キシャァァァァァッ!!!
なん本もの足を持ち、頭には二本の鎌を持つ全身緑色の外骨格を持つ異形と博麗神社に居候する男、静次は戦っていた。
「つ、つえぇ・・・・」ハァハァ
足の感覚が無くなってきた。腕に力も入らなくなってきた。口の中は鉄の味が広がっている。
身体中は既にボロボロ、もう戦える力なんて残っていなかった。でも、意識はある。意識さえ有れば充分。
コイツが戦ってくれる。
異形の体液だと思われる紫色のドロッした物がベッタリと刃に付いている。柄はボロボロの、今は紫色の体液が所々に付いているが刀身は全部真っ黒の刀をしっかりと握りしめ、異形と睨み合う。
柄の札が剥がれかけていることも知らないで
キシャァァァァッ!!!
全力で俺に目掛けて突っ込んでくる。
俺は刀に操られ限界寸前の体を動かし、交わす。
少し湿った地面に足を付けるたびに、俺の身体が悲鳴を挙げる。
「ッ!!」
異形は突進した後も攻撃を辞めずに頭に付いている鎌で俺を切り裂こうとしてくる。
キンッ!!キンッ!!
と、鎌と刀がぶつかり合う金属音が辺りに響く。
一瞬、鎌とぶつかった瞬間刀を放してしまいそうになるが、意地でも刀を掴む。
これを放したら死ぬ。コイツに頼らなければ俺はシヌ
戦うにつれ、柄の札が少しずつ少しずつ剥がれていった。
ギヂャァ!!
ドガァァァッ!!と、異形は突進し、俺の近くにあった大きな岩が砕け散る。
「ハァッ・・・ハァッ・・・・」
呼吸が段々と荒くなってくる。今すぐにでも逃げたい。でも、逃げる事は出来ない。此処は人間の里。
何故、こんな事になってしまったのか。
知ラない
何故、俺はこんなにも戦っているのか。
コイツを止めらレるのは今は俺シカ居なイカラ
何故、俺はこんなにも体は限界なのに力が湧いてくるのか。
ワレガキサマニチカラヲアタエテルカラ
柄に貼ってあった札は既に柄には無かった
「アアアアアアッ!!!」
黒かった髪は白く、黒い瞳は血で染められたように紅く、力は無いに等しかった霊力は妖力へと変わり、幻想郷を震わせるくらいの力が静次、静次だったものに宿った。
ーーー数時間前ーーー
「暇だぁ・・・」
夏の季節はすっかりと過ぎ、今は神社でのんびりとさつま芋を霊夢と食べながら呟いた。
「おいしぃ~」
霊夢も満足してるようだ。
「静次、何度も言うけど暇が一番よ。」
「そうだけどさ・・・」
「あれ、そう言えば今日こんなに曇ってたっけ?」
「いや、朝はこれでもかって言うくらい天気が良かったはずだ。」
「そう、よねぇ・・・降らなければ良いけど・・・」
「なんか嫌な予感するなぁ・・・」
「私、洗濯物中に入れてくるわ」
いつの間にか食べ終わっていた霊夢は洗濯物を取りに外に行ってしまった。
何か無いかな。・・・そう言えば紅魔館の図書館で本借りたっけ・・・
少し前の事だが霊夢が紅魔館に用事が有るときに一緒に着いてって、図書館から本を借りたのだ。
パチュリー ・ノーレッジ 紅魔館の大図書館の主で「盗まないのなら貸してあげる」と、言ってくれた。魔導書ばっかりであったが、小説も中にはあった。
「そうきたか・・・」
そんなことを口にしながら読書を楽しむ。一時間位だろうか。廊下を慌ただしく走る音が聞こえる。
「霊夢、どうした?」
「人間の里に妖怪が現れたのよ。しかも大量に!!」
「っ!!それは本当か!?なら俺もいく!!」
「危ないから来ちゃダメ!!」
「お願いだ。生徒たちも居る。行かせてくれ!!」
「あ~~もうっ!!好きにしなさい!!でも、無理だけはしないでね!?」
「わかってる!!」
「私は先に行ってるわ!!」
ビュッ!!
