キャラのエミュできてます…?このキャラこんな喋り方だっけとか、
こんな性格だったっけ?ってなります…
これ変だよ〜とかあれば教えてください!
橋本正義と
「じゃあねー、晴人君!」「さようなら」
放課後、友達の女子たちに手を振りながら校門を出た。話した内容としては、次の授業のこととか、先生についての雑談とか。流行りの話とか。
「よお水瀬。女子に囲まれてモテモテじゃねえか」
「うわっ、橋本!」
不意に背後から肩を組まれ、驚いて振り返る。そこにいたのは、同じAクラスの橋本 正義だった。金髪で背が高い、優しくてイケメンで勉強ができる完璧で究極なチャラ男って感じの人だ。彼はこの学校でも有名な人気者で、他クラスにも顔が広いらしい。休み時間に女子に囲まれている彼の姿を何度も目撃している。
「……さっき五人くらい引き連れてただろ。あんだけ仲良いなら、ぶっちゃけ付き合えそうな子とかいるんじゃねえの? 」
「んえ!?いや〜無理なんじゃない…かな?」
「またまた〜」
橋本が意外そうに眉を上げる。自分のことを冷静に振り返ってみた。
「だって俺、落ち着きないし、精神が子供って感じだし……。女の子って、大人っぽくて頼りになる人が好きでしょ?」
橋本は一瞬だけ呆気に取られたような顔をしたあと、面白そうに吹き出した。
「いやいやそういう所が可愛いって聞くぜ?水瀬顔良いし、行けると思うけどな」
「べ…別の話にしない…?」
…
……
………
橋本 正義は、隣を歩く晴人の横顔を値踏みするような目で見つめながら、頭の中で情報をまとめる。
『水瀬晴人』。同じAクラスのクラスメイト。観察した限りでは、学力・運動神経は共に中間レベル、坂柳や葛城など優秀な奴が多いこのクラスでは、気後れして影が薄くなるはずのスペック。
しかし、水瀬晴人は、例外だった。底抜けの明るさで、Aクラスの緊張を解き、クラスの中でも存在感を放っている。その上で水瀬 晴人の行動には、一切の計算が見られない。
“何か裏はないのか?””全員に良い顔をして情報を引き出そうとして策士ではないのか?”、そう判断した橋本は、水瀬に探りを入れることに決める。
(ちょうどいい。少し探るか)
◇
橋本がふとトーンを落とした。
「それにしても……水瀬、誰とでも仲良いよな」
「そうかな?」
それは橋本も同じだと思うけど…。急に、妙に芯のある真面目な声で話をしてきたな。
「他クラスの奴らとも、飯食ったりしてるだろ?BとかDクラスの奴とかさ」
橋本がちらりとこちらを見る。その視線に、ほんの少しだけ冷たい緊張感が混ざったような気がした。
「お前、嫌いなやつとか苦手なやつとかいねえの?」
「うーん、そりゃあ気が合わないなーって思うやつはいるよ?」
「…へえ。じゃあさ、信じてたやつに裏切られたこととかは?」
「うーん。中学の時、好きな人を他言無用で友達に教えたら、他の友達にバラされたこととか、後は小学校の時…」
「待て待て、そういう可愛いのじゃなくて」
橋本が慌てて俺の言葉を遮り、小さくため息をついた。
「……そうだな。お前、学校初日にDクラスの須藤ってやつに殴られたって聞いたぜ?」
「えっ?どこで知ったの?そんな前のこと」
「俺は顔広いから色々耳に入ってくるんだよ」
学校初日で須藤が先輩たちと喧嘩した時のことだ。公共の場だし、怒鳴り声を上げたりゴミ箱を蹴っ飛ばしたりしてたから、そりゃあ目撃した人も大勢いるか。
「……んで、あの時お前を怒鳴りつけて殴ってきた須藤に対して、何か思わなかったわけ? 損しただろ、理不尽にやられてさ。初日からぶん殴られて、もう関わりたくないとか思わなかったか?」
なんというか、やっぱり質問の仕方が変な気がする。さっきまでの女子トークから、どうしてこんなに真面目な話になっているんだろう。橋本の目が、いつになく真剣に見えた。
