猫魈の女性・黒歌。
彼女は、幼い頃に時空の裂け目へと迷い込んだことがある。
それは、様々な異世界の「規格外の強者たち」と出会い、彼らの心を動かしていく、奇跡の旅の始まりだった。
だが、この旅で黒歌が手に入れるものは、単なる「強大な力」だけではなかった。
人を導く心。
技術を制御する知恵。
信念を貫く強さ。
長い時間を生き抜く経験。
相手の心を見る優しさ。
敗北から学ぶ姿勢。
そして・・・、誰かを守るために強くなるという意思。
それら1つ1つが黒歌の魂へ刻まれ、やがて彼女自身の「言霊」として1つに繋がっていくことになる。
第1章:美食の神と料理人、そして3人の弟子と異世界から来た少女
黒歌が最初に辿り着いたのは、あらゆる食材が生命を謳歌する「トリコ」の世界だった。
美食神と呼ばれた美食屋アカシア、闇の料理人と呼ばれた料理人ジョア。
そして・・・、彼らのもとで、それぞれの道を歩んだ3人の弟子。
一龍、次郎、三虎。
「おやおや、珍しい迷子じゃ。腹が減っておるなら、まずはご飯を食べなさい。」
一龍の温和な笑顔と、彼が振る舞う無限の恵みに、黒歌の警戒心は解けていった。
黒歌は、彼らから様々なものを学んだ。
一龍からは、人を導く心。
次郎からは、技術を扱う術。
三虎からは、己の信念を貫く強さ。
アカシアからは、「食」というものの本質。
ジョアからは、料理人としての技術と知識。
彼らは一様に、小さくも健気な黒歌を気に入り、自らの技を惜しみなく教え込んだ。
そして黒歌の中には、少しずつ師匠たちの「技」と「精神」が刻まれていった。
特に黒歌が懐いたのは、次郎だった。
ある日、次郎が己の「封印」を一時的に解いた。
「黒歌、これがワシの本当の姿じゃ。」
現れたのは、黒髪のポンパドールに浅黒い肌をした、筋肉質な若い男。
その姿こそ、封印される前の次郎「二狼」と呼ばれていた頃の姿だった。
「ワシを怖がらねぇのかい? お嬢ちゃん。」
黒歌は恐怖するどころか、目を輝かせた。
「かっこいいにゃ!」
その言葉に二狼は笑い、黒歌の頭を優しく撫でた。
黒歌はこの時、初めて知った。
見た目が恐ろしいからといって、その者の心まで恐ろしいとは限らない。
それは後に、彼女が別の世界で出会う「恐怖そのもの」と呼ばれた存在を見る時にも繋がることになる。
そして・・・。
黒歌が彼らと過ごす中で、1つの出来事が起きた。
アカシアが語った、とある「時間」の話だった。
「時間・・・にゃ?」
黒歌が首を傾げる。
アカシアは静かに頷いた。
彼が語ったのは、鹿王スカイディアによって閉じ込められた、常識では考えられない世界。
現実世界では、わずか1秒。
しかし、その内部では・・・。
1億年。
「・・・1億年?」
黒歌の表情が固まった。
「そうだ。」
アカシアは答えた。
「外の世界では一瞬に過ぎない。しかし、その中では1億年という途方もない時間が流れる。」
黒歌は言葉を失った。
1億年。
想像すらできない時間だった。
そして、その瞬間・・・。
黒歌の魂に、アカシアの「経験」が触れた。
世界が消えた。
音もない。
光もない。
何もない。
ただ、時間だけが存在していた。
1年。
10年。
1000年。
1万年。
100万年。
1000万年。
そして・・・。
1億年。
黒歌は、その時間を「見る」のではなく、「感じて」いた。
途方もない年月。
その中で積み重ねられた思考。
経験、苦悩、孤独。
そして、極限まで研ぎ澄まされた精神。
「・・・これが、1億年。」
黒歌の身体が震える。
それは、アカシアがその時間の中で積み重ねた1億年分の経験、そのものだった。
だが・・・、黒歌は拒まなかった。
「・・・アカシアさん。」
黒歌は目を閉じる。
「その経験・・・私にも、くれるにゃ?」
アカシアは静かに微笑んだ。
「それは、もう、お前の中にある。」
その言葉と同時に・・・。
1億年の経験が、黒歌の魂へ流れ込んだ。
それは単なる知識ではない。
極限状態でも思考を止めない精神力。
長大な時間の中で培われた洞察。
そして・・・。
どれだけ長い時間が流れても、自分自身を見失わない心。
それらが、黒歌自身の経験として刻まれていく。
「・・・すごい。」
黒歌はゆっくりと目を開いた。
「私・・・、1億年分の経験を持ってるにゃ。」
アカシアは頷いた。
「そうだ。」
「でも・・・、これって、アカシアさんの経験じゃないの?」
「それは違う。」
アカシアは静かに答えた。
「確かに、元は私が積み重ねた時間だ。」
「だが、お前が受け取った瞬間から、それはお前自身の経験として新しい意味を持つ。」
「同じ1億年でも、私が歩いた1億年と、お前がこれから生きる1億年は同じではない。」
黒歌は胸に手を当てた。
「・・・じゃあ、この経験も、私の未来のために使うにゃ。」
アカシアは微笑んだ。
「それでいい。」
それは、アカシアが残したもう1つの贈り物だった。
だが、それは黒歌の心を別人に変えるものではなかった。
長い経験を得ても、好奇心や優しさ、幼い頃からの素直さは、そのまま彼女の中に残っていた。
やがて、別れの時が来る。
世界の裂け目が再び開いた。
一龍たちは黒歌を呼び止める。
「黒歌」
一龍が優しく言う。
「お前にワシらの技と力を魂へ刻んだ。」
「じゃが、この力は、そっちの世界では強すぎる。」
「間違っても、他の人を害するためには使ってはいかん。」
次郎が続ける。
「自分の身を守る時や、仲間やその家族を守る必要がある時には、その力を惜しみなく使うんじゃよ。」
三虎も静かに頷いた。
「大切な者を傷つけられた時も同じだ。」
ジョアが微笑む。
「力をどう使うかを決めるのは、あなた自身です。」
黒歌は大きく頷いた。
「わかったにゃ!」
彼らの言葉は、黒歌の魂に刻まれた。
そして・・・。
彼らとの時間そのものが、黒歌の「言霊」の奥底へ眠った。
黒歌はまだ知らなかった。
いつか、この言葉が彼女の力を呼び起こす鍵になることを。
「みんな、大好きにゃ!」
黒歌は笑顔で手を振った。
そして、1億年という途方もない経験と、師匠たちから受け取った「力と心」を胸に、次の世界へ旅立った。
第2章:無垢なる全能の神と宇宙の帝王
次に黒歌が足を踏み入れたのは、星々が瞬く広大な宇宙。
そこは「ドラゴンボール」の世界だった。
黒歌が地面へ降り立つ。
「ここは・・・、どこにゃ?」
空、大地、遠くに見える山々。
一見すれば普通の世界。
しかし、黒歌はすぐに気づいた。
この世界には、とてつもなく強い存在がいる。
