勇者コールセンター株式会社   作:一宮 千歳

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第15話

世界を救うために個人を召■するシステムはクソだ。

 

個■事業主勇■なんて制度も、クソだ。

 

■者なんかいらない世界に、僕がしてやる。

 

――3062年、遺跡から発掘された文書より

 

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「俺の命で済むなら安いもんだ。

 

 だが、命を張らなきゃいけない現場が、ちっと多すぎねえか?」

 

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勇者コールセンターは、賢者から言い出したものだった。

 

「怪我は、魔法で治る。」

 

「蘇生魔法があれば、生き返ることだってできる」

 

そんな、個人の命が極限まで軽んじられるシステムに、勇者が摩耗していたのを隣で見ていたからだ。

 

人命を軽視したシステムに摩耗させられるなら、僕たちは人命を重視した、優しいシステムを作ろう。

 

賢者はそう語った。

 

勇者は同意した。

 

「後に続く勇者がきっと出るだろう。簡単な仕事じゃない」

 

「そう、何年かかるかわからない。だから、個人でやるんじゃなく、組織でやるんだ。そしたら」

 

「理念さえ生きていればいつか変わる、か」

 

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勇者と賢者、そして仲間たちの旅は、16年前から始まった。

 

辛く苦しい旅路。そのなかには数多の出会いと、少なくない別れがあった。

 

「なあ、友よ」

 

「なんだ賢介」

 

「辛くないか」

 

「でもやらなきゃいけないだろ」

 

「君がか?勇者だからか?」

 

「もともと地球じゃ腐ってたんだ、このぐらいハードでも何ともないぜ」

 

「……でも、それだけで?」

 

「人には誰しも生きてる理由があるって、親父が言ってたんだ。たぶん俺のそれは、今勇者をやることだったんだろうぜ」

 

違う。

 

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勇者が傷ついていい理由なんて、ない。

 

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ピザパーティの終わったオフィスにて。

 

今日は電話受電を休業して、皆帰宅した。

 

そこに、佐藤と山田が残っていた。

 

みんなが帰ったあと、佐藤だけが空になったピザ箱を見ていた。

 

「……賑やかになったな」

 

山田は答えなかった。

 

「なあ賢者」

 

「なんだ友よ」

 

「あれ、覚えてるか。魔法銀のクソゴーレム。」

 

「唐突だな……同程度の攻撃をカウンターしてくるやつ?」

 

「あれ、どうやったら犠牲なく倒せたんだろうな」

 

「んー。過ぎたことは振り返らない方がいいんじゃないか」

 

「……でもよ」

 

「友よ。二度は言わないよ」

 

「……ああ。けど、予感がするんだ」

 

「予感?」

 

「あれ、また出てくるんじゃねえかって。あかやさ製だったろ。連中、最近また騒がしいしな」

 

「……フラグって知ってるかい?」

 

「まさか。勇者の勘だよ」

 

「もっと当たるやつじゃないか……そうだな、今なら……うーん、管理者権限の奪取あたり?」

 

「そうか、そりゃ悪くないが、管理者権限なんて、取れるのか?」

 

「……あんまり現実的じゃないかもね。あかやさが教えてくれるわけもないし」

 

「はー。どうすっかなあ。そん時は俺が」

 

「友。」

 

「……ああ。わかってるよ、よーく、な」

 

「一つ言いたいんだけどね。あの時と違って、味方は多いだろ」

 

「……お前、あのひよっこどもを数に数える気か」

 

「ひよっこ、だけどね。けど、数は力だよ」

 

「……」

 

「黙らないでよ」

 

「俺は反対だ」

 

「いや、若い知恵が何とかしてくれるかもしれないよ」

 

「かもしれない、で若いのを危険に遭わせるのか」

 

「うーん。今の世代って、そんなに考えてないと思うんだよね」

 

「……まあそれにゃあ同意するが」

 

「だからさ、深刻に考えるのは命だけにして、参加する自由意志は尊重してみようよ」

 

「……だが」

 

「『勇者とは?』」

 

「……『他者を守る勇気のあるものである』……お前、俺が守られる側だっていうのか」

 

「あの子たちが本当に勇者なら、友も守ってくれると思うんだよね。」

 

「俺は守られるほど弱くねえ」

 

「って言ってるような人を守ってきたのは、どこの誰だい?」

 

「……」

 

「そういうことだよ。」

 

「……しょうがねえな」

 

「あ、それ」

 

「なんだよ」

 

「それを言うたびにスキル使ってたよね」

 

「……忘れたよ、んなこた」

 

佐藤は笑った。

 

山田は、笑わなかった。

 




次話の投稿は2026/6/26 11:10です。
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