バトルスピリッツ ソウルライダーズ   作:バナナ 

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第2話「覚醒、大将軍」

 

 

 

親友、マサルのカードを取り返すため、荒くれ集団「プレイキラーズ」の毒島トミオにバトルを挑んだナガレ。

 

結果はライダーカードの【Fチェンジ】の効果を巧みに使用したナガレの勝利に終わる。しかしその直後、「プレイキラーズ」をまとめ上げるリーダー「神林ジン」が姿を見せて。

 

 

******

 

 

「なんだあのマント野郎。腕組んでて偉そうに」

「あ、アイツは神林ジン……!?」

「知ってんのかマサル」

「知ってるも何も、プレイキラーズをまとめ上げる首領。リーダーだよ!!…アイツに睨まれたら最後、二度とバトルができなくなるって噂だ」

 

 

風で靡く白いマントと藍色のギザギザした髪型が特徴的な少年、神林ジン。

 

彼はマサルが今しがたナガレに説明した通り、街の厄介者集団「プレイキラーズ」の頂点に存在するリーダーだ。

 

その彼の冷たくも鋭い視線は今、部下の1人であり、ナガレとのバトルに敗北した毒島トミオに向けられている。

 

 

「ジ、ジンさん」

「貴様。プレイキラーズの一員にいながら、バトルで敗北した挙句、敵に背中を見せて逃げ出すとはどう言う了見だ」

 

 

ジンに睨まれた毒島は、怯え、尻込みする。

 

彼の額や手足から流れる冷や汗が、ジンと言う少年の恐ろしさを物語っていた。

 

 

「い、いや、オレは何も……ぐぁ!?」

 

 

次の瞬間、ジンは自分よりも大きな体格を持つ毒島の胸ぐらを片手で掴み、軽々と持ち上げて見せる。

 

 

「惚けるな。これ以上の醜態を晒すつもりか?」

「あぁ、オレのデッキ!?」

 

 

ジンはもう一本の腕で毒島のデッキを取り上げると、毒島をそのまま大地に叩きつける。

 

 

「バトルから逃げ出すような奴は、カードに触れる資格すらない」

「あぁ!?!」

 

 

ジンはそう告げると、取り上げた毒島のデッキを破り捨てる。

 

ただの紙吹雪と化したカード達が宙を舞う中、ナガレとマサルの2人は、驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった。

 

 

「毒島。貴様はプレイキラーズを破門とする。どことでも行くがいい」

「……」

 

 

デッキの損失、プレイキラーズの破門と言う現実を突き付けられたことで意気消沈する毒島。少なからずリーダーであるジンに対しては尊敬の念を抱いていただろう。大きなショックを受けても無理はない。

 

そんな彼を通り過ぎ、ジンはナガレとマサルの2人の元へと歩み寄り。

 

 

「これは貴様の正当な報酬だ。受け取れ」

「あ、オレのデッキ」

 

 

ジンがナガレに手渡して来たのは、他でもない、毒島に取り上げられたはずのマサルのデッキだった。おそらく毒島のデッキを取り上げた瞬間に、取っていたのだろう。

 

ナガレはそれを静かに受け取り、ノールックで横にいるマサルに手渡すが……

 

 

「おいオマエ!!…なんでこんな酷いことを、オマエと毒島は、仲間なんじゃねぇのかよ!?」

 

 

未だ舞い続ける紙吹雪の中、ナガレがジンに指を刺しながら告げた。

 

あのプレイキラーズのリーダーであるジンを相手に、堂々と啖呵を切るような言い方をしたことで、横にいるマサルの顔が真っ青になる。

 

 

「仲間?…笑わせるな。プレイキラーズの奴らは、オレの手足に過ぎん。付けていても動かない手足など、切り捨てて当然」

「だからって、カードまで破り捨てることないだろ!?…仲間とカードを粗末に扱う奴は許せねぇ。オレと戦え!!」

 

 

あろうことか、今度はプレイキラーズ最強にして最凶の男に喧嘩と言う名のバトルを売るナガレ。

 