しかも、1人ではない。
けれど、不思議なことに恐怖は感じなかった。
前の世界で一龍たちから学んだことがある。
「強さと優しさは、必ずしも反対ではない。」
だから黒歌は、力だけを見ず、その者の心を見ることにした。
その時だった。
「ねえ!」
「にゃ?」
上から声が降ってくる。
そこにいたのは、小さな身体に無邪気な笑顔を浮かべた存在。
しかし、その力は黒歌には到底理解できないほどだった。
「ぼく、全王!」
「全王・・・?」
「うん!」
「きみは?」
「黒歌にゃ。」
「黒歌!」
全王の顔がぱっと明るくなる。
「友達になろう!」
「・・・え?」
黒歌は目を丸くした。
だが、すぐに笑う。
「いいにゃ!」
こうして2人は友達になった。
全王は黒歌を様々な場所へ連れて行った。
遊び、笑い、話した。
全王ほどの力を持つ存在が、こんなにも無邪気に笑う。
黒歌には、それが不思議だった。
やがて大神官とも出会う。
「全王様、この方は?」
「黒歌!ぼくの友達!」
「友達・・・ですか。」
「うん!」
大神官は微笑んだ。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。黒歌さん。」
それからしばらくして・・・。
黒歌は、別の強者と出会った。
白と紫の身体に冷たい眼差し。
底知れない気配。
最終形態のフリーザだった。
「おや、これは珍しい。」
フリーザは黒歌を見る。
黒歌は尋ねる。
「お前、強いにゃ?」
フリーザは驚いた。
「私を見て、最初にそれを尋ねますか。」
「だって、すごい力を感じるにゃ。」
フリーザは黒歌に興味を持った。
それから2人は一緒に過ごすようになった。
食事をしたり、話をした。
そして、黒歌はフリーザの力を見せてもらった。
圧倒的な力。
それを見て黒歌は尋ねる。
「こんな力、どうやって使うにゃ?」
フリーザは答えた。
「重要なのは、力の大きさではありません。」
「いつ使うかです。」
「本当に強い者ほど、自分の力を制御できます。」
黒歌は頷いた。
「じゃあ、強い人は我慢するのも上手なのかにゃ?」
フリーザは少し笑った。
「その解釈で構いません。」
その言葉は、次郎から学んだ「技術の制御」と繋がった。
強い力を持つ。
だからこそ、使わないという選択も必要なのだ。
やがて黒歌は、全王とフリーザを引き合わせた。
3人は不思議な友達になった。
全王が笑い、黒歌も笑う。
フリーザも、黒歌の前では少しだけ肩の力を抜いていた。
そして、別れの日。
フリーザは黒歌へ告げる。
「あなたが得た力は、そちらの世界では強大すぎるでしょう。」
「だから、他人を傷つけるためには使ってはいけません。」
「ですが・・・。」
「あなた自身を守る時」
「大切な仲間を守る時」
「その家族を守る時」
「そして、大切なものを守るために力が必要になった時」
「その時だけは、力を惜しむ必要はありません。」
黒歌は頷いた。
「分かったにゃ。」
さらにフリーザは言う。
「強さに溺れてはいけません。」
その言葉は、黒歌の中に残った。
そして全王との別れ。
「また絶対遊ぼうね!」
「うん! 絶対にゃ!」
次元の扉が開く。
黒歌は二人へ手を振る。
「また会おうにゃ!」
そして、次の世界へ旅立った。
その胸には、新たな教えが加わっていた。
一龍・・・導く心。
次郎・・・力を制御する技術。
アカシア・・・積み重ねた経験。
フリーザ・・・力を使う時を選ぶこと。
全王・・・力を持っていても、笑う心を失わないこと。
黒歌はまだ知らない。
この「友達との記憶」こそが、やがて彼女の言霊を形作ることを。
第3章:刀を極めし者、名を司る者、そして癒やしの達人
次に黒歌が迷い込んだのは、霊子が舞う「BLEACH」の世界。
まさに霊王宮で最後の戦いが繰り広げられていた時だった。
しかし、黒歌自身はその戦いに関わるつもりなどなかった。
ただ、次元の裂け目に弾き出された結果、そこへ落ちてしまったのである。
そこでは、零番隊とユーハバッハ率いる滅却師たちが激突していた。
本来なら敵同士。
しかし、突然現れた幼い黒歌という「異物」を前に、一瞬だけ全員の意識が彼女へ向いた。
「おぅおぅ!」
最初に声を上げたのは、鳳凰殿の主・二枚屋王悦だった。
「見慣れない魂魄が降ってきたと思えば、化け猫のお嬢ちゃんじゃねえか!」
「化け猫じゃなくて、猫魈にゃ!」
黒歌が頬を膨らませる。
王悦は笑った。
「おおっと、そいつぁ失礼!」
そのやり取りを見ていた1人の男が、ゆっくりと歩み出る。
真名呼和尚、兵主部一兵衛。
「ほっほっほ。面白いのう。」
黒歌は2人を見上げた。
そして、また別の「強さ」を感じ取った。
王悦は刀の真髄を教えた。
ただ斬るだけではない。
刀とは何か。
斬るとは何か。
その「意味」まで黒歌へ伝えた。
一兵衛は「名前」の力を教えた。
名前を失えば、存在の意味すら変わる。
逆に・・・。
名前を与えることで、存在そのものを書き換えることもできる。
黒歌は、その話に強く惹かれた。
なぜなら、前の世界で学んだ「言葉」が、ここでは別の形を持っていたからだ。
「名前って・・・すごいにゃ。」
「そうじゃ。」
一兵衛は笑った。
「名とは、存在を縛るものでもあり、存在を支えるものでもある。」
その言葉は、黒歌の魂に深く刻まれた。
そして・・・。
この霊王宮で、黒歌はもう1人の人物と出会うことになる。
その男は、他の零番隊とは少し違っていた。
「おーい!」
突然、声が響いた。
「そこの猫ちゃん!」
「にゃ?」
黒歌が振り向く。
そこに立っていたのは・・・。
零番隊第一官、麒麟寺天示郎だった。
「なんだぁ?随分とちっこいのがいるじゃねぇか。」
「ちっこくないにゃ!」
黒歌はすぐに反論した。
「これから大きくなるにゃ!」
「ガハハハハ!」
天示郎は腹を抱えて笑った。
「気に入ったぜ、お前!」
黒歌は少し驚いた。
王悦や一兵衛とは、また違う。
天示郎には、不思議な親しみやすさがあった。
まるで昔から知っている近所のお兄さんのような・・・、そんな空気だった。
「お前、腹減ってねぇか?」
「・・・減ってるにゃ。」
「よし!」
天示郎は黒歌を抱き上げると、そのまま自分の宮へ連れていった。
「まずは食え!」
「いただきますにゃ!」
料理を口にした黒歌の目が輝く。
「おいしいにゃ!」
「そうだろう!」
天示郎は満足そうに笑った。
二人は食事をしながら、いろいろな話をした。
黒歌が異世界を旅してきたこと。
一龍や次郎、アカシアたちと出会ったこと。
