「ここが、龍皇市。わかってはいたけど、凄い都会ね」
年齢は10代半ば程か、バスから降りた金髪ポニーテールの少女が、日差しを遮るように額へ手を当てながら、そう呟いた。
内容からして、龍皇市を訪れた旅行者だろうか。
「遠路はるばる来てやったんだ。待ってなさいよ、神林ジン」
少女の口から出た人物の名は、花道ナガレの宿命のライバル、神林ジン。
これでただの旅行者ではないことが確定。果たして、この少女の正体は………
******
ここは、バトルスピリッツが盛んな都市、龍皇市。
その中にある、のどかな川が流れる河川敷にて、赤帽子を被る少年、花道ナガレと、その親友、たらこ唇の少年、原田マサルは、左腕に装着したBパッドを構え、カードゲーム、バトルスピリッツを行っていた。
「行くぞマサル。召喚、仮面ライダー鎧武 極アームズ……!!」
バトルは終盤。ナガレはBパッドにカードを叩きつけ、白銀の西洋鎧に身を包んだ、エクスライダーカード、仮面ライダー鎧武 極アームズを召喚。
「で、出やがった、ナガレのエクスライダーカード」
「このバトル、ずっとオレの流れが来てるぜ。アタックだ、極アームズ!!」
「う、うぁぁぁあ!!!」
登場直後、極アームズは一本の刀で、マサルの最後のライフバリアを両断。ナガレに、このバトルの勝利を齎した。
「よし、オレの勝ちだな!」
役目を終えた極アームズが、徐々に身体を粒子化させ、消滅する中、ナガレはバトルの勝利を喜び、ガッツポーズを見せる。
「また負けちまった。オマエ、極アームズを手に入れてから絶好調だな」
「おう、いつだって絶好調じゃないと、バトスピチャンピオンにはなれないからな」
カードを狩る不良集団「プレイキラーズ」のリーダー、神林ジンとのバトル後、マサルとの特訓に明け暮れていたナガレ。
その甲斐もあってか、突然デッキに出現した、Xレアのライダーカード、「エクスライダーカード」である極アームズの力を引き出すことに成功していた。
「んじゃ、もう一戦やろうぜ」
「いやいや、少し休もう。いい加減疲れたぞ」
「え〜」
無尽蔵の体力で次のバトルを所望するナガレだったが、早朝から連続で何戦もバトルし続けたマサルは、流石にその場で腰を下ろし、ダウン。
「なら、私と一戦どうかな?」
「あ?」
その時、ナガレに声をかけて来たのは、金髪のポニーテールが特徴的な少女。
「誰?」
「おいおい、めっちゃ可愛くね!?」
少女のアイドル顔負けの端正な顔立ちに反応して、マサルは先程までの疲れがウソのように飛び跳ね、立ち上がる。
「私、
「おぉ、かっこ可愛い系女子!!……最高!!」
「ふふ、ありがと」
現れてからわずか数秒でマサルはトモエに魅力され、その目をハートマークにする。
「さっきの君のバトル、少し見てたよ。エクスライダーカードを使ってたよね」
「ッ……オマエ、エクスライダーカードのことを知ってんのか」
「もちろん。ついでに君のことも詳しいよ。プレイキラーズのリーダー、神林ジン」
「?」
トモエの口から出た「神林ジン」と言う人名に、ナガレとマサルは首を傾げる。
無論、ナガレはジンではない。
「え、なにその反応。違うの?」
「違ぇよ。オレは花道ナガレ。いつかバトスピチャンピオンになる男だ。あんなカードを破ったり奪ったりするような奴と一緒にすんじゃねぇ」
「ごめんごめん、エクスライダーカードを持ってるから、私てっきり」
手を合わせながらナガレに謝罪するトモエ。どうやら、ナガレがエクスライダーカードを持っていると言う理由だけでジンだと決めつけてしまっていたようだ。
「オマエ、オレのことをジンだと思ってバトルを挑んで来たのか?」
「うん、まぁね。神林ジンの強さはそれなりに有名だから」
「ふーん。じゃあやめとく?」
ナガレの問いかけに対し、トモエは口角を上げながら「いや」と返答し………
「俄然やる気になったよ。やろう、ナガレ。私に見せてよ、アンタのエクスライダーカード」
「おう、そう来なくちゃな!!」
ナガレの持つ2種目のエクスライダーカードの存在により、トモエは寧ろやる気になり、Bパッドを取り出すと、左腕にそれを装着する。
「女だからって、甘く見ないでよね」
「当然だ。バトスピに男も女も関係ねぇ。全力でぶつかるだけだ」
互いにデッキをBパッドの溝部へと装填し、バトルの準備を完了させる。
そして……
「掴んでやるぜ、勝利の流れ」
「ゲームスタートだ」
……ゲームオープン、界放!!
