だが、本校の規則についての説明を行う。」

 

________________

 

「この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担当する事になる。」

 

「学校内において、ポイントで買えないものはない。ポイントを使用することで、敷地内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入することができる。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ」

 

「今から先ほど説明した、この学校専用の端末を支給する。この中には、本校のあらゆる施設で現金代わりに使える『プライベートポイント』が、今月分として【10万ポイント】付与されている。1ポイントは1円換算だ。大切に使いなさい。」

 

 ふむふむ。現金が使えない代わりのプライベートポイント、要するにソシャゲのゲーム内マネー、ならぬ『学校内マネー』ということか。それがログインボーナスの要領で毎月貰えると。ゲーム脳がこんな所で役に立つとは。それにしても凄いな。毎月10万…。

 配られた無骨なデザインのスマホをタップしてみると、確かに『100000』という数字が表示されていた。10万円…。その莫大な金額に胸がワクワク感で満たされていく。「何を買おうかな」と気の早い事を考えていると、生徒が一人手を挙げた。確か、さっきのガタイの良い坊主頭の男の人だ。

 

「先生、質問よろしいでしょうか。」

 

「なんだ、葛城」

 

「この10万ポイントという大金……本当に、毎月同じ額がもらえるのでしょうか?」

 

 その質問が発せられた瞬間、教室内がわずかに緊張に包まれる。真嶋先生は表情を一切変えず、葛城?という男子をじっと見据えた。なんだ?雲行きが怪しくなってきたぞ?

 

「――それについては回答しかねる、とだけ言っておこう。」

 

肯定も否定もしない、含みのある言葉。

 

(え? もらえない可能性もあるの……?)

 

 うーん。今の濁し方、絶対何かある。と鈍い自分でも察せた。もしかして、テストの点数だろうか?ははーん、わかった。もしかして高得点を取れば、更にボーナスポイントが貰え、赤点でマイナスとかか?とりあえず様子見も兼ねてポイントは大事に使おう。そう考えてる間にも、また一人手を上げた。今度はクールでかっこよさそうな男子だ。

 

「天樹か。どうした?」

 

「先ほど、ポイントの使用条件について『何でも買える』とおっしゃいましたが……それは厳密にはどこまで可能なのでしょうか。」

 

「……言葉通りの意味だ、天樹。繰り返しになるが、ポイントさえ支払えば、手に入らないものは何もない。」

 

 質疑応答の応酬がすごい。みんな根掘り葉掘り聞くなぁ。その後にいくつかの質問が続き、挙手がついになくなると、真嶋先生は教壇から離れて教室の端にあるオフィステーブルに腰掛けた。

 

「では、オリエンテーションを終える。入学式の準備が整うまで、自由に待機しているように。」

 

そのまま、書類やタブレットの整理整頓を開始する。

 

 

……

 

………?

 

(あれ?自己紹介とかしないの?)

 

 シーン、とあまりにも静かすぎる。ここが小・中学校なら、先生が作業を始めた途端に段々とおしゃべりする生徒が出てくるはずだ。だけど、誰も話さない。なんならほとんどの生徒は、すでに配られた教科書を開いて勉強を始めている。偉い。流石は国営の学校だ。みんな意識が違いすぎる。

 でも、自己紹介はしないのだろうか。入学式の後にやる予定なのかもしれないけれど、この待機時間をただ無言で過ごすのはもったいないというか……何より、これから3年間同じクラスなのに、名前も知らないままでいるのは寂しい。俺は意を決して、スッと右手を上げた。

 

「水瀬か?どうした?」

 

「先生!俺みんなのことを知りたいです!自己紹介の時間を設けても良いでしょうか?」

 

「……構わない。有意義に使え。」

 

 やった! 先生に許可をいただいた!俺は勢いよく立ち上がり、クラスの方を振り向く。

 

「みんな! 勉強中にごめん! 俺、みんなと仲良くなりたいと思っているんだ!せっかくだから自己紹介の時間を作りたいな〜って思うんだけど、大丈夫かな……?」

 

 突然の俺の発言に、1-Aの教室内は驚き、困惑、そして静観の空気に包まれた。明らかに「面倒」という視線を向けてくる生徒もいる。こちらの問いかけに対し、返答がなかなか返ってこない。

 

(やばっ!場違いな雰囲気!?)

「ほらっ!あのっ!えと!俺がみんなの事知れたら嬉しいってのもあるけど!授業中にグループワークとかするじゃん!?それで名前も知らずに『お前』とか『そっちの奴』って呼ぶのは効率悪いんじゃないかなって!?それにやっぱほら!寂しくない!?」

 

 

……

 

「――ふふっ、あははは!」

 

 何人かの生徒が堪えきれずに笑い始めた。あの杖を持ったお人形さんみたいな美少女も、楽しそうに口元を遮ってクスクスと笑っている。うう、恥ずかしい……。でも、俺の不恰好な姿でクラスの空気が少しでも和んでくれたなら、それでいいや。

 落ち込みかける俺の前で、先ほどのガタイの良い坊主頭の男子――葛城が、少し表情を緩めて立ち上がった。

 