全王という不思議な友達がいること。
そして、この世界でも王悦や一兵衛と出会ったこと。
天示郎は興味深そうに聞いていた。
「へぇ・・・。お前、いろんな奴に会ってきたんだな。」
「うん。」
「じゃあ、いろんな傷も見てきたか?」
「傷?」
天示郎は自分の胸を軽く叩いた。
「身体の傷だけじゃねぇ。」
「心の傷もだ。」
黒歌は黙って天示郎を見る。
「・・・どうして分かるにゃ?」
天示郎は少しだけ笑った。
「俺は治療をする男だからな。」
「傷ってのは、見えてるものだけじゃねぇんだよ。」
その言葉に、黒歌は前の世界で出会った者たちを思い出した。
長い時間を生きてきたアカシア。
そして、自分自身。
黒歌は胸に手を当てた。
「じゃあ・・・、天示郎さんは、傷ついた心も治せるのかにゃ?」
天示郎は少し黙った。
そして・・・。
「全部は無理だ。」
意外な答えだった。
「でもな」
天示郎は黒歌の頭をぽんと撫でる。
「誰かが痛がってる時に、そばにいてやることはできる。」
黒歌は目を丸くした。
「治すってのは、傷を消すことだけじゃねぇ。」
「もう1度立ち上がれるようにすることも、治療の1つだ。」
その言葉は、黒歌の心に深く残った。
「・・・優しいにゃ。」
《「ガハハ! 今さら気づいたか!」
「自分で言うにゃ!」
2人は顔を見合わせ、同時に笑った。
それから黒歌は、何度も天示郎のところへ遊びに行くようになった。
修行の合間に温泉へ入り。
食事を共にし。
くだらない話をして。
時には、何も話さずに隣に座る。
王悦とは刀について語った。
一兵衛とは名前について語った。
だが、天示郎とは「生きること」について語った。
黒歌が疲れていれば、天示郎は無理に修行をさせなかった。
「今日は休め。」
そう言って温泉へ放り込む。
「でも修行しないと強くなれないにゃ。」
「馬鹿野郎!」
天示郎が一喝する。
「休むのも修行だ!」
「そうなのかにゃ?」
「そうだ!」
「・・・本当に?」
「本当だ!」
黒歌は少し考えてから・・・。
「じゃあ、今日はいっぱい休むにゃ!」
「それでいい!」
そんな時間が、黒歌には心地よかった。
ある日、黒歌は天示郎に尋ねた。
「天示郎さんは、どうして人を治すのが好きなのにゃ?」
天示郎はしばらく黙った。
そして、遠くを見ながら答えた。
「傷ついた奴が、もう一度笑えるようになるのを見るのが好きだからだ。」
「笑えるようになる?」
「ああ。」
「戦うことだけが、人を守る方法じゃねぇ。」
「傷ついた奴を癒やして、もう一度立ち上がれるようにする。」
「それも、誰かを守るってことだ。」
黒歌は静かに頷いた。
その瞬間・・・。
これまで彼女の中に積み重なっていたものが、1つに繋がった。
一龍から学んだ、導く心。
次郎から学んだ、力を制御する技術。
アカシアから受け継いだ、長い時間を生き抜く経験。
フリーザから学んだ、力を使う時を選ぶこと。
全王から受け取った、笑う心。
王悦から学んだ、技術の本質。
一兵衛から学んだ、名前と存在。
そして天示郎から学んだ「傷ついた者を、もう一度立ち上がらせること」。
黒歌は笑った。
「天示郎さん。」
「あん?」
「私、天示郎さんのこと好きにゃ!」
「お、おう・・・。」
「友達になってほしいにゃ!」
天示郎は一瞬だけ目を丸くした。
そして・・・。
「ガハハハハ!」
笑った。
「最初から友達だろうが!」
黒歌も笑った。
「本当かにゃ!」
「ああ!」
「じゃあ約束にゃ!」
黒歌は小さな拳を差し出す。
天示郎も拳を合わせる。
「また遊びに来い。」
「絶対に来るにゃ!」
こうして・・・。
黒歌と麒麟寺天示郎の間に、友情が生まれた。
それは師弟関係とは少し違う。
強さを教えるだけの関係でもない。
傷ついた時には互いを気遣い。
嬉しい時には一緒に笑い。
何もない時でも、隣にいる。
そんな・・・。
「友達」と呼ぶにふさわしい関係だった。
そして、この友情は後に黒歌の「言霊」にも大きな意味を持つことになる。
未来を見通す王
そんなある日。
黒歌はユーハバッハと出会った。
彼の瞳には、未来そのものが映っていた。
全知全能。
未来を見る力。
ユーハバッハが見た未来の一つには、仲間たちを守るために力を使う黒歌の姿があった。
ユーハバッハは静かに笑った。
「その未来ならば悪くない。」
そして彼は、黒歌へ「未来を見通す力」を分け与えた。
だが・・・。
黒歌は、その力を受け取ったからといって未来を決めようとはしなかった。
「未来は・・・、自分で選ぶものにゃ。」
ユーハバッハは、その答えを聞いて静かに目を細めた。
「そうだ。」
その言葉もまた、黒歌の魂へ刻まれた。
さらにリジェ・パロも黒歌を気に入った。
「面白い奴だな。」
彼は黒歌と語り合い、自らの「万物貫通(ジ・イクサクシス)」の力を彼女の瞳へ刻み込んだ。
こうして黒歌は、死神や滅却師たちの最高峰と触れ合いながら、新しいものを学んでいった。
だが、この世界で黒歌が得たものは、力だけではなかった。
王悦からは「技」。
一兵衛からは「名前」。
天示郎からは「癒やしの心と友情」。
ユーハバッハからは「未来」。
リジェからは「貫く意志」。
それぞれ異なる教えが、黒歌の中で少しずつ1つへ繋がっていった。
だが・・・。
この世界で黒歌が最も大きな意味を持つ経験をするのは、まだ先だった。
それは、一兵衛との「ある出来事」だった。
番外編:名前を呼ぶ者がいる限り
ある日の霊王宮。
黒歌は一兵衛の修行を見ていた。
「一兵衛さん。」
「なんじゃ?」
「名前って、そんなに大切なのかにゃ?」
一兵衛は筆を肩に担ぐ。
「名前とは、その者がその者であるための柱じゃ。」
「では、柱が折れたらどうなると思う?」
黒歌は首を傾げた。
その瞬間だった。
一兵衛の身体が、黒い力に包まれる。
黒歌は目を見開く。
「一兵衛さん!?」
次の瞬間・・・。
一兵衛の身体は、完全にバラバラになった。
黒歌は驚いた。
「一兵衛さん!」
だが・・・。
零番隊の者が、一兵衛の名を呼んだ。
「兵主部一兵衛!」
その声に応えるように、砕けた身体が動く。
呼んだ者の霊圧が、一兵衛へ流れ込む。
そして・・・。
一兵衛は再び姿を取り戻した。
「・・・え?」
黒歌は目を丸くした。
「どうして復活したにゃ!?」
一兵衛は笑った。
「名前を呼ばれたからじゃ。」
「名前を呼ぶということは、存在を認めるということ。」
「そして、呼んだ者の霊圧を受け取れば、再び立ち上がることもできる。」