と、外に出て全力で里に飛んでいく霊夢。それを追うように刀を持ち、俺も里に向かう。
静次が異変を起こすことになるとも知らずに。
人間の里は既に混乱状態だった。
家は燃えて、人々は叫び、妖怪は人間を襲う。
それを阻むように霊夢や妖怪の山にある神社の巫女、魔理沙、アリス、妖夢もが妖怪と戦っていた。
空は曇り、雨が降ってくる。
俺も戦闘に交じり、低級の妖怪を倒していく。
ぐしゃあっ
と、妖怪の腹が斬られ、中の臓器や緑色の体液を流していく。
これで俺も少しは役にたっているはずだ。
雑魚を倒していけば里に平和が又早く戻るはずだ。と、思っていた。しかし、現実は甘くない
キシャァァァァァッ!!!っと、悲鳴のような叫び声を放ちながら緑色の異形は俺に近づいてきた。
低級妖怪とは訳が違った。知識は低級の妖怪と変わらないが強さが圧倒的に違った。
大妖怪クラスだ。
鳥肌が立つ。知識を持たない大妖怪なんて霊夢たちから聞いたことなんてない。これはやばい。でも、戦わなければ!!『無理はしないでね』霊夢の言葉が不意に頭に浮かぶ。
ごめん。俺にはその約束は守れない。戦わなければ。
そして、俺と異形の戦い、生死を決める殺し合いが雨の止み終わりと同時に、繰り広げられた。
「ココワ?」
オレハ何をシテいた?この前にいるムシハ何ダ?
キシャァァァァァッ!!!
ウルサイ、キエロ
真っ黒な刀を異形に向かって振る。地面が割れる。異形が吹き飛ばされる。
ギォロロロロロロロ
致命傷だったのか異形はその場から動かない。
「ジャアネ」
静次、静次だったものが呟いた。
side out
霊夢 side
静次はどこ!?
あらかた妖怪は倒した。いや、殆んどは逃げていった。何かに怯えて。
その何かは此処から少しはなれた場所に居る。
静次を捜したいが先にこの莫大な妖力の発生源を倒さなければ。
でも、この力は、幻想郷の賢者 紫と、肩を並んで戦える程の力だ。何としてでも倒さなければ。
他の皆もこの力の元に飛んでいっている。私も早く行かなければ。
辺り一面低級妖怪の死骸で埋め尽くされていた。
これは誰が倒したのかしら。でも、今はそんなことを考えている暇はない。今は目の前のヤツに集中しなければ。
白い髪で目は血に塗られたように紅い。
吸血鬼と同じ目をしてるわね。
「貴方は何者?」
声を掛ける。この妖力の量の持ち主なら知能は高いはず。
「レイムカ、ナニモノッテ、ミレバワカルダロ?」
「あんたなんか知らないわね。」
「ワスレタノ?オレダヨ、セ、アアアアアアッ!?・・・・・・ワレニナマエハナイ、タダキサマラヲコロスソンザイ。キエロッ!!」
何なのあいつは!?自分の名前を喋ろうとしたら誰かが乗っ取ったみたいに人が変わって。そしてあの手に持っている刀、見覚えが有りすぎる。
あいつ、いや、あの人はっ!!