龍皇市の河川敷にて、原田マサルが見守る中、花道ナガレと、謎の美少女、芸魔トモエによるバトルスピリッツが、コールと共に幕を開ける。
先攻はトモエだ。
[ターン01]芸魔トモエ
「メインステップ。私はネクサスカード、幻夢コーポレーションをLV1で配置」
ー【幻夢コーポレーション】LV1
「ネクサスカードか」
トモエの初手は、スピリットカードでもマジックカードでもない、第3のカード、ネクサス。
ネクサスカードとは、スピリットとは違い、アタックもブロックもできないが、常にカードバトラーにシンボルと効果を供給し続ける、サポート特化のカードのことだ。
フィールドには、トモエの背後に、巨大な高層ビルが立ち上がる。
「幻夢コーポレーションの配置時効果。手札にある対象カードを2枚までデッキ下に戻し、戻した分だけドロー」
ネクサスも、スピリットと同様に場に出た時の効果を持つ場合がある。
それにより、トモエは手札にある2枚のカードをデッキの下に戻し、新たに2枚のカードをドローした。
「ターンエンド。さぁお手並み拝見だね」
手札:4
場:【幻夢コーポレーション】LV1
全てのコアを使い果たしたことで、トモエはターンエンドを宣言。ナガレの初ターンが巡って来る。
[ターン02]花道ナガレ
「メインステップ。先ずはコイツで行くぜ、仮面ライダーバロン バナナアームズをLV1で召喚」
ー【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1(1)BP3000
ナガレが呼び出したスピリットは、黄色鎧に身を包むライダー、バロン。
「アタックステップ。バロンでアタックだ」
「ライフで受ける」
〈ライフ5→4〉芸魔トモエ
先制攻撃はナガレ。バロンが槍で刺突攻撃を繰り出し、トモエの前方に展開される五重のライフバリア1枚を貫いた。
「オレはこれで、ターンエンド」
手札:4
場:【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1
ライフ1点を捥ぎ取り、ナガレはターンエンドを宣言。バトルは2周目に突入し、トモエの二度目のターンが回って来る。
[ターン03]芸魔トモエ
「メインステップ。私もそろそろスピリットを呼んじゃおうかな。青属性のライダーカード、エグゼイド、LV2で召喚」
ー【仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマー レベル2】LV2(3)BP3000
「ッ……オマエもライダーカードを使うのか」
「ふふ。召喚時効果で、デッキからカードを1枚手札に加えるわ」
トモエが呼び出したのは、ピンクのカラーリングと愛くるしい眼が特徴的な、青属性のライダースピリット、エグゼイド。
その効果により、トモエは新たなカードをデッキから加えた。
「さらに、ソウルコア、セットオン。幻夢コーポレーションの【真界放】を発揮」
「ネクサスに【真界放】だって!?」
トモエが、カードの力を引き出す、赤くて一際大きいコア、ソウルコアを置いたのは、スピリットではなく、まさかのネクサス。
これにより、幻夢コーポレーションは、ソウルコア1つで、LV2相当の力を得る。
「アタックステップ。反撃よ、エグゼイドでアタック」
トモエの指示を聞くと、エグゼイドが天高く跳び上がる。
前のターン、唯一のスピリットであるバロンでアタックしたナガレに、これを防ぐ手段はない。
「ライフで受ける」
〈ライフ5→4〉花道ナガレ
「くっ」
跳び上がったエグゼイドは、落下の勢いを使って垂直キック。ナガレのライフバリア1枚を砕いた。
「トモエちゃん頑張れぇ!!」
「おいマサル、オマエはどっちの味方だよ」
すっかりトモエに魅力されてしまったマサル。親友を差し置いて彼女を全力で応援している。
「エンドステップ。この瞬間、ネクサス、幻夢コーポレーションの効果を発揮。アタックしたエグゼイドを回復」
2人の会話を華麗にスルーし、トモエは効果発揮の宣言。すると、アタックしたことで疲労状態となり、片膝をついていたエグゼイドが立ち上がる。
「アタックしたスピリットが回復!?」
「これで次のターン、エグゼイドでブロックができる。トモエちゃんすげぇ」
これは、ネクサス、幻夢コーポレーションの【真界放】による影響だ。これで次のターンのナガレの攻撃にも対抗が可能。