「誰にでも同じことができるわけではない。じゃが、名前を呼ぶという行為には、確かに力がある。」
黒歌はその言葉を聞きながら、自分の胸に手を当てた。
名前、言葉、存在。
そして・・・。
呼んでくれる誰か。
それらが1つに繋がった。
「・・・私にも、できるかにゃ?」
「さてのう。」
一兵衛は笑う。
「それは、お主が何を受け継いだかによるじゃろう。」
黒歌はその言葉を胸に刻んだ。
やがて・・・。
その後、一兵衛は黒歌自身に「名前と存在」の関係を体験させるため、ある特殊な修行を課した。
修行の中で、黒歌自身もその経験を体験することになる。
自らの身体がバラバラになっていく。
「黒歌!」
仲間の声が響く。
黒歌は意識の中で、その声を聞いた。
自分の名前。
自分を呼んでくれる声。
魔力。
想い。
それらが黒歌へ集まってくる。
「・・・!」
黒歌の魂が震える。
「私を・・・呼んでる。」
そして・・・。
散らばっていた黒歌の存在が、1つへ戻っていく。
身体が再構成される。
黒歌はゆっくりと立ち上がった。
「・・・戻ってきたにゃ。」
一兵衛は満足そうに笑った。
「ほっほっほ。」
「今の経験を忘れるでない。」
「名前を呼ぶ者がおる限り、お前は1人ではない。」
黒歌は胸に手を当てた。
その言葉は、後の彼女の人生を大きく変えることになる。
黒歌は理解した。
言霊とは・・・。
ただ名前を呼んで力を借りるための言葉ではない。
その名前を呼ぶことで、相手との「絆」を繋ぎ直すものでもある。
だからこそ・・・。
黒歌が後に「全王」と呼べば、全王との時間が蘇る。
「フリーザ」と呼べば、フリーザとの絆が蘇る。
「二狼」と呼べば、二狼から受け取った技術と信念が蘇る。
そして・・・。
自分自身の名前を誰かが呼べば。
黒歌自身も、もう一度立ち上がることができる。
この経験は、黒歌の言霊に新たな性質として刻まれた。
「名前は、力を呼ぶだけじゃないにゃ。絆を繋ぎ直すこともできるにゃ。」
黒歌は笑い、一兵衛は静かに頷いた。
「それもまた、お前の言霊の1つの形じゃろう。」
この日を境に・・・。
黒歌の「言霊」は、少しずつその意味を変え始めた。
それは、単なる変身能力ではない。
出会った者との絆や、そこで受け取ったものまで呼び起こす力なのかもしれない。
だが、黒歌自身はまだ、その本当の意味を知らなかった。
第4章:理不尽を体現する男
BLEACHの世界を離れた黒歌が次に辿り着いたのは、「めだかボックス」の世界。
そこで彼女は、1人の男と出会った。
獅子目言彦。
最初の言彦は、穏やかで超然とした【温和モード】だった。
言葉を発しない。
しかし、黒歌がトコトコと近づき、その大きな手へ頭を擦り付けると・・・。
言彦は静かに黒歌を抱き上げた。
言葉はなくとも、不思議な友情が生まれた。
異世界から来た黒歌という存在そのものを、世界が異物として拒み始めた。
しかし、世界が黒歌を排除しようとした瞬間。
言彦の雰囲気が変わった。
【暴虐モード】
世界そのものを抉り取るような、絶対不可逆の暴力。
その拳は黒歌を守るために振るわれた。
だが、黒歌は・・・。
「すごいにゃ!」
目を輝かせた。
その純粋な反応に、暴虐の気配が静かに消えていく。
言彦は笑った。
「・・・なるほど。」
「私の暴力も、お前の言霊に預けよう。」
黒歌は頷いた。
この世界で黒歌は「圧倒的な力そのものをどう扱うか」を学んだ。
そして、これは後に全王やサイタマの力を扱う際にも繋がっていく。
第5章:一撃男と、怪人と呼ばれた男から学んだもの
次に辿り着いたのは「ワンパンマン」の世界。
そこで黒歌はサイタマと出会った。
「へえ、お前、別の世界から来たのか?」
「変わった猫だな。」
「・・・あ、ゲームやるか?」
黒歌は笑った。
高級な肉、宇宙の理、世界を揺るがす力。
そんなものとは違う。
こたつ、みかん、ゲーム。
何気ない日常。
それが黒歌には心地よかった。
しかし、黒歌は見た。
サイタマが何気なく拳を振るう。
ただの一撃。
それだけで周囲の空気が震えた。
黒歌は理解した。
力は必ずしも複雑である必要はない。
極限まで鍛えた身体。
そこから放たれる、一撃。
サイタマは黒歌へ力だけを与えなかった。
「身体をどう動かすか」
「どう力を引き出すか」
その感覚を伝えた。
そして、黒歌は次にガロウと出会った。
ガロウは黒歌へ教えた。
観察、変化、理解、敗北からの学習。
「技をそのまま真似するんじゃねぇ。」
「なぜ、その技を使うのかを理解しろ。」
黒歌はガロウの動きを見た。
そして、自分の身体に合うように変えた。
ガロウは笑う。
「お前・・・覚えたんじゃねぇな。」
「自分のものにした。」
その言葉は、黒歌にとって重要だった。
アカシアから受け取った経験。
一兵衛から学んだ「名前」。
ガロウから学んだ「理解」。
それらは全て一つの方向へ向かっていた。
「受け取ったものを、そのまま使うのではない」
「自分自身の経験として、新しい形にする」
別れの日。
ガロウは言った。
「強さは1つじゃねぇ。」
「力が強い、技術が高い、頭がいい、諦めない、誰かを守れる。」
「全部、強さだ。」
黒歌はその言葉を胸に刻んだ。
そして・・・。
サイタマとガロウから受け取った力と経験も、黒歌の言霊へ刻まれた。
第6章:恐怖の化身と、孤独な妖怪
次に辿り着いたのは、「うしおととら」の世界。
そこには、世界そのものを覆うほどの妖気があった。
白面の者。
恐怖そのものと呼ばれた妖怪。
しかし黒歌は・・・。
「ふわぁ・・・!」
目を輝かせた。
「きれいな狐さんにゃ!」
白面の者は固まった。
「我が・・・怖くないのか?」
「全然怖くないにゃ!」
黒歌は巨大な頭へ抱きついた。
「ふかふかにゃ!」
何千年もの間、恐れられてきた存在。
誰も近づかなかった存在。
その孤独を・・・。
黒歌はほんの数分で溶かしてしまった。
白面の者は、やがて黒歌を友と認めた。
「お前だけは、恐怖の向こうに友を見た。」
そして白面の者は、自らの妖力を黒歌へ託した。
九尾の妖力、幻術、圧倒的な妖気。
しかし、それ以上に黒歌が受け取ったもの。
それは・・・。
「恐怖の向こうに、心を見る」
という経験だった。
これは次の世界で出会う海軍大将たちを見る時にも繋がっていく。
第7章:海軍大将と、異なる種族が笑う海
次に辿り着いた世界は、「ONE PIECE」の世界。
そこには・・・。
海があった。
どこまでも広い海。
数え切れないほどの島。
そして・・・。
人間だけではない、様々な種族が生きる世界だった。