「……なるほど。水瀬と言ったな。お前の言う通り、今後の授業や集団行動を円滑に進めるためにも、互いの素性を知っておくのは事前準備として合理的だ。こちらも機を見て同じ提案をしようと思っていた。皆もどうだ? 名前や出身だけでもいい、自己紹介をしていかないか?」

 

 葛城くんの頼もしいアシスト。はっきりとした返答こそなかったが、周囲からは「まあ、確かにそうだな」「賛成」と、肯定する声がポツポツと上がり始めた。良かった。先ほどまでのピリピリした空気はどこへやら、教室にはどこか暖かな雰囲気が広がり始める。

 

「……では、私から始めましょうか」

 

 最前列に座っていた生徒が、自発的に立ち上がってくれた。

 

_____________

 

 

席順に自己紹介が始まった。

 

「葛城康平だ。○○中学校出身。中学時代は生徒会長を務めていた。3年間、よろしく頼む。」

 

 生徒会をやっていたのか。今日初めて会ったけれど、あの溢れるカリスマ性と落ち着きには納得だ。この人には、これから何かとお世話になりそうな予感がする。

 

「〇〇中学校出身だ。得意科目は数学で――」

 

「――坂柳有栖と申します。ご覧の通り身体が少々不自由ですので、体育の授業や運動行事などでは、皆様にご迷惑をおかけすることになるかと思います。その点については、あらかじめお詫びしておきますね。」

 

 どこか鈴の音のように綺麗で、お淑やかな少女の挨拶。だけど、その微笑みの奥には、底知れぬ知性が隠れている気がする。それにしても、杖を見た時から思ったが、移動が大変そうだな。機会があれば荷物を持ってあげたり、何か手伝ってあげよう。

 

「――中学校出身です。得意科目は国語です。」

 

「万城目麗香です。〜〜中学校出身です」

 

 その丁寧すぎる洗練された所作と『万城目(まきめ)』という苗字が呼ばれた瞬間、後ろの席の男子たちがにわかに騒ぎ出した。

 

「おい、万城目って……あの巨大総合財閥の?」

「マジかよ、直系の令嬢がなんで普通の高校に……」

 

 ヒソヒソと囁き合い、教室内が再びざわめく。万城目財閥。聞いたことがない。なんだか漫画みたいな凄いお嬢様までいるらしい。

 

「……コホン。どうか気負わず、普通に接してもらえれば幸いです」

 

万城目さんは少し困ったように微笑み、一礼して席に戻った。

 

_________

 

「じゃあ、次は俺。天樹祐介。得意科目は特にないが、座学なら大抵のことはこなせる……と思う。よろしく頼む」

 

 少し制服を崩して着こなした、整った顔立ちの男子。髪型もオシャレでかっこいいが、その鋭い三白眼はどこか気怠げで、他者を寄せ付けない独特の雰囲気を纏っていた。

 

「桜井湊です! 中学校では野球をしていました!」

 

 俺の隣の席の男子だ。とても優しそうな顔立ちで、ハキハキとしていて好感が持てる。隣同士、ぜひ仲良くしたいところだ。

 

(よし……俺もバシッと決めるぞ!)

 

 ついに、俺の番が回ってきた。

 勢いよく立ち上がり、胸を張って、クラス全員を見渡す。

 

「水瀬晴人です! 高校生活をすっごく楽しみにしてました! 勉強は少し苦手ですが、やる気と根性と前向きさだけは誰にも負けません! 3年間、よろしくお願いします!」

 

___________________

 

 真嶋は生徒達の自己紹介を見守りながら、手元のタブレットに視線を落とし、画面をスクロールさせる。そこにある一人の男子生徒の顔写真と、あまりにも『平坦』なデータが表示されたところで、その指が止まった。

 

――水瀬晴人。

 

(学力、中の上。運動能力、標準値。過去の特筆すべき実績、なし。家庭環境および過去の経歴にも、特異点は見られない。……数値だけを見れば、完全なる凡人だ)

 

 真嶋の鋭い視線が、水瀬へと向けられる。中性的で可愛らしい顔を強張らせ、必死に脳内で挨拶の練習をしている姿は、このエリートの魔窟において完全に浮いており、場違いそのものに見えた。だが、この高度育成高校の面接官たちが出した結論は、彼を『Aクラス』へ配置することだった。真嶋は、タブレットの画面の最下部にある、学校側の極秘評価に目をやる。

 

『基礎学力は標準的な高校入試レベルを満たしているが、現時点での能力値はBクラス以下が妥当である。ただし、環境や動機付け次第で急激な伸びや変貌するポテンシャルを秘めていると判断した。

 また対象のコミュニケーション能力とポテンシャルは、本校の過去のデータに照らし合わせても極めて希少な特異点と言える。よって、実験的試みも含め、Aクラスへ配置し、可能性の推移を観察することを強く推奨する。』




 Aクラス生徒の名前、全部載せようと思って調べたら、かなりいるんですね…頭パンクしそうになりました。とりあえずオリキャラと超有名キャラだけ載せときます。
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