不意に涙が出てくる。信じたくなかった。
せ、静次・・・・・
最初はパッと見、誰が分からなかったが今、ハッキリした。あの背の高さ。あのただ適当に伸ばしただけの髪形、色は違うけどそっくり過ぎる。
他のアリスや魔理沙もきずいているようだ。
「静次!!お前どうしたんだ!?」
魔理沙が叫ぶ。
「セイジ?アア、コイツノナマエカ」
「貴方!!早く静次から出なさい!!」
アリスも叫ぶ
「ナニヲイッテイル。アイツガワレノフウインヲトイタ。アイツハワレニミヲササゲタノダ」
「!?」
静次が話終わった直後に静次と同じくらいの力の大きな存在が現れた。
スキマに上半身だけを出し、睨む紫。
「私は貴方を幻想郷の敵とみなし、貴方を殺す。」
あんな紫を見たことがない。何時もは何を考えているのか分からないやつだが今は殺気で満ちている。
「紫っ!!貴女、静次を殺すきなの!?」
私は叫ぶ。彼は私の大切な存在。失う訳にはいかない。
「彼は幻想郷の敵よ。」
「貴女が勝手に幻想入りさせた人を勝手に殺すの!?」
「っ!!」
「静次を殺すのだけは許さないわよ・・・」
涙が出てしまう。何故だろう。止まらない・・・・止めたくても、止まらない。大粒の涙が出てくる。
視界が歪む。身体が暑くなってくる。だらしないけど鼻水も出てくる。
いつからこんなにも弱くなってしまったのか。
情けない。博麗の巫女である私が。
「・・・・・異物を消すのは当たり前よ。」
私につけ放った一言。
その場にしゃがみこむ。力が出ない。
私は大切な物を、大切な人を、大好きな人を
失うの?
霊夢 side out
紫 side
彼を排除するこの幻想郷から。
一気に距離を積めて、妖力で強化した拳で静次にを殺しにかかる。しかし、彼も動きに付いてき、刀で私を殺しにかかる。
距離を放し、殺傷させる為に作った段幕を放ち、静次と弾幕の境界を弄り、静次の目の前に段幕を移動させる。
「!?」
彼は避けようとするが、段幕に当たり右腕が消し飛んだ。
「ニンゲンノカラダデハマンゾクニウゴケナイ・・・・クソッ」
「喋ってる暇があるのなら、攻撃してみなさい!!」
スキマで距離を積めて殴る。
彼も左手に持っている刀で殺しにかかってくる。
「コレ・・・・・イジョウハウゴケナイ・・・・・」
彼の動きが止まる。それを見逃さずに彼の心臓を突き破・・・・・出来ない。彼を殺すことは出来ない。
どんなことも裏で成長を支えてきた、育ててきた霊夢が初めて好きになった人、自分の暇潰しで此処に来させた人、こんな自分勝手なことをして殺せる筈がない。
彼の心臓ではなく、左肩を負傷させ、腹に蹴りを入れる。
「うぐっ!?」
「貴方を殺したいけど、そんなことは出来ないわ。だから、一生貴方だけを封印させるわ。静次の中に。」
術式を展開し、封印に入る。
「うぐぁいああぁああ!?」
悲鳴をあげる静次。
貴方の中にこいつは宿ってしまうけど他に方法が無いの。ごめんなさいね。
ありったけの力で封印する。
彼の目の色が戻っていく。
今日は一人でゆっくり酒を飲もうかしら・・・・・
雨が止み終わった人間の里の一角での壮絶な戦いが幕を閉じた。
紫 side out
静次 side
「う、あぁ・・・・・?」
此処は何処だ。和室だが薬品やら何やらいっぱい置いてある。
取り合えずベットから出るか・・・腕をつき、ベットから這い出る。
立とうとするが、かなりふらつく。壁に寄り掛かりながら部屋を出ようとする。
やっと、やっとドアの前。
廊下に出た。何処に進めばいい・・・・
再び壁に寄り掛かりながら歩き出そうとすると別の部屋からうさみみを付け、ブレザーを着た女性が出てきた。
「あ!!起きたんですか!?知らせなければ!!」
「あの・・・・貴女は誰ですか?」
「え?あ、私は鈴仙・優曇華院・イナバと言います。」
「鈴仙、なに?」
「ああ、長いので好き読んでください。」
「そか、んじゃ鈴仙、此処は何処だ?」