黒歌は海を眺めながら、目を輝かせる。
「すごいにゃ・・・。」
「この世界、いろんな人がいるにゃ。」
その世界で黒歌が最初に出会ったのは・・・。
2人の海軍大将だった。
赤犬。
そして黄猿。
2人は全く違う。
赤犬は厳格。
黄猿は飄々としている。
しかし2人とも、長い戦いの中で多くのものを背負っていた。
黒歌は白面の者から学んだように、力だけを見なかった。
「赤犬さんは、どうして正義を守ってるの?」
赤犬は、自分の信念や戦い、仲間、失ったものについて語った。
黒歌は静かに聞いた。
「白面の者さんも、ずっと1人だったにゃ。」
「赤犬さんも、きっといろんなものを背負ってるにゃ。」
赤犬は一瞬、言葉を止めた。
「・・・小娘のくせに、妙なところを見抜きよる。」
「友達だから分かるにゃ!」
黄猿からも、黒歌は「選択すること」の難しさを学んだ。
「力を持っているからって、いつでも使えばいいわけじゃない。」
「その時に何を選ぶかが大切なんだよ~。」
黒歌は頷いた。
「力を使うことより、使わないことを選ぶのも大切なんだにゃ。」
そして二人から力を託される。
赤犬の熱。
黄猿の光。
そして・・・。
長い年月を戦い抜いた経験。
黒歌は理解した。
「力には責任がある。」
「経験の中で、何を選ぶかが大切。」
赤犬。
黄猿。
二人から受け取ったものは、黒歌の中に刻まれた。
しかし・・・。
この世界で黒歌が学ぶことは、それだけではなかった。
赤犬と黄猿と別れた後。
黒歌は、海の上を漂っていた。
「次はどこに行くにゃ?」
その時だった。
遠くから・・・。
妙な音が聞こえてきた。
「フォクシー!」
「フォクシー!」
「フォクシー!」
黒歌は首を傾げる。
「なんの騒ぎにゃ?」
そして・・・。
1隻の海賊船が現れた。
その船には・・・。
様々な姿をした者たちが乗っていた。
人間や魚人。
そして・・・。
人間とは明らかに異なる大きな身体を持つ者。
黒歌は思わず目を丸くした。
「いろんな種族がいるにゃ・・・。」
船の上では、誰もそれを気にしていなかった。
大声で笑う者。
食事をする者。
騒ぐ者。
互いに言い合いをする者。
そして・・・。
一緒に笑う者たち。
その中心にいた男が、黒歌を見つけた。
「おい!」
「そこの猫ちゃん!」
黒歌が振り返る。
「にゃ?」
「俺様はフォクシー!」
「フォクシー海賊団の船長だ!」
黒歌は目を輝かせた。
「海賊にゃ!」
「そうとも!」
フォクシーは胸を張った。
「そして俺様たちは仲間を大切にする海賊団だ!」
「・・・仲間?」
黒歌は船を見渡した。
そこには、様々な者たちがいる。
フォクシー。
ポルチェ。
ハンバーグ。
ピクルス。
イトミミズ。
カポーティ。
ビッグパン。
モンダ。
そして、その他にも多くの船員たち。
黒歌は・・・。
1人1人を見た。
「・・・みんな、種族が違うにゃ。」
すると、魚人のカポーティが笑った。
「それがどうした?」
「俺たちは同じフォクシー海賊団だ。」
続いてビッグパンが笑う。
「種族が違っても、飯を食えば仲間だ!」
「そんな単純でいいのかにゃ?」
黒歌が尋ねる。
フォクシーが笑った。
「いいんだよ!」
「海の上じゃ、誰が人間で誰が魚人で、誰が何だなんて関係ねぇ!」
「一緒に飯を食って、一緒に騒いで、一緒に戦う!」
「それが仲間だ!」
黒歌は黙った。
その言葉が・・・。
胸に残った。
黒歌は、これまで様々な世界を旅してきた。
人間。
妖怪。
鬼。
宇宙人。
神。
怪人。
そして・・・。
悪魔。
種族が違えば、考え方も違う。
生き方も違う。
価値観も違う。
それでも・・・。
目の前の者たちは、一緒に笑っている。
黒歌はふと思った。
「・・・どうして、みんな仲良くできるにゃ?」
ポルチェが笑う。
「だって、仲間だからじゃない?」
「それだけ?」
「それだけよ。」
ハンバーグも笑った。
「腹が減ったら一緒に食う!」
ピクルスが叫ぶ。
「喧嘩したら一緒に騒ぐ!」
イトミミズが盛り上げる。
「宴会なら全員参加だー!」
船の上が笑い声に包まれる。
黒歌も・・・。
思わず笑った。
「ふふっ。」
「面白いにゃ!」
そして・・・。
黒歌も宴会に参加することになった。
食事。
笑い声。
音楽。
騒ぎ。
種族の違いなど関係なく・・・。
みんなが同じ場所にいる。
黒歌は、その光景を見ながら思った。
「これが・・・。」
「種族の共存ってことなのかにゃ?」
フォクシーは首を傾げる。
「共存?」
「難しいことは知らねぇ!」
「でもよ!」
フォクシーは船員たちを見る。
「こいつらは俺様の仲間だ。」
「それで十分だろ?」
黒歌は・・・。
その言葉に胸を打たれた。
もちろん・・・。
一緒にいれば、喧嘩も起こる。
「お前、食いすぎだ!」
「うるせぇ!」
「俺の分を取るな!」
「早い者勝ちだ!」
種族が違う。
身体も違う。
考え方も違う。
だからこそ・・・。
衝突することもある。
しかし・・・。
誰も「お前は違う種族だから出ていけ」とは言わない。
喧嘩をした後には・・・。
また同じ食卓へ戻る。
黒歌は、それを見ていた。
「・・・なるほどにゃ。」
「違いをなくすんじゃない。」
「違うまま、一緒にいるんだにゃ。」
ポルチェが振り返る。
「そういうことじゃない?」
「みんな同じになる必要なんてないもの。」
カポーティも頷いた。
「魚人は魚人。」
ビッグパンも笑う。
「俺は俺だ!」
ハンバーグが続ける。
「俺も俺!」
フォクシーが胸を張る。
「そして俺様は俺様!」
全員が笑った。
黒歌も笑う。
「ふふふっ。」
「面白いにゃ。」
「でも・・・。」
黒歌は胸に手を当てる。
「すごく温かいにゃ。」
その夜。
黒歌は船の甲板で海を眺めていた。
フォクシーが隣に座る。
「眠れねぇのか?」
「ちょっと考えてたにゃ。」
「何を?」
黒歌は海を見つめる。
「私の世界にも、いろんな種族がいるにゃ。」
「悪魔。」
「天使。」
「堕天使。」
「人間。」
「妖怪。」
「でも・・・。」
黒歌は少しだけ笑った。
「種族が違うからって、最初から分かり合えないって決まってるわけじゃないんだにゃ。」
フォクシーは黙って聞いている。
「一緒に過ごして。」
「一緒に笑って。」
「一緒に困って。」
「一緒に助け合って。」
「そうやって初めて、その人自身が分かってくる。」
フォクシーは笑った。
「難しいことを考えるなぁ。」
「でも・・・。」
「お前の言ってること、嫌いじゃねぇぞ。」
黒歌は笑った。
