猫魈の女性・黒歌。
彼女は、幼い頃に時空の裂け目へと迷い込んだ事がある。
それは、様々な異世界の「規格外の強者たち」と出会い、彼らの心を動かしていく奇跡の旅の始まりだったのである。
第1章:美食の神と料理人、そして3人の弟子
黒歌が最初に辿り着いたのは、あらゆる食材が生命を謳歌する「トリコ」の世界だった。そこで彼女を拾ったのは、IGO会長・一龍である。
「おやおや、珍しい迷子じゃ。腹が減っておるなら、まずは飯を食え。」
一龍の温和な笑顔と、彼が振る舞う無限の恵みに、黒歌の警戒心は解けていった。彼の周りには、世界の頂点に立つ者たちが集まっていた。
豪快に酒を煽るノッキングマスター次郎。
不敵に笑う美食會のボス・三虎。
世界のすべてを喰らう力を秘めたアカシア
不敵な笑みを浮かべるジョア。
彼らは一様に、小さくも健気な黒歌を気に入り、自らの技を惜しみなく教え込んだ。
特に黒歌が懐いたのは、次郎だった。
ある日、次郎が己の「封印」を一時的に解いた。
「黒歌、これがワシの本当の姿じゃ」
現れたのは、黒髪のリーゼントに浅黒い肌をした筋肉質な肉体を持つ若い男――かつてアカシアにその凶暴性を恐れられ、力を封印される前の姿「暴獣 二狼」である。
「怖がらねぇのかい?お嬢ちゃん」
それを見た黒歌は、恐怖するどころか「かっこいいにゃ!」と目を輝かせた。
それを見た二狼は笑い、彼女の頭を撫でてくれた。
しかし、別れの時は来る。世界の裂け目が再び開き、黒歌が元の世界へ帰らねばならなくなったとき、一龍達が彼女を呼び止めた。
「黒歌。お前にワシらの『技と力』を、言霊に乗せて魂に刻んだ。だがな・・・。」
「この力は、そっちの世界では強すぎるから、間違っても、他の人を害する時には使わないようにするんじゃよ。
だが、自分の身を守る時か、仲間やその家族に害が及んだり、馬鹿にされたり、侮辱された時には、惜しみ無く使うようにしなさい。」
彼らの言葉は黒歌の魂に刻まれ、その肉体に彼らの「姿と力」を模す言霊が宿った。
「わかったにゃ! みんな、大好きにゃ!」
黒歌は彼らの言葉を胸に、次の世界へと転移した。
第2章:無垢なる全能の神
次に黒歌が足を踏み入れたのは、星々がまたたく広大な宇宙。
そこは「ドラゴンボール」の世界。彼女が出会ったのは、全宇宙の最高神・全王だった。
「ねえ、君だれ? ボクと遊んでくれるの?」
邪気のない声に、黒歌は持ち前の愛嬌で応えた。
「私は黒歌。一緒に遊ぼうにゃ!」
二人は無邪気に追いかけっこをし、星を模したゲームで遊んだ。付き人の神々が肝を冷やす中、黒歌は全王と本当の「友達」になった。
全王は喜び、彼女に自らの権能の一部を「お守り」として分け与えた。
やがて時空が歪み、黒歌が去る時が来る。
全王は、幼い友の目を真っ直ぐに見つめて言った。
「黒歌。この力は、そっちの世界では強すぎるのね。
間違っても、他の人を害する時には使わないでね!