これには慌ててマサルも制止に入る。

 

 

「おいナガレ、ヤバいって、謝っとけ!!」

「謝るわけねぇだろ!!…オレはどうしてもコイツをぶっ倒さないと気がすまねぇんだ」

「でも負けたら毒島のカードみたいに」

「うるせぇ!!」

 

 

マサルが止めようとしても尚、ナガレの歯軋りが止まらない。また頭に血が昇っているようだ。

 

 

「いいだろう。そこまで言うなら相手になってやる。プレイキラーズの掟、敗者は勝者にカードを捧げることを忘れるなよ」

「あぁ」

 

 

バトルが承諾された瞬間、マサルは内心で「ダメだ終わった」と絶望する。

 

正直言えば今すぐこの場を逃げ出したいが、親友であるナガレを見捨てるわけにはいかない。彼は渋々このバトルを見届けることにした。

 

 

「貴様。まだいたのか、どことでも行けと言ったはずだ。とっとと去れ」

「……」

「あ、おい毒島」

 

 

ジンが意気消沈していた毒島にトドメの一言。毒島は静かに立ち上がると、無言のまま、この場から去って行った。

 

ナガレは咄嗟に手を伸ばしたが、その手は当然届かず。

 

 

「さぁ。貴様の先攻でも構わん。どこからでもかかって来るがいい」

「……」

 

 

ジンは懐から取り出した、バトルスピリッツ専用端末Bパッドを左腕に装着したのち、己のデッキを、その溝部に装填。バトルの準備を完了させる。

 

カードバトラーならば誰しもがやるその挙動だけで、やはりただものではないと察したナガレは、怒りながらも、静かにその闘争心を燃やし始め、既に装着済みのBパッドを構えた。

 

 

「行くぞ」

「あぁ、負けねぇ!!」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

ナガレと毒島の熱きバトルの熱りも冷めぬ中、今度はナガレと、プレイキラーズ最強の男、神林ジンのバトルスピリッツが、コールと共に幕を開ける。

 

 

「お言葉通り、オレの先攻から行かせてもらうぜ」

 

 

先攻はナガレだ。カードを粗末に扱うジンに怒りと闘争心を燃やしながら、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。オレのデッキの第1号、仮面ライダー鎧武をLV1で召喚」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1(1)BP1000

 

 

「召喚時効果、龍玄のカードを手札に加えるぜ」

 

 

連戦となったナガレは、ここでも橙色の甲冑を纏う侍、鎧武を召喚。

 

その効果により、デッキ上3枚の中から「仮面ライダー龍玄」のカードを選び取り、手札に加えた。

 

 

「ターンエンドだ、どっからでもかかって来やがれ!!」

手札:5

場:【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1

 

 

ひとまずナガレはここでターンエンド。

 

プレイキラーズのリーダー、神林ジンのターンへと移行する。

 

 

[ターン02]神林ジン

 

 

「メインステップ。オレは、仮面ライダー龍騎をLV1で召喚する」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP1000

 

 

「召喚時効果。デッキから3枚オープンし、その中の対象カード、仮面ライダーナイトを手札に加える」

 

 

ジンがBパッドのプレート面にカードを叩きつけた瞬間、赤き龍の力を持つ騎士にして、白属性のライダーカードの1種、龍騎が、複数の鏡像が重なり合う形で出現する。

 

 

「オマエもライダーデッキか。これはより負けられなくなったな」

「アタックはしない。ターンエンドだ」

手札:5

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

 

 

ライダーカード、龍騎の登場で、ナガレの闘争心がより強まったところで、バトルは2周目に突入する。

 

 

[ターン03]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。龍玄を召喚、ソウルコア、セットオン。真界放だ」

 

 

ー【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】真界放(2S)BP5000

 

 

ナガレの2体目は、紫色の甲冑と、ブドウの房を模したショットガンを持つライダー、龍玄。ソウルコアの力により、【真界放】の力を発揮した状態での召喚だ。

 

 

