黒歌が言霊を使い、妹や仲間のために戦う物語。   作:ピック

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完結までよろしくお願いいたします。


第22話 いざ特訓!リアス眷属! ⑧白面の者VSレイナーレ

第32章 レイナーレ・・・白面の者との10日間

 

仲間たちがそれぞれの課題に向き合った、10日間の特訓が終わった。

 

オカルト研究部の部室には、少し疲れた仲間たちが集まっている。

 

けれど、その表情には以前とは違うものがあった。

 

白音は、ただ攻撃を受けるのではなく、相手の力を受け流すことを覚えた。

 

朱乃は、雷の威力だけに頼らず、どの瞬間にどれだけの力を使うべきかを考えるようになった。

 

木場は、戦場で「正解の一撃」を探すのではなく、その瞬間に必要な答えを選ぶようになった。

 

ギャスパーは、恐怖を消すことではなく、恐怖を抱えたままでも、自分の力を使う決断を覚えた。

 

一誠は、一撃を受けないことから始まり、連撃の流れそのものを読むようになった。

 

そしてアーシアは、自分自身を守りながら仲間を癒やすという、これまで以上に実戦的な戦い方を身につけた。

 

黒歌は、そんな仲間たちを一人ずつ見渡す。

 

そして――。

 

「次は・・・、レイナーレにゃ。」

 

「私?」

 

レイナーレが顔を上げる。

 

「そうにゃ。」

 

黒歌が手をかざした。

 

その瞬間、部室の空気が変わった。

 

黒い霧のようなものが集まり、一つの巨大な影を形作っていく。

 

長大な身体。

 

異様に細く、それでいて見る者に圧迫感を与える姿。

 

そして、巨大な白い顔。

 

人間のような顔立ちでありながら、そこには人間らしい温かさがまるでない。

 

白面の者。

 

『うしおととら』において、獣の槍を持つ蒼月潮たちの前に立ちはだかった、巨大な白き妖怪。

 

その姿を見た瞬間、レイナーレの表情が変わった。

 

「・・・白面の者。」

 

白面の者は何もせず、ただそこに立っている。

 

それだけだった。

 

だが、その存在感だけで部室の空気が重くなる。

 

「どうして私が、こんな相手と戦うのよ?」

 

レイナーレが尋ねる。

 

黒歌は静かに笑った。

 

「白面の者は、真正面から倒すことだけを考えたら勝ち目がない相手にゃ。だからこそ、レイナーレにはちょうどよかったにゃ」

 

「・・・私に?」

 

「そうにゃ。」

 

黒歌は白面の者を見る。

 

「レイナーレには力があるにゃ。」

 

「それは知っているわ。」

 

「でも、力があることと、戦場を支配できることは同じじゃないにゃ。」

 

レイナーレは黙った。

 

黒歌は続ける。

 

「強い相手を正面から倒せないなら、どうするか。相手の目的は何か。どこへ動かすか。誰を守るか。いつ戦って、いつ戦わないか・・・。」

 

そしてレイナーレを見る。

 

「白面の者との十日間で、それを自分で考えてほしいにゃ。」

 

白面の者の顔が、わずかに歪む。

 

笑っている。

 

そう見えた。

 

相手の恐怖や迷いを楽しむような、不気味な笑みだった。

 

「強い力を持つ者ほど・・・」

 

白面の者が低く言う。

 

「己の力で全てを決められると思い込むものよ。」

 

「・・・。」

 

「ならば、見せてみよ。」

 

巨大な白い顔がレイナーレを見つめる。

 

「お前が、その力で何を選ぶのかを。」

 

レイナーレは翼を広げた。

 

「面白いじゃない。」

 

黒歌は頷いた。

 

「10日間で覚えるのは、もっと強くなることじゃないにゃ。」

 

「じゃあ何?」

 

「力で押し切れない相手から、どうやって勝機を作るか。」

 

レイナーレは白面の者を見つめた。

 

