バトルスピリッツ ソウルライダーズ   作:バナナ 

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第4話「猛進、毒島の本気」

 

 

 

 

「ささ、トモエちゃん、たくさん作ったから、遠慮しないで、食べて食べて」

「はい。ありがとうございます」

 

 

エプロンを着用した、ツインテールの女性が、テーブルにずらりと並んだ様々な料理を見せながら、放浪の旅を続ける金髪ポニーテールの少女、芸魔トモエに言った。

 

 

「いただきます!!」

「ナガレ、アンタ手洗ったの?」

「洗った洗った!」

 

 

ここは、龍皇市にある、花道ナガレの家。

 

彼の家族、父、花道リョウマと、母、花道マイは、宿泊にやって来た金髪ポニーテールの少女、芸魔トモエを暖かく歓迎していた。

 

 

「母さん、なんか今日豪華だね」

 

 

リョウマがマイに訊いた。

 

 

「今日はトモエちゃんの歓迎会よ。腕に寄りを掛けるに決まってるじゃない」

「急にお邪魔することになった私なんかのために、ありがとうございます」

「そんなそんな、いいのよ。まさかあのナガレが家に女の子を連れて来るなんてね〜。明日は隕石でも落ちて来るんじゃないかしら」

 

 

基本異性に興味がなくて、発言も幼稚な息子、ナガレが女の子を連れて来たことで、母であるマイは喜んでいる様子。

 

いつの時代も、親にとって、子供が大人の階段を上がる瞬間は嬉しいものだ。ただ実際のところ、ナガレは何も考えてはいないのだが。

 

 

「おいナガレ。オマエ、こんな可愛い娘どこで見つけて来たんだよ」

「河川敷で会った。トモエ、バトスピめっちゃ強いんだぜ」

「はは、オマエはそればっかりだな」

 

 

今度は父、リョウマがナガレに訊いた。ナガレは口に物を入れながら返答する。

 

 

「どうしたのトモエちゃん。お口に合わない?」

「トモエ、いっぱい食わねぇとバトスピする時倒れるぞ」

「アンタは少しは遠慮しなさい」

 

 

マイは、トモエの食があまり進んでいないことに気がつく。お口に合わないと言う懸念もあったが、それ以上に具合が悪い可能性があるのが、とても心配だった。

 

 

「いえ、とても美味しいです。ただ」

「ただ?」

「私、父と母は物心付く前に亡くなって、兄弟4人で暮らしてたんですけど、末っ子だから、いつも食べる順番は一番最後でして。だからこう言う、一家団欒してお食事は、見るのも初めてなんです」

「……」

 

 

話を半分しか聞かず、呑気に食していたナガレは別だったが、他2人、リョウマとマイは硬直した。

 

今のトモエの一言から、彼女の凄惨な家庭環境が垣間見えたからだ。

 

 

「トモエちゃん」

「はい」

「トモエちゃんでよかったら、一生ウチに居ていいからね」

 

 

マイが、トモエの手を強く握りながら、そう告げた。突然のことに意味がわからず、トモエは困惑気味。

 

 

「え。なんですか急に。そこまでお世話になるわけには」

「いいや、もうトモエちゃんは花道家の家族も同然。そう言う流れだ。よし、親睦を深めるのために、ここはオレがいっちょ腹踊りを」

 

 

腹を出して踊ろうとしたリョウマを、マイが「やめんかバカ」と、強い口調を発しながら、しゃもじを投げつけて強引に止める。

 

 

「なんで止めるの母さん」

「恥を晒すな恥を。せっかくのムードが台無しじゃろがい」

「……ナガレ。アンタの家族、良いな」

「だろ?」

 

 

微笑ましい喧嘩を表したような、リョウマとマイの言い合いを目にしたトモエは、心が温まるのを感じながら、横でご飯を食べているナガレにそう告げた。

 

 

 

******

 

 

「なぁ、トモエはエクスライダーカードのことを知ってるんだよな?」

「え、うん。それがどうしたの」

「いやさ。オレ全然詳しくなくて。良ければ教えてくれないか」

 

 

星々が輝き続ける夜。

 

風呂上がりのナガレとトモエは、屋上で談笑。その中で、ナガレはトモエにエクスライダーカードのことについて訊いた。

 

 

「ごめん。実は私もあんまり詳しくはなくて」

「そっか〜」

「でもわかってることもある。エクスライダーカードは、強いカードバトラーの前に覚醒して姿を現す。きっとナガレも、その強さに到達したんだと思う」

 

 

ナガレの質問に対して、トモエは現状でわかっていることだけを述べる。ナガレは、以前神林ジンも似たようなことを話していたことを思い出す。

 

 

「ジンも似たようなこと言ってたな。オレってやっぱり凄い奴だったのか」

「はは、ナガレってすぐ調子に乗るよね」

「ウチの父さん程じゃねぇよ」

 

 

トモエが「言えてるかも」と言い返すと、笑い合う2人。直後、同時に星空を見上げるように寝そべる。

 

