黒歌が言霊を使い、妹や仲間のために戦う物語。   作:ピック

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完結までよろしくお願いいたします。


第24話 いざ特訓!リアス眷属と仲間達! ⑩黄猿VSミッテルト

第34章 ミッテルト・・・黄猿との10日間

 

カラワーナの10日間の特訓が終わった。

 

圧倒的な火力を持つ者が、力を恐れることなく、それでも力に振り回されない。

 

そんな戦い方を、カラワーナは三虎から学んだ。

 

最大の力を持っているからこそ、いつ撃つのかを考える。

 

撃たないことも力。

 

そして・・・。

 

必要な時には、迷わず撃つことも力。

 

その答えを見つけたカラワーナは、以前とは違う静かな表情で戦場を見つめられるようになっていた。

 

そして次に、黒歌が名前を呼んだ。

 

「次は・・・」

 

黒歌は、一人の少女へ視線を向ける。

 

「ミッテルトにゃ。」

 

「うち?」

 

ミッテルトが振り向く。

 

「そうにゃ。」

 

「今度はうちっすかぁ?」

 

少し意外そうに眉を上げる。

 

黒歌は笑った。

 

「そうにゃ。」

 

「じゃあ、今度はどんな奴が出てくるんすかねぇ?」

 

その瞬間。

 

黒歌の隣に、1人の幻影が現れた。

 

長身。

 

黄色いストライプのスーツ。

 

黒いタートルネック。

 

そしてサングラス。

 

その上から白いコートを羽織った男。

 

一見すると、どこか気の抜けた雰囲気さえある。

 

しかし・・・。

 

そこに立っているだけで、圧倒的な存在感を放っていた。

 

「・・・なんすか、この人・・・。」

 

ミッテルトが目を細める。

 

幻影の男は、ゆっくりとサングラスを押し上げた。

 

「いやぁ~。」

 

どこか間延びした声。

 

「ずいぶん可愛らしいお嬢さんだねぇ~。」

 

「・・・。」

 

ミッテルトは一瞬だけ呆れた顔をした。

 

「その言い方、なんかムカつくっす。」

 

男は笑う。

 

「そうかい?」

 

「・・・で、名前は?」

 

黒歌が答えた。

 

「黄猿・・・、ボルサリーノにゃ。」

 

「黄猿・・・?」

 

ミッテルトが目を見開く。

 

「『ワンピース』の世界にいる海軍大将の1人にゃ。」

 

黒歌は続ける。

 

「ピカピカの実の能力者。光を操り、光そのものとなって戦場を駆ける男にゃ。」

 

黄猿の幻影が肩をすくめた。

 

「光っていうのは、便利なもんだねぇ~。」

 

「・・・。」

 

ミッテルトは自分の翼を見る。

 

「うちだって、速さには自信があるっすよ。」

 

「そうかい。」

 

黄猿は笑った。

 

「じゃあ・・・」

 

次の瞬間、姿が消えた。

 

「・・・速さを、どう使うのかねぇ?」

 

そして、ミッテルトの背後に黄猿が立っていた。

 

「・・・!」

 

ミッテルトが振り向く。

 

「速っ・・・!」

 

黄猿は飄々と笑った。

 

「速いだけじゃあ、困るんだよねぇ~。」

 

こうして、ミッテルトと黄猿の十日間が始まった。

 

1日目・・・速さを持て余さない

 

ミッテルトは翼を広げ、一気に加速した。

 

「どうっすか!」

 

黄猿の幻影を追い抜く。

 

「うち、結構速いんすよぉ!」

 

しかし・・・。

 

「おやぁ~?」

 

黄猿は、いつの間にか彼女の前に立っていた。

 

「・・・!」

 

急停止するミッテルト。

 

「速いねぇ~。」

 

「だったら・・・!」

 

再び加速する。

 

だが、また前に黄猿がいる。

 

「速い・・・。」

 

黄猿は言った。

 

「でも、どこへ行くのかは決まってないねぇ~。」

 

「・・・。」

 

ミッテルトは黙った。

 

「速さは手段さぁ。」

 

黄猿は続ける。

 

「目的じゃあないんだよぉ。」

 

速く動く。

 