「ターンエンド」
手札:5
場:【仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマー レベル2】LV2
【幻夢コーポレーション】真界放
ネクサス効果を巧みに使いこなし、攻防一体の展開を見せるトモエ。
彼女がかなりの実力者であることを理解したナガレは、その闘志をより強く燃え上がらせる。
「オレのターンだ……!!」
[ターン04]花道ナガレ
「メインステップ。仮面ライダー鎧武を召喚」
ー【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1(1)BP1000
「召喚時効果で龍玄を手札に加える」
ナガレの2体目のスピリットは、橙色の甲冑の鎧武。オレンジの断面図を模した短剣と刀の二刀流を構える。
「アタックステップ。鎧武でアタックだ」
ナガレの反撃。最初のアタックは鎧武。
その宣言後、彼はすぐさま手札のカード1枚を引き抜く。
「フラッシュタイミング。ソウルマジック、無頼キック」
「!」
「ソウルコア1つをコストに、BP5000以下のエグゼイドを破壊!!」
ナガレの使うソウルマジック。鎧武が跳び上がり、オレンジのエネルギーを全身に纏い、エグゼイドに向かってライダーキック。
炸裂されたエグゼイドは、大地に伏せ、爆散した。
「これでブロッカーは消えた。鎧武のアタックは生きてるぜ」
「くっ……ライフで受ける」
〈ライフ4→3〉芸魔トモエ
ライダーキック後、着地した鎧武は、短剣でトモエのライフバリアを両断。
「続けて頼むぜ、バロン」
「それもライフで受ける」
〈ライフ3→2〉芸魔トモエ
立て続けにバロンの攻撃。槍から繰り出された刺突が、今一度トモエのライフバリアを奪った。
「ターンエンドだ」
手札:4
場:【仮面ライダー鎧武 オレンジアームズ】LV1
【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1
ソウルマジックで相手のフィールドに風穴を開け、怒涛の連続攻撃を決めたナガレ。
ブロッカーがいようとも攻め込んで行けるのが、彼の使う赤属性の特徴だ。
「なるほど、伊達にエクスライダーカードに選ばれてないってことね」
トモエもまた、ナガレの実力を認識。内心で本気で行くと宣言し、巡って来たターンを進めて行く。
[ターン05]芸魔トモエ
「メインステップ。本気見せるよ。先ずは仮面ライダースナイプ ハンターシューティングゲーマーをLV1で召喚」
ー【仮面ライダースナイプ ハンターシューティングゲーマー レベル5(フルドラゴン)】LV1(1)BP4000
トモエのフィールドに、エグゼイドと同様の眼に加え、黒龍の兜を被ったライダー、スナイプ ハンターシューティングゲーマーが出現。
「そして、仮面ライダーパラドクス パズルゲーマーをLV1で召喚」
ー【仮面ライダーパラドクス パズルゲーマー レベル50】LV1(1)BP5000
2回目に呼び出されたのは、青い装甲のライダー、パラドクス パズルゲーマー。両掌を上げ、自らにハンドパワーがあることをアピールする。
「アタックステップ。ハンターシューティングゲーマーでアタック。その効果【レベルアップ】を発揮」
「!」
「ターン中、最初にアタック、ブロックした時、ハンターシューティングゲーマーのLVを2に上げる。よってBPは6000」
「アタックしただけでLVが上がった!?」
ライダーカード、エグゼイド系統にのみ許された効果【レベルアップ】………
アタック、ブロックを行うだけでLVが上昇する優れた効果だ。
「くっ……アタックはライフで受ける」
〈ライフ4→3〉花道ナガレ
「うわ!?」
両腕に電流を迸らせたハンターシューティングゲーマーが、ナガレのライフバリア1枚を殴り壊す。
「次はパズルゲーマーでアタック」
「それもライフだ」
〈ライフ3→2〉花道ナガレ
パズルゲーマーが指先でナガレのライフバリアに触れると、彼のライフバリア1枚は、パズルのような形で亀裂が生じ、砕け散る。
これで、現存するトモエのスピリットは全てアタックを行った。半ば強制的にメインステップ2に入るわけだが、彼女の本領発揮は、ここからで………