 

「ナガレの夢はバトスピチャンピオンになることだったよね」

「あぁそうさ。夢はデカい方が叶え甲斐があるからな。いつか絶対なってやるぜ」

「実は私にも夢があるんだ。無敵を超えるって言う夢が」

「無敵を超える?」

 

 

寝そべりながら互いの夢を語らう2人。その間にトモエの口から出た「無敵を超える」と言うフレーズに、ナガレは頭の上にハテナを浮かべる。

 

 

「えぇ。無敵の人を倒して、認めさせるんだ。私の存在を」

「……」

 

 

親切と優しさで覆い被せたような表情しか見せないトモエが、珍しく私怨を表したような表情を覗かせる。

 

ナガレとしては、「無敵の人」が誰のかが気になるところだが、トモエの静かな怒りを感じたため、そのことを訊くことはしなかった。

 

 

「そっか。ならトモエも、今よりもっと強くならねぇとな。明日、早速特訓だ」

「うん。マサル君とのバトルも楽しみだよ」

 

 

ナガレが話を逸らすと、トモエは元の優しい表情に戻る。ナガレが彼女の事情を知ることになるのは、もう少し先の話だ。

 

 

 

******

 

 

「トモエちゃん、まだかな〜」

 

 

早朝。太陽がちょうど山の上に収まる時間帯。たらこ唇が特徴的な、花道ナガレの親友、原田マサルは、いつもの場所、河川敷にて、ナガレとトモエが来るのを、今か今かと待ち侘びていた。

 

正確に言えば、トモエだ。彼女に一目惚れしてしまったマサルは、彼女とのバトルが楽しみでしょうがなかった。

 

 

「つか、ナガレの奴ふざけやがって、トモエちゃんはオレの家に泊まる予定だったのによ」

 

 

ナガレに対して愚痴るマサル。実際にはトモエの方からナガレの家に泊まりに行ったのだが、要するに負け惜しみだ。それに、当のナガレは、そんなこと考えてすらいない。

 

 

「まぁいい。トモエちゃんとバトルさえできれば、オレは幸せ〜」

「そうか。なら、オレ達ともバトルしてもらおうか」

「え」

 

 

ナガレに対する恨みと、トモエに対する愛情が交差して情緒不安定なマサル。

 

そんな彼の元に、柄の悪い少年達が数人まとめて現れる。

 

 

「だ、誰だよオマエら」

「オレ達は神林ジンさん率いるプレイキラーズのメンバーだ」

「!」

「一緒に来てもらうぜ、たらこ君」

 

 

次の瞬間、プレイキラーズのメンバーは、数人でマサルを取り囲む。その後、河川敷で彼の姿を目撃した者は、誰一人としていなくて。

 

 

******

 

 

「やべぇ。遅刻だ遅刻だ!!」

「全く。デッキの調整に時間を費やし過ぎだよ。河川敷に着いてからでもよかったのに」

「着いた時には忘れてるかもしれないだろ。デッキのアイデアは一期一会なんだよ」

 

 

それから小一時間程の時が経過した。ナガレとトモエは、マサルと合流するため、河川敷に向かって全力疾走中。

 

遅刻の理由は、彼らの会話から察せられる通り、ナガレがデッキの中身をなかなか決められなかったからだ。

 

 

「マサル君怒ってるんじゃない?」

 

 

トモエが走りながら、ナガレに訊いた。

 

 

「アイツはんなことじゃ怒んねぇよ。バトスピは弱いけど、底なしに優しい奴なんだ」

「バトスピ弱いは悪口でしょ」

 

 

ナガレの返答を訊いたトモエは、同時に「でも、それならマサル君には期待できないかもな」とも呟いた。

 

それを微かにしか耳にしてなかったナガレは「なんて?」と訊いたが、トモエは「なんでもない」と返し、話を切り上げる。

 

 

「お、着いたね、河川敷」

「マサル、いなくね?」

 

 

会話を交えながらも、2人は息を切らすことなく、目的地の河川敷に到着。

 

しかし、そこにはマサルの姿はなくて。

 

 

「ナガレが待たせ過ぎたから、呆れて帰っちゃったんじゃない?」

「マサルに限ってんなことあるか。それにアイツ、昨日あんなにオマエとのバトルを楽しみにしてたんだぜ。来ないはずねぇよ」

 

 

ここで考えていても始まらない。ナガレは、取り敢えず連絡だと思い、バトスピだけでなく、電話もできる端末、Bパッドを使って、マサルと連絡を取ろうとした、その直後………

 

 

「あれ、噂をすればマサルから電話だ」

「なんだ良かった。まさかマサル君も遅刻?」

「そうかも。珍しいこともあるもんだ」

 

 

ちょうどマサルからの着信が来た。安堵したナガレは、笑みを浮かべながらその着信に応じる。

 

 

「もしもし。珍しいなマサル、オマエが遅刻なんて。憧れのトモエちゃんとのバトルが楽しみ過ぎて寝れなかったのか?」

「あぁ。だから今、寝ているよ」

「ッ……その声、ジン!?」

「え。ジンって、まさか神林ジン!?」

 