だけど、自分の身を守る時か、仲間やその家族に害が及んだり、馬鹿にされたり、侮辱された時には、ボクの力で『消滅』させちゃっていいからね!」
「うん! 全ちゃん、またにゃ!」
宇宙の理そのものの言霊が、黒歌の幼い心に深く染み渡った。
第3章:魂を裁く死神の頂点、そして、未来を見通す王と神の使徒
霊子が舞う「BLEACH」の霊王宮。
そこに迷い込んだ黒歌を迎えたのは、零番隊の傑物達と、侵略してきたユーハバッハとリジェ・パロだった。
「おぅおぅ、見慣れねぇ魂魄が降ってきたと思えば、化け猫のお嬢ちゃんじゃねえか!」
陽気に声をかけたのは、鳳凰殿の主・二枚屋王悦。
そして、その背後から巨大な存在感を放つ男、真名呼和尚こと兵主部一兵衛が歩み出た。
「ほっほっほ、面白い。これも何かの縁じゃ」
「我らの力を授けよう」
王悦は黒歌に刀の真髄と、万物を切り裂く「刃の鋭さ」を教え、一兵衛は、塗られたものは「名前」と「有していた能力」を奪われてしまう「黒の力」、そして、万物に名をつけ、その存在に書き換える「白の力」、さらに全てを無にする「完全なる黒の力」を教えた。
そして、ユーハバッハは、その魂に「未来予知、未来改変(ジ・オールマイティ)」の力を分け与えた。
リジェ・パロもまた、万物貫通(ジ・イクサクシス)の力を、彼女の瞳へと刻み込む。
黒歌は死神や滅却師(クインシー)の始祖や最高峰たちに弟子のように可愛がられ、彼らの背中を見て育った。
だが、ここも彼女の永住の地ではなかった。現世へと繋がる門が歪み、冥界の気配が彼女を引っ張る。
「黒歌よ。ワシらが授けたこの力は、そっちの世界では強すぎる。」
一兵衛が厳かに、しかし慈愛を込めて言った。
「いいか? 己の身を守る時にしか、その筆を振るってはならん。」
「そうそう、間違っても関係ねえ他人を害する時に使っちゃダメだぜ、チャン黒歌?」
王悦がサングラスを光らせて釘を刺す。
しかし、一兵衛の瞳が妖しく、そして力強く光った。
「ただし――お主の仲間やその家族に害を与えたり、馬鹿にする不届き者が現れた時は、ためらう必要はない。
その者の『名』を、惜しみなく真っ黒に塗り潰してやるが良いわ。」
リジェ・パロが銃身を下げて冷然と言い放つ。
「神の力だ。間違っても、他の人を害する時には使わないように。 罪なき者を撃てば、それは神への冒涜となる」
しかし、ユーハバッハの影が蠢き、彼女の背中を後押しした。
「だが、お前の仲間やその家族に害を与えたり、侮辱された時には惜しみ無く使え。 その時は、私が世界を均してやろう」
黒歌の魂やその「名前」に、死神や滅却師の絶対的な言霊が刻み込まれた。
第4章:理不尽を体現する男
最後に訪れたのは、「めだかボックス」の世界。
この世界にある、ある里で、黒歌は1人の男と出会った。
頭部には鬼や獣を思わせる大きな角が生え、肩や胸元を露出した簡素な衣装と少ない装飾品を身に付けている、筋骨隆々な大男――獅子目言彦だった。
最初は、穏やかでどこか超然とした【温和モード】の言彦だった。
彼は言葉を発しないが、幼い黒歌がトコトコと近づき、その大きな手に頭を擦り付けると、静かに彼女を抱え上げた。
言葉はなくとも、二人の間には奇妙な友情が芽生えていた。
しかし、世界が彼女を排除しようとした瞬間、言彦の雰囲気が一変した。
世界そのものを抉り取るような圧倒的な絶対不可逆の暴力【暴虐モード】へと変貌したからだ。
世界を破壊しかねないその拳は、黒歌を異世界の衝撃から守るために振るわれた。
次元の穴に吸い込まれていく黒歌に、触れるものすべてを修復不可能な傷にする「不可逆の破壊の力」を注ぎ込んだ。
そして、言彦は黒歌の目を見つめ、静かに、だが絶対の威厳を持って告げた。
『黒歌。この肉体、この不可逆の力は、お前の世界では強すぎる。己の身を守る時のみ、私を降ろせ。』
