世界樹と星空の女神 ~無自覚美少女は最強魔法剣士。彼女の愛が重すぎるが、それでも俺は冒険者!~   作:Soularti

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[COORDINATE 0065] Toward the Great Waterfall

# The_Power_of_Overheat:

 

 俺たちは、筒状の建造物を出た直後、いきなり魔王を名乗る強敵に襲われた。

 

 なんとか生き残ることはできたものの、消耗は激しかった。

 回復魔法はあらゆる怪我を癒し、失われた血液すら回復させる。

 だが、蓄積した疲労だけは回復できない。

 

 ルナリアとフェリスは、なぜか戦闘前より元気だったが、念のため一度体勢を立て直すことにした。

 

 完全に、出鼻を挫かれた形だ。

 とはいえ、安全地帯である筒状の建造物から離れる前だったのは、不幸中の幸いだった。

 

 俺たちは出てきたばかりの建造物に戻って、一晩休み、翌朝に再び出発した。

 

 数百年前からあるという大滝。

 目指すのは、そこへつながる大河だ。

 

――鬱蒼と茂る樹木の中を、俺たちは進んでいた。

 

 光の遮られた森の中を進みながら、俺は昨日の襲撃について考えていた。

 

 世界樹に来なければ街を消滅させるだとか言っていたが、それはあまり気に留めていない。

 冒険とは行きたいところへ行くものであり、その気がなければ俺は行かない。

 

 何を言われようと、俺は自分の辿る道を強制されるつもりはなかった。

 

 ……そんな風に考える俺が勇者だとは、やはり思えないな。

 

 俺が気にしているのは別のことだった。

 なぜ、あいつは『あそこ』で『俺』を襲ったのか。

 

 筒状の建造物は俺だけに反応したことから、女神か賢者に関連していることは間違いないだろう。

 女神様が俺になにかをさせたがっているのも、今となっては疑っていない。

 

 つまり、こう考えられるのではないだろうか。

 

 魔王は、あの建造物に俺が触れたことに気がついたから来た。

 そして俺が女神様に選ばれた何かであることを知っていた。

 

 俺は、星空の少女が、俺に対して不利益なことを絶対にしないと確信している。

 

 もしかして、教国の言うことは本当で、女神様は魔王によって世界樹に囚われているのだろうか。

 本当に女神様は窮地にいて、俺に助けを求めているということか?

 魔王の行動は、それを魔法か何かで知ったと考えればそれなりに辻褄が合う。

 

 俺は、夢の少女を思い返した。

 煌めく銀の髪を夜空に流しながら、少女はいつも泣きそうな顔をしていた。

 

 俺は、やはり世界樹に行かなければならないな。

 あの子が助けを求めているのなら、俺は応えなければいけないと思った。

 

 ルナリアやフェリスにも相談したいと思い、俺は前を進む金糸の髪の少女を見やった。

 

 ルナリアが銀の剣を振るい、俺たちの進む道を切り開いている。

 濃紺のバトルドレスの胸元がそのたび、ぶるんっと揺れて柔らかさを主張しているのは普段通りだ。

 そして、剣を振るうたびに白いスカートが大きく跳ね上がり、ちらちらと下着が見えていた。

 こちらは普段通りではない。

 

 俺への接し方や距離感のせいで、ルナリアはよく誤解されるのだが、本来はとても貞操観念が強い。彼女が俺に対してやたらと距離が近いのは、自分の魅力をよく分かっていないだけだ。

 

 だから、下着が見えるようなことを、いつものルナリアなら普通に恥ずかしがる。

 

 俺は、ルナリアに言った。

 

「おい、ルナリア。下着が見えてるぞ」

「えへへ……ほんと? あ、そっか。スカートが邪魔だってことかな。今すぐ脱ぐね」

 

 ちらりと振り返ったルナリアの赤い瞳には、どろどろした熱が宿っていた。

 

「ん、いや。俺はちらちら見える方が好きだから、脱ぐのはやめておこうか」

 