 

電話して来たのはマサルではなく、まさかの神林ジン。カードを狩る不良集団プレイキラーズをまとめ上げるリーダーにして、ナガレの宿命のライバルだ。

 

 

「ジン。なんでオマエがマサルのBパッドから電話なんか」

「察しが悪いな花道。今しがた話しただろう。『寝ている』とな」

「ッ……マサルになにしやがった!!」

 

 

会話の中、ジンがマサルを連れ去ったことを悟ったナガレは、電話越しで彼に激昂する。

 

 

「別になにもしないさ。貴様が、オレとのバトルに応じればな」

「なに」

「今から指定されたポイントに来い。そこはオレ達プレイキラーズのアジトだ。いつぞやの決着をつけるぞ」

「ふざけんな。オレとバトルしたいなら、人質なんか取らずに真正面から正々堂々と向かって来やがれ!!」

「待っているぞ。貴様のエクスライダーカードは、オレが貰う」

「おい、聞けよ!!」

 

 

一方的に要件を話したジン。ナガレの話に耳を傾けることなく電話を切る。

 

その直後、ジンが送ったのだろう、ナガレのBパッドに、位置情報のみのメッセージが送信された。十中八九、それがプレイキラーズの本拠地であろう。

 

 

「切りやがった。聞く耳無しかよ。つまらねぇ真似しやがって」

「ねぇ。ジンはなんて?」

 

 

電話後、トモエがナガレに訊いた。

 

 

「マサルがプレイキラーズに攫われちまった。助けたかったら連中のアジトに行けってさ」

「まぁ大変。それなら急いで助けに行かないと」

「……トモエ、なんか楽しそうだな」

「え。まさか、そんなわけないでしょ」

 

 

マサルがプレイキラーズに誘拐されたこの状況。笑えるところなど当然ないはずだが、ナガレには、それを聞いたトモエが僅かに微笑んでいるように見えていた。

 

 

「ほら。そうと決まったら、マサル君の救出にレッツゴーよ」

「おぉ。そうだな。待ってろよ、マサル」

 

 

トモエが、何かを取り繕っている気がするナガレだったが、今はそんなことは気にしていられない。マサル救出のため、指定された場所へと足を運ぼうとしたが………

 

 

「待てよ」

「!」

「悪いが、オマエがジンさんのところへ辿り着くことはねぇ」

 

 

それを制止させる一声を上げつつ、ナガレ達の行手を阻んだのは、小太りで、頭にバンダナを巻いている、体格の大きな少年。

 

 

「オマエ、毒島」

 

 

そう。その少年の名は毒島トミオ。

 

プレイキラーズのメンバーだ。いや、厳密には元メンバー。彼は既にジンによって強制的に脱退させられている。

 

 

「誰」

「ジンの仲間」

「元、仲間な」

 

 

突然現れた毒島に首を傾げるトモエ。ナガレが説明するが、それに対し、毒島は辛そうな顔をしたまま訂正を入れる。

 

 

「毒島。オレがジンのところに辿り着けないってどう言うことだよ」

 

 

ナガレが毒島に訊いた。

 

 

「単純な話だ。オマエはここでオレに負けて、デッキを奪われるからだ」

「なに」

 

 

すると毒島は、懐から取り出したBパッドを左腕に装着し、その溝部へとデッキを装填し、バトルの準備を早々に完了させる。

 

 

「バカ言え。今はオマエなんかの相手してる暇ねぇんだよ」

「暇がなかろうが、受けてもらうぞ。オレはオマエにリベンジを果たして、ジンさんが欲しているオマエのカードを手土産に、再びプレイキラーズに入れてもらわないといけないんだ」

「毒島……」

 

 

毒島がナガレに向ける視線は、真剣そのものだった。

 

リベンジを果たし、欲望を満たしたい、本気になったカードバトラーの眼差し。それを向けられては、ナガレも断ることはできない。

 

 

「わかった。やろうぜ」

「ちょっとナガレ、いいの?」

「よかねぇ。よかねぇけど、ここで逃げ出したら、オレはカードバトラー失格だ」

 

 

こうなって仕舞えば、トモエがいくら止めようとしても、ナガレは止まらない。

 

彼もまた、Bパッドとデッキを用意し、バトルの準備を完了させる。

 

 

「承諾、感謝するぜ。だが生憎、もうオマエは勝利の流れを掴めねぇ」

「……そう言やオマエ、デッキ新しく作れたんだな」

 

 

以前、ジンが毒島のデッキのカードを破り捨てたことを思い出しながら、ナガレが言った。

 

 

「あぁ。それがどうした」

「いや、良かったなって!!」

「……煽ってんのかテメェ。オレのデッキなんざ、テメェにとってはどうでもいいことだろうが」

「まぁそう怒んなよ。やろうぜ」

 

 

デッキを失った毒島が新しいデッキを手にできたことに対して、屈託のない純粋な笑みを浮かべるナガレ。

 