「アタックステップだ、頼むぜ龍玄」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5→4〉神林ジン

 

 

最初にアタックを仕掛けたのはナガレ。龍玄がショットガンからブドウのような紫のエネルギー弾を放ち、五重に連なるジンのライフバリア1枚を撃ち抜く。

 

 

「よし、先制点だ。ターンエンド」

手札:5

場:【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1

【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】真界放

 

 

鎧武をブロッカーとして残して、ナガレはターンエンド。ジンのターンとなる。

 

 

[ターン04]神林ジン

 

 

「メインステップ。仮面ライダーナイトをLV1で召喚」

 

 

ー【仮面ライダーナイト】LV1(1)BP2000

 

 

龍騎同様、多くの鏡像が重なり合い、黒いボディと銀の鎧を纏うライダー、ナイトが出現する。

 

 

「アタックステップ。ナイトでアタック」

 

 

淡々とターンシークエンスを進めて行き、ジンはアタックステップに突入。召喚したばかりのナイトへアタックの指示を送る。

 

 

「受けて立つぜ、鎧武でブロック」

 

 

レイピア状の剣を手に走り出して来たナイト。狙いは言わずもがなナガレのライフバリアだが、その道を、彼のスピリット第1号、鎧武が阻む。

 

ナイトのBPが2000なのに対し、鎧武のBPは1000。このまま行けば、BPの低い鎧武はナイトに敗北し、破壊されてしまうが………

 

 

「フラッシュタイミング。龍玄の効果発揮。自身のコア1つを鎧武に移動させることで、そのBPを3000アップさせる。これで鎧武のBPは、ナイトの2000を超えた4000だ」

 

 

ここでナガレは、毒島も苦戦した、龍玄の効果を発揮。龍玄のカード上に乗っているコア1つが、鎧武のカード上へと移動することで、鎧武のBPが4000にまで上昇する。

 

フィールドでは、鎧武が短剣と刀でナイトの剣撃を防御した直後、振り払い、吹き飛ばす。

 

 

「それがどうした」

「なに!?」

 

 

鎧武の勝利に終わると思われたBPバトル。

 

しかし、それはジンが手札から1枚のカードをBパッドへと叩きつけた瞬間に一変する。

 

 

「フラッシュタイミング、ソウルマジック、ソードベントを使用」

「!」

「ソウルマジックにより、コストはソウルコア1つのみで確保。効果により、このターン、ナイトのBPを4000上げ、6000にする」

「BP6000……!?」

 

 

吹き飛ばされ、鎧武からの追い討ちが迫る中、ナイトは宙を舞いながらも、ベルトからカード1枚を引き抜き、それをレイピアのバイザー部に装填。

 

ソードベント!!

 

の音声と共に、どこからともなく現れた黒槍がナイトの手に収まる。

 

着地後、ナイトはその黒槍を使い、迫って来た鎧武の腹部を貫き、それを爆散へと追い込む。

 

 

「そんな、BPの上がった鎧武が負けるなんて」

 

 

落胆したようにセリフを吐いたのは、バトルを見守っているマサルだった。

 

 

「くっ……」

「ソードベントの追加効果。BPを上げたスピリットがバトルに勝った時、1枚ドロー。続け、龍騎」

「ライフで受ける……!」

 

 

〈ライフ5→4〉花道ナガレ

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

息つく間もなく、龍騎で追撃を仕掛けるジン。龍騎の炎を纏った拳が、ナガレのライフバリア1枚を砕いた。

 

 

「ターンエンド。無駄だ、オレに貴様の戦術は通用しない」

手札:5

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

【仮面ライダーナイト】LV1

 

 

「まだまだ、無駄かどうかは次のオレのターンを見てから判断しやがれ」

 

 

今の1ターンで力量の差が垣間見えたのは間違いないのだが、その程度でナガレは諦めたりはしない。より強い闘志を燃やして、次のターンに臨む。

 

 

[ターン05]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。龍玄に1コア追加して、鎧武 ジンバーレモンをLV1で召喚」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズ】LV1(1)BP4000

 