速く攻撃する。

 

それだけではない。

 

どこへ行くために、その速さを使うのか。

 

それが最初の課題だった。

 

2日目・・・見るための速さ

 

ミッテルトは戦場を飛び回る。

 

ただし、攻撃は禁止。

 

「なんで攻撃しちゃダメなんすか?」

 

「見るためさぁ~。」

 

敵の位置や味方の位置。

 

危険な場所や安全な場所。

 

ミッテルトは高速で戦場を一周する。

 

「右側に敵が3人!」

 

さらに移動。

 

「中央は安全!」

 

反対側へ。

 

「左側には回り道があるっす!」

 

戻ってくる。

 

仲間たちが、その情報をもとに動き始める。

 

ミッテルトは目を丸くした。

 

「・・・速さって、攻撃だけじゃないんすね。」

 

「そういうことさぁ~。」

 

黄猿は笑う。

 

「速ければ速いほど、短い時間で多くの情報を集められるをだよぉ。」

 

「だったら・・・」

 

ミッテルトは笑った。

 

「偵察にも使えるっすね!」

 

3日目・・・最短距離ではなく、安全な道

 

仲間の1人が負傷した。

「助けに行くっす!」

 

ミッテルトは一直線に飛ぶ。

 

しかし、途中に敵が待っていた。

 

「止まってねぇ~。」

 

黄猿の声。

 

ミッテルトは急停止する。

 

「もっと速く行けば間に合うっす!」

 

「その途中で捕まったら?」

 

「・・・!」

 

ミッテルトは周囲を見る。

 

正面ではなく、右。

 

少し遠回りになる。

 

しかし敵を避けられる。

 

「こっち!」

 

進路を変更。

 

敵を避けて仲間のもとへ向かう。

 

結果・・・。

 

最短距離を進んだ時よりも早く、仲間へ到着した。

 

「・・・速さって、距離だけじゃないんすね。」

 

「そうだよぉ。」

 

黄猿が笑う。

 

「邪魔されないことも、速さの一部さぁ~。」

 

4日目・・・一瞬の救援

 

戦場の反対側で仲間が敵に囲まれた。

 

「ミッテルト!」

 

声が響く。

 

「了解っす!」

 

一瞬。

 

ミッテルトは敵の前へ到着した。

 

「そこまでっすよ!」

 

敵の注意がミッテルトへ向く。

 

その隙に仲間が逃げる。

 

「今!」

 

仲間が離れた瞬間、ミッテルトも離脱する。

 

「助かった!」

 

「どういたしましてっす!」

 

次の瞬間。

 

別の場所から声が響く。

 

「こっちも危ない!」

 

「またっすか!」

 

ミッテルトは笑いながら飛ぶ。

 

一人で敵を倒す必要はない。

 

一瞬だけ現れ、仲間を助ける。

 

そして次の場所へ向かう。

 

それだけでも、戦場では大きな意味を持つ。

 

5日目・・・速すぎる攻撃を止める

 

ミッテルトは高速で敵を攻撃する。

 

一撃。

 

移動。

 

もう一撃。

 

さらに移動。

 

しかし・・・。

 

「・・・あれ? ここ、どこっすか?」

 

自分がどこにいるのか、一瞬分からなくなった。

 

黄猿が言う。

 

「速すぎるのも問題だねぇ~。」

 

「・・・!」

 

「自分の位置を見失ったら、速さは弱点になるんだよぉ~。」

 

ミッテルトは速度を落とす。

 

一撃。

 

移動。

 

確認。

 

また一撃。

 

「・・・なるほど」

 

「自分の速度を、自分で制御する」

 

黄猿は笑った。

 

「それが大事なのさぁ~。」

 

6日目・・・味方と速度を合わせる

 

今度は仲間との連携訓練だった。

 

ミッテルトは速すぎた。

 

先に行く。

 

敵を攻撃する。

 

戻ってくる。

 

また先へ行く。

 

「これじゃ、一人で戦ってるみたいっすね・・・。」

 

黄猿が言う。

 

「速い者が、いつも先に行く必要はないんだよねぇ~」

 

ミッテルトは仲間を見る。

 

「・・・。」

 