「ありがとうにゃ。」
フォクシー海賊団と過ごした時間は、黒歌に新しい経験を与えた。
力ではない。
技術でもない。
それは・・・。
「違いを抱えたまま、一緒に生きる」という経験だった。
赤犬からは「信念」。
黄猿からは「選択」。
そして・・・。
フォクシー海賊団からは・・・。
「種族が違っても、仲間になれる」ということ。
黒歌は、その意味を自分なりに理解した。
「みんな違っていい。」
「違うからこそ、一緒にいる意味がある。」
「種族が違うことは・・・。」
「誰かを嫌いになる理由にはならないにゃ。」
それは・・・。
猫魈として生きる黒歌自身にも繋がる考えだった。
やがて・・・。
別れの時が来た。
フォクシーは黒歌の前に立つ。
「黒歌!」
「元気でな!」
「フォクシーさんもにゃ!」
ポルチェが手を振る。
「また遊びに来てね!」
カポーティが笑う。
「海は広いぞ!」
ビッグパンも手を振る。
「飯は一緒に食おうな!」
黒歌は涙を浮かべながら笑った。
「みんな・・・。」
「ありがとうにゃ!」
フォクシーが笑う。
「何言ってやがる!」
「俺たちは友達だろ!」
「・・・!」
黒歌の胸が温かくなる。
友達。
また1つ・・・。
大切な言葉が増えた。
黒歌は深く頭を下げる。
「フォクシー海賊団のみんな!」
「私は、みんなと過ごした時間を絶対に忘れないにゃ!」
そして・・・。
黒歌の魂に、光が宿った。
フォクシー。
ポルチェ。
ハンバーグ。
カポーティ。
ビッグパン。
そして・・・。
フォクシー海賊団の仲間たち。
それぞれの姿。
それぞれの笑顔。
それぞれの声。
それぞれ違う種族。
それでも・・・。
同じ船に乗り。
同じ海を進み。
同じ場所で笑っていた。
その経験が・・・。
黒歌の魂へ刻まれた。
黒歌は次元の裂け目へ向かう。
そして・・・。
振り返った。
「みんなー!」
「また会おうにゃー!」
フォクシーたちが手を振る。
「またなー!」
黒歌は笑った。
そして・・・。
次の世界へ向かった。
黒歌の中には・・・。
新しい答えが生まれていた。
力だけではない。
信念だけでもない。
強さだけでもない。
異なる者同士が共に生きること。
互いの違いを認めながら・・・。
それでも仲間として手を取り合うこと。
それもまた・・・。
「守るべきもの」なのだと。
黒歌は歩きながら呟く。
「種族が違っても・・・。」
「友達にはなれるにゃ。」
その言葉は・・・。
やがて次の世界で出会う「強さを求めた鬼」へと繋がっていく。
なぜなら・・・。
強さとは何なのか。
何のために強くなるのか。
誰を守るために強くなるのか。
その答えを・・・。
黒歌は、さらに探していくことになるからだ。
第8章:強さを求めた鬼と、猫魈の答え
月明かりの森。
そこに現れたのは・・・、猗窩座だった。
「俺は強い者を求めている。」
「強くなければ意味がない。」
黒歌は、すぐには否定しなかった。
白面の者から学んだ。
恐怖の向こうに心を見る。
フォクシー海賊団から学んだ。
違いがあっても、共に歩ける。
だから黒歌は、猗窩座の言葉の奥にあるものを見ようとした。
「どうして、そんなに強くなりたいの?」
猗窩座は答えない。
黒歌は続けた。
「何か、守りたいものがあったんじゃないの?」
その言葉に、猗窩座の表情が変わった。
そして黒歌は、彼の過去を知る。
強さを求めた理由。
失いたくなかったもの。
守れなかったもの。
そして、それでも強くなろうとした理由。
黒歌は気づく。
「猗窩座の強さって、最初から戦うためだけのものじゃなかったんだにゃ。」
その言葉に猗窩座は目を伏せる。
「・・・そうだったのかもしれない。」
黒歌は、ここで1つのことに気づいた。
赤犬から「信念」。
白面の者から「心」。
フォクシー海賊団から「違いを越えて共にいること」。
そして猗窩座から・・・。
「強くなる理由」。
それらは別々ではなかった。
力とは・・・。
その者が何を守りたいと思ったのか、その生き方そのものでもある。
「・・・強くなるって、ただ勝つためじゃないんだにゃ。」
猗窩座は黒歌を見る。
「なら、お前は何のために強くなる?」
黒歌は少し考えた。
そして答えた。
「私は・・・」
「自分を守るため」
「大切な人を守るため」
「そして、一緒に笑える人たちを守るためにゃ。」
猗窩座は静かに目を閉じた。
やがて猗窩座は、自らの力と経験を黒歌へ託した。
身体能力、戦闘感覚、技術。
そして・・・。
「なぜ強くなろうとしたのか」という想い。
黒歌は頷いた。
「この力も、大切にするにゃ。」
猗窩座は静かに微笑んだ。
「・・・ああ。」
そして、黒歌は次元の裂け目へ向かう。
だが・・・。
この旅で得たものは、すでに単なる「力のコレクション」ではなくなっていた。
一龍の導き。
次郎(二狼)の技術。
アカシアの1億年。
フリーザの制御。
全王との友情。
王悦の刀。
一兵衛の名前。
天示郎の癒やし。
ユーハバッハの未来。
リジェの貫く力。
言彦の圧倒的な力。
サイタマの一撃。
ガロウの理解。
白面の者の心。
赤犬の信念。
黄猿の判断。
フォクシー海賊団から学んだ、種族を越えた共存。
そして・・・。
猗窩座の「強くなる理由」。
それら全てが、黒歌という一人の存在の中で、一つに繋がり始めていた。
しかし、まだ足りない。
「なぜ強くなるのか。」
その答えを知った黒歌には、次の問いが残っていた。
では、その強さを何のために使うのか。
その答えを教えてくれる存在と、黒歌は次の世界で出会うことになる。
第9章:紅魔館の門番と、守るための拳
次に黒歌が辿り着いたのは・・・。
紅魔館。
そこに立っていたのは、1人の女性だった。
「こんにちは!」
明るい笑顔。
しかし、その身体からは隙のない気配が漂っている。
「私は紅美鈴です!」
黒歌は目を輝かせた。
「門番さんにゃ?」
「はい!」
「ずっとここを守ってるのかにゃ?」
美鈴は笑った。
「それが私の仕事ですから!」
黒歌は少し考えた。
猗窩座から、「強くなる理由」を学んだ。
では、美鈴は何のために強いのだろう。
黒歌は尋ねた。
「美鈴さんは、どうして強くなったのかにゃ?」
美鈴は少しだけ考えてから答えた。
「守るためです。」
黒歌の瞳が開く。
「守るため・・・?」
「はい。」
「門を守ることもそうです。」
「仲間を守ることもそうです。」
「自分の後ろにいる人たちが安心していられるようにすることも、私の役目です。」
美鈴は拳を握った。
「強いから守るんじゃありません。」