「それは私が説明するわ。始めまして静次くん、私は八意 永琳 ここは永遠亭 迷いの竹林にあるわ。色々説明したいからこっちに来てくれないかしら」
「ああ、分かった。」
それから色々なことを教えてもらった。俺がどうなって此処に着たとか腕が無かったから再生させておいたとか。すげぇな
「それで、少し聞きたいんですが」
「何かしら」
「俺はどらくらい寝ていたんだ?」
「そうねぇ、二週間かしら?」
「え・・・・ガチで?」
「ええ、ガチよ。まあ、腕を再生させるにはそこそこ時間と体力を使っちゃうしね。」
「そうなのか・・・・」
「ほら、これを飲んで。上手く歩けないでしょ?これを飲めば少しは楽に歩けるように成るわよ。」
「頂きます。」
ごくっ
「にっがぁぁ~」
「薬が美味しいと思ったのかしら?ほら、歩いてみなさい。」
「ん・・・・・す、すげぇ!!もう歩ける!!」
「お師匠の薬は良く効きますからね。」
良くきくってレベルじゃねーよこれ。
「こんにちわ。静次」
「ん?紫?」
「ごめんないさい。私は貴方を殺そうとした。まず先に謝罪させて貰うわ。」
「別に良いですよ。あの時ほんの少しだけ意識は俺にも有ったので説明は要らない。紫は幻想郷の為を思ってやったんだろ?なら、良いじゃないか。」
「フフっ、貴方、幻想郷でその優しは身を滅ぼすわよ」
「もう滅ぼしかけたので大丈夫」
「全く。霊夢たちに知らせてくるわ。霊夢ったらかなり落ち込んでたのよ?」
まじか。心配させちまったな。
紫はスキマを使い、姿が見えなくなった。
「そう言えばハイ、」
鏡?
「自分を見てみなさい。」
言われた通り見た。するとそこには黒かった髪が真っ白になっていてた俺がいた。
「あの時のままみたいよ。」
俺は髪が白くなってたのか。
部屋でゆっくりしているうちに廊下を慌ただしく走る音が聞こえた。
「静次!!」
「おはよう、霊夢」
「せ、せ、せいじぃ~!!!うっ、ヒック、うっ、うう"、ヒック」
「おいおい霊夢鼻水がついちまうだろ」ニコッ
「ば、ばかぁぁぁ~~!!う"あ"あぁぁぁ・・・・・」
「れ、霊夢、泣くなよ。俺も泣きたくなっちまうだろ」
「もう、離さないから。ず、ずっと、一緒だから、ね」ヒック、ヒック
「ああ、何処にも行かないさ。俺はずっと霊夢の側に居るよ。」
「うん・・・・・・ヒック、ヒック・・」
「お暑い所申し訳ないな。」
「魔理沙、妖夢、お前らも来てたのか。」
「私も居るわよ。」
「アリス!!」
「皆、ほんとうにごめんな。俺のせいで。」
「いいや、お前は悪くねーよ。元はと言えば私があんなの拾ってきたからだ。」
「そう言えば俺の剣は?」
「あの剣の元がお前に封印されちまったから剣はもう何の力も持ってない。ほら、そこにあるだろ?」
本当だ。この部屋にあったのか。
「その剣は妖刀ではなく封印されてたって訳だ。だから、その刀は何の力も残ってないと思うぜ」
「まぁ、護身用に使えるから使うよ。」
「そうかい。それで霊夢は何してんだ?」
霊夢は思いっきり俺に抱きついて寝てるな。嬉し・・・・ゴホン
「いいなぁ・・・・」
「妖夢~。お前どうしたんだ~?」ニヤッ
「な、何でも無いです!!わ、私用事があるのでこれで!!」
「んじゃ、私も帰るか。ほら、静次。霊夢と一緒に寝てやれ。じゃあな。」
寝ろって言われてもこの態勢だと寝ずらいな・・・
「お~い、霊夢。少し離れてくれ」
「離さ・・・・ない・・・・もん」
「んじゃあ、この態勢だと寝れないから布団の中に入ってくれ。」
「分かっ・・・・た」
「暑いわね」
アリス、そう言えばまだ居たんだっけ。
「そんなんじゃねーよ。たく」
「はいはい。そろそろ霊夢の気持ちにきずいてあげてね。それじゃあね。」
霊夢の気持ちって・・・俺の事・・・ないない。
まぁ、今日はもうこのまま寝るか。
静次 side out
「私達完全に空気だったわね・・・・・」
「そうですねお師匠様・・・・・・」
なんでこうなった。
かなり急過ぎたですがどうでしたでしょうか。