黒歌が言霊を使い、妹や仲間のために戦う物語。   作:ピック

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完結までよろしくお願いいたします。


第6話 技術を与えられし暴獣、幼き邪眼持ちの吸血鬼のハーフを助ける

薄暗い森の奥。

 

幼いギャスパー・ヴラディは、追手から逃げ続けていた。

 

吸血鬼と人間のハーフとして生まれた彼の秘めたる力は、強大だった。

 

その力は、世界の時間を停止させるほどの絶大な神器(セイクリッド・ギア)『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』。

 

しかし、それを制御する事はできない。

 

「いや・・・、来ないで・・・!」

 

追手の悪魔たちは、恐怖で震えるギャスパーを追い詰めていく。

 

「ハハハ! 観念しろ、珍しい神器を持つ吸血鬼のガキめ。捕らえればいくらでも都合のいい道具として利用できるからな」

 

悪魔たちの下卑た笑い声が森に響く。

 

幼い少年には、その言葉の正確な意味すら理解できなかった。

 

ただ、目の前に迫る冷酷な魔力の刃と、自分に向けられる純粋な悪意が、耐え難いほど怖かった。

 

その時だった。

 

「そこまでにゃ。」

 

森の中に声が響く。

その声の主は、ユーハバッハから教わった「未来予知」によってギャスパーの危機を知った、黒歌が飛ばした幻術(3人目)だった。

 

追手は笑う。

 

「また邪魔者か、一人増えたところで!」

 

しかし、その言葉は途中で止まった。

 

幻術の黒歌が静かに前へ出る。

そして、言霊を唱えた。

「『命も世界も止められる』」と。

 

瞬間、世界のすべての空気が激しく震えた。

大気が限界まで圧縮されたかのように重くなり、周囲の空間そのものが、見たこともない圧倒的なプレッシャーによって凍りつく。

そして、黒歌の小さな体が爆発的な漆黒の妖気につつまれ、その姿が瞬時に変貌していき、白髪のリーゼントに、大木をも容易くへし折るような圧倒的な肉体を持つ男、ノッキングマスター次郎に変わった。

 

その姿になった黒歌は、静かに拳を握る。

 

「若い命を弄ぶとは・・・。いただけんな、お主ら。」

 

追手が一斉に魔法や武器で攻撃を仕掛ける。

 

しかし、次郎となったその身体には、いかなる刃も魔術も届かない。

 

「ワシの名前は、次郎。世界中を旅して、あらゆる生命を止めてきた男じゃ。」

 

圧倒的な威風を纏い、次郎に変貌した黒歌の幻術が静かに指先を突き出す。

 

「ノッキング。」

 

それは、あまりにも静かで、目にも留まらぬ指先の一撃。

 

ト、ト、トン、と、小さな衝撃が走った。

 

それだけで、襲いかかってきた追手たちの動きは完全に止まる。

 

次郎のノッキングは、肉体を破壊して殺すことなく、血を流して傷つけることもなく、ただ彼らの身体の自由と、戦う意思だけを完璧に奪い去る究極の技だった。

 

「これが・・・、本当の強さ・・・。」

 

ギャスパーは呆然と見つめていた。

 

次郎は優しく振り返る。

 

「お主、怖いのは悪い事ではない。じゃが、守りたいものができた時、人は強くなれる。」

 

その温かい手の温もりと、自分を肯定してくれた言葉に、ギャスパーの目から大粒の涙が溢れ出した。

 

「僕も・・・強くなれますか・・・?」

 

次郎は豪快に笑った。

 

「ああ、お主ならな。」

 

そして幻影は消える。

 

その後、ギャスパーは何度もあの日の言葉を思い出した。

 

未来。

 

彼がリアス・グレモリーの僧侶(ビショップ)となり、かけがえのない仲間たちと共に過酷な戦いへと身を投じる時、自分の臆病な心を打ち破り、仲間を守るために立ち上がるその瞬間、あの狼のような優しい強者の言葉が、彼を支える事になる。




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次回「一撃男、怪人に狙われし赤龍帝の少年を助ける」

黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?

  • 前日譚
  • 倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す
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