「メインステップ2。疲労状態のパズルゲーマーの【Fチェンジ】を発揮。パズルゲーマーを、手札のファイターゲーマーの入れ替える」
ー【仮面ライダーパラドクス ファイターゲーマー レベル50】LV1(1)BP5000
パズルゲーマーが、腰のベルトのアイテムを差し替え、チェンジ。その姿を、赤い装甲、燃える拳を持つライダー、ファイターゲーマーへと変える。
「ファイターゲーマーのFチェンジ時の効果。コスト4以下のスピリット、バロンを破壊」
「なに」
ファイターゲーマーの炎の拳が、バロンの装甲に炸裂。爆発し、塵芥と化す。
「【Fチェンジ】は召喚。ファイターゲーマーは回復している。そしてエンドステップ時、幻夢コーポレーションの効果で、アタックしたハンターシューティングゲーマーを回復」
「2体でアタックしたのに、ノーコストで2体のブロッカーを立てやがった」
攻防一体の隙のないプレイングでナガレを追い詰めるトモエ。
バロンを失い、鎧武のみとなったナガレは、この状況から勝利の流れを掴むことができるか。
[ターン06]花道ナガレ
「ドローステップ……!」
このターンのドローステップ。ナガレは引いたカードを目にするなり、口角が上がる。彼の流れがやって来たのだ。
「メインステップ。ようやく来たぜ、オレの勝利の流れ」
「!」
「行くぜトモエ。今からお望みのカードを見せてやる」
そう告げると、ナガレはこのターンにドローしたカード1枚を、己のBパッドへと叩きつけ、高らかに声を張り上げる。
「オレのエクスライダーカード、仮面ライダー鎧武 極アームズ、LV1で召喚……!!」
ー【仮面ライダー鎧武 極アームズ】LV1(1)BP8000
「大大大大、大将軍」の音声と共に、白銀の西洋鎧を纏う、ナガレのエクスライダーカード、極アームズが出現。
「来た、エクスライダーカード。なんて迫力」
「極アームズの召喚時効果。BP5000以下のスピリット、ファイターゲーマーを破壊する」
「!」
極アームズは、腰のベルトのスイッチを捻ると、光と共に鎧武 オレンジアームズと同じオレンジの断面図を模した短剣が出現させ、それを装備。
そのまま振い、橙色のエネルギーを飛ぶ斬撃として放ち、トモエのフィールドのファイターゲーマーを両断、破壊する。
「これでブロッカー1体は消した。アタックステップ、行って来い鎧武」
「ッ……こっちにはまだハンターシューティングゲーマーがいるのに、そっちでアタックするって言うの」
アタックステップが開始。ナガレが先陣を切らせたのは、極アームズではない、オレンジアームズの方の鎧武。
BPは低いため、このままだと返り討ちに遭うのは目に見えているが……
「フラッシュタイミング。ソウルマジック、唸れ暴風、フレイムハリケーン!!」
「!」
「ソウルコアのみをコストに、BP7000以下のハンターシューティングゲーマーを破壊する……!!」
巻き起こったのは、読んで字の如く、まさしく炎の竜巻。それはハンターシューティングゲーマーを飲み込み、焼き尽くす。
「そんな、エクスライダーカード以外にもこんなカードを持ってるなんて」
「鎧武のアタックは続いてるぜ!!」
「くっ……ライフで受ける」
〈ライフ2→1〉芸魔トモエ
鎧武が短剣と刀の二刀流を振い、トモエのライフバリア1枚を斬り捨てる。
これで残り1枚。待っていたと言わんばかりに、極アームズが、火縄銃型の武器に刀を装填し、巨大な大剣を形成する。
「ラストだ。決めろ、極アームズ……!!」
エクスライダーカード、極アームズは、両手で握った大剣に、様々な果実型のエネルギーを纏わせ、それを一気に放出。
その勢いと威力は、瞬く間にトモエの最後のライフバリアを飲み込んで行き………
「凄い。まさか神林ジン以外にもこんなカードバトラーがいるなんて。龍皇市に来た甲斐があったよ。ライフで受ける」
〈ライフ1→0〉芸魔トモエ
砕かれた。
トモエのBパッドから、彼女の敗北を告げるように「ピー……」と言う甲高い機械音が鳴り響く。逆に、ナガレにとってその音は、勝利の凱歌だ。
「っしゃあ!!…オレの勝ちだな」
ナガレが勝利を喜ぶ中、最後まで場に残った極アームズと鎧武が粒子化し、消滅。2人のバトルは完全に幕を下ろした。
「トモエちゃん負けちゃった」
「だからオマエはどっちの味方なんだよ」
今回はナガレではなくトモエを応援していたマサル。彼女が敗北したことで肩をすぼめる。
