魔法少女達の狂愛譚   作:Hasエック

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pixivに投稿した自作品を添削し、書き直したものです


美樹さやかは病めるときも健やかなときも

 あの時、魔女になる運命だったあたしを救ってくれたのは、○○だったんだよね。

 絶望して、もう何もかもどうでもよくなってたあたしの話を正面から聞いてさ。あんた、自分のことみたいに怒って、泣きそうな顔をしてた。

 ……いや、それまでもクラスで時々話すことはあったよ? でも、まどかや仁美みたいに特別な親友ってわけじゃなかった。ただのクラスメイトだったあんたがいきなりやってきてさ。

 あたし、ひどいこと言っちゃったよね。

「あんたに何がわかるのさ!」って。

「今まで碌に関わってこなかったくせに、友達面しないでよ!」って、強く、強く突っぱねちゃってさ……。

 それでも、○○はあたしの目を見て、必死に言葉を尽くしてくれた。

 あんたの言葉を聞いているうちに、あたしの心が少しずつ、本当に少しずつ晴れていくのが分かったんだ。さっきまで、今にも真っ黒に濁りきりそうだったソウルジェムの穢れが止まった。

 そのおかげで、駆けつけてくれた杏子のグリーフシードでの浄化が間に合ったんだよ。本当に、感謝しても仕切れない。

 おかげであたしは、まどかに酷いことを言っちゃったのを謝れた。杏子とも、お互いに名前で呼び合うくらいには仲良くなれたんだ。

 そうそう、ほむらなんて凄かったんだから! あたしが「○○のおかげで生き残れた」って言ったら、あの鉄仮面みたいな顔を思いっきり引き瞑らせてさぁ。

『美樹さやかが魔女にならないなんて……それに巴マミも、あの人の手で生きている。もしかしたら、この時間軸なら……』

 なんて、ぶつぶつ呟いてた。あたし、その時に初めて知ったんだよ。○○がマミさんを救うために、裏でどれだけ必死に動いてくれていたかってことをさ。

 ○○が何を考えて、何を望んでそんなことをしたのかは分かんない。だけど、あんたのおかげであたしもマミさんも生きてる。まどかも契約せずに済んで、4人でワルプルギスの夜を倒せた。

 あたしが上から言える立場じゃないけどさ……○○、あんたはもっと誇っていいんだよ? 

 ……んでさ。話はここからなんだよね、○○。

 ワルプルギスの夜を倒して、あのみんなが死なない平和な日常が戻ってきた時にさ、気付いちゃったんだ。

「あたし、○○のことが好きになってんじゃん」って。

 まー、そりゃそうだよね。あんなにボロボロだったあたしを命懸けで助けようとしてくれたんだもん。あたしの魂は、あの時完全にあんたに救われたんだから。

 だからあたし、ちゃんと言おうと思ったんだ。今度こそ、真っ直ぐにあんたに気持ちを伝えようって。

 だけど……。

 ……少し、信じられないものを見ちゃったんだよね。

 ワルプルギスの夜が終わってから、あんたの隣にいるのは、あたし以外の女の子ばっかりだった。

 あたしよりも、マミさんと。

 あたしよりも、杏子と。

 あたしよりも、ほむらと。

 ……あたしよりも、まどかと。

 平和になった世界で、あたしがあんたと一緒にいられる時間は、あの時から一度だってなかった。

 ……ねえ、あたしにはなくて、あいつらにあるものって何? 

 あたしはマミさんみたいにお茶を美味しく淹れられないし、女子力もないかもしれない。

 あたしは杏子みたいに強くないかもしれない。

 あたしはほむらより頭が良いわけじゃないし、まどかほど優しくなんてなれないかもしれない。

 でもさ……それでも、あの時みたいにあたしだけを見てくれる瞬間が、また一緒に笑い合える時がくるかもって、ずっと期待してたんだよ? 

 ──あんたが、まどかと付き合い始める瞬間を見るまではさ。

 自分の気持ちをどう処理すればいいのか、本当に分からなくなっちゃって。

 嫉妬、憎悪、ぐちゃぐちゃした暗い感情がソウルジェムを真っ黒に染め上げるなんて、数秒もかからなかった。あの時、あんなに時間をかけて穢れたのが嘘みたいに、今回は一瞬で、ものすごーく綺麗に濁りきっちゃったんだよ? 

 ……あはは、話を戻すね。それからあたし、一生懸命考えたんだ。

「まどかから○○を奪うには、どうすればいいんだろう」って。

 最低だよね! 親友の彼氏を奪おうとするなんてさ! 

 でも、よくよく考えてみたらさ……まどかはワルプルギスの夜と戦ってないんだよ? あたしは命を賭けて、血を流してあの化け物と戦った。なのに、生き残った結果がこれ? そんなの、あんまりじゃない。

 だから、あたしはまどかから○○を奪うって決めたの。あんたを、あたしだけのものにする。

 ……でね。具体的にどうするか、なんだけどさ。

 あたしって、ほんとバカだから。○○とずーっと一緒にいる方法、これしか思い浮かばなかったんだよね。

 ──○○の胃の中にさ、あたしのソウルジェムを埋めることにしたんだ。

 ちょっと! そんなに怖がらなくてもいいってば! 痛いのは最初の数分だけだから! 

 まずは○○が逃げ回らないように、片足を切り落としてさ。そのあとに、お腹の真ん中を……って、こらこら、逃げるなっ! 

 あーあ。変に暴れるから、あんたの脚、中途半端に変な断面で切れちゃったじゃん。

 痛い? 痛いよねぇ。でも大丈夫。後であたしの再生魔法で綺麗に治してあげるから、今はちょっとだけ我慢しててよね? 

 じゃあ……いよいよ、○○のお腹をご開帳と行きますか! 

 

 ******

 

 アハハっ! 大成功、大成功だよ○○! 

 見て! あたしのソウルジェムが、あんたの身体の中にぴったり収まっちゃった! 

 やっと……やっと、○○があたしのものになったんだ。

 ねえ、知ってる? あたしたち魔法少女の身体はさ、ソウルジェムから100メートル以上離れると、ただの動かない死体になっちゃうんだよ。

 これからあたしたちは、ずっと一緒。あんたがあたしから離れたらさ、あたしはその場で死体みたいに倒れて動けなくなっちゃうの。

 あたしをそんな目に遭わせてまで、○○はあたしから離れたいって思う? 

 思わないよね。あたしをあんなに優しく救ってくれた○○だもん。そんな残酷なこと、できるわけがないよね!! アハハハハッ!! 

 ……あたしだって、これでも辛いんだよ? ○○の優しさを利用して、まどかの彼氏をこんな形で奪い取って、自分のものにするなんてさ。

 でも、あんたがあたしの前からいなくなっちゃうよりかは、1億倍マシ。

 それにさ、これからあんたの身体の中で、あんたと一緒に作っていく思い出のことを考えたら……。

 それって、とっても嬉しいなって思えるんだよね。

 …………ねえ、○○。

 これから先、どんなに辛いことや苦しいことがあっても。たとえ、あたしがこのまま魔女になっちゃったとしても。

 あたしたち、ずーーーーーーっと一緒だからね。

 だから、もう二度と、あたしから離れないで……?




恋慕。
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