暁美ほむら(眼鏡)へのストーカー相談
昼休みの屋上、少し曇りがかった天気の下。
そこには○○がほむらに相談を持ちかけている光景があった。
「最近、誰かに見られている気がする……ですか。」
頭を抱えながらゆっくりと頷く。その目の下には隈があり、彼の悩みの深刻さを表していた。
○○が言うには、下校の時に後ろから見られている感覚があり、自宅へ帰っても感覚が消えずに恐怖のあまり眠ることがままならないという。
「家族には……相談したんですか?」
○○は震えながら首を横に振る。
なるべく家族には心配をかけられないが、もう○○の精神は限界を迎えてしまった。そこで、最近転校してきて、お互いにあまり勉強や運動ができないという共通点があり仲良くなった暁美ほむらへ相談したとのこと。
「……そう、なんですね。」
ほむらの悲しげな声色には少し明るさが含まれていたが、今の彼には気がつくことはなかった。
そして少しの間沈黙が流れ、ほむらはどのようにこの問題を解決するかを悩ませた。
「今日は私と一緒に帰る……というのはどうですか?」
ほむらの提案に○○は少し固まる。
「そうすればきっと、その人は彼女がいるって勘違いして諦めてくれると思うんです。」
○○は体を固めながら抱えていた頭をほむらの方へ向け、頬を赤らめた。
彼には異性と帰るという経験がなかったため、ほむらの提案にはほむらに手間をかけさせてしまった罪悪感、最近知り合った異性と共に帰宅するという緊張が伴いつつもこれで解決するならと割り切り、ほむらからの提案を飲んだ。
「ならっ、早速今日の放課後に校門前で待ってますね!」
ほむらが返答した瞬間、昼休みを終えるチャイムが鳴り響き、ほむらと○○は急ぎ足でそれぞれの教室へと向かう。
_____先頭に走っていた○○は、ほむらの笑みに気がつくことはなかった。
○○は少し遅れつつも授業に参加するも、異性と下校するという約束に頭を支配されていたため授業の内容は頭に入らず、ホワイトボードに書かれていることを写す機械となった。
放課後を知らせるチャイムが鳴った時、○○の意識は覚醒し急いで荷物をバッグへ詰め込み、ホームルームが終わると急いで教室を飛び出して約束の場所へと向かう。
校門にはほむらが編んでいる髪を揺らし、走ってくる○○に気がつくと笑顔で、少し控えめに手を振ってきた。
「えへへ、そんなに急いでくれるなんて嬉しいです。」
「じゃあ、一緒に帰りましょうか?」
そして○○とほむらは足並みを揃えて帰路につく。
初めは視線を気にするように周囲を見回す○○であったが、"何故か"今日は感じることがなかったため、徐々にほむらとの会話に集中することへ意識を向け、気がつくと純粋に彼女との帰宅を楽しんでいた。
そんな時、ほむらはおもむろに歩みを止める。
少し遅れて○○も足を止めて振り返ると、夕日とほむらが重なり彼女の顔が少し影がかって表情がうまく見えないようになっていた。
○○は止まったことに違和感を感じつつも、ほむらへ心配の言葉をかける。
しかしほむらはそんな心配をよそに、強引に話を持ちかけた。
「……おかしいって思いませんでしたか?今日は、視線を感じませんでしたよね?」
困惑、ほむらの言葉を聞いて初めに湧いた感情。
なぜ、ほむらが視線を感じなかったことを分かっていたのか。○○はその言葉の裏を理解するのに時間は掛からなかった。
まさか、彼女が……!
_____影がっていたほむらの顔に浮かんでいたのは狂気じみた笑顔。彼女の"正体"に気がついた時、○○は前を向いて走る。
振り返ることなく、時々躓きつつも走り続ける。運動は苦手な○○だが、少なくともほむらより早く走れる自信があった。
しかし、突如として後頭部に激痛が走り○○は力が抜け前へ倒れ込む。
暗くなっていく視界の中、ほむらが○○の顔を覗き込んだ。
目を凝らすと、彼女の服装はいつもの制服姿ではなく創作の中に出てくる「魔法少女」のような、白と灰色を基調とした服装になっていた。ほむらの左手首を見るとフライパンサイズの銀色の盾が夕日に反射して鈍く光る。そして彼女の両手にはゴルフクラブが握られており、ヘッドの部分には血痕が付着していた。
「○○さんっ……ごめんなさい、こんな方法しかなくて」
「で、でも、仕方がなかったんです」
「こうでもしないと、○○さんを独り占め……守ることができないんですから」
「えへへ……これからは私の家でずっと暮らしましょうね?」
視界が閉ざされ、深い闇が落ちる。
悩みの元凶であった少女の声が、鼓膜を響かせた。
打ち砕かれた信頼の破片を抱えながら、○○はほむらの管理下で生きていく。そんな、1人の少年の始まりの物語。
某掲示板に投稿したものを添削・修正したものです。