それに腹を立てた毒島は、彼にBパッドを向け、構える。

 

 

「今日こそぶっ倒してやる。花道ナガレ」

「やれるもんならな。行くぜ毒島」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

舞台は同じく龍皇市の河川敷。芸魔トモエが見守る中、花道ナガレと毒島トミオの2人によるバトルスピリッツが、今一度幕を開ける。

 

先攻は毒島だ。ナガレへのリベンジを胸に、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン01]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。オレ様はパッファーをLV1で召喚」

 

 

ー【パッファー】LV1(1)BP2000

 

 

「緑属性のスピリット!?…BP2000しかねぇぞ」

 

 

毒島が呼び出したのは、緑色のハリセンボン型のスピリット、パッファー。

 

そのBPは僅か2000。前のバトルでBPの高いスピリットを多用していた毒島が使用するとは到底考えられないカードだ。

 

 

「召喚時効果。トラッシュに1つコアブースト。オレはこれでターンエンドだ」

手札:4

場:【パッファー】LV1

 

 

緑属性の特徴は、コアを増やすコアブースト効果。毒島は、召喚したパッファーの効果を使い、1つコアブーストしたところで、ターンエンドを宣言。

 

次はナガレのターンだ。前とは異なる戦い方を見せる毒島に困惑しながらも、ターンを進める。

 

 

[ターン02]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。先ずはバロンで行くぜ」

 

 

ー【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1(1)BP3000

 

 

ナガレの最初のスピリットは、黄色い装甲と、長槍を装備したライダー、バロン。彼のデッキ随一のパワーファイターだ。

 

 

「アタックステップ。バロン、毒島のライフを貫け!!」

 

 

召喚されたバロンに、ナガレが攻撃の指示。バロンは自身の効果によりBPを5000に上昇させる。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5→4〉毒島トミオ

 

 

BPの低いパッファーを無駄死にさせる選択肢は取らず、毒島はバロンのアタックをライフで受ける宣言。

 

バロンの長槍による刺突攻撃が、彼の五重に重なるライフバリア1枚を貫く。

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

 

 

先制点を得たナガレ。一度ターンエンドを宣言し、毒島の様子を伺う。

 

 

[ターン03]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。オレは、2体目、3体目のパッファーを連続召喚」

 

 

ー【パッファー】LV1(1)BP2000

 

ー【パッファー】LV1(1)BP2000

 

 

「2体の召喚時効果で、トラッシュに2つコアブースト」

 

 

毒島は2、3体目のパッファーを連続召喚。効果を使い、さらにコアブーストを加速させる。

 

 

「スピリットが揃って来たな。来いよ」

 

 

ナガレのバロンは、前のターンにアタックを行ったことにより疲労状態。故にブロックはできない。

 

対して毒島には、BPが低いとは言え3体のスピリット。アタックするには絶好のチャンス。

 

ナガレはこのターン、1つか2つ程度のライフが失われることを覚悟していたが………

 

 

「いや、オレは何もしねぇ。これでターンエンドだ」

手札:3

場:【パッファー】LV1

【パッファー】LV1

【パッファー】LV1

 

 

「なに!?」

 

 

毒島は、ここでまさかのターンエンド。ナガレのライフを奪い取る絶好のタイミングを逃した。

 

ジンには遠く及ばないものの、彼もまた実力者。このチャンスに気がつかないわけがないはずだが。

 

 

「BPの低いスピリットを並べただけでターンエンドって。マジかよ。オマエ、本当に毒島か。まさか着ぐるみじゃねぇだろうな!」

「な訳あるか!!…エンドと言えばエンドだ。さっさとターンを進めろ」

 

 

ターンが進めば進む程、毒島のプレイングの意図が理解できなくなるナガレ。

 

困惑し続けながらも、取り敢えずターンを進める。

 

 

[ターン04]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。なに考えてるか知らねぇけど、そっちが来ないなら、こっちから行くぜ。2体目のバロンをLV1で召喚」

 

 

ー【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

 

 

ナガレもここで同種のカードを呼び出す。数ではやや不利だが、BPとスピリットの質では、圧倒的にナガレの優勢となる。

 

 

「アタックステップ。2体のバロンでアタックだ」

 

 

2体のバロンが、長槍を手に走り出す。3体のパッファーをブロッカーとして従えている毒島だが………

 

 

「そのアタック、全てライフで受けるぜ」

「!?」

 

 

〈ライフ4→3→2〉毒島トミオ

 

 

「ぐっ……」

 

 

バロン2体が、ハリセンボンの如き針を膨らませて待機していたパッファーを素通り。

 

長槍による刺突で波状攻撃を繰り出し、そのまま毒島のライフバリア2つを粉砕した。

 

 

「ブロックもしないなんて。一体なにを考えてんの」

 

 

そう呟いたのは、バトルを静観しているトモエだ。

 

バトルが始まってから早4ターン、召喚したスピリットを一度も動かさない毒島のプレイングは、もはや一種の不気味さすら感じさせていた。

 