「そりゃあ痛かったよ!でも、あの時の須藤、凄く苦しんでいたから」
「はぁ?苦しいの水瀬だろ?あいつは怒鳴ってただけじゃねえの?」
「…須藤、先輩たちにバカにされて、きっと惨めで、悔しくて、悲しかったんだ。でも、その悲しいって気持ちをそのまま出しちゃうと、悔しいから……だから、自分を守るために怒りに変えて爆発させるしかなかったんだよ。」
「だから俺、助けたいって思ったんだ。須藤を」
◇
橋本はピタリと足を止め、小さく目を細めた。しかしその脳内は、ショートしていた。裏で何か考えがあるはずだと疑ってはずが、水瀬晴人には、どんなに注視していても裏が1ミリも存在しなかったのだ。自分とは、あまりにも精神の構造が違いすぎる。もしこの考え方すら、周りを欺くためのフェイクっていうなら、お手上げだが。
「……水瀬さ」
「ん?」
「マジで子供みてえだな、頭の中お花畑かよ」
「えぇ!? なんで急に悪口言うの!?」
橋本は、ふっと肩の力を抜いて「ハハハ!」と大声で吹き出した。しかし、その笑い方は、さっきまでより少し柔らかかった。
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坂柳 有栖と
とある放課後。忘れ物を取りに教室へ戻ろうとした俺は、入り口の引き戸の隙間から、坂柳さんが一人でチェス盤に向かっている姿を見つけた。一人チェスというやつだろうか?
凄い頭のいい人がするやつじゃん……と、邪魔しないように隠れて眺めていたのだが、一瞬で気配を悟られた。
「水瀬くん。忘れ物ですか? 覗き見は感心しませんね」
「ゴ、ゴメン。集中しているから邪魔しちゃ悪いなと思って。」
慌てて教室の中に入る。
『坂柳有栖』。いつもお人形さんみたいに綺麗な白い髪をなびかせて、気品のある口調で喋る女子だ。生まれつき足が悪いらしく、いつも細い杖を側に置いている。
彼女の近くにいると嫌でも思い知らされる。坂柳さんは、俺なんかとは住む世界が違う本物の天才だ。授業の小テストはいつも全問正解だし、今だって一人でチェスをやっている。カードゲームで対戦相手がいないからって、一人で二つのデッキを回すのとは、きっと次元の違う世界なのだろう。
「凄いね、一人チェス。…やっぱその…面白いの?」
気まずさを紛らわせるように、俺はぎこちない質問を投げかけた。するとクスクスと笑いながら、返事をしてくれた。
「そうですね… 自分の頭の中にもう一人の自分を作り上げて、極限の勝負をする、と言えば分かりやすいですかね?」
「なるほど……?」
やっぱり次元が違いすぎる。俺はここにいても邪魔なだけだなと思い、そそくさと挨拶をして教室を出た。
◇
それからというもの、俺はなぜかチェスのことが頭から離れなくなってしまった。あの時、坂柳さんがカッコよくチェスを指す姿を見て、少し興味が湧いてしまったのだ。寮の部屋で、さっそく端末を使ってチェスについて調べてみる。
「ふむふむ、なるほど古代インドで生まれたんだ……。元々の名前は『チャトランガ』って言うんだ。はぇ〜……」
…
……
………
それからの数日間、俺のチェス熱は加速した。スマホの無料ゲーム『チェス&ドラゴンズ』を睡眠時間を削ってやり込み、ネットで初心者用のチェスセットを購入し、解説動画を見て必死に勉強した。オンライン対戦でも、初心者帯ならある程度勝てるようになってきた。……あれ? もしかして今の俺、それなりに強いんじゃないか?
そして数日後の放課後。教室には、たまたま一人チェスをしている坂柳さんの姿。いくぞ!特訓の成果を見せる時だ!
「フッフッフッ、坂柳さん!」(引き戸ガラガラッ!)