 危ない、余計なことを言ってしまった。

 今は発言に気をつけなければ。

 

 俺は視線を引かれるルナリアの腰回りを見ないように、視線を地面へ向けた。

 

 すると隣から、すっと涼やかな声が飛んできた。

 

「……アルス、きちんと前を見ないと危ない。……やはり、お前のことも私が背負うべきだ」

 

 フェリスは、すべての荷物を一人で背負っていた。

 頑として、俺に荷物を背負わせてくれなかった。

 

 そして今は、俺自身を担ごうと言っている。

 

 だが、今のフェリスは俺を担ぐとき、正面から向き合うようにして抱えるのではないだろうか。

 そんな状況で丸一日、彼女の汗の甘い匂いに晒されたら俺は危険水域を超えてしまう。

 

 そもそも、フェリスはすべての荷物を背負っているのだ。

 そんな少女に抱きかかえられるなど、絵面が最悪だ。

 

 俺は、横を歩くフェリスに視線を向けた。

 彼女の瑠璃色の瞳が木漏れ日を返し、きらきらと輝いていた。

 その美しい煌めきの中に、どろりとした熱が映っていた。

 

「いや、大丈夫だ。それじゃ、冒険にならないだろう? 俺は自分で歩くほうが好きなんだ」

「……そうか、お前の言うとおりだ。……さすがアルスだ。お前は偉いな」

 

 一言返すだけで、フェリスは三倍くらい俺を褒めてくるようになっていた。

 

 俺は、彼女たちへの受け答えに細心の注意を払いながら進んでいた。

 魔王との戦いで、ルナリアとフェリスは理性を大幅に削られていたのだ。

 

 とはいえ、俺ももう慣れたものである。

 彼女たちの無自覚な色気と誘惑に、簡単に流されたりはしない。

 

 建造物で過ごす一晩は危うかったが、逆に出発さえしてしまえばなんとかなるだろうと思っていた。

 

 それにしても……今回の件で俺は理解した。

 

 どうやら、彼女たちの理性は強敵に相対したとき、大幅に減少するようだ。

 普段のように一晩で理性が回復していないのは、ジークフリートの脅威が大きすぎたからではないだろうか。

 

 そんなことを考えながら、前方の巨大な木の根を見て、よじ登ろうとした瞬間だった。

 

 緑と紫の剣閃が走った。

 目の前の木の根が、木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

 横を見ると、フェリスが短剣を鞘へ納めるところだった。

 彼女は俺へ視線を向け、ゆるやかに笑みを浮かべた。

 真っ直ぐな水色の長い髪が、風にさらさらと流れていた。

 

 フェリスの表情は、凛として見えるのに、その瑠璃色の瞳は潤み、わずかに開いた唇が熱を帯びていた。

 そんな彼女の長い耳がぴくりと動いた。

 

「……ルナリア。……進行方向に六体」

「分かった。ありがとう、フェリスちゃん」

 

 俺は視線を上げて、生い茂る樹木を見渡した。

だが、まだ俺には何も感じ取れない。

 

 ルナリアの銀の剣が業火を纏った。

 その炎は、彼女を支配するどろりとした熱に呼応するかのように、轟々と激しく燃え盛っていた。

 

 ルナリアが振り返り、赤い瞳で俺を見つめた。

 潤いのあるぷるんとした唇から、甘さの混じった声が漏れた。

 

「ねぇ……。アルス……」

 

 そのルナリアの視線と声だけで、俺の心臓がどきりと跳ね上がった。

 俺はルナリアの望みを理解して、声に出した。

 

「あー、おう。……ルナリア、俺たちの敵を斬り裂け」

「うんっ! えへへ……。きみの命令を聞くの、気持ちいい……な」

 

 宝石のような赤い瞳を蕩けさせながら、微笑みを浮かべて前へ向き直った。

 紅蓮の剣の炎が、より一層激しさを増した気がした。

 