 

「……ターンエンド」

手札:4

場:【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

 

 

毒島の不自然なプレイングに疑問を抱きながらも、ナガレはターンエンドを宣言。

 

 

「毒島。オマエ、本当はプレイキラーズ、ジンの元に戻りたくないんじゃないのか?」

「あ?」

 

 

その直後、ナガレは毒島に訊いた。

 

 

「なに言ってんだオマエ」

「ここまでアタックもブロックもしねぇんだ。わざとオレに負けようとしているようにか見えねぇよ」

 

 

ナガレの意見はもっともである。間もなく5ターン目を迎えるバトルの中、毒島のプレイングはスピリットの召喚のみ。

 

わざとナガレに負けようとしているようにしか見えない。と評価されても、なんらおかしくはない。

 

 

「それに、ジンはオマエの大事なカードを破り捨てたんだぞ。あんな奴の元に戻りたいなんて、普通思わねぇって」

「……オマエ如きに、オレとジンさんのなにがわかる」

「!」

「ジンさんはオレの憧れ。ジンさんがオレを裏切ることはあっても、オレの方からジンさんを裏切ることなんざ、死んでもありえねぇ!!」

 

 

ジンへの並々ならぬ感情を、そのまま言霊に乗せてナガレへとぶつける毒島。

 

彼らの過去になにがあったかは定かではないが、少なくとも、毒島の言葉は本心から来るものに違いはない。彼がジンを裏切ると言うことは先ずあり得ないだろう。

 

 

「だから、オレとジンさんの関係を無茶苦茶にしたオマエだけは絶対に許さん。オレの本気を持って、叩き潰してやる。そして戻るんだ、ジンさんのいるプレイキラーズに」

 

 

この毒島の発言に対して、ナガレは「ただの逆恨みじゃねぇか」とリアクション。さらに毒島は、それを「喧しい」と一蹴したのち、巡って来たターンを進めて行く。

 

 

[ターン05]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。オレは耐えた」

「?」

「耐えて耐えて、耐え抜いた。見せてやるぜ、敵の攻撃を耐え抜いた先で得られる、圧倒的パワーをな」

 

 

ターン開始直後、毒島はドヤ顔を見せながら、コアブースト効果と、ライフ減少により増えたコアを支払い、手札のカードを2枚、同時にBパッドへと叩きつける。

 

 

「オレ様のパワー、それ即ち、Xレアカード。深巣ダンテクレオを2体、連続召喚!!」

 

 

ー【深巣ダンテクレオ】LV2(4)BP9000

 

ー【深巣ダンテクレオ】真界放(1S)BP9000

 

 

河川敷に流れる河口より、水飛沫と共に浮上して来たのは、硬質な甲殻を頭部に纏う、巨大な2匹の魚。

 

それは最上級レアリティ「Xレアカード」の1種、深巣ダンテクレオ。本気になった毒島のエースカードである。

 

 

「Xレア2体同時召喚!?…これを狙っていたのか」

「そうとも。コアブーストだけをひたすらに行い、アタックを全てライフで受けていたのはこのためよ。不足分のコスト確保で、パッファー2体は消滅」

 

 

3体いるパッファーの内2体がコア不足により消滅してしまうが、それを補って余りある状況が誕生した。

 

 

「ダンテクレオの召喚時効果。このターン終了時まで、甲魚スピリット2体のBPを+3000する。2体召喚したことにより、これを2回使うぜ」

「!」

「ガハハハ!!!…スーパーパワーアップ!!」

 

 

ダンテクレオの強力な召喚時効果が発揮。

 

これにより、2体のダンテクレオのBPは12000。残ったパッファーは、この効果を二度受けたことで、BP8000にまで上昇した。

 

 

「アタックステップ。ダンテクレオでアタック」

 

 

毒島の反撃の狼煙が上がる。ダンテクレオが、ナガレの無傷のライフバリアへと向かって、宙を泳ぐ。

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5→4〉花道ナガレ

 

 

「ぐっ」

 

 

ダンテクレオが大顎でナガレのライフバリア1枚を噛み千切る。

 

 

「2体目のダンテクレオでアタック。フラッシュタイミング。ダンテクレオのさらなる効果。ターンに一度、自身以外の甲魚スピリットを回復させる」

「!」

「オレはこの効果で、別のダンテクレオを回復。そしてもう1体のダンテクレオの効果、またまた別のダンテクレオを回復」

「な、ダンテクレオが2体とも回復した!?」

 

 

ダンテクレオ2体が咆哮を張り上げる。すると、パッファーを含めた3体の身体は共鳴するように緑色に発光。疲労状態から回復状態となり、このターン、二度目の攻撃権利を獲得する。

 

 

「どうだ花道ナガレ。ダンテクレオが2体揃えば、互いが互いの効果で回復し、BP10000超えの4回アタックが可能なのだ!!」

「くそ、2体目のアタックもライフで受ける」

 

 