「守りたいと思うから、強くなるんです。」
その言葉が、黒歌の胸に響いた。
猗窩座から受け取った「強くなる理由」。
それが、美鈴の言葉によって1つの形になった。
「守りたいと思う気持ちが、強さを生む・・・。」
「そうです!」
美鈴は笑った。
「だから、力そのものを怖がる必要はありません。」
「ですが、力に振り回されてもいけません。」
「大切なのは・・・」
美鈴は黒歌の胸を指差した。
「ここです!」
「自分が何を守りたいのか。」
「その気持ちを忘れないことです。」
黒歌は、自分の胸に手を当てた。
そこには、これまで出会った者たちの言葉がある。
一龍の導き。
二狼の技術。
アカシアの経験。
全王との友情。
天示郎の「誰かを頼ることも強さ」という言葉。
白面の者から学んだ心。
赤犬の信念。
黄猿の選択。
フォクシー海賊団から学んだ、違いを越えて共にいること。
猗窩座から学んだ、強くなる理由。
そして今・・・。
美鈴から学んだ「守るために力を使う」ということ。
「美鈴さん・・・。」
黒歌は笑った。
「私、少し分かった気がするにゃ。」
「何がですか?」
「強さって、一人で勝つためだけのものじゃないにゃ」
「誰かと一緒に生きるためのものでもあるにゃ。」
美鈴は嬉しそうに頷いた。
「その通りです!」
それから10日間。
黒歌は美鈴と共に過ごした。
身体の使い方に、気の流し方。
力を1点に集める方法。
受け止めるだけではなく、受け流す方法。
そして・・・。
相手を倒すことだけを考えず、自分の後ろにいる者を守るための戦い方。
美鈴は何度も言った。
「拳は、人を傷つけるためだけにあるんじゃありません。」
「守るためにも使えるんです。」
黒歌は何度も繰り返し、身体に覚え込ませた。
やがて10日目。
美鈴は黒歌へ告げた。
「もう十分です」
「黒歌さんなら、自分の力を自分で選べます。」
黒歌は頷いた。
「ありがとうにゃ。」
美鈴は拳を差し出す。
「また会いましょう!」
黒歌も拳を合わせた。
「絶対にゃ!」
その瞬間。
美鈴から受け取ったものが、黒歌の魂へ流れ込んだ。
拳、気、身体の使い方。
そして・・・。
「守るための心」。
黒歌は理解した。
強さとは、力の大きさだけではない。
誰を守りたいのか。
何を大切にしたいのか。
その答えを持ち続けることもまた、強さなのだ。
黒歌は、次元の裂け目へ向かった。
もう、彼女は知っていた。
力を得るだけでは意味がない。
その力をどう使うのか。
何を守るために使うのか。
それを決めるのは・・・。
自分自身なのだ。
最終章 別れの日
長い旅も、ついに終わりを迎えた。
世界を繋ぐ扉が再び開く。
黒歌は、元の世界へ帰る時が来たことを悟った。
一龍が優しく黒歌の頭を撫でる。
「黒歌」
「この力は、そっちの世界では強すぎる」
「他人を害するためには使ってはいかん。」
次郎が笑う。
「じゃが、自分を守る時、仲間や家族が傷つけられそうになった時は遠慮せんでいい。」
三虎が続ける。
「大切な者を守るために使え。」
アカシアは言う。
「力とは意思だ。意思を見失うな。」
ジョアは微笑む。
「力をどう使うか。それを決めるのは、いつだってあなた自身ですよ。」
全王が手を振る。
「また遊ぼうね!」
フリーザも微笑む。
「また会う時を楽しみにしています。」
大神官は言った。
「あなたの未来に幸運を。」
王悦が笑う。
「カッコよく生きろ!」
一兵衛は筆を肩に担ぐ。
「名を忘れるでない。」
「名を呼ぶ者との絆もな。」
そして・・・。
天示郎が黒歌の前に立った。
「名前を呼ぶだけじゃねぇ。誰かがそばにいるってことも、力になるんだぜ。」
黒歌は目を潤ませる。
「・・・それだけにゃ?」
「それが一番大事なんだよ!」
「天示郎さんらしいにゃ・・・。」
天示郎は笑った。
「それと・・・。」
黒歌の頭に手を置く。
「つれぇ時は、無理して一人で抱え込むな。」
「誰かに頼れ。」
「誰かを頼ることは、弱さじゃねぇ。」
「また立ち上がるために、誰かの手を借りることも強さだ。」
黒歌は静かに頷いた。
「・・・分かったにゃ。」
天示郎は最後に拳を差し出した。
「また会おうぜ、黒歌。」
黒歌も小さな拳を合わせる。
「絶対にゃ!」
「約束だ。」
ユーハバッハは静かに黒歌を見る。
「未来は1つではない。」
「お前自身が選び取るものだ。」
リジェも笑う。
「自分の信じる道を貫け。」
言彦は静かに告げる。
「暴力は、目的のための手段にすぎない。」
サイタマは頭を掻く。
「難しいことは分かんねぇけどさ・・・。」
「自分が後悔しない方を選べ。」
ガロウが続ける。
「1人で勝つことだけが強さじゃねぇ。」
「誰かと一緒に立ち上がれる奴も、十分強い。」
白面の者は穏やかに笑った。
「恐怖の向こうに、心を見よ。」
赤犬は腕を組む。
「力には責任が伴う。」
黄猿は笑う。
「長い経験の中で、何を選ぶかだよ~。」
フォクシーが大きく手を振る。
「違ってたって仲間になれる!」《vib:1》
カポーティも笑う。
「一緒にいりゃ、それで仲間だ!」
ビッグパンが大きな身体を揺らす。
「種族なんて関係ない!」
黒歌の胸に、温かな光が灯った。
違いをなくす必要はない。
違うまま、一緒にいればいい。
猗窩座は静かに言う。
「強さは、守るためにも使える。」
黒歌はその言葉を受け止める。
すると、美鈴が続けた。
「守りたいと思うから、強くなるんです」
黒歌の瞳が大きく開いた。
種族が違っても、共に歩ける。
大切なものがあるから、強くなれる。
強くなったのなら、その力を守るために使える。
それは、これまでの旅のすべてが繋がった瞬間だった。
黒歌は涙をこらえながら、深く頭を下げた。
「みんな・・・、ありがとうにゃ。」
その瞬間・・・。
黒歌の周囲に、無数の光が集まり始めた。
それは、彼ら本人の力そのものではない。
彼らと過ごした「時間」。
彼らから受け取った「経験」。
彼らから教えられた「信念」。
彼らとの「友情」。
そして・・・。
彼らと共に生きた「記憶」。
1つ、また1つ。
光が黒歌の魂へ吸い込まれていく。
やがて、それら全てが・・・。
そして最後に・・・。
「言葉」へと変わった。
名前。
それは単なる呼び名ではない。
その名前を呼べば、その者と過ごした時間が蘇る。
その者から受け取った経験が蘇る。
その者との絆が蘇る。
そして・・・。
その者が教えてくれた「生き方」まで蘇る。
黒歌は、初めてその意味を理解した。
黒歌が一つの名前を呼ぶ。
「全王」