「ぇ……?どうかしたのですか水瀬くん…?」
「俺とチェスで勝負しようよ!」
「………?」
坂柳さんは「まあ」とでも言いそうな表情でパチクリと目を丸くした。それから、どこか楽しそうにクスクスと笑い出した。何かこの状況デジャブを感じるな…。
「まさか水瀬くんに勝負を挑んでくるとは想定していませんでした。私、これでもかなり強いですが大丈夫ですか?」
「任せて! 動画を見て勉強したし、『チェス&ドラゴンズ』もかなりやり込んだから!」
「フフッ、そのドラゴンというのはよく分かりませんが……いいでしょう、お相手いたします」
◇
いざ、対局開始。俺は覚えたての戦術を必死に思い出しながら、慎重に駒を動かしていく。
「なるほど。流石に最低限の定跡は抑えているわけですか」
「まあね!」
いける、戦えてるぞ俺!……と思ったのも束の間。
…
……
………
「…チェックメイトです、水瀬くん」
「ありがとうございました」
そこには、精魂尽き果てて『水瀬だったもの』と化した俺の姿があった。
一方の坂柳はと言うと、実際はそんな汚い言葉は使わないけれど、顔にはハッキリと(よっっっっっわ……少しでも期待した私が馬鹿でしたね)と書いてあった気がした。いやまあ仕方ない、自信満々で挑んだくせに本当に弱かったのだから。ぐうの音も出ない。
「そうですね、初心者相手に少し大人げなさすぎました。次はハンデを差し上げましょう。私のクイーンとルークを落とします」
「えっ、そんなに!? 強い駒、二つもなくて大丈夫?」
こんなヘッポコな自分とでも、まだ戦ってくれるなんて……なんて優しい人なんだ! 今度こそ絶対にいい勝負にするぞ!
…
……
………
「チェックメイトです」
アリエナイホドボコボコニサレタ。
おかしい。強い駒がいないはずなのに、気づけば俺の陣地は焼け野原だった。やはり坂柳さんは本物の天才だ。ちょっとゲームを齧った程度の凡人が勝てるわけがなかった。
きっと心の中では(時間の無駄でしたね。二度と私の前に顔を出さないでください)と激怒しているに違いない。
「水瀬くん?」
「ハイ、スミマセンデシタ」
「クスクス、謝る必要はありませんよ。とても有意義な時間でした。……また、やりましょうね?」
顔を上げると、彼女はいたずらが成功した子供のように、とても美しい笑顔を浮かべていた。
嫌味を言うことなく、次も誘ってくれるなんて……本当にどこまでも優しい人だな。よし、もっとチェドラで特訓してリベンジするぞ!
◇
「すまねえな姫さん。ちょっと野暮用で遅れちまった」
晴人が教室を去った後。ガラリと扉を開けて入ってきた橋本正義が、頭を掻きながら坂柳に歩み寄った。
「構いませんよ、橋本くん」
チェス盤の駒を片付けながら答える坂柳の横顔を見て、橋本はふと足を止めた。その口元が、いつもより気の緩んだ笑みを刻んでいたからだ。
「……? 姫さん、なんか良いことあったか? 随分と嬉しそうに見えるぜ?」
「そうですか? 気のせいでしょう」
坂柳は、手元に残った白のポーン――心なしか、さっきまで誰かさんが必死に動かしていた駒に視線を落とし、愛おしそうにクスクスと微笑んだ。
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桜井・戸塚と
「ということでカラオケ行こうよ! 湊!」
「何がどういうこと!?」
放課後の教室内。俺の突然の提案に、桜井湊はパチクリと目を丸くした。湊は同じAクラスの男の子で、いつもホワホワした雰囲気を纏っているガリ勉な感じの僕っ子だ。
さて、高校生活といえば、やっぱり友達とのカラオケ大会だろう。自分自身、歌はそんなに上手い方ではないけれど、あの個室の独特な空気感やお祭り騒ぎが好きなのだ。
「俺が全額払うからさ! カラオケ! どう?」
「カラオケかぁ……。僕、小学校と中学校の時はずっと家と塾で勉強ばっかりしてたから、実はカラオケって初めてなんだよね」
「おぉう……! それなら尚更行こう! 楽しいよ!! 歌を歌うのは好き?」
「得意なわけじゃないけど、それなりには好きだよ」
「よし、決まりね!」
「ふふ、晴人くん、今日はずいぶんとテンションが高いね……」
悲しい過去。湊の家庭は勉強に厳しかったのだろうか。なら、ぜひとも味わってもらうべきだ、高校生のカラオケの楽しさを!