〈ライフ4→3〉花道ナガレ

 

 

相乗効果により回復したダンテクレオが、ナガレのライフバリアへと食らい付き、それ1枚を噛み砕く。

 

 

「まだまだ、回復した2体のダンテクレオで二度目のアタック。奴のライフを貪り尽くせ!!」

「ライフだ……!」

 

 

〈ライフ3→2→1〉花道ナガレ

 

 

「うぁぁ!?」

 

 

獲物を捉えたピラニアの如く、2体のダンテクレオが、ナガレのライフバリアに食らい付き、それをさらに2枚噛み砕く。

 

 

「たった1ターンでナガレのライフが1に。あのぽっちゃり、結構強い」

 

 

僅か1ターンで風前の灯となったナガレのライフバリアを目にしたトモエがそう呟く。

 

それに対して言い返すように、毒島は「1じゃ終わらせねぇ、0だ!!」と、強く宣言したのちに、アタック可能な最後の1体、パッファーのカードへと指先を添える。

 

 

「パッファーでラストアタック、トドメだ花道ナガレ。オレにオマエのカードをよこしやがれ!!」

 

 

毒島のラストアタック宣言。その指示を受けたパッファーが、身体を膨らませて、体表に張り付いている数多の針をナガレの残り1枚のライフバリアへと向けて飛ばす。

 

 

「ナガレ!!…ここで負けて、エクスライダーカードを取られたら、マサル君を助けられないよ!!」

 

 

追い詰められたナガレに向かって、トモエが叫ぶ。

 

 

「わかってる。だから負けねぇ。ここで勝って、ジンにも勝つんだ。フラッシュタイミング。唸れ暴風、ソウルマジック、フレイムハリケーン!!」

 

 

ナガレはここで起死回生の一手。赤属性必殺のソウルマジック、フレイムハリケーンを超動。

 

フィールドに、炎纏う竜巻を発生させる。

 

 

「効果により、BP7000以下のスピリット1体を破壊する」

「ガハハハ!!…馬鹿め。今のパッファーは、ダンテクレオ2体分の効果を得て、BP8000。その程度の竜巻じゃ破壊できねぇ!!」

 

 

勝ち誇る毒島の表情を見るや否や、ナガレの口角が上がる。

 

 

「馬鹿はそっちだぜ。フレイムハリケーンは、このターン、オレのライフが減っていた場合、破壊の上限を、10000以下に変更する」

「なに!?」

「アタック中のパッファーを焼き尽くせ!!」

 

 

フィールドで発生した炎の竜巻は、より強い炎を纏い、パッファーを、飛ばした数多の針ごと、焼き尽くして見せる。

 

 

「どうだ毒島ぁ。まだまだバトルは終わらないぜ」

「クソが。いい気になるなよ。ターンエンド。ダンテクレオの効果は切れ、BPは元の9000に戻る」

手札:2

場:【深巣ダンテクレオ】真界放

【深巣ダンテクレオ】LV2

 

 

攻め手を失った毒島は、堪らずターンエンドを宣言。首の皮一枚で次に繋いだ、ナガレのターンとなる。

 

 

[ターン06]花道ナガレ

 

 

「メインステップ。毒島、オマエがジンのことめっちゃ好きなのはよくわかったぜ。だけどこのバトル、オレも負けるわけにはいかねぇんだ。来い、カチドキアームズ!!」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ】LV2(3)BP8000

 

 

毒島の怒涛の攻撃を耐え抜いたナガレは、ここで橙色の重装甲を纏うライダー、鎧武 カチドキアームズを召喚。

 

上空から着地したカチドキアームズが、その重量で、足元の大地を隆起させる。

 

 

「オマエの残りライフ、破壊してやるぜ。アタックステップ、カチドキアームズでアタック」

 

 

今度はナガレに勝機が巡って来る。毒島の残りライフは2つ。カチドキアームズと2体のバロンなら、十分に破壊できる数だ。

 

しかし………

 

 

「オレ様を嘗めんじゃねぇ。フラッシュタイミング。マジック、ボルテクスシェイブ。相手スピリット1体を疲労。これを2枚使い、バロンを2体疲労させる」

「!」

 

 

突如2体のバロンの足元に大渦が発生。2体のバロンはそれの中心に引き摺り込まれ、地面に片膝をつかされた。

 

これで2体は疲労状態となり、このターンで毒島のライフを削り切るのは困難となる。

 

 

「カチドキアームズのアタックはライフで受けてやる」

 

 

〈ライフ2→1〉毒島トミオ

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

跳び上がったカチドキアームズが、炎を宿した拳で、毒島のライフバリア1枚を粉砕。

 

毒島の残りライフも1となり、ナガレと並ぶが、先も述べた通り、ナガレにはもうこれ以上アタックできるスピリットはいない。

 

 

「見たか花道ナガレ。オマエに勝利の流れは来ねぇ!!」

 

 

毒島の叫びに呼応するかのように、2体のダンテクレオが吠える。

 