 

反撃の狼煙だと言わんばかりに、ナガレが呼び出したのは、コスト5のライダー、陣羽織のような鎧を纏った鎧武、ジンバーレモン。

 

 

「アタックステップ、行くぜジンバーレモン」

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4→3〉神林ジン

 

 

ジンバーレモンは、赤いアーチェリー型の武器を手に持ち、そこからエネルギー状の矢を放ち、ジンのライフバリア1枚を射抜く。

 

 

「続け、龍玄……!!」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ3→2〉神林ジン

 

 

龍玄が続く。再びショットガンからエネルギー弾を放ち、ジンのライフバリア1枚を砕いた。

 

怒涛の連続攻撃。まさに「反撃」に値する攻撃だと言える。しかも、これだけでは終わらない。

 

 

「メインステップ2。オレはジンバーレモンの【Fチェンジ】の効果を発揮。疲労しているこのスピリットを手札に戻し、手札にある、オレのエース、カチドキアームズを、LV1で出陣」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】LV1(1)BP7000

 

 

ジンバーレモンは、オレンジのような物が付いた錠前を、腰のライダーベルトへと装着し、すぐ横の剣のマークをタップ。

 

すると、上空の空間に異次元のクラックが開き、そこから重厚なオレンジ色の鎧が、ジンバーレモンに装着され、その姿を、武将ライダー、鎧武 カチドキアームズへとチェンジさせる。

 

 

「来た、ナガレのエース、カチドキアームズ!!」

「召喚時効果、BP6000以下のスピリット1体を破壊。対象はナイトだ。行け、カチドキアームズ」

 

 

カチドキアームズは、登場するなり、火縄銃型の武装を取り出すと、その銃口をジンのフィールドにいるナイトへ向け、そこから果実型のエネルギー弾を放つ。

 

直撃したナイトは吹き飛ばされ、爆散した。

 

 

「ナイトの破壊時効果。トラッシュに1つ、コアブースト」

「ッ……コアを増やす効果まであるのか」

 

 

ナイトもただでは転ばない。ジンのBパッドに新しいコアを齎した。

 

 

「オレはこれで、ターンエンド。どうだ、オマエに通用したぜ、オレの戦術」

手札:5

場:【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】LV2

【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】真界放

 

 

しかし、この程度は誤差だ。戦況は明らかにナガレの優勢となったことに変わりはない。

 

そのはずなのだが……

 

 

「弱い犬程よく吠える。とは、まさにこのことだな」

「なに!?」

「貴様に、本当のバトルスピリッツを見せてやる」

 

 

劣勢であるにもかかわらず、この状況を冷笑するジン。彼の言葉の真意は、次のターンですぐに判明する。

 

 

[ターン06]神林ジン

 

 

「メインステップ。オレはこのカード、Xレア、龍騎サバイブをLV1で召喚……!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎 サバイブ】LV1(1)BP8000

 

 

突如、ジンのフィールドで燃え上がる業火。それらを吸い上げるように出現したのは、赤き装甲を纏い、赤き龍を模したショットガンを手に持つ騎士。

 

その名を龍騎サバイブ。

 

 

「ら、ライダーカードのXレア!?」

 

 

その存在の異端さに最も早く気づいたのは、マサルだった。

 

 

「どうしたマサル。そんなに凄いカードなのか、確かに強そうだけど」

「凄いなんてもんじゃねぇ。Xレアのライダーカードは、この世に存在しないんだよ」

「え、この世に存在しない?」

 

 

マサルにそう言われ、ナガレは今一度召喚された龍騎サバイブを見る。

 

その足元には、Xレア召喚時に足元に現れる「X」の金文字が確認できる。龍騎サバイブは間違いなくXレアだ。

 

 

「存在してるけど?」

「だからおかしいんだって。オマエはもうちと緊張感を持て」

 

 

マサルの説明を聞いても尚、ナガレは、いまいちその希少価値がピンと来ていない様子。

 

 

