黒歌が言霊を使い、妹や仲間のために戦う物語。   作:ピック

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完結までよろしくお願いいたします。


第18話 いざ特訓!リアス眷属! ④ジョアVS木場祐斗

第27章 木場・・・ジョアとの10日間

 

11体の幻影が、それぞれの相手の前へと進んでいく。

 

木場の前に現れたのは、ジョアの幻影だった。

 

鮮やかな色彩を持つ衣装。

 

道化師を思わせる帽子。

 

そして、その奥に隠された顔。

 

どこか不気味でありながら、ただの怪物とは違う。

 

まるで相手の心の奥まで見透かしているような、不思議な笑みを浮かべている。

 

「・・・あなたが、僕の相手ですか?」

 

木場が尋ねる。

 

ジョアは、口元に笑みを浮かべた。

 

「そうですよ。」

 

静かな声。

 

けれど、その言葉にはどこか相手を試すような響きがあった。

 

「あなたは、たくさんの剣を持っているのですね。」

 

その言葉に反応するように・・・。

 

木場の周囲に無数の魔剣が現れる。

 

その数は、もはや数えることすら難しい。

 

木場はその光景を見渡した。

 

「僕には、この力があります。」

 

ジョアは笑う。

 

「だからこそ、迷うのです。」

 

「・・・。」

 

「選択肢が多いほど、人は迷うものです。」

 

木場は無数の剣を見る。

 

確かにそうだった。

 

剣を1本しか持っていなければ、その剣で戦うしかない。

 

しかし・・・。

 

自分には、多くの剣がある。

 

強力な剣もある。

 

速さに向いた剣もある。

 

防御に向いた剣もある。

 

相手の能力に対抗できる剣もある。

 

だからこそ・・・。

 

「どれを使うべきか。」

 

その判断が重要になる。

 

ジョアは静かに笑った。

 

「ならば、10日間で覚えていただきましょう。」

 

「何をです?」

 

「剣の選び方ではありません。」

 

ジョアは木場を見つめる。

 

「答えの選び方を、です。」

 

こうして・・・。

 

木場とジョアによる、10日間の特訓が始まった。

 

1日目

 

最初の日。

 

木場は剣を構えようとした。

 

しかし・・・。

 

ジョアは首を横に振る。

 

「今日は剣を使いません。」

 

「剣を?」《vib:1》

 

「はい。」

 

木場は少し驚く。

 

ジョアは言った。

 

「あなたは、たくさんの剣を持っています。」

 

「しかし、それは剣があなた自身という意味ではありません。」

 

木場は剣を消した。

 

そして、身体だけで敵と向き合う。

 

敵の動きを見て、距離を取り、

攻撃をかわす。

 

相手の重心を見て、反撃する。

 

訓練が終わった時、ジョアが言った。

 

「剣は目的ではありません。」

 

木場は答える。

 

《vib:1》「道具・・・、ですね。」

 

「そうです。道具を使うためには、まず自分自身が動けなければなりません。」

 

木場は頷いた。

 

剣を持つことと、剣に頼ることは違う。

 

それが1日目の課題だった。

 

2日目

 

木場の周囲に大量の剣が出現する。

 

「この中から1本だけ選んでください」

 

ジョアが言った。

 

木場は剣を見渡す。

 

最も強そうな剣。

 

最も大きな剣。

 

最も鋭い剣。

 

しかし・・・。

 

木場は、そのどれでもない1本を選んだ。

 

敵の動きを見ていたからだ。

 

「この剣です。」

 

「なぜ、それを選んだのですか?」

 

「相手の防御には、これが一番適しています。」

 

ジョアが笑う。

 

「強い剣だから選んだのではないのですね。」

 

「はい。」

 

木場は剣を構えた。

 

「必要だから選びました。」

 

敵の防御が崩れる。

 

木場の一撃が、その隙を正確に突いた。

 

ジョアは満足そうに頷いた。

 

「それでいいのです」

 

3日目

 

木場は昨日と同じ剣へ手を伸ばした。

 

しかし、ジョアが止める。

 

「昨日と同じ剣でよろしいのですか?」

 

「・・・。」

 

敵を見る。

 

昨日とは違う。

 

動きも、距離も、防御方法も。

 

木場は剣を戻した。

 

そして、別の剣を選ぶ。

 

「昨日の正解が、今日も正解とは限りません。」

 

ジョアは笑った。

 

「戦場は料理と同じなのです。」

 

木場が振り返る。

 