「いやぁ、凄かったね。まさか2体のブロッカーを破壊しつつライフも2つ奪うなんて。完敗だよ」
「何言ってんだ。トモエも凄かったぜ、サンキューな、またやろう」
「うん。そのうちね」
バトル後、戦った2人は互いの健闘を讃え合い、握手を交わす。
実際はかなり紙一重のバトルだったと言える。ナガレの手札に「極アームズ」か「フレイムハリケーン」のいずれかがなかった場合、勝敗の行方は、まだわからなかったことだろう。
「いいな〜ナガレ。トモエちゃんと握手して」
「私、マサル君ともバトルしたいな」
「え。本当!?…マジ!?」
憧れのトモエにバトルのお誘いを受け、マサルは跳び上がる程に大喜び。
「おい聞いたかナガレ。マサル『君』だってよ。オマエは呼び捨てなのに対して、『君』付だぞ!!」
「そこ喜ぶとこじゃなくね?」
「あ、でも今日はもう夕暮れだね。明日でもいいかな?」
「もちろん!!」
正直今すぐにでもとお願いしたいところだったが、旅行者であるトモエに無茶はさせられない。マサルは明日にトモエとバトルができる喜びを胸に刻みながら、それを承諾した。
「そういやトモエ。オマエ旅行者だろ、今晩どこに泊んの、ホテル?」
ナガレがトモエに訊いた。トモエは龍皇市の住民ではないため、当然の疑問であると言える。
トモエは、そんなナガレに対して微笑みながら返答する。
「うん。だから今日はナガレの家に泊まらせてもらおうかな」
「え」
「いいでしょ?」
トモエのこの発言に一番驚いたのはマサルだ。ナガレは特に気にすることなく、笑みを浮かべながら「おう、いいぞ」と、言葉を返した。
******
同時刻。普通に暮らしていては確実に通ることはない、裏路地にある廃工場にて。
「やれ、龍騎サバイブ……!!」
突如、雄叫びと共に炎が巻き上がる。その中心にいるのは、花道ナガレの宿命のライバル、神林ジンと、そのエクスライダーカード、赤き装甲を纏う騎士、龍騎サバイブ。
龍騎サバイブは、巻き上がった炎を、己が持つ、赤き龍を模したショットガンに集約させ、炎の弾丸を撃つ。
「う、うぁぁぁあ!!!」
撃たれた炎の弾丸は、1人の少年の最後のライフバリアへ直撃。
それを粉砕されたことで、少年は敗北。あまりの余波によって吹き飛ばされ、タイヤの山に身体が埋められる。
「さぁ次だ。早く来い」
「ヒィッ……」
「か、勘弁してくださいよジンさん。オレら、もう限界っす」
見渡せば、ジンの周囲には十数名の柄の悪い少年達。どうやら皆、プレイキラーズ、ジンの部下のようだ。
「フン。意気地なし共が」
戦意を失い、誰も自分とは戦えないと悟ったジンは、呆れ果て、タイヤの山の頂点へ跳び上がり、腰を下ろす。
「い、一体どうしたんすかジンさん。いきなりオレらを相手に模擬戦だなんて」
「オレら、何か癪に障ることでも」
メンバーの内2人が、腰掛けるジンに、怯えながらそう訊いた。余程今のジンの様子が妙に見えるのだろう。
その問い掛けに対し、ジンは不適と言える角度に口角を上げて………
「来たんだよ。オレの欲するカードがな」
直後。先日激闘を繰り広げたばかりの相手、ナガレの顔を頭の中に思い浮かべながら……
「待っていろ花道。明日、この手で貴様からエクスライダーカードを奪ってやる」
そう呟いた。
花道ナガレと神林ジン。宿命の2人の決着は、もうすぐそこまで迫っている。
次回、第4話「突撃、プレイキラーズ本拠地」
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〈キャラクタープロフィール〉
[No.3]
【
性別:女
年齢:14
身長:160cm
特徴:金髪のポニーテール
使用デッキ:【エグゼイド(パラドクス軸)】
概要:各所を旅して回っている、自称「さすらいのカードバトラー」
容姿端麗で、バトルの腕前も一級品。エクスライダーカードの使い手を探しているようだが。
******
〈用語設定〉
[No.3]
【龍皇市】
ナガレ達が住む街。かなり都会で、日本の中でも、特にバトルスピリッツが盛んだと言われている。
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ナガレ、ジン、トモエの3人は、それぞれゲッターロボのゲッターチーム3人の名前がモチーフとなっております。