「『エクスライダーカード』」

「!」

「コイツらはそう呼ばれている。カードを真に使いこなしたカードバトラーのみが手にできる、ライダーカードの境地と言えば理解できるか」

「いや、わからん」

 

 

ジンがナガレにそう説明した。

 

仮に、それが正しいのであれば、彼は龍騎と言うライダーカードを真に使いこなし、その境地に達したと言うことになる。

 

 

「まぁなんでもいいぜ。どんなカードだろうと、最後にはオレが勝つ!!」

「身の程知らずが。ソウルコア、セットオン。龍騎サバイブにソウルコアを追加し、【真界放】を発揮!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】真界放(2S)BP11000

 

 

【真界放】を持つ龍騎サバイブ。カード上にソウルコアが追加されたことで、LV2相当のパワーを得る。

 

 

「アタックステップ、燃え上がれ、龍騎サバイブ……!!」

 

 

ジンが龍騎サバイブへ攻撃の指示。エクスライダーカードの強さが、遂にそのベールを脱ぐ。

 

 

「アタック時効果。手札にある龍騎系統のマジックを、ノーコストで使用できる」

「な、マジックをノーコスト!?」

「オレはこの効果で、ファイナルベントのカードを使用。それにより、龍騎サバイブは回復する」

 

 

特定のマジックカードをノーコストで使えると言う驚愕の効果を発揮する龍騎サバイブ。

 

フィールドでは、龍騎サバイブが龍を模したショットガンにカードを装填。

 

ファイナルベント!!

 

と言う音声と共に、赤き武装龍が出現し、バイクへと変形。龍騎サバイブはそれに跨り、走行を開始する。

 

 

「さらに龍騎サバイブ、第二の効果。アタック中にマジックを使用したバトル中、龍騎サバイブはブロックされない」

「ッ……ブロック封じ!?」

 

 

マジックのノーコスト使用。ブロック不可と言うバトルスピリッツのルールそのものを覆す効果を次々と発揮する龍騎サバイブ。

 

そんな無法を極めたような力を持つエクスライダーカードを相手にできる一手は、今のナガレにはなくて。

 

 

「さぁ受けろ。エクスライダーカード、龍騎サバイブの炎を……!!」

「くっ……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ4→3〉花道ナガレ

 

 

「ぐ、ぐぁぁあ!?!」

「ナガレ!?」

 

 

龍騎サバイブは走行中に炎を纏い、そのままナガレのライフバリア1枚を轢き壊す。

 

あまりの破壊力に、ナガレは吹き飛ばされ、地に伏せる。

 

 

「おいナガレ、しっかりしろ!!」

「ぐっ……くっ」

 

 

慌ててナガレの元へ駆け寄るマサル。その声に応えるように、ナガレは力を振り絞り、自力で立ち上がる。

 

 

「立ち上がるか。オレはこれでターンエンドだ」

手札:4

場:【仮面ライダー龍騎サバイブ】真界放

【仮面ライダー龍騎】LV1

 

 

あれだけ優勢であったにもかかわらず、僅か1ターン、僅か1枚のカードで全てがひっくり返った。

 

これが、エクスライダーカードの力。プレイキラーズのリーダー、神林ジンの真の実力だ。

 

 

「おいナガレ、大丈夫なのかよ」

「大丈夫だ。あのスピリットをぶっ倒して、オレは勝つ!!」

 

 

それを知っても尚、ナガレは諦めてはいなかった。寧ろその闘志はより強く燃え上がっている様子。

 

傷ついた身体を奮い立たせ、彼は巡って来たターンを開始する。

 

 

[ターン07]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。カチドキアームズのLVを2に上げて、ジンバーレモンをLV1で再召喚」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズ】LV1(1)BP4000

 

 

ナガレのターン。カチドキアームズのLVが2となったことで、そのBPは8000となり、【Fチェンジ】の効果で手札に戻っていたジンバーレモンが再び呼び出される。

 

 

「アタックステップ。カチドキアームズ、出陣!!」

 

 

一転して攻勢に回るナガレ。ファーストアタックはカチドキアームズが務める。

 