「料理、ですか?」

 

「材料が変われば、必要な調理法も変わります。戦場も同じなのですよ。」

 

その言葉を、木場は心に刻んだ。

 

4日目

 

2本の剣を持つ木場。

 

最初は順調だった。

 

しかし、敵の攻撃が激しくなる。

 

右手、左手。そして、2方向からの攻撃。

 

木場は対応する。

 

だが、動きが少し遅れた。

 

「・・・!」

 

その一瞬を敵に狙われる。

 

木場は咄嗟に片方の剣を手放した。

 

そして、1本の剣だけで敵の攻撃をかわす。

 

動きが軽くなる。

 

木場は反撃した。

 

「・・・多ければいいわけではありませんね。」

 

ジョアが笑う。

 

「持てるから持つ。それでは、ただの欲張りになってしまいます。」

 

木場は苦笑する。

 

「必要なら、手放す。

 

「それも、立派な選択です。」

 

5日目

 

目の前に、ひときわ強そうな剣が現れた。

 

圧倒的な力を感じる。

 

木場は一瞬、その剣へ手を伸ばした。

 

だが、止まった。

 

「・・・本当に、これでいいのか?」

 

木場は考える。

 

この剣を使えば、敵は倒せる。

 

しかし、その攻撃によって地面が崩れる。

 

後ろには味方がいる。

 

さらに、その後の戦場では別の敵が待っている。

 

「その剣を使った後、どうなる?」

 

木場は剣を選ばなかった。

 

別の剣を手に取り、敵を倒す。

 

しかも、味方のいる場所には被害を出さない。

 

ジョアが笑う。

 

「ようやく見えてきましたね。」

 

「強いかどうかだけじゃない。」

 

木場は答える。

 

「その後まで考えて選ぶ事が大切ですね。」

 

「その通りです。」

 

6日目

 

今度は味方を守るための訓練だった。

 

敵が木場へ向かってくる。

 

木場なら、強力な剣で一気に倒せる。

 

しかし・・・。

 

その攻撃を使えば、朱乃の進路が塞がってしまう。

 

白音も動きにくくなる。

 

木場は別の剣を選んだ。

 

攻撃力そのものは低い。

 

だが、敵の動きを横へ流せる。

 

その結果・・・。

 

朱乃が安全に雷撃を放てる。

 

白音も別の敵へ向かえる。

 

木場は笑った。

 

「自分の攻撃力を最大にする必要はありません。」

 

ジョアが尋ねる。

 

「では、何を優先するのでしょう?」

 

木場は答えた。

 

「仲間が動きやすい状況を優先します。」

 

ジョアは満足そうに笑った。

 

「素晴らしい答えです。」

 

7日目

 

木場は剣を投げた。

 

それを見た敵が驚く。

 

だが、木場はそのまま前へ進む。

 

空いた手で新しい剣を作り、さらに別の剣を作る。

 

そして、必要がなくなれば再び手放す。

 

「剣を持ち続ける必要もありません。」

 

木場が言う。

 

ジョアは笑った。

 

「そうです。」

 

「持っていることに意味があるのではありません。」

 

木場は新しい剣を構える。

 

「必要な時に使えることに意味があります。」

 

そして、その剣もまた、戦況が変わった瞬間に消える。

 

1つの武器に執着しない。

 

1つの答えにも執着しない。

 

変化した戦場に合わせて、自分も変える。

 

それが7日目の課題だった。

 

8日目

 

この日は、敵に「選択肢」を与える訓練だった。

 

木場は敵の前に立つ。

 

右へ逃げる道や、左へ逃げる道。

 

そして、前へ進む道。

 

敵には3つの選択肢がある。

 

しかし・・・。

 

どれを選ばれても、その先の動きを予測できるようにしていた。

 

右へ行けば、そこに剣を置く。

 

左へ行けば、別の剣で進路を塞ぐ。

 

前へ来れば、自分自身が迎え撃つ。

 

敵は迷う。

 

その瞬間・・・。

 

木場が踏み込んだ。

 

「相手に選ばせる」

 

ジョアが笑う。

 

「そして、その選択の先を読むのです。」

 

木場は頷いた。

 

「剣で相手を追い詰めるだけではありません。」

 

「戦場そのものを選ばせることもできます。」

 

9日目

 

3種類の敵が現れた。

 

高速型に防御型。そして、遠距離型。

 

木場は一瞬だけ全体を見る。

 

高速型は危険。

 

