世界を救うために個人を召■するシステムはクソだ。
個■事業主勇■なんて制度も、クソだ。
■者なんかいらない世界に、僕がしてやる。
――3062年、遺跡から発掘された文書より
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「俺の命で済むなら安いもんだ。
だが、命を張らなきゃいけない現場が、ちっと多すぎねえか?」
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勇者コールセンターは、賢者から言い出したものだった。
「怪我は、魔法で治る。」
「蘇生魔法があれば、生き返ることだってできる」
そんな、個人の命が極限まで軽んじられるシステムに、勇者が摩耗していたのを隣で見ていたからだ。
人命を軽視したシステムに摩耗させられるなら、僕たちは人命を重視した、優しいシステムを作ろう。
賢者はそう語った。
勇者は同意した。
「後に続く勇者がきっと出るだろう。簡単な仕事じゃない」
「そう、何年かかるかわからない。だから、個人でやるんじゃなく、組織でやるんだ。そしたら」
「理念さえ生きていればいつか変わる、か」
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勇者と賢者、そして仲間たちの旅は、16年前から始まった。
辛く苦しい旅路。そのなかには数多の出会いと、少なくない別れがあった。
「なあ、友よ」
「なんだ賢介」
「辛くないか」
「でもやらなきゃいけないだろ」
「君がか?勇者だからか?」
「もともと地球じゃ腐ってたんだ、このぐらいハードでも何ともないぜ」
「……でも、それだけで?」
「人には誰しも生きてる理由があるって、親父が言ってたんだ。たぶん俺のそれは、今勇者をやることだったんだろうぜ」
違う。
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勇者が傷ついていい理由なんて、ない。
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ピザパーティの終わったオフィスにて。
今日は電話受電を休業して、皆帰宅した。
そこに、佐藤と山田が残っていた。
みんなが帰ったあと、佐藤だけが空になったピザ箱を見ていた。
「……賑やかになったな」
山田は答えなかった。
「なあ賢者」
「なんだ友よ」
「あれ、覚えてるか。魔法銀のクソゴーレム。」
「唐突だな……同程度の攻撃をカウンターしてくるやつ?」
「あれ、どうやったら犠牲なく倒せたんだろうな」
「んー。過ぎたことは振り返らない方がいいんじゃないか」
「……でもよ」
「友よ。二度は言わないよ」
「……ああ。けど、予感がするんだ」
「予感?」
「あれ、また出てくるんじゃねえかって。あかやさ製だったろ。連中、最近また騒がしいしな」
「……フラグって知ってるかい?」
「まさか。勇者の勘だよ」
「もっと当たるやつじゃないか……そうだな、今なら……うーん、管理者権限の奪取あたり?」
「そうか、そりゃ悪くないが、管理者権限なんて、取れるのか?」
「……あんまり現実的じゃないかもね。あかやさが教えてくれるわけもないし」
「はー。どうすっかなあ。そん時は俺が」
「友。」
「……ああ。わかってるよ、よーく、な」
「一つ言いたいんだけどね。あの時と違って、味方は多いだろ」
「……お前、あのひよっこどもを数に数える気か」
「ひよっこ、だけどね。けど、数は力だよ」
「……」
「黙らないでよ」
「俺は反対だ」
「いや、若い知恵が何とかしてくれるかもしれないよ」
「かもしれない、で若いのを危険に遭わせるのか」
「うーん。今の世代って、そんなに考えてないと思うんだよね」
「……まあそれにゃあ同意するが」
「だからさ、深刻に考えるのは命だけにして、参加する自由意志は尊重してみようよ」
「……だが」
「『勇者とは?』」
「……『他者を守る勇気のあるものである』……お前、俺が守られる側だっていうのか」
「あの子たちが本当に勇者なら、友も守ってくれると思うんだよね。」
「俺は守られるほど弱くねえ」
「って言ってるような人を守ってきたのは、どこの誰だい?」
「……」
「そういうことだよ。」
「……しょうがねえな」
「あ、それ」
「なんだよ」
「それを言うたびにスキル使ってたよね」
「……忘れたよ、んなこた」
佐藤は笑った。
山田は、笑わなかった。
次話の投稿は2026/6/26 11:10です。
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