『間違っても、罪なき他者を害するためにこの拳を振るうな。』
『・・・だが、もしもお前の仲間やその家族に害を与えたり、その絆を馬鹿にする奴がいるなら――惜しみなく振るえ。』
理不尽の男の意志が、黒歌の血肉へと完全に同化した。
第4章:一撃男
そして最後に立ち寄った「ワンパンマン」の世界。
そこで出会ったのは、あまりに強すぎて退屈していたヒーロー、サイタマだった。
「へえ、お前、別の世界から来たのか? 変わった猫だな。・・・あ、ゲームやるか?」
高級な肉や宇宙の理を語る強者たちとは違い、こたつでみかんを食べながらゲームをするサイタマとの時間は、
黒歌にとって最も平穏で、心地よい時間だった。
しかし、黒歌は見たのだ。彼が何気なく放った、空間の空気を歪めるほどの「普通のパンチ」の凄まじさを。
サイタマは笑って、その「ただひたすらに鍛え上げられた、リミッターの存在しない筋力」の波動を、黒歌の体に馴染ませてくれた。
「じゃあな、気をつけて帰れよ」サイタマはスーパーの袋を片手に、ぶっきらぼうに言った。
「その力、そっちの世界じゃ強すぎるからさ。自分の身を守る時だけに使えよ」
「間違っても、つまんねえ悪事で人を害するのには使うなよ。ヒーロー失格だからな」
そして、少しだけ真面目な顔になる。
「でも、お前の大切な仲間やその家族に害を与えたり、馬鹿にしたりする奴がいたらさ――そん時は、遠慮なくぶっ飛ばしていいからな」
「にゃはは! サイタマ、ありがとにゃ!」
エピローグ:言霊の覚醒
冥界へと戻ってきた黒歌は、成長し、妹の白音を守るために「はぐれ悪魔」となり、周囲からは恐れられる日々を過ごす。
だが、彼女の瞳に絶望の色はなかった。
「ふふん、みんな言いたい放題にゃ。でも、私には大切な友達(おじいちゃん達)がくれた、最高の宝物があるから平気にゃ。」
黒歌はそっと胸に手を当てる。彼女の魂の中には、異世界の強者たちの姿と力が、言霊として眠っている。
「『力と技術のハイブリットモンスター、ここに降臨!』」
黒歌が呟くと、彼女の小柄な身体が眩い光に包まれる。
光の中から現れたのは、黒髪のリーゼントをなびかせ、浅黒く引き締まった筋肉を持つ若い男の姿。
その身から放たれるのは、世界を震撼させる暴獣の気圧。
「『生かすも殺すも気分次第』」
言霊を変えれば、その姿は一瞬で、宇宙のすべてを握る全能の神のシルエットへと変貌し、周囲の空間が恐慌を来してパチパチと消滅し始める。
「『神の筆が、あなたの名前を塗り潰す』」
「『ちゃんボクの刀は一振一殺』」
「『全ての未来は我が掌の上』」
「『この銃口は全てを貫く』」
「『世界のすべてに、消えない傷を』」
「『一撃で、戦いは終わる』」
姿を変えるごとに、彼女の内に去来するのは、異世界の友達たちの温かい言葉。
私利私欲では使わない。
誰かを無闇に傷つけるためにも使わない。
これは、自分と仲間を守るための力。
「・・・でもね。もし、私の可愛い白音や、私の大切な仲間を馬鹿にする奴がいたら・・・。」
元の美しい猫又の姿に戻った黒歌は、妖艶に、そして底知れない笑みを浮かべて唇を舐めた。
「その時は、友達の力を惜しみなく使って、痛い目に会わせてやるにゃ。」
異世界の神々と強者たちに愛された猫魈は、静かにその爪を研ぎ澄ましている。
感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!
次回「暴獣VS追手の悪魔」
黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?
-
前日譚
-
倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す