防御型も厄介だ。

 

しかし・・・。

 

最初に狙ったのは遠距離型だった。

 

「なぜ遠距離型なのですか?」

 

ジョアが尋ねる。

 

「遠距離攻撃がある限り、味方が自由に動けません。」

 

木場は答えた。

 

「まず、味方が動けない原因から取り除きます。」

 

木場は遠距離型へ向かう。

 

一体を倒す。

 

すると、朱乃が動ける。

 

白音も前へ出られる。

 

そして、他の敵へ味方が対応できるようになった。

 

「敵を倒す順番も、強さだけで決めるものではありません。」

 

ジョアが呟く。

 

「その通りです。」

 

木場は剣を構えた。

 

「戦場全体を見て、必要なところから動かします。」

 

10日目

 

そして、最後の実戦。

 

木場の周囲に、無数の剣が浮かんでいた。

 

かつてなら、すぐに強力な剣を選んでいただろう。

 

しかし、木場は動かなかった。

 

まず見る。

 

敵や味方、距離や地形に逃げ道。

 

そして、戦場の変化。

 

木場は一本の普通の剣を選んだ。

 

敵が動き、木場も動く。

 

状況が変わる。

 

木場は剣を変えた。

 

別の敵が現れ、また剣を変える。

 

仲間が危険になる。

 

木場は攻撃用の剣ではなく、防御と援護に適した剣を作った。

 

そして、最後の瞬間。

 

すべてを決める必要がある場面が訪れる。

 

木場は一振りの剣を生み出した。

 

それまでのどの剣よりも強力な剣。

 

しかし・・・。

 

それを最初から持っていたわけではない。

 

必要になったから、最後に作った。

 

木場は静かに言った。

 

「僕は剣を選んでいるんじゃない。」

 

敵を見る。

 

そして・・・。

 

「戦場に必要な答えを選んで、その答えに合う剣を作っているんだ。」

 

ジョアは、満足そうに笑った。

 

「それでいいのです。」

 

そして、10日間の特訓は終わった。

 

訓練場から戻った木場は、自分の手を見つめていた。

 

以前の自分なら、強い剣や速い剣。

 

そして、鋭い剣に特殊な能力を持つ剣。

 

そうした「強さ」そのものを基準に、武器を選んでいたかもしれない。

 

だが、今は違う。

 

必要なのは、最強の剣ではない。

 

必要なのは、今の戦場に合った答え。

 

その答えを実現するために、剣がある。

 

木場は周囲を見る。

 

朱乃や白音。

 

そして、一緒に戦う仲間たち。

 

自分1人が最強の攻撃を放つことよりも・・・。

 

仲間がそれぞれの力を発揮できる場所を作ること。

 

それもまた、自分の役割なのだ。

 

そこへ黒歌が歩いてくる。

 

「どうだったにゃ?」

 

木場は少し考え、静かに答える。

 

「剣が増えたから強くなった訳ではありません。」

 

黒歌は笑う。

 

「じゃあ、何が変わったにゃ?」

 

木場は周囲に浮かぶ剣を見る。

 

「選択肢が増えたからこそ・・・。」

 

一本の剣を消す。

 

「選ぶ責任を持てるようになったんだと思います。」

 

黒歌は頷いた。

 

「それにゃ。」

 

木場は微笑む。

 

「強い剣を選ぶのではなく、必要な答えを選ぶ。」

 

黒歌は嬉しそうに笑った。

 

「未来も同じにゃ。」

 

木場が振り返る。

 

「未来・・・、ですか?」

 

「選択肢がいっぱいあっても、最初から答えが決まっているわけじゃないにゃ。」

 

黒歌は静かに続ける。

 

「その時、その時で、自分に必要な答えを選ぶ。だから・・・、未来は、分からないものにゃ。」

 

木場は、その言葉を聞いて頷いた。

 

この10日間を経て、木場は自分がどんな剣士として戦うのか、その答えを見つけた。

 

戦況を読み、敵の弱点を見極め、必要な武器を選び。

 

時には武器を捨て、時には仲間のために攻撃よりも援護を選び。

 

そして、最後に必要となった一振りを、自らの手で作り出す。

 

「最強の剣を持つ者」ではなく「戦場に必要な答えを選べる剣士」。

 

それが、この10日間で木場が身につけた新しい強さだった。




感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!

次回「ノッキングマスター次郎VSギャスパー・ヴラディ」

黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?

  • 前日譚
  • 倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す
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