そして笑った。

 

「・・・やってみようじゃない。」

 

こうして・・・。

 

レイナーレの10日間が始まった。

 

1日目・・・真正面から戦わない

 

開始直後、レイナーレは翼を広げた。

 

「まずは・・・!」

 

光の槍を構える。

 

だが、白面の者は動かなかった。

 

「・・・?」

レイナーレが距離を詰める。

 

その瞬間、白面の者の視線が向いた。

 

ただ、それだけ。

 

なのにレイナーレの身体が本能的に止まった。

 

「・・・!」

 

怖い。

 

そう感じた。

 

力の差を理解したからではない。

 

目の前の存在が、自分の攻撃そのものを待っている。

 

「来ぬのか?」

 

白面の者が笑う。

 

「己が最も得意とする力を振るえばよい。」

 

「・・・そう言われて、撃つと思う?」

 

レイナーレは後退し、翼を翻す。

 

「真正面から戦っても意味がない。」

 

白面の者が笑う。

 

「ほう。」

 

「戦わない。」

 

「逃げるのか?」

 

「そうよ。」

 

レイナーレは即答した。

 

「少なくとも、今はね。」

 

1日目の課題は、勝つことではなかった。

 

勝てない状況で、無理に戦いを始めない。

 

それもまた戦術だった。

 

2日目・・・相手の目的を見る

 

白面の者がレイナーレへ近づいてくる。

 

レイナーレは逃げた。

 

だが、ただ逃げるだけではない。

 

「・・・妙ね。」

 

白面の者は、レイナーレそのものを攻撃しようとはしなかった。

 

「なぜ私を追っているの?」

 

「さあな。」

 

白面の者は答えを濁す。

 

レイナーレは周囲を見渡した。

 

そして気づいた。

 

「私じゃない。」

 

白面の者の視線。

 

その先にあるもの。

 

「私の後ろにある場所、そこが目的?」

 

白面の者が止まった。

「ほう。」

 

「当たりね。」

 

「よく見ておる。」

 

レイナーレは笑った。

 

「じゃあ、私を狙っていると思わせればいい。」

 

相手そのものではなく、相手の目的を見る。

 

そこから戦術を変える。

 

それが2日目の学びだった。

 

3日目・・・囮になる

 

レイナーレは、わざと目立つ場所へ出た。

 

「こっちよ!」

 

白面の者の視線が向く。

 

その瞬間、レイナーレは別方向へ移動した。

 

敵の意識が自分に集中している。

 

その間に、守るべき場所から敵を遠ざける。

 

「・・・なるほど。」

 

レイナーレは呟いた。

 

「自分が攻撃する必要はない。」

 

敵の注意を引く。

 

それだけでも戦場を動かせる。

 

「これも力の使い方なのね。」

 

「ようやく理解したか。」

 

白面の者が笑った。

 

「力とは、ただ敵を砕くためだけにあるものではない。」

 

レイナーレは、その言葉を覚えた。

 

4日目・・・相手に選ばせる

 

黒歌が生み出した訓練用の仲間たちの幻影とともに、レイナーレは戦場を移動していた。

 

白面の者が2つの方向から迫る。

 

レイナーレは、あえて逃げ道を1つ残した。

 

「こっちへ来るでしょうね。」

 

白面の者は、その方向へ動いた。

 

しかし・・・。

 

そこにいた仲間の幻影は、すでに別の場所へ移動している。

 

「・・・!」

 

白面の者が振り向く。

 

レイナーレは笑った。

 

「あなたが選んだ道よ。」

 

敵に選択肢を与える。

 

しかし、その選択肢そのものをこちらが用意しておく。

 

戦場とは、相手に行動させることでも動かせる。

 

レイナーレは、その感覚を掴み始めた。

 

5日目・・・一番強い攻撃を使わない

 

レイナーレには、一気に敵を倒せるほどの攻撃手段がある。

 

しかし白面の者は、それを待っていた。

 