 ルナリアが、軸足で大地を踏み込んだ。

 破砕音を立てて、地が円形にめり込む。

 

 跳躍した彼女は、右腕を引き絞り、水平に業火の剣を薙ぎ払った。

 轟音が鳴り響き、眼前の樹木が吹き飛んでいく。

 その剣閃の進路にいたらしき魔物が、断末魔をあげることもできず両断されていく。

 

 着地したルナリアは、自分の肢体が俺の前に晒されることを一切気にせず、さらに前方へ跳躍した。

 彼女の純白のスカートが捲れ上がり、丸い尻を覆う下着がちらりと覗いた。

 

 ルナリアが中空で身を捻りながら、業火の剣を縦横無尽に振るう。

 理解できない剣筋が、水が流れるような軌跡を描き、俺が存在すら認識していなかった周囲の魔物が、血飛沫を上げて次々と屠られていった。

 

「す、すげえ……」

「……ああ、さすがルナリアだ。……そういえば、アルス、喉は渇いていないか」

 

 俺はルナリアの超人的な剣技に見惚れて、うっかりフェリスに答えてしまった。

 

「ん? ああ、そういえば渇いたかも。水筒を……んぐっ」

 

 迂闊な返答をした俺の唇を、フェリスの温かな唇が塞いだ。

 柔らかな唇の隙間から、冷たい水が流れ込んできた。

 

 甘い匂いを漂わせたフェリスが、瑠璃色の瞳を俺へ向けたまま、ゆっくり顔を離した。

 

「……ん。……喉が渇いたら、いつでも言え」

「ああ! フェリスちゃんずるいっ!」

 

 魔物を一瞬で屠って戻ってきたルナリアが、それに気がついた。

彼女は口を尖らせて言った。

 

「もうっ、わたしもアルスに使われたいのに!」

「……む、十分に活躍しているじゃないか。……戦闘は任せた。……アルスの世話の方は、私に任せろ」

 

「いやっ! 魔法剣士として、命令を聞くのも気持ちいいけど、女の子としても命令されたいの。フェリスちゃんばかりずるいよっ」

 

「……む。そうだな。確かに平等でなかった。……私も、アルスの道を作ってやりたいところだったし、交代しよう」

 

 それを聞いたルナリアは、花の咲いたような笑顔を浮かべた。

 だが彼女の赤い瞳は、熱を宿したままだ。

 

 ルナリアは嬉しそうな表情を浮かべ、フェリスに抱きついた。

 

「いいの? フェリスちゃん、ありがとうっ」

「……気にするな。……こっちこそ、独占して済まなかった」

 

 フェリスがそれを受け止めて、自分よりも少し背の高いルナリアの頭を撫でていた。

 

 彼女たちの胸が密着し、お互いに押し潰し合う。

 ルナリアとフェリスの動きに合わせて、彼女たちの柔らかな胸がむにゅむにゅと卑猥に歪んだ。

 

 俺は吸い寄せられる視線を外して、頭上を見上げた。

 

 

# Arrival_at_the_River:

 

 二人の理性が削れたまま進んでいるのだが、その進行速度はとてつもなく速かった。

 平地を進むのと、ほぼ変わらないのではないだろうか。

 

 元からルナリアが強すぎて平地では気が付かなかったのだが、理性の削れた彼女たちは普段よりさらに強かった。

 思い返してみれば、窮地の際にはルナリアが理性を失った状態で、強敵を倒していた気がした。

 

 昨日、ジークフリートを撃退できたのは、神性結界に加えて二人のこの力があったからなのかもしれない。

 

 本能を剥き出しにすることで、潜在能力が解放されるのだろうか。

 ずいぶん物語のような都合のいい話だ。

 とはいえ、彼女たちの本能は英雄譚というにはかなり生々しい。

 

 そんなことを考えながら進んでいると、再び魔物の群れと遭遇した。

 しかし、前方で道を切り開いていたフェリスが、舞うようにしてあっという間に斬り伏せた。

 

