第1章 集まり始めた仲間
放課後。
旧校舎にあるオカルト研究部の部室。
リアスは窓際に立っていた。
「・・・ここから始まるのね。」
その背後には、朱乃、木場、ギャスパー、白音。
そしてソファには、協力者である黒歌が座っていた。
「なかなか立派な部室にゃ。」
黒歌が周囲を見回す。
「そうでしょう?」
リアスが得意げに笑う。
「これから、もっと仲間を増やしていくつもりよ。」
「楽しみにしてるにゃ。」
朱乃が紅茶を淹れながら微笑む。
「黒歌さんも、すっかりこの部室に馴染みましたわね。」
「白音がいるからにゃ。」
「姉様・・・。」
白音が嬉しそうに笑う。
そんな光景を見ながら、リアスはふと思った。
これで終わりではない。
まだ誰かが、この場所へやって来る。
そんな予感がしていた。
だが、その人物が誰なのか。
リアスには、まだ分からなかった。
黒歌を除いて・・・。
黒歌だけは、その人物を知っていた。
第2章 未来視に映った2人
黒歌は以前、ユーハバッハから分け与えられた力によって未来を見た。
その時、黒歌の前には7人の子供たちの未来が映し出された。
幼い朱乃。
幼い木場。
幼いギャスパー。
幼い一誠。
幼いアーシア。
幼いゼノヴィア。
幼いロスヴァイセ。
彼らが追手に襲われる未来。
黒歌は7つの幻影を生み出し、それぞれに異世界の強者の姿と力を与えた。
全王。
ジョア。
ノッキングマスター次郎。
サイタマ。
リジェ・パロ。
二枚屋王悦。
一龍。
そして7人を救った。
あの出来事によって、未来は変化した。
だから黒歌にも分からない。
これから何が起きるのか。
ただ・・・。
一誠とアーシアが、いずれこの部室へやって来ることだけは分かっていた。
そんなある日のことだった。
第3章 1人の少年
「リアス先輩!」
部室の扉が勢いよく開いた。
入ってきたのは、1人の少年。
兵藤一誠。
「今日からよろしくお願いします!」
リアスが笑顔になる。
「ええ。あなたも今日からオカルト研究部の一員よ。」
「よっしゃあ!」
一誠が拳を握る。
木場が笑う。
「よろしくね、一誠君。」
「おう!」
朱乃も微笑む。
「よろしくお願いしますわ。」
「こちらこそ!」
ギャスパーは少し恥ずかしそうに頭を下げる。
「よ、よろしく・・・お願いします。」
白音も笑う。
「よろしくお願いします。」
一誠は部室を見回した。
そして・・・。
ソファに座る黒歌を見た。
「・・・あれ?」
黒歌も一誠を見つめる。
一瞬。
彼女の脳裏に、遠い日の光景が蘇った。
幼い少年。
追手。
そして・・・。
サイタマの姿と力を宿した幻影。
「・・・やっぱり。この子にゃ。」
黒歌は胸の奥で呟いた。
かつて未来の中で見た少年。
あの時は幻影越しだった彼が、今はこうして自分の目の前にいる。
「ん? 何か言った?」
「何でもないにゃ。」
黒歌は笑った。
「よろしくにゃ、一誠。」
「はい!」
2人が握手する。
その瞬間。
黒歌は確信した。
未来視で見た少年が・・・。
今、目の前にいる。
しかし一誠はそんなことを知らない。
ただ、妙に親しみやすい猫耳の女性と握手しただけだと思っていた。
第4章 もう1人の少女
それから少し後。
1人の少女が部室を訪れた。
金色の髪。
穏やかな表情。
そして、どこか不安そうな瞳。
「失礼します・・・。」
リアスが振り返る。
「あなたがアーシア・アルジェントね?」
「はい。」
アーシアが頷く。
その姿を見た瞬間。
黒歌の瞳がわずかに揺れた。
・・・いた。
未来視で見た少女。
幼い彼女を救った、リジェ・パロの姿と力を宿した幻影。
あの時、黒歌自身が彼女と直接会ったわけではない。
だからアーシアは、目の前の黒歌が自分を救った存在だとは知らない。
アーシアも黒歌を見つめる。
「・・・?」
「どうしたにゃ?」
「いえ・・・。」
アーシアは首を傾げた。
「初めてお会いするはずなのに、どこか懐かしい感じがします。」
黒歌は少し驚く。
そして微笑んだ。
「きっと、どこかで縁があったんだにゃ。」
「縁・・・ですか?」
「そうにゃ。」
リアスが優しく声をかける。
「アーシア。ここはあなたの居場所よ。」
アーシアの目が潤む。
「私の・・・、居場所ですか?」
「ええ。」
朱乃も続ける。
「私たちは、あなたを仲間として迎えますわ。」
木場が頷く。
「1人で悩む必要はないよ。」
ギャスパーも勇気を出して言う。
「ぼ、僕も・・・、仲間です。」
白音が笑う。
「一緒にいましょう。」
そして一誠が笑顔で手を挙げる。
「よろしくな、アーシア!」
アーシアは少し驚き・・・。
やがて笑った。
「・・・はい!」
その光景を見ていた黒歌は、静かに目を細めた。
「よかったにゃ・・・。」
第5章 黒歌が知る「もう1つの未来」
アーシアが部室の仲間たちと話している。
一誠は木場と楽しそうに話している。
朱乃はアーシアに紅茶をすすめている。
白音は姉の隣に座っている。
ギャスパーは少し離れた場所から皆を見ている。
黒歌はその光景を眺めていた。
かつて未来視で見た7人。
その中でも、一誠とアーシアが今ここにいる。
「・・・不思議にゃ。」
「何が?」