そのBPは8000。ブロッカーとして構える龍騎サバイブに大きく劣るが……

 

 

「フラッシュタイミング。龍玄の効果発揮。カチドキアームズにコア1つを移動させ、BP+3000。これで合計BP11000。龍騎サバイブと並んだぜ」

 

 

龍玄の効果により、カチドキアームズはさらにパワーアップ。BPだけならば、龍騎サバイブと同等の力を得る。

 

BPを比べるスピリットのBPが同じ場合は引き分けとなり、互いに破壊される。このルールに則るのならば、ジンは龍騎サバイブの破壊を避けるために、ライフで受けるか、別のスピリットでブロックすることになるのだが……

 

 

「龍騎サバイブでブロック」

「なに!?」

 

 

その選択は、まさかの龍騎サバイブでブロック。

 

フィールドでは、背中に装着した二振りの旗を手に持ったカチドキアームズが、龍騎サバイブへと襲いかかる。

 

 

「相打ち狙い、せっかくのXレアを見殺しにするつもりか!?」

「そんなわけがないだろう。龍騎サバイブのアタック時効果は、ブロック時にも発揮できる。オレは手札からソードベントの効果を発揮。龍騎サバイブのBPを4000上げる」

「ッ……!?」

 

 

カチドキアームズが、炎を纏わせた二振りの旗を、龍騎サバイブへ振るう。龍騎サバイブは、それをショットガンを盾代わりにして受け止め、その間に再びカードをショットガンの銃口に装填。

 

ソードベント!!

 

と言う音声が発せられた瞬間、銃口から短剣が伸び、それを横一閃に振るうことで、カチドキアームズの旗と胴体を切断。カチドキアームズは爆散し、返り討ちに遭ってしまう。

 

 

「ソードベントの追加効果でドロー」

「そんな、オレのカチドキアームズが」

「これが格の違いだ。カードの力も、カードバトラーとしての力量も、オレと貴様とでは天と地程の差がある」

 

 

毒島とのバトルでは圧倒的なパワーを発揮していた、あのカチドキアームズが、こうも容易く破壊されることになると、誰が予想しただろうか。

 

ナガレは、今初めて、ようやく、ジンと実力差を痛感した。

 

 

「……ジンバーレモンのLVを2に上げて、ターン、エンド」

手札:5

場:【仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズ】LV2

【仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ】真界放

 

 

しかし、勝利を諦めることは許されない。ナガレは精一杯の防御姿勢を取り、ターンエンドを宣言。

 

 

[ターン08]神林ジン

 

 

「メインステップ。2体目のナイトをLV2で召喚し、龍騎のLVを上げる」

 

 

ー【仮面ライダーナイト】LV2(2)BP3000

 

 

ジンは、このバトル2体目となるナイトを召喚したのちに、「アタックステップ」と、静かに宣言する。

 

 

「龍騎サバイブでアタック。その効果で、再びファイナルベントをノーコスト使用。龍騎サバイブを回復」

 

 

前のターンと全く同じだ。龍騎サバイブは、バイクへと変形した赤き武装龍への跨り、ナガレのライフバリア目掛けて走行する。

 

 

「アタック中にマジックを使った時、龍騎サバイブはブロックされない」

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ3→2〉花道ナガレ

 

 

「ぐっ……くぁぁあ!!?」

「ナガレ!!」

 

 

炎を纏った龍騎サバイブの激突は、ナガレのライフバリアを1枚砕くと同時に、彼に強い衝撃と痛みを与える。

 

連戦も祟ったか、ナガレは片膝を地につけたのち、遂に力尽き、再び大地に伏してしまう。

 

 

「ナガレ!!」

 

 

ボロボロになったナガレを目にするなり、マサルは声を荒げる。その声はもう届かないのか、ナガレはぴくりとも動かず、立ち上がる気配を見せない。

 

 

「ターンエンド」

手札:3

場:【仮面ライダー龍騎サバイブ】真界放

【仮面ライダー龍騎】LV2

【仮面ライダーナイト】LV2

 