ナガレのスピリットの身動きを止め、勝利まで、プレイキラーズへの復帰まであと一歩のところまで迫った毒島の闘志は計り知れない。

 

だが………

 

 

「それはどうかな?」

「なに」

「オレの本当の流れは、ここからだぜ」

 

 

闘志が計り知れないのは、毒島だけではなかった。ナガレもまた、己の勝利の流れを信じ、ここに来てさらなる一手を繰り出す。

 

 

「メインステップ2。カチドキアームズの【Fチェンジ】を発揮。疲労しているカチドキアームズを手札に戻し、新たなライダーカードを呼ぶ。来い、オレのエクスライダーカード、極アームズ!!」

 

 

ー【仮面ライダー鎧武 極アームズ】LV2(3)BP10000

 

 

カチドキアームズが、ベルトに新たなアイテムを装填。その次の瞬間、いくつものフルーツ型の装甲が宙を舞い、カチドキアームズと一体化。

 

靡くマントに、白銀の西洋鎧を纏う、ナガレのエクスライダーカード、鎧武の最終形態、鎧武 極アームズが、ここに爆誕する。

 

 

「来た、ナガレのエクスライダーカード、極アームズ」

「まさかこれが、ジンさんの求めるカード」

 

 

極アームズの圧倒的存在感、強者のオーラを目の当たりにした毒島は、極アームズこそが、ジンの欲するカードなのだと察する。

 

 

「行くぜ毒島。極アームズのFチェンジ時効果。BP10000以下のスピリット1体、ダンテクレオを破壊だ!!」

「な、なんだと!?」

 

 

極アームズは、登場後直ぐに大剣を手に持つと、その刀身へ果実型のエネルギーを次々と蓄積。

 

それをダンテクレオへと振り下ろし、その頑強な大顎を一刀両断。爆散へと追い詰めた。

 

 

「Xレアがたった1つの効果で破壊されるなんて、こんな馬鹿な話が」

「どうだ。これでオマエのフィールドはダンテクレオ1体だけ。回復効果は他の甲魚スピリットがいないと使えない。ターンエンドだ」

手札:3

場:【仮面ライダー鎧武 極アームズ】LV2

【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

【仮面ライダーバロン バナナアームズ】LV1

 

 

ダンテクレオの力を最大限発揮するためには、もう1体のダンテクレオの存在が必要不可欠。

 

極アームズが、その片割れを破壊したことで、ダンテクレオは、その力を半分も発揮できない状態になったと言える。

 

故にバトルの流れは今、ナガレにある。毒島は、この流れを断ち切ることができるのか。

 

 

[ターン07]毒島トミオ

 

 

「メインステップ。ストラレイを召喚」

 

 

ー【ストラレイ】LV2(3)BP7000

 

 

毒島のターン。手札が0枚だった彼は、ドローステップでドローしたカードをそのまま召喚。フィールドに、鋼鉄でできたエイ、ストラレイが出現する。

 

 

「まだだ。まだオレは勝てる!!…アタックステップ、ストラレイでアタック」

 

 

ストラレイが海中を舞うエイの如く、飛行を始める。

 

切羽詰まった毒島の攻撃。確かに、どんなにスピリットが弱かろうとも、アタック可能なスピリットが2体もいるなら、極アームズのブロックを乗り越えて、ナガレの最後のライフを破壊できる。

 

しかし、その程度で流れを変えられる程、ナガレのバトルスピリッツは甘くはない。

 

 

「フラッシュタイミング。ソウルマジック、フレイムハリケーン……!!」

「に、2枚目だと!?」

「ストラレイを破壊だ」

 

 

2枚目のフレイムハリケーン。炎の竜巻が、飛行するストラレイを巻き上げ、毒島の抱いた希望ごと焼き尽くす。

 

 

「……ターンエンド」

手札:0

場:【深巣ダンテクレオ】真界放

 

 

ダンテクレオのみがブロッカーとして残った状態で、毒島は屈辱のターンエンドを宣言。

 

その手札は0枚。もはやナガレの攻撃を回避する術もない。

 

勝負ありだ。

 

 

[ターン08]花道ナガレ

 

 

「メインステップをすっ飛ばして、アタックステップ。極アームズでアタック……!!」

「くっ……ダンテクレオ、オレ様を守れ!!」

 

 

ターン開始早々にアタックステップへと直行したナガレ。

 

毒島の最後のライフバリアを砕かんと動き出した極アームズの道を、最後の砦、ダンテクレオが阻む。

 

先制攻撃を仕掛けてきたのはダンテクレオだ。その大顎で極アームズの鎧に噛み付く。

 

そのまま噛み千切られると思われた極アームズだったが、どこからともなく、バロンの長槍を召喚し、それをダンテクレオの体内へ投擲。身体の内部から貫かれたダンテクレオは爆散。極アームズの勝利で終わる。

 

 

「決めろバロン。ラストアタックだ……!!」

 

 

毒島のスピリットを全て葬ったナガレは、最後にバロンへアタックの指示。

 