 俺が我慢しさえすれば、このまま世界樹までたどり着けるのではないだろうか。

 

 ふと、俺は横へ視線を向けた。

 先ほどから、温かく柔らかな感触をずっと腕に感じていたのだ。

 

 そちらを見ると、ルナリアが赤い瞳を期待に輝かせながら、俺の腕を胸元に抱きしめていた。

 彼女は、自分の胸をぐにゅぐにゅと押し付けながら、手には水筒を持っていた。

 

「ぁんっ……。えへへ……。あ、アルス、そろそろ喉乾いた?」

「いや、まだ大丈夫だ」

 

 短く答えると、すぐに俺は前を向いて進みだした。

 ルナリアが、拗ねるようにさらに強く密着してきているのを感じた。

 

 いや無理だな。

 こんな状況に耐えながら、世界樹まで行ける気がしない。

 

 俺は、自分のことながらなぜ我慢しているんだろうと苦笑し、小さく息を吐いて歩き出した。

 

 だが、俺はなにかに誓ったのだ。

 安易な誘惑には流されないと。

 

 俺たちは、予定より遥かに速く大森林の中を進んだ。

 途中、魔族に一度邂逅したが、今のルナリアとフェリスの相手ではなかった。

 

 そうして、なんとその日のうちに目的の川へ辿り着いた。

 

 川幅の広い長大な大河が、轟々と流れていた。

 生命に溢れた赤茶けた水が、膨大な量、重たげに流れている。

 

 俺はその壮大な光景に目を引かれた。

 

「おお、もう着いたぞ。お前らのおかげだな」

 

 俺は髪をかき上げて、汗を拭おうとして止めた。

 ちらりとルナリアに視線を向けて言った。

 

「ええと。ルナリア、汗を拭ってくれ」

「えへへ……。はいっ。もう、拭え、でしょ」

 

 ルナリアが心底幸せそうに、にへらと笑いながら綺麗な布を取り出して俺の額を拭った。

 

 たまにルナリアには命令をしていないと、危険なのだ。

 しかし戦闘中でもあるまいし、俺は女の子に気軽に命令できるような精神をしていない。

 はて、これでは命令しろと命令されているような状態ではないだろうか。

 

 先行して、河原に足を踏み入れたフェリスが俺たちに視線を向けた。

 フェリスは、吹き抜ける風に流される水色の髪を手で押さえながら口を開いた。

 

「……これだけ早く着いたのは、お前が頑張ったからだ」

「いや、俺は何もしていない……」

 

 今回、俺は本当に何もしていなかった。

 これは、よくフェリスに怒られる、低い自己評価とかそういう話ではない。

 

 だが、それでもこういう言葉は駄目らしい。

 フェリスが瑠璃色の瞳で俺を捉えたまま歩み寄ってきた。

 

「……お前のやることは、すべて正しいと言ってるだろう」

 

 フェリスは、甘い声音でそう言いながら、俺の頬に手を伸ばして撫でた。

 彼女の綺麗な唇が、ほんのり開いていた。

 

「うん。俺も頑張ったかもしれないな」

 

 いや、これを「すべて肯定する」と言っていいのだろうか。

 俺は首を傾げた。

 

 とはいえ、口に出したらフェリスがどういう行動に出るか、予想もつかない。

 俺はとりあえず、フェリスににこりと笑いかけた。

 

 すっと、フェリスの細い腕が俺の首に絡んできた。

 

 抱きしめられた。

 

「……ああ、可愛いなお前は」

 

 河原に荷物を置いていたルナリアが言い寄ってきた。

 

「む、フェリスちゃん。今はわたしの番だよ!」

「……ん。すまない、つい……。しかし、離れたくない。……そうだ。お前も、一緒に抱きしめよう」

 

 ルナリアが、俺の腕を胸元に抱き寄せた。

 彼女の熱い体温と柔らかさが、薄布を通して伝わってくる。

 