そして・・・。

 

仲間が動く瞬間を待った。

 

「今!」

 

木場が動く。

 

ミッテルトも同時に動く。

 

朱乃の攻撃が飛ぶ。

 

その瞬間、ミッテルトが敵の背後へ回った。

 

3人の動きが、1つにつながった。

 

「・・・これが、速度を合わせるってことなんすね。」

 

1人だけが速いのではない。

 

仲間とともに、最適な瞬間を作る。

 

それもまた、速さの使い方だった。

 

7日目・・・先回り

 

敵が仲間を狙う。

 

ミッテルトは攻撃されてから動いた。

 

しかし・・・。

 

「遅いねぇ~。」

 

「でも、うち、十分速いっすよ!」

 

「それでも遅いんだよぉ~。」

 

「・・・!」

 

ミッテルトは考えた。

 

そして・・・。

 

敵が攻撃する前に、その進路へ移動した。

 

敵が止まる。

「・・・!」

 

ミッテルトは笑う。

「先にいるっすよ。」

 

攻撃されてから助ける。

 

それでは間に合わない時がある。

 

ならば・・・。

 

「攻撃される前に、危険な場所へ行く!」

 

「そうだよぉ~。」

 

黄猿が頷く。

 

「それが先回りさぁ~。」

 

8日目・・・速さを攻撃以外に使う

 

ミッテルトは戦場を飛び回る。

 

しかし、敵への攻撃はしない。

 

倒れた柱を移動させ、仲間の退路をつくり、敵の進路を変える。

 

そして・・・。

 

敵の注意を引きつけて離れる。

 

「・・・攻撃してないのに」

 

ミッテルトは戦場を見渡した。

 

「戦場そのものを変えられる・・・。」

 

黄猿が笑う。

 

「速いからこそ、できることさぁ~。」

 

ミッテルトは嬉しそうに笑った。

 

「なんか、こっちのほうが面白いっす!」

 

9日目・・・誰を助けるか

 

3人の仲間が同時に危険にさらされた。

 

ミッテルトは全員を助けようとする。

 

右、左、中央。

 

しかし・・・。

 

「無理っす!」

 

黄猿は静かに言った。

 

「だから選ぶのさぁ~。」

 

ミッテルトは3人を見る。

 

1人は自力で逃げられる。

 

1人は別の仲間が援護できる。

 

そしてもう1人は――。

 

「・・・この人!」

 

ミッテルトが走る。

 

一瞬で救援し、別の仲間へ。

 

最後の1人は、他の仲間と協力して救う。

 

ミッテルトは息を整えた。

 

「全員を、うち1人で助ける必要はないんすね。」

 

「そういうことさぁ~。」

 

「うちが一番速く行くべき場所を、うち自身が選ぶ。」

 

黄猿は頷いた。

 

「それが大事なんだよねぇ~。」

 

10日目・・・光は、必要な場所へ

 

最後の実戦。

 

それは・・・。

 

九日間の特訓で学んだことを、すべて実戦で使う最後の試験だった。

 

敵は複数。

 

味方も複数。

 

戦場全体が同時に動いている。

 

ミッテルトは・・・、走らなかった。

 

まず見る。

 

敵の位置や、味方の位置。

 

危険な場所や、逃げ道。

 

これまでなら、真っ先に飛び出していただろう。

 

しかし、今のミッテルトは違った。

 

状況を確認し、判断する。

 

そして・・・。

 

「右!」

 

一瞬で右側へ。

 

仲間を救う。

 

「次は左っす!」

 

再び移動。

 

敵の攻撃を避け、味方の退路を作る。

「中央、危ない!」

 

中央へ移動し、敵の注意を引きつけ、離れる。

 

その瞬間。

 

朱乃の攻撃が敵の進路を塞いだ。

「ありがとう!」

 

「まだ終わってないっすよ!」

 

ミッテルトはさらに走る。

 

最後に、1人の仲間が追い詰められていた。

 

敵が迫る。

 

「間に合う!」

 

ミッテルトは翼を広げる。

 

敵と仲間の間へ、光のような速度で移動する。

 

そして仲間を安全な場所へ連れ出す。

 

敵が追ってくる。

 