「撃つがよい。」

 

その声には、挑発するような響きがあった。

 

「お前が最も自信を持つ力をな。」

 

レイナーレは攻撃を止めた。

 

「・・・嫌よ。」

 

「なぜだ?」

 

「あなたが、それを待っているから。」

 

白面の者が笑う。

 

「ならば、どうする?」

 

レイナーレは翼を動かした。

 

「別の方法で勝つわ。」

 

強い技を持っていることと、使うことは別。

 

最大火力を使えるからこそ、使わないという選択肢が生まれる。

 

レイナーレは、その判断を覚えた。

 

6日目・・・敵の視線を利用する

 

レイナーレは、2人の仲間の幻影と行動していた。

 

白面の者が近づく。

 

レイナーレは1人の仲間へ視線を向けた。

 

その瞬間、白面の者の視線もそちらへ動く。

 

「今!」

 

仲間が移動する。

 

レイナーレは逆方向へ走った。

 

敵の視線や味方の動き。

 

そして、自分の位置。

 

3つを同時に考える。

 

「戦場って・・・、こんなに動かせるものなのね。」

 

レイナーレ自身が驚いていた。

 

「そうだ。」

 

白面の者が言う。

 

「戦場を動かす者は、己の足だけで動かすのではない。」

 

「・・・。」

 

「敵の目、味方の心、地形、その全てを使うのだ。」

 

レイナーレは頷いた。

 

7日目・・・罠ではなく、選択肢

 

レイナーレは白面の者を1つの場所へ誘導しようとした。

 

しかし、白面の者は途中で止まった。

 

「罠だな。」

 

「・・・!」

 

「お前は相手を誘導することばかり考えている。」

 

レイナーレは黙る。

 

「相手が罠だと気づいたらどうする?」

 

しばらく考え・・・。

 

レイナーレは笑った。

 

「罠じゃない。」

 

「何?」

 

「どちらを選んでも、私に有利になるようにすればいいわ。」

 

レイナーレは2つの道を作る。

 

どちらを選んでも、仲間が動きやすい。

 

「選ぶのはあなたよ。」

 

そして微笑む。

 

「でも、その選択を利用するのは私よ。」

 

白面の者の目が細くなる。

 

「・・・面白い。」

 

8日目・・・仲間を駒にしない

 

レイナーレは、さらに複雑な戦術を考えていた。

 

仲間を配置し、敵を誘導する。

 

だが、その時。

 

黒歌が声をかけた。

 

「待つにゃ。」

 

「何かしら?」

 

「仲間は駒じゃないにゃ。」

 

レイナーレが黙る。

 

「相手を誘導することと、仲間の意思を無視することは違うにゃ。」

 

「・・・。」

 

「戦術は、みんなが納得して初めて力になるにゃ。」

 

レイナーレは仲間を見る。

 

そして尋ねた。

 

「あなたは、ここへ行ける?」

 

「もちろん。」

 

「じゃあ、お願いするわ。」

 

「任せて。」

 

レイナーレは頷いた。

 

初めて彼女は、仲間を「配置する」のではなく、「一緒に戦う」ことを意識した。

 

9日目・・・勝利条件を変える

 

1日目は『勝てない相手と無理に戦わない』ことを覚えた。

 

でも今日は、それより先のことを考える。

 

白面の者は、依然として圧倒的な力を持っている。

 

正面から倒すことはできない。

 

ならば・・・。

 

「倒さなくてもいいわ。」

 

白面の者が問う。

 

「では、何をする?」

 

「あなたを倒すことが勝利条件じゃないわ。」

 

レイナーレは答えた。

 

「時間を稼ぐ。」

 

味方を安全な場所へ移動させる。

 

敵を足止めする。

 

目的を達成する。

 

そして・・・。

 

「目的を達成したら、私たちの勝ち。」

 

白面の者が黙った。

 

レイナーレは笑う。

 

「戦いって、相手を倒した方が勝ちとは限らないのね。」

 