バロンは、長槍の先端を大地へと突き刺すと、バナナ型のエネルギーが次々と大地から出現しながら、毒島の最後のライフバリアへと迫る。

 

そして………

 

 

「ら、ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1→0〉毒島トミオ

 

 

「ジンさァァァァん!!!」

 

 

毒島は最後、尊敬する人物、神林ジンの名を叫びながら、己の残り1枚だったライフバリアが、バナナ型のエネルギーとの衝突によって砕け散るのを見届けた。

 

これにより、勝者は花道ナガレ。見事毒島の本気を下し、勝利を収めてみせた。

 

 

「やったねナガレ。まさか極アームズにまだそんな力があったなんて」

「あぁ」

 

 

ナガレの勝利を喜ぶトモエ。彼女の言葉を聞き流すナガレの目線の先には、敗北の悔しさが拭い切れずに項垂れる毒島の姿。

 

 

「クソ。もうちょっとだったのに。Xレアを2枚も使っていて何故負けたんだ。オレはいつになったらジンさんの元に戻れるんだよ」

「毒島……」

 

 

どこまでもジンの元にいることが最優先の毒島。ナガレは、そんな彼の元へと歩み寄って。

 

 

「なぁ毒島」

「……んだよ」

「オマエとのバトル、すげぇ楽しかったぜ。またやろう!!」

 

 

屈託のない笑顔を向けながら、毒島にそう告げた。これは励ましでもなんでもなく、ただただ純粋なナガレの感情。

 

 

「なに、寝ぼけたこと言ってやがる。そりゃ勝ちゃ楽しいだろうがよ」

「ちょ、ちょっと」

「オマエのせいで、オマエのせいで、オレは……!!」

 

 

憤慨した毒島が、ナガレの胸ぐらを掴み、持ち上げる。それに慌てたトモエが駆け付けるが、ナガレは彼女の前に手を出し、口出し不要のサイン。

 

 

「悪かったよ。オマエとジンを離れ離れにさせちまって」

「!」

「だから一緒に来てくれないか。オマエが欲しかった居場所、今から作りに行くからよ」

 

 

胸ぐらを掴まれながらも見せる、ナガレの凄みのある眼力に圧倒された毒島。そっと彼を下ろす。

 

 

「居場所を作るって、どう言うことだ」

 

 

毒島が、恐る恐るナガレに訊いた。

 

ナガレは、いつものおちゃらけた顔付きからは想像もできないような鋭い視線を彼に向けたのちに、返答する。

 

 

「オレがジンに勝ったら、プレイキラーズを解散させる」

「……は?」

「そうすればマサルも助けられるのはもちろん。プレイキラーズと言うしがらみがなくなったことで、オマエももう一度ジンと行動できるはずだぜ」

 

 

プレイキラーズを解散させると言う、ナガレの過激な発言に、毒島は思わず目を丸くする。

 

確かに毒島は、ジンによってプレイキラーズを脱退させられた。理論上はその組織さえなくなれば、毒島はまたジンと行動を共にすることごできる。

 

 

「ば、馬鹿言え。そんな上手く行くはず、第一ジンさんに勝てるわけないだろう」

「でも上手く行ったら全部丸く収まるだろ?…いいから、取り敢えず一緒に行こうぜ。オマエならプレイキラーズのアジトの居場所を知ってるだろ。ぶっちゃけ位置情報見ながら移動するのめんどくさかったんだよ」

 

 

毒島の大きな肩に手を回しながら、ナガレがそう告げた。

 

彼の馴れ馴れしい態度に、毒島はまた腹を立てる。

 

 

「肩に手を回すな!!…オレ様はオマエの友達じゃねぇ。わかった、一緒に行ってやろうじゃねぇか。オマエがジンさんに負けて無様に散る様をこの目で見届けてやる」

「言ってろ。勝つのはオレだぜ」

 

 

こうして、やや強引的だが、毒島もプレイキラーズのアジトへ同行することとなる。

 

 

「ジンのいるプレイキラーズのアジトに突撃か。これは、面白くなって来たかもね」

 

 

トモエが、ナガレと毒島のやり取りを目に映しながらそう呟いた。この言葉の真意がわかるのは、まだもう少しだけ先の話で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、第5話「突撃、プレイキラーズのアジト」


******

〈キャラクタープロフィール〉
[No.4]
【毒島トミオ】
性別:男
年齢:15
身長:175cm
特徴:頭に巻いているバンダナ。太めの体格。
使用デッキ:【甲魚(デッキはころころ変える)】
概要:プレイキラーズのメンバーで、ジンの部下。彼のことを心から尊敬している。ナガレに負けたことでプレイキラーズを脱退させられたことで、彼のことを恨むようになる。ただ実際は、毒島がナガレに負けたにもかかわらず、「敗者は勝者にカードを捧げる」と言うプレイキラーズの掟を守らなかったためであり、明らかな逆恨みである。


******


第3話に、毒島がナガレのカードがジンに狙われていることを知るシーンを追加しました。


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