別の場所。
幼い木場祐斗は、教会の追手たちに完全に囲まれていた。非道な「聖剣計画」の実験によって心も身体も深く傷ついた少年には、もう逃げる力すら残っていない。冷たい泥にまみれ、光の剣を突きつけられる中、少年は絶望の涙を流した。
「もう終わりだ・・・。」
その時であった!
雨音を切り裂き、ユーハバッハから教わった「未来予知」によって木場の危機を知った、黒歌が飛ばした幻術(2人目)が姿を現した。
「まだ終わってないにゃ。」
追手が攻撃を仕掛ける。
しかし、幻術は言霊を唱えた。
「『奇跡は料理できる』」と。
その瞬間、世界が変わった。
黒歌の身体から、底知れない、そして禍々しいほどの「食欲」と「支配」のオーラが噴出する。
それは美食會の裏で暗躍し、あらゆる味覚と世界を我が物にしようとした最凶の料理人・ジョアの力。
「な、なんだこのプレッシャーは・・・!? 身体が、動かん・・・!」
追手たちは、ただそこに立つ幻術を見つめることしかできなかった。
彼らの視界には、黒歌の背後に世界を丸ごと飲み込もうとする巨大な悪魔の影が見えていた。
幻術でありながら、言霊によって引き出されたその『存在の格』は、一介の魔術師や戦士が抗えるものではなかった。
まな板の上の食材にされたかのような、絶対的な支配の恐怖が追手達を縛りつける。
手には伝説の包丁シンデレラ。
「私の名前は、ジョア。世界を調理し、すべての味覚を支配する料理人です。」
静かに名乗りを上げると、ジョアに変貌した黒歌の幻術が冷酷に追手たちを見下ろした。
「神の教え、とやらは、哀れな子羊をいたぶりなさい。と、教えているのですか?」
そう言うと、ジョアに変わった黒歌(くろか)の幻術が優雅に包丁を振るう。
「『億枚おろし』」
それは、軽い包丁の一振り。
その一振りの斬撃の直撃を受けた追手達は悲鳴を上げる間もなく次々と倒れ伏し、運良く直撃を免れた最後の1人は、恐怖に顔を歪めて一目散にその場から逃げ去っていった。
そして、ジョアの姿から元の『黒歌』の幻術に戻り、優しく語りかけた。
「強さっていうのはね。誰かを傷付けるためじゃない。誰かを守るためにあるの。」
祐斗は震えながら尋ねる。
「あなたは・・・、誰なんですか?」
黒歌は悪戯っぽく「にゃはは」と笑った。
「いつか会うにゃ。その時は、自分の剣で誰かを守れる男になるといいにゃ。」
祐斗はその言葉を胸に刻んだ。
未来。
彼がリアス・グレモリーの騎士(ナイト)となり、大切な仲間たちと共に戦う時。
彼の剣技の根底には、あの「料理人」の一閃が目指すべき究極の強さとして刻まれ、その心には、あの日、自分を闇から救い出してくれた黒猫の少女の言葉が、何があっても折れない最高の支えとして残り続けるのだった。
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次回「技術を与えられし暴獣、幼き邪眼持ちの吸血鬼のハーフを助ける」
黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?
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前日譚
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倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す