お兄ちゃんと妹がパロディギャルゲに転送されるイベントが発生中   作:ヌチャニドロ

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遅々々筆くらい。


まだ作中時間3日しか経ってないみたい。




5

朦朧とした意識の中、白い少女について行く。

 

「先生にぃ頼まれちゃってぇ☆」

「そ、うか…それは…大変…だな…」

 

白い少女は目を細めてにやりと笑みを浮かべている。

 

第六感はまだ発動していない…警戒する必要はないだろう…

そんな思考でプリントの束を運び続ける。

 

ガラガラと職員室に入り、机の上に置く。

 

「失礼しましたぁ☆」

「…」

「先輩…このあと時間とかありますかぁ…?♡」

 

白い少女は俺の身体に触れ、甘い声を出す。

 

「私ぃお礼したくってぇ…♡」

 

毒のように頭の中に入り込む声。

ふらふらと後ずさりし、倒れ込みそうになる瞬間何かが足に触れる。

 

思わず下を向く。

それに気づいた少女も不思議そうな顔をして俺の視線を追う。

 

ぐぅうぅぅ〜と間抜けな音が鳴り響いた。

 

 

「お腹…すいた…」

 

 

黒紫の乱れた長髪をひとつ結びにした女生徒が倒れ伏していた。

 

「!?」

 

流石の少女も驚愕を隠せない表情。

俺はなんとか正気を取り戻し、咄嗟に少女から離れて女生徒に駆け寄る。

 

「おい!大丈夫か!」

「だ、だめかも…死ぬ…」

 

床に突っ伏す女生徒の肩を揺する。

 

「すまない、俺は彼女を保健室に連れてゆく。君はもう帰ったほうがいい」

「……は~い…☆」

 

俺は女生徒に肩を貸して持ち上げ、少女にそう声をかけ背を向ける。

 

「うぐ…ごめんだよ…」

 

げっそりした女生徒は申し訳なさそうにしている。

 

結局俺は保健室に逆戻りすることとなった。

 

 

 

______________________

 

 

 

白い少女──夜識 スターは去ってゆく男の背を見て笑顔消した。

 

「……」

 

先程までわざとらしいほど蠱惑的な笑みを浮かべていた彼女の姿は、もう無い。

 

夜識 スターは悔しそうにも、諦めたようにも、期待外れだったかのようにも、はたまた何の感情も無いようにも見える表情を浮かべ、静かにその場を去っていった。

 

 

______________________

 

 

 

「おや…?貴方は…」

 

保健室には先ほどもいた保健委員長がいた。白い仮面をつけた生徒である。

 

「すまない、彼女が廊下で倒れていた、寝台を使わせてくれ」

「ええ…勿論構いませんとも。ぜひこちらへ…」

 

胡散臭いがあまり気にせずに彼女を寝台へ寝かす。

 

ぐぅうぅうぅ〜

と先ほどより大きな音が彼女の腹から鳴る。

 

「たべもの…たべもの…うぐぅ…」

 

うなされるような声を上げているが…

 

「彼女、もしや空腹ではありませんか?」

「そのようだが…」

 

食べ物など持っていないぞ。

すると白仮面は少々お待ちくださいといって自分のカバンを漁り始める。

 

「こちら、モ…尊敬する教師のために作ったチョコなのですが…」

「明らかに鬱血した指なんだが…」

 

とてつもなくグロテスクで生々しい指型チョコ…

なんでこんなもの持ってるんだコイツ。

 

「友人、いや競争相手に…に渡すのを止められてしまいましてね…」

 

当然だろう。

 

すると突然、カッ!と寝台に寝ていた女生徒の瞳が開かれる。

 

第六感が発動し、俺は女生徒の方を見た。

 

 

「チョコッッッ!!!!」

 

 

女生徒は回転するように寝台から飛び上がり、目にも留まらぬ速さで白仮面の持つ箱を奪い取る。

 

「頂きまーーーす!!!」

 

 

大きく口を開け、ザラザラと箱の中のチョコを全て食らいつくした。

 

「ああっ!私の愛が…!」

「彼女の空腹を満たすために持ってきてくれたんじゃないのか?」

「そ、そうですが…」

 

白仮面はしょんぼりしているが、彼女は見向きもせずにバリバリと咀嚼している。

 

真っ黒な瞳に黒紫の乱れた長髪。夜識ほどではないが、大柄な身体。そしてこの食欲。

 

「エデレ…か」

 

 

 

「私の事知ってんの!?!?私エデ香!!!3年!!!助けてくれてありがとうね!!!!感謝!!!!!」

 

 

 

俺と白仮面は耳を塞ぐ。

声がでかすぎる!!先ほどまで萎びていた女生徒とは思えない元気っぷりである。

 

「このチョコめっっっっっちゃ美味かったんだよ!!!!!ありがとう!!!!!!」

 

ビュンと白仮面の前に飛び出した彼女は、すさまじい勢いで白仮面の両手をブンブン振り回すような握手をする。白仮面はもう全身をシェイクされて泡を吹きそうになっている。

 

「君も運んでくれてありがとう!!!!!!」

 

くっ…!次は俺か!

反応することができない速さの掴み。

力強…!!この感じ、エデレに喰らわれているときの感覚と同じだ…!

 

「じゃあ私ラーメン食ってくるから!!!!じゃあね!!!」

 

嵐のように保健室を飛び出して去るエデ香。

 

「……」

「か、彼女は夜爵 エデ香ですね…いつもあのような感じでして…相手をするのは、疲れますね…」

「……俺ももう下校する、助かった…ではな」

 

今度こそ俺は帰宅するのであった。

 

 

______________________

 

 

 

夜20時頃、妹からの電話がかかってくる。

 

「俺だが…」

「ごめんなさい、兄さん。直ぐに返信することができなくて…」

「何かあったのか?」

 

一応聞いてみる。

妹はふふ、と微笑みどこか自慢しているような雰囲気で話し始める。

 

「有名なスイパラに行ってきたの。あれだけの種類、見たことがなかったわ」

「………ずいぶん楽しんだようだな…」

「ええ」

 

はあ、とため息をつく。脱出のために動いていたわけではないのか…と言うか養護教諭としての仕事はどうした…。

 

「仕事は気にしなくてもいいわ。いてもいなくても正直変わらないもの」

「心を読むな…というか適当すぎないか…」

 

まあいい、それに満喫しているのも、円卓に縛られ続けている妹の息抜きだと考えれば許せるだろう。

 

「それで…聞きたいこととは何かしら、兄さん」

「ああ、例の商人についてなんだが…」

 

俺は、本来対価を要求する奴が、何の対価もなく機能していることについて、疑問を持っていると説明した。

 

「…そうね、いえごめんなさい、まさか対価を要求されていないとは思っていなくて…」

「お前も把握していなかったのか」

「ええ…祝福の導きは、アレを商人として役立てろ、としか…」

 

まさか本当に対価無し…?

正直、利用し続けるのは危険ではないだろうか。

 

「どうする…?俺は正直なところ、行き詰まったら利用する、という使い方に控えるべきだと思ったのだが…」

「はじめにあんな事を言っていたというのに…申し訳ないわ…私もそうするべきだと、思う」

 

責めることなど無い。妹は情報を持っていただけに過ぎない。

彼女は俺と同じ立場、お助けキャラなどではないのだ。

 

その日は奴の元に向かうことなく、就寝した。

 

 

 





あと一人…。

設定だけ考えて見切り発車なので続きません(定期)
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