リアスが隣に来る。
黒歌は窓の外を見る。
「昔、未来を見たことがあるにゃ。」
「未来?」
「そこには、みんながいたにゃ。」
黒歌は一誠たちを見る。
「朱乃も、木場も、ギャスパーも、白音も。」
そして・・・。
「一誠も、アーシアも。」
リアスが驚く。
「・・・未来を?」
「そうにゃ。」
黒歌は頷いた。
「でも、私が未来を変えたから、今はもう同じ未来じゃないにゃ。」
リアスはしばらく考えた。
「それなら・・・。」
「?」
「今ここにいること自体が、新しい未来なのね。」
黒歌が振り返る。
リアスは微笑んでいた。
「なら、これから先も自分たちで未来を作ればいいわ。」
黒歌は目を丸くする。
そして・・・。
「・・・リアスらしいにゃ。」
二人は笑った。
第6章 未来を決めない
一誠が叫ぶ。
「リアス先輩!」
「何?」
「この部活、すげえ楽しいですね!」
「そう?」
「はい!」
アーシアも笑う。
「私も・・・、ここに来てよかったです。」
リアスは嬉しそうに微笑む。
「そう言ってもらえて嬉しいわ。」
黒歌はその様子を見つめる。
そして心の中で思う。
未来視に映った光景を、そのまま再現する必要なんてない。
未来は、自分たちで作るもの。
だから黒歌は、未来を決めつけない。
一誠がどれほど強くなるのか。
アーシアがどんな道を歩むのか。
朱乃も。
木場も。
ギャスパーも。
白音も。
そしてリアス自身も。
まだ誰にも分からない。
だからこそ、面白い。
「黒歌。」
リアスが声をかける。
「何にゃ?」
「これからも、私たちを助けてくれる?」
黒歌は笑った。
「もちろんにゃ。」
「協力者として?」
「協力者としてにゃ。」
そして一誠が大声で言う。
「黒歌さん!」
「何にゃ?」
「俺もいつか強くなるから!」
黒歌は少し驚いた。
「にゃ?」
「そしたら俺も、みんなを守れるようになる!」
黒歌は微笑む。
その言葉は・・・。
かつて自分が異世界の強者たちから教えられた言葉と重なっていた。
力は、他人を傷つけるためにあるのではない。
自分を守るため。
仲間を守るため。
大切な者を守るため。
そのために使うもの。
黒歌は一誠の頭に手を置く。
「その気持ちを忘れなければいいにゃ。」
「はい!」
一誠は元気よく返事をした。
第7章 新たな物語
夕暮れ。
オカルト研究部の部室。
リアス。
朱乃。
木場。
ギャスパー。
白音。
黒歌。
一誠。
アーシア。
それぞれが同じ場所にいる。
まだ、全員が本当の意味で互いを理解しているわけではない。
これから先には、様々な戦いが待っている。
強敵との戦いや、仲間との衝突に、それぞれの過去。
そして・・・。
世界そのものを揺るがすような事件。
だが・・・。
黒歌には1つだけ分かっていることがあった。
かつて未来視で見た7人。
その7人全員が、今やこの世界でそれぞれの道を歩み始めている。
そして、その中心にあるのが・・・。
この小さな部室だった。
黒歌は窓の外を見る。
「・・・ここが、始まりにゃ。」
リアスが頷く。
「ええ。」
一誠が笑う。
「何の始まりですか?」
「さあ?」
黒歌は楽しそうに笑った。
「きっと、とんでもない物語の始まりにゃ。」
一誠の目が輝く。
「それなら俺も参加します!」
アーシアが笑う。
「私もです。」
朱乃が微笑む。
「もちろん私も。」
木場も頷く。
「僕も。」
ギャスパーも小さく手を挙げる。
「ぼ、僕も・・・。」
白音が姉を見る。
「姉様も?」
「当然にゃ。」
黒歌は胸を張る。
リアスは全員を見渡した。
そして・・・。
「なら、このオカルト研究部で一緒に行きましょう。」
全員が頷く。
夕陽が部室を照らす。
かつては別々の場所にいた者たち。
未来で1度、救われた者たち。
そして、これから救い合う者たち。
その全てが、1つの場所に集まった。
オカルト研究部。
ここから、原作の物語は始まる。
ただし、この世界の物語には1つだけ大きな違いがある。
それは・・・。
異世界の強者たちから受け継いだ数多の力と、未来視を持つ猫魈・黒歌が、彼らの仲間として存在していること。
そして黒歌は決して、未来を支配しようとはしなかった。
ただ・・・。
仲間たちが自分自身の力で未来を選べるように、必要な時だけ、その力を使う。
「さあ、始めましょう。私たちの物語を。」
リアスが笑う。
黒歌も笑った。
「にゃ!」
こうして・・・。
新たなオカルト研究部の物語が、幕を開けた。
感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!
次回「堕天使たちとの出会い、そして仲間に」
黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?
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前日譚
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倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す