さて、ここで一つ作戦会議。あくまで俺の持論だが、カラオケは大人数すぎると自分の歌う番がなかなか回ってこなくてダレてしまう。だけど、2人きりよりは、ある程度の少人数でワイワイやるのが一番盛り上がる。つまり、あともう1人メンバーが欲しい、ということだ。
「おい水瀬、どうした? なんか妙にテンション高くね?」
ちょうどそこへ、カバンを肩にかけた戸塚が通りかかった。
「戸塚! 今からカラオケ行かない!?」
「おっ、おう……? どうした急に。……まぁ、暇だし良いけどよ」
『戸塚 弥彦』。葛城と仲がいい、同じAのクラスメイトだ。ちょっとツンツンしている所があるけれど、話してみると普通の気さくな男子高校生だ。
よし、これで3人集まった!
いざ、カラオケへレッツゴー!
◇
カラオケボックスに入り、まずは一曲目の選曲タイム。
「湊、何歌う?」
「えーと……待って、デンモク?の使い方がよくわからないや……。何かおすすめの曲はある?何歌えば良いか迷っちゃって…。」
「それなら、誰もが知ってる超有名アーティストから探せば? アラシとか!」
「あぁ、アラシ! それなら僕も中学の時にテレビでよく聞いたよ。うん、それにしてみる!」
「俺は中学以来のカラオケだからなぁ……。ここは今時の王道、ヨルアソビで行くか!」
「なるほど、 戸塚くんのも楽しみだよ。」
◇
いざ演奏が始まると、部屋の中は一気にライブ会場と化した。
「良いぞー! M・I・N・A・T・O! み・な・とーっ!」
タンバリンを叩きながら俺が全力でコールを送ると、マイクを握った湊が顔を真っ赤にする。
「うぅ、恥ずかしいよ晴人くん……っ」
恥ずかしがりながらも、湊は透き通った綺麗な声で一生懸命歌ってくれた。初めてとは思えないくらい上手だ。
◇
「なぁ水瀬! お前の奢りなんだよな? だったらサイドメニューいくつか頼んでいいか?」
すっかり部屋の空気に馴染んだ戸塚が、インターホンを前にこちらを振り返った。
「いいよ!ご自由にどうぞ!」
「んじゃあ……これにしようぜ! ロシアンルーレットたこ焼き!」
「何そのたこ焼き……? ロシアンルーレットって、あの銃の……?」
…
……
………
おそるおそる首を傾げる湊を横目に、運ばれてきた皿から、俺たちはせーのでたこ焼きを口に放り込んだ。モグモグ、と咀嚼すること数秒。
「……っ!?いやああああああああああああ熱い! 辛い! 痛い!!!」
「わわっ、晴人くん大丈夫!? すぐにお水持って来るね!」
「あーっははははは!!! 水瀬最高! マジで傑作だからクラスのグループトークに載せるわ!」
涙目で悶絶する俺の姿を、戸塚はスマホを構えて大爆笑しながら連写していた。酷いよ戸塚…。
◇
激辛のダメージもすっかり引き、大盛り上がりのまま2時間が経過して退室。夕暮れの駅前を、3人で並んで歩く。
「いやあ、中学以来のカラオケだったけど、めちゃくちゃ楽しかったな!」
「僕も初めてだったけど、すごく楽しめたよ! 誘ってくれてありがとう、晴人くん」
「こちらこそありがとう戸塚! 湊!」
俺が笑顔で言うと、戸塚がポケットに手を突っ込んだまま、少しバツが悪そうに視線を逸らした。
「……おい水瀬。やっぱり俺、自分の分は半分払うぜ。」
「あ、それなら僕も自分の分を払うよ。初めてのカラオケをこんなに楽しく過ごさせてくれたんだ、これ以上晴人くんに甘えられないよ。本当にありがとう、晴人くん!」
2人が財布を取り出すのを見て、俺は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。やっぱり、この学校に入って、みんなと友達になれて本当に良かった。
「あはは、2人とも真面目だなぁ。じゃあ、お言葉に甘えてワリカンにしよっか。その代わり、また絶対にみんなで行こうね!」
「おう、次は桜井に激辛たこ焼きを食わせてやるからな」
「アハハ…じゃあ僕、次は、もっと歌える曲を練習してくるね」
たわいもない会話を交わしながら、俺たちは笑い合って寮への道を歩いていった。
読んでくださりありがとうございます!