 

ジンは合計で3体のブロッカーを残し、余裕のターンエンドを宣言。

 

そして、全く動かないナガレを見て………

 

 

「終わったな。せめてもの情けだ。デッキは取らないでおいてやる。これに懲りたら、もう二度と、オレ達プレイキラーズに逆らわないことだ」

 

 

そう告げた。

 

情けを掛けるのは、まだ彼のライフが残っているからだろうか。

 

なんにせよ、ナガレは敗北した。ジンは倒れる彼に背を向け、バトルモードとなったBパッドを閉じようと、溝部に差し込まれたデッキを抜き取ろうと手を伸ばす。

 

 

「待てよ」

「!」

「なに逃げようとしてんだ」

 

 

それに待ったを掛けたのは他でもない、ナガレだ。満身創痍ながらも、自らを奮い立たせ、立ち上がってみせた。

 

 

「ナガレ!!」

「ここからがオレの流れだ。バトルはまだ、終わってねぇ」

「なぜ立ち上がった。そのまま寝ていれば、デッキは助かったはずだ」

「バカ言えよ、オレはバトスピチャンピオン目指してんだぜ。チャンピオンって言うのは、一番強い奴のことだ。一番強い奴が、目の前のバトルから逃げ出すなんて、おかしいだろ」

「ッ……!」

 

 

ナガレの「バトスピチャンピオン」と言う言葉に、ジンは過剰な苛立ちを覚える。

 

 

「貴様がバトスピチャンピオンだと。その程度の実力で大口を叩くな……!!」

「いや、叩くね。オレはオマエも倒して、いつか必ずバトスピチャンピオンになってやる……!!」

 

 

苛立つジン。笑うナガレ。

 

目線で火花を散らし合う2人のバトルは佳境を迎える。

 

 

[ターン09]花道ナガレ

 

 

「行くぜ、ドローステップ。オレは諦めねぇ。自分で選び抜いたカード達と共に、最後まで戦う。それが、バトスピチャンピオンになる男の心意気だ!!」

 

 

ドローステップのドロー直前。ナガレがBパッドの溝部に装填されたデッキに指先を当てる。

 

勝敗を分ける1ターンなのは間違いない。ナガレは、できる限りの気合を指先に注ぐ。

 

 

「ッ……な、なんだ!?」

 

 

その刹那。突如、ナガレのデッキから、炎のような赤いオーラが放出。

 

この世のものとは思えない不思議な現象に、ナガレとマサルは目を丸くする。

 

 

「なんだ、この炎、熱くねぇ」

 

 

困惑しながらも、ナガレはカードをドロー。その瞬間、炎のような赤いオーラは、ナガレのドローしたカードに収束される。

 

彼が、そのドローカードの表面を見てみると………

 

 

「このカード、Xレア。オレのデッキには入ってないはずなのに!?」

 

 

それはバトルスピリッツの最高レアリティ「Xレア」のカードだった。しかも、本来それがないはずのライダーカードのだ。

 

 

「……」

 

 

この謎現象について全く理解できないナガレ。だが、同時に「やはり今は自分の流れなのだ」と直感して……

 

 

「面白ぇ。やっぱ面白ぇぜ、バトルスピリッツ!!……行くぜジン、オレはコイツを召喚する」

 

 

ナガレは勢いのままにメインステップへと移行し、その引いたカードを、己のBパッドへと叩きつける。

 

それは、今後長きに渡り、ナガレのエースカード、相棒となる存在。

 

 

「エクスライダーカード、鎧武 極アームズ……!!」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 極アームズ】真界放(2S)BP10000

 

 

「大大大大、大将軍」の音声を背景に、眩い光と共に参上したのは、銀の西洋鎧を身につけた、新たなる鎧武。

 

エクスライダーカード、極アームズだ。その迫力とプレッシャーは、ジンの龍騎サバイブと同格かそれ以上だ。

 

 

「ナガレがエクスライダーカードを!?」

「馬鹿な、奴の実力で、エクスライダーカードが覚醒するだと」

 