「もう、しょうがないなあ。フェリスちゃんの気持ちはわかるけど……でも、それじゃ駄目なのっ。わたしは、抱きしめろって命令されて、抱きしめたいの」

 

「……それも、いいな。よしアルス、私たちにそう言え」

 

 言わないよ。

 

 二人の甘い言葉を打ち切るために俺は言った。

 

「ああ、もう、うるさい! 俺が何を言うかは、俺が決める! ルナリア、天幕を作れ。フェリス、俺は最高の夕食を食いたい」

 

「はいっ! えへへ……ごしゅじ、じゃない。アルスが心地よく過ごせる最高の天幕を作るね!」

 

 ルナリアが銀の剣を抜き放って、木材を確保しに行った。

 

「……ん。任せろ。私は同じ失敗はしない。……完璧な配分で最高の夕食を作ろう」

 

 フェリスが荷物を纏めて置いたところへ歩いていき、調理場を整え始めた。

 

[ System : Lunaria Reason_Gauge 0 / Tempest_Explosion Triggered ]

[ System : Ferris Reason_Gauge 0 / Tempest_Explosion Triggered ]

 

 二人が行動を開始したのを見て、俺は小さく息を吐いた。

 まだ、俺の身体には彼女たちの熱が残っている気がした。

 

 危ない……もう少しで、流されるところだった。

 

 俺は、河原の周囲を改めて観察した。

 

 それから、荷物から硝子板を取り出し、手頃な岩に腰掛けて自分たちの位置を確認し始める。

 ルナリアに教えてもらった方法で、表示される範囲を広げた。

 

 硝子板の地図を見る限り、やはり川は年月の流れで何本かの支流を巻き込んで少し東に移動していた。

 だが、水が流れてくる滝が数百年前からあるのだから、この川が滝へつながっていることは間違いないだろう。

 

 彼女たちの方へ視線を向ける。

 

 ルナリアが鋭い斬撃音を立てて樹木を切り倒しており、フェリスは下ごしらえを始めていた。

 

 彼女たちの髪が、曇り空の下でも美しく輝いて見えた。

 二人の体躯はとても華奢で、先ほどまで圧倒的な暴力を振るっていたとは思えないほど少女らしかった。

 

 俺は川の方へ目を向け、思案した。

 

 さすがに世界樹までは無理だろうけど、二人の濃い色気に意外と耐えられている。

 俺も成長しているということだろう。

 

 しかし、俺は彼女たちの魂の形をまだ理解しきれていなかった。

 こんなものは、ただの前兆だったのだ。

 

——その夜、ルナリアとフェリスの限界まで薄まっていた理性は、本能に完全に呑まれた。

 

 少女たちの熱くどろどろとした想いが、嵐のように天幕の中に吹き荒れた。

 

 そして、翌朝。

 

 天幕を出た俺は、頭上を見上げた。

 雲ひとつない快晴だった。

 これから川を登るのだから、この天気は僥倖だ。

 

 俺の計画には、暖かな晴天が望ましかった。

 曇りでも厳しいし、雨なら数日遅らせるしかなかっただろう。

 

「あああ!! いやーっ。わ、わたし、あんなことを口にしちゃうなんて……。わたしを見ないでえええ」

 

「……いや、あんなのは私ではない。……ああ、そうか。あれは夢だな。ふふふ」

 

 俺は、頭の後ろで腕を組みながら声のする方へ顔を向けた。

 

 ルナリアは叫びながら、河原を走り回っていた。

 フェリスは蹲り、地面に向かって独り言を呟いていた。

 

 大森林の冬は曇り空ばかりだから、これだけ条件のいい天気になるのは珍しいだろう。

 今日のうちに、川を登ってしまいたい。

 

 そのためには、まず、理性が戻ったせいで羞恥に苛まれている彼女たちを宥めなければならない。

 俺は、ゆっくりと彼女たちへ歩み寄った。

 

 

# COORDINATE 0065 END

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