「ほう・・・。」

 

白面の者の口元が歪む。

 

「ようやく戦いというものを、己の力だけで測らなくなったか。」

 

その言葉が、レイナーレの胸に残った。

 

10日目・・・戦場を選ぶ者

 

白面の者が現れる。

 

レイナーレは、以前のように正面へ出なかった。

 

まず周囲を見る。

 

敵や味方。

 

地形や距離。

 

逃げ道や守る場所。

 

そして・・・。

 

「ここね」

 

レイナーレが動く。

 

1人が敵の注意を引く。

 

別の仲間が移動する。

 

レイナーレは敵の進路を変える。

 

白面の者が1つの道を選ぶ。

 

そこには誰もいない。

 

「・・・。」

 

白面の者が止まる。

 

その瞬間・・・。

 

「私を倒したと思った?」

 

レイナーレの声が響いた。

 

「違うわ。」

 

反対側からレイナーレが現れる。

 

「あなたがそこへ行くようにしただけ。」

 

白面の者が振り向く。

 

だが、その時にはすでに仲間たちは、守るべき場所へ到達していた。

 

「終わりよ。」

 

レイナーレが告げる。

 

白面の者の身体が、ゆっくりと霧のように薄れていく。

 

最後に、その巨大な白い顔がレイナーレを見つめた。

 

「力を振るう者から」

 

低い声が響く。

 

「戦場を選ぶ者へ・・・か。」

 

白面の者は、最後まで笑っていた。

 

そして消える。

 

レイナーレは翼を畳んだ。

 

「・・・私も、少し変わったみたいね。」

 

そこへ黒歌が歩いてくる。

 

「10日間、お疲れさまにゃ」

 

「ええ。」

 

レイナーレは自分の手を見る。

 

「今までの私は、相手を倒すことばかり考えていたわ。」

 

「今はどうかにゃ?」

 

「相手を倒すことだけが勝ちじゃないのね。」

 

レイナーレは答えた。

 

敵の目的を読み、味方の動きを考え、それを相手に選ばせる。

 

必要なら逃げる。

 

そして、レイナーレは前を見る。

 

「私たちが達成すべき目的を守る。」

 

黒歌は笑った。

 

「それがレイナーレの答えにゃ。」

 

「・・・黒歌。」

 

「何にゃ?」

 

「あなたは、私を強くするために未来を決めているの?」

 

黒歌は首を横に振った。

 

「違うにゃ。」

 

「・・・。」

 

「私は、レイナーレが自分で選べるようになるための力を貸しているだけにゃ。」

 

レイナーレは少し驚いたように目を見開いた。

 

そして・・・。

 

「なるほどね。」

 

小さく笑った。

 

「なら、次にどう戦うかは私が決めるわ。」

 

「もちろんにゃ。」

 

レイナーレは翼を広げる。

 

10日前とは違う。

 

その翼は、ただ力を振るうためのものではない。

 

敵を誘導し。

 

仲間を守り。

 

戦場を選び。

 

勝利への道を作るための翼。

 

それが、彼女の新しい戦い方だった。

 

彼女が担うのは、単純な攻撃役ではない。

 

敵の意識を引きつける。

 

味方から敵を遠ざける。

 

相手の行動を誘導する。

 

敵の視線を利用する。

 

そして、戦況そのものを変える。

 

必要ならば、直接戦うことさえ避ける。

 

「どうやって敵を倒すか」ではなく。

 

「どうすれば仲間が勝てる状況を作れるか」。

 

それが、10日間の特訓で彼女が見つけた答えだった。

 

黒歌は、そんな彼女の背中を見ながら静かに笑っていた。

 

「未来は、自分たちで作るものにゃ。」




感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!

次回「いざ特訓!リアス眷属! ⑨三虎VSカラワーナ」

リアス眷属とライザー眷属とのレーティングゲームの結果

  • リアス眷属の勝利
  • ライザー眷属の勝利
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