 

エクスライダーカードである極アームズの登場に、マサルだけでなく、ジンも驚いていた。彼程の実力者でも、この展開は想定の範囲外だったのだろう。

 

 

「龍騎サバイブに次ぐ、2枚目のエクスライダーカード。フフ、ハハハ!!!……遂に見つけた」

 

 

ジンの驚きは、やがて笑みへ、笑いへと変わって行く。

 

 

「ここからが本当の勝負。オレの流れはここからだ」

「いや、ここまでだ」

「……え?」

 

 

どう言うことか、ジンはナガレの召喚したエクスライダーカード「極アームズ」が本物であることを確信すると、Bパッドを閉じ、バトルモードを解除。

 

召喚されていた龍騎サバイブや極アームズ、その他の全スピリットが、この場からゆっくりと消滅する。

 

 

「え、ちょっと、なんでだよ、逃げんのか!?」

「そう思ってもらって構わん。だがこれだけは覚悟しておけ。貴様のそのエクスライダーカードは、いずれオレがいただく」

「なにぃ!?…誰が渡すか!!」

 

 

不完全燃焼気味のナガレに対し、ジンが告げた。どうやら、彼の狙いは、ナガレの極アームズらしい。

 

 

「最後に、名前だけ訊いておいてやる」

「ナガレ。花道ナガレだ」

 

 

ジンは、ナガレの名前を訊くと、無言でこの場から去って行く。

 

ナガレは、プレイキラーズと言う仲間がいるはずの彼の背中を目にした途端、なぜか「孤独」と言う単語が頭をよぎる。

 

 

「ナガレ!!」

「マサル」

 

 

ジンが去った後、ナガレの元へマサルが駆け寄る。

 

 

「さっきの、凄かったな!!…あんなカードいつデッキに入れてたんだよ!?」

「え」

 

 

名前を言われていないが、マサルはおそらく「極アームズ」のことを訊いているのだと、ナガレは察する。

 

 

「あぁコイツね。なんか知らない間にデッキに入ってた」

「知らない間に入ってたって。そんなことあるのか?」

「あるからあるんだよ」

 

 

極アームズ、もといエクスライダーカードは、思い返せば思い返す程不思議なカードだ。

 

考えてもキリがない。ナガレはたった今、このカードの謎については深く思考しないと決めた。

 

 

「つーかプレイキラーズのジン。オマエのXレアを見るなり逃げやがって、実はあんまり大したことなかったのかもな」

「いや、それはねぇよ。アイツは本当に強いカードバトラーだった」

 

 

バトルを続けていたら勝っていたのはジンの方だ。途中でやめたのも、おそらくは仕切り直して、自分の方が強いと言うことを証明したいからだろう。

 

ナガレはそれを理解しているからこそ、悔しかった。

 

 

「オレは決めたぜマサル、オレはバトスピチャンピオンになる前に、あのプレイキラーズのリーダー、ジンに勝つ。そのために、もっともっと強くなってやる。この、極アームズと一緒にな」

 

 

ナガレは、ジンとのバトルを思い返しながら、偶然手に入れた「極アームズ」のカードを天に掲げ、誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 




次回、第3話「暴風、必殺のフレイムハリケーン」



******




〈キャラクタープロフィール〉
[No.2]
神林(かんばやし)ジン】
性別:男
年齢:15
身長:165cm
特徴:藍色のツンツンヘアー、白いマント
使用デッキ:【龍騎】
概要:バトルに負けた者達からカードを奪う不良集団「プレイキラーズ」をまとめ上げるリーダー。エクスライダーカードを集めている。
バトルの実力は非常に高く、その真の実力は底が知れない。野良猫に餌を与えたり等、意外と優しい一面も。


******


〈用語設定〉
[No.2]
【ライダーカード】
この世界においての仮面ライダーカードの総称。比較的レアなカードと言う扱い。

・エクスライダーカード
Xレアのライダーカード。本来は存在しないはずの幻のレアカード。ジン曰く「ライダーカードの境地」

******


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