光が宿る。
「フリーザ」
また光が宿る。
「二狼」
さらに力が重なる。
「一兵衛」
黒歌の魂が震える。
「天示郎」
その瞬間・・・。
温泉や食事、笑い合った時間が蘇る。
「つれぇ時は、無理して一人で抱え込むな。」
黒歌の胸に、温かな光が灯った。
「・・・天示郎さん。」
黒歌は笑う。
「私、忘れないにゃ。」
その光は、黒歌の魂の奥深くへ溶けていった。
「白面の者」
妖力が目覚める。
「サイタマ」
身体が軽くなる。
「ガロウ」
戦いを見極める感覚が蘇る。
「赤犬」
熱と信念が宿る。
「黄猿」
光と選択する経験が蘇る。
「フォクシー」
黒歌の脳裏に、海賊船で過ごした時間が蘇る。
「カポーティ」
「ビッグパン」
「ポルチェ」
「ハンバーグ」
次々と仲間たちの笑顔が浮かぶ。
そこには、種族の違いなど関係なかった。
「・・・違っていても、一緒にいられるにゃ。」
黒歌は微笑んだ。
「猗窩座」
戦闘感覚が研ぎ澄まされる。
「紅美鈴」
今度は、拳だけではなかった。
気に、身体。
呼吸。
そして・・・。
守りたいという心。
黒歌の魂の中で、それら全てが1つになる。
一龍の「導き」。
二狼の「技術」。
アカシアの「経験」。
フリーザの「制御」。
全王の「友情」。
王悦の「刀」。
一兵衛の「名前」。
天示郎の「支え」。
ユーハバッハの「未来」。
リジェの「貫く意志」。
言彦の「圧倒的な力」。
サイタマの「一撃」。
ガロウの「理解」。
白面の者の「心」。
赤犬の「信念」。
黄猿の「選択」。
フォクシー海賊団の「共存」。
猗窩座の「強くなる理由」。
そして・・・。
美鈴の「守るための強さ」。
それら全てが・・・。
黒歌自身の中へと繋がった。
黒歌は気づいた。
「私は・・・、みんなの力を奪ったんじゃない。」
「みんなとの時間を、自分の中に受け継いだんだにゃ」
黒歌は理解した。
「私は・・・、みんなの力を奪ったんじゃない。」
「みんなとの時間を、自分の中に受け継いだんだにゃ。」
一龍が笑う。
「そうじゃ。」
「それがお前さん自身の力になったんじゃ。」
黒歌は涙を拭いた。
「・・・ありがとう。」
そして、最後にもう一度振り返る。
「みんな、絶対に忘れないにゃ!」
「だから・・・。」
「私も、自分の未来を自分で選ぶにゃ!」
その言葉とともに、黒歌は次元の扉へ飛び込んだ。
エピローグ:言霊の覚醒
黒歌は、元の世界へ帰ってきた。
しかし、異世界で得たものは何も失われていなかった。
1億年分の経験。
数々の強者から受け継いだ技術。
そして、友達と過ごした時間。
種族の違いを越えて笑い合った記憶。
強くなる理由。
守るために力を使うという信念。
それらは全て、黒歌の魂の中で1つになっていた。
やがて、妹の白音を守るために「はぐれ悪魔」となり、周囲からは恐れられる日々を過ごす。
だが、彼女の瞳に絶望の色はなかった。
「ふふん、みんな言いたい放題にゃ。でも、私には、大切な友達がくれた最高の宝物があるから平気にゃ。」
力だけではない。
技術だけでもない。
「誰かと出会った時間」そのものが、黒歌の力になっていた。
黒歌は、その意味を確かめるように1つの言葉を口にする。
「『力と技術のハイブリッドモンスター、ここに降臨!』」
黒歌が呟くと、彼女の小柄な身体が眩い光に包まれる。
光の中から現れたのは、黒髪のリーゼントをなびかせ、浅黒く引き締まった筋肉を持つ若い男の姿。
その身から放たれるのは、世界を震撼させる暴獣の気圧。
「『ぼくが消せば、それで終わり』」
言霊を変えると、黒歌の姿は一瞬で全王を思わせるものへと変わった。
黒歌が1つの言霊を口にするたび、その姿と力が次々と変わっていく。
「『世界は食で満ちている』」
「『命も世界も止められる』」
「『私は飢えそのもの』」
「『我は、飢えと向き合い、共に歩む者』」
「『奇跡は料理できる』」
「『宇宙に君臨する帝王』」
「『ワシは全てに名前をつけた』」
「『ちゃんボクの刀は一振一殺』」
「『全ての未来は我が掌の上』」
「『この銃口は全てを貫く』」
「『世界のすべてに、消えない傷を』」
「『一撃で、戦いは終わる』」
「『強者は弱者を守るもの』」
「『我は災厄そのもの』」
「『守るために力を使う。その信念は絶対に曲げない』」
「『のんびり行こうにゃ。光だけど』」
「『違う種族も、みんな仲間』」
「『守るためにあるもの、それこそが強さ』」
そして最後に・・・。
「『気を操る武の達人』」
姿を変えるごとに、彼女の内に去来するのは、異世界の友達たちの温かい言葉。
私利私欲のためには使わない。
誰かを無闇に傷つけるためにも使わない。
未来を自分の思い通りにするためにも使わない。
そして――。
違う者を、違うというだけで排除するためにも使わない。
誰かを無闇に傷つけるためにも使わない。
未来を自分の思い通りにするためにも使わない。
この力は、自分と仲間を守るための力。
違いを抱えたまま、一緒に生きるための力。
そして、誰かが自分自身の未来を選ぶために、その未来を守るための力。
黒歌は、この力が自分の中で何を意味するのかを、ようやく理解した。
力だけではない。
技術だけでもない。
経験だけでもない。
友情。
信念。
未来。
共存。
強くなる理由。
守るための心。
その全てを、自分自身の中へ受け継いだもの。
黒歌は、元の猫魈の姿へ戻る。
そして、この力に『言霊』と名をつけた。
「・・・でもね。もし、私の可愛い白音や大切な仲間を傷つけたり、馬鹿にして心を踏みにじったりする奴がいたら・・・。」
その瞳には、強い意志が宿っていた。
「その時は、みんなから受け継いだ力と心で、必ず守り抜いてみせるにゃ。」
異世界の強者たち。
種族の違う仲間たち。
そして、共に笑った友達。
その全てと絆を結んだ猫魈は・・・。
自らの未来へ向かって、静かに歩き始めた。
「これから先の未来は、私が、自分で選ぶにゃ。」
そして彼女の魂の奥で・・・。
無数の言葉が、静かに輝いていた。
感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!
次回「暴獣VS追手の悪魔」
リアス眷属とライザー眷属とのレーティングゲームの結果
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リアス眷属の勝利
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ライザー眷属の勝利