お兄ちゃんと妹がパロディギャルゲに転送されるイベントが発生中 作:ヌチャニドロ
これは初投稿ですね…間違いない…。
次の日の昼休み。
鉄の目がウキウキした表情でやってきた。
「おい…!中庭で喧嘩が起きているようだぞ…!観に行かないか…!」
「喧嘩…?」
なるほど、このざわめきはそれが原因だったか。
これもイベントなのか?と思い席を立ち、鉄の目と共に中庭へ向かう。
「殺り合っているのは将棋部部長の舟木戸と、不良の鈴木らしいぞ。」
「有名なのか?」
「ああ…!どちらも並ならぬ体躯をしている…楽しみだろう?」
同意を求められてもな…
俺は残念ながらそういうものを見る趣味ではない。
中庭には人だかりができている。
中心では白髪交じりの金髪の男子生徒と、橙色の巻き毛の男子生徒がぶつかり合って喧嘩していた。確かにどちらもデカいな。
と言うか誰も止めなくていいのか、コレは。
まるで試合観戦のように盛り上がっているが…。
鉄の目も腕を組んで静かに見ているが、集中しすぎて俺のことなどもう眼中に無いらしい。
もしや治安悪いのか?この学校は。
呆れながら見ていると、横から突然声をかけられる。
発動する第六感…。
俺は声の方向に向き、その女の顔を見る。
「金髪の方は舟木戸君…文化部の部長だけど学年最高の身体能力を持っている…」
「巻き毛の方は鈴木君…叛逆するのが大好きな不良生徒よ…」
静かで冷たいながらも、どこか楽しそうに喧嘩を見ている女。
薄氷のような水色の長髪に、色素の薄い肌。彼女の周りだけ空気が澄んでいるような雰囲気がする。
「俺に話しかけているのか?」
「あら…そのつもりだったわ…」
わかっていながらそう問う。
「貴方のその耳飾りが、とても魅力的だったからつい、ね…?」
「あれ…見て」
女は喧嘩している二人の方を指差す。
「木戸君は背も高いけど、とくに腕が長いの…とても技巧派で、避けにくい絡め取るような喧嘩をする」
「対して鈴木君はパワーファイター…当たりさえすれば一撃ノックアウトも狙える拳が自慢なの」
何だこいつ。解説役?
「2人は元々幼馴染…でも中学の頃にその袂を分かち…今では犬猿の仲よ」
「詳しいな」
「視ていればだいたいわかるわ…」
女は腕を組んで、ふふ、と微笑む。
「貴方も中々…沢山の戦場を抜けてきたみたいね…」
女の鋭い瞳孔がこちらを見ている。
「そんなはずはないが…」
少なくとも今の肉体においては無いはずだ。
「いえ…何と言うべきかしらね…?」
「精神に近いところ…魂、とでも言うべきかしら」
「貴方は戦いを知っている…」
今まで出会ってきたヒロイン達とは何か…
元の存在に近いような雰囲気がある。夜識のような知りたがりとは明確に異なる異質さ。
「貴女は…?」
「私は夜霞 カリ奈…3年だから、先輩よ…」
気づいた時には辺りの気温が下がっていた。
いや、そう感じているのは俺だけか。周りには何の影響もない。
だが…
「何をやっている…」
心胆に響くような、静かながら辺りを一瞬にして鎮める声。
ざわざわと観客たちは散らばっていく。
鉄の目も中心から離れ、こちらに近づいてくる。
「良いところで邪魔が入ったな…教頭だ」
鉄の目はそれでも満足そうな顔をしていた。
「…ずいぶん楽しんだようだな」
「ああ…純粋な、生の喧嘩は久しぶりに見た」
俺は振り返り、先ほどまで夜霞が立っていた場所を見る。
すでに彼女は校舎内に向かって歩いていた。
こちらを見ていることに気づき、にこりと微笑んでから去っていった。
「む…あれは…」
「やはり知っているのか」
「ああ、先ほど喧嘩していた3年どもと同じく、有名人だ」
有名人…。
夜霞、海夜、夜爵…それにさっきの3年たちも…
3年生は魔境か…?
俺達は教室にすぐに戻り、待っていたグラ子と急いで昼飯を摂ったのだった。
あと中庭では教頭も交えて第2ラウンドが巻き起こっていた。
それでいいのか。
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放課後。俺は部活が休みだったグラ子と下校していた。
「ねぇアンタは部活とか入んないの?」
「部活か」
おそらく、一人一人を攻略していくルートならば同じ部活動に入ったほうが展開は進んだ…のだろう。
だがハーレムルートを進まねばならない今、それをしている暇は無い。
「やる事が多くてな、入る予定はない」
「やる事多いって…別にアンタ何もして無くない…?まあ別にいいんだけどさ」
口を尖らせて少し不機嫌そうなグラ子。
「何だ?」
「何でもないわよ…ちょっと勘って言うか…アンタ剣道のセンスとかありそうなのよね…」
剣道…確かに剣は手足のように使うことができるが、あくまでも我流。実戦のなかで身についた、俺独自の叩き潰すように斬るやり方しか、俺は知らない。
剣道などは、執行者の領分だろう。
…いやもしかしたら剣道部にいけば奴に会えるのか?
「そういえば、グラ子は部の中ではどの程度の実力なんだ?」
「一番強いわよ!」
胸を張って自慢げに言い放つグラ子。
「それは大きく出たな」
「む…信じてないわねアンタ、今度練習試合あるから見に来なさいよ!アタシの実力見せてあげるから」
練習試合か、なるほど。
「ぜひ見に行かせてもらおう」
「え、えっ!マジ…?」
何だその反応は。
「冗談だったのか?」
「い、いや…ホントに来てくれんの…?」
グラ子は疑念と期待感を含んだ表情で顔をのぞき込んできた。
「行かない理由もないし、むしろ行きたい」
「!!じゃっ、じゃあ!◯日!体育館でやってるから!絶対見に来なさいよ!」
ウキウキし始めるグラ子。
「ていうかこの後暇?近くに美味いラーメン屋あるらしいから行くわよ!!」
「いきなり上機嫌すぎるだろう」
「うっさい!」
と言いながらもニコニコしながらスキップでもするのかと言うほど軽やかである。
俺はグラ子に背を押されながらラーメン屋に向かうのだった。
カリゴ登場回なので雑に登場して退場する竜王と暴竜。
あと野生の蛮族。
いよいよ続きません(定期)