しかし・・・。

 

「こっちっす!」

 

ミッテルトは反対側へ移動していた。

 

敵が振り向く。

 

また移動。

 

さらに移動。

 

敵を翻弄する。

 

そして――。

 

「今!」

 

仲間たちが一斉に攻撃した。

 

敵が倒れ、戦いが終わった。

 

ミッテルトは大きく息を吐いた。

 

「・・・終わったっす」

 

黄猿がゆっくり歩いてくる。

 

「10日間、どうだった?」

 

ミッテルトは少し考える。

 

「10日前まで、速さは敵を倒すためのものだと思ってたっす。」

 

「今は?」

 

ミッテルトは翼を見る。

 

そして笑った。

 

「速さは・・・」

 

少し間を置く。

 

「必要な場所へ、必要な時に行くための力っす。」

 

黄猿は笑った。

 

「そういうことさぁ~。」

 

特訓を終えて

 

黄猿の幻影が、少しずつ光へ変わっていく。

 

「じゃあねぇ~。」

 

最後まで飄々とした声だった。

 

幻影が消える。

 

そこへ黒歌が歩いてきた。

 

「お疲れさまにゃ、ミッテルト。」

 

「黒歌。」

 

ミッテルトは振り返る。

 

「うち、前より速くなったっすか?」

 

黒歌は少し考えた。

 

「速度そのものは、大きく変わっていないかもしれないにゃ。」

「え?」

 

「でも・・・」

 

黒歌は微笑んだ。

 

「速さの使い方は、前よりずっと上手くなったにゃ。」

 

ミッテルトは黙って聞いている。

 

「偵察する。」

 

「救援する。」

 

「先回りする。」

 

「仲間と連携する。」

 

「危険な場所へ、一番早く向かう。」

 

黒歌は続けた。

 

「そして必要なら、敵を引きつけて離れる。」

 

「……。」

 

「それは、ただ速く走るだけではできないにゃ。」

 

ミッテルトは笑った。

 

「なるほどっすね。」

 

そして翼を広げる。

 

「だったらうち、誰より早くみんなを助けに行くっすよ!」

 

黒歌は頷いた。

 

「それがミッテルト自身の選んだ答えにゃ、」

 

「ええ!」

 

ミッテルトは笑った。

 

10日前まで・・・。

 

速さは、敵を追い抜くためのものだった。

 

今は違う。

 

敵より早く動く。

 

敵が攻撃する前に仲間を助ける。

 

危険になる前に先回りする。

 

そして・・・。。

 

仲間が必要とする場所へ、誰より早く駆けつける。

 

速さとは、強さそのものではない。

 

その速さを、どこへ向けるのか。

 

誰のために使うのか。

 

いつ使うのか。

 

それを自分自身で決める。

 

それこそが・・・。

 

彼女にとっての、本当の力だった。

 

彼女が担うのは・・・。

 

高速偵察。

 

敵の位置や戦場の変化を素早く確認する。

 

緊急救援。

 

危険にさらされた仲間のもとへ、誰より早く駆けつける。

 

高速援護。

 

敵の注意を引き、仲間が攻撃しやすい状況を作る。

 

先回り。

 

敵が攻撃する前に危険な場所へ入り、仲間を守る。

 

そして・・・。

 

戦場の撹乱。

 

敵を翻弄し、攻撃対象を自分へ向けさせ、仲間から引き離す。

 

ただ速いだけではない。

 

その速さを、戦場のどこへ向けるのか。

 

誰を助けるのか。

 

どの瞬間に動くのか。

 

それを自分で判断できる。

 

それが・・・。

 

黄猿との10日間で、彼女が手に入れた新しい戦い方だった。

 

そして、黒歌がこれまで呼び出してきた幻影たちによる特訓も、残すところあと2人となった。

 

ドーナシーク。

 

そして・・・。

 

リアス。

 

最後の2人を待つ、次の10日間が始まろうとしていた。




感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!

次回「いざ特訓!リアス眷属! ⑪麒麟寺天示郎
VSリアス・グレモリー」

リアス眷属とライザー眷属とのレーティングゲームの結果

  • リアス眷属の勝利
  • ライザー眷属の勝利
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