東方仁無録   作:キーマカレー

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し、シリアス苦手・・・これは酷い。
ではどうぞ。


32話 飛べなかった小鳥

「その、今日はどうなされましたか?」

ある日、お嬢様に呼ばれた私は自分が何か気に障るような事をしてしまったのか、など内心混乱した状態でお嬢様に会いに行きました。

「――やっと来たのね。遅かったじゃない」

その時のお嬢様は真剣な顔つきで、でもどこか悲しそうなお顔をしておりました。

「申し訳御座いませんお嬢様」

腰を深々と下げて謝る私にお嬢様は「別に良いわよ」と手を力なく振りながら溜め息をついた。

「今日は少し貴女に話しておきたい事があってね。聴いてくれるかしら?可哀想な小鳥とそれを助ける勇気が出ない小鳥の話を」

その時のお嬢様は本当に悲しそうでした。いえ、前からこの様な顔を稀に見せていた。

「はい」

お嬢様の問に返事しか出来なかった。

「今日の天気は曇り・・・この話にはピッタリかしら」

窓から灰色で覆われた空を見つめるお嬢様は私には何だか苦しそうに見えた。

「まあ、立っているのも疲れるでしょう。そこに座りなさい」

「――失礼します」

少し緊張してしまっている私はつい椅子を強く引いてしまい、がららっと音を発ててしまった。しかしお嬢様は気にする様子は無くまた灰色の空を見つめていた。この時私は初めて今から話される事の深刻差が感じられた。時計の針が三時を指し、それと同時にお嬢様の口が開いた。

「私には妹が居るのよ。血の繋がった」

「え!?」

初耳だ。お嬢様に妹様がおられたなんて。

「し、しかし何故私にそのような話を?」

「・・・それは貴女に次のメイド長を任せたいからよ」

「えっ!?」

信じられない。私はこの館に数ヵ月前に雇われ最近やっと仕事に慣れ始めた頃だと言うのに。

私は驚きを隠せずに口を開けてしまっていた。

「今のメイド長はそろそろ・・・いえ、とっくに働ける状態では無いことは知っているでしょう?」

そう、この館は吸血鬼の住む館。他の住人も人間ではない人ばかりだ。しかし、私と今の現メイド長は人間だ。そしてメイド長はもう年をとりすぎた。最近はずっとベットで横になっており働くことすら出来ないのだ。

「しかし、他のメイドたちに任せれば「本気で言っているの?」・・・」

「貴女とメイド長以外は皆妖精。長の仕事が勤まると思っているのかしら?」

「正直、無理だと思います・・・」

「だから貴女に頼んだのよ。それとも私の頼みを断るのかしら?」

お嬢様の血のように紅い目が私の顔を捉える。

「・・・精一杯やらせて頂きます」

「よろしい」

お嬢様は微笑むと紅茶を一口飲んだ。するとお嬢様は立ち上がり部屋を歩きながら話した。

お嬢様の妹がどのような人なのか。

何故妹様が表に居ないのか。

そして、何故妹様の話の時にメイド長を任せると言われたのか。

 

「っ・・・!」

話を聴いて最初に思った事は可哀想。いや、可哀想では済まされない。残酷すぎる。そう、あまりにも。

妹様の名前はフランドール・スカーレット。400年以上も妹様は地下に監禁されている。だから一度も目にすることが無かった。

何故監禁されてしまったのか。それは危険だから。

何が危険?力?能力?

吸血鬼だから力は強い。でもそれだけでは普通監禁するところまで行かない。

能力が危険。お嬢様に聞くと妹様の能力は『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』だそうだ。しかし、能力は制御できれば問題などない。

お嬢様に聞いても何故監禁されたかは分からないらしい。

監禁したのはお嬢様の両親。お嬢様がもっと幼い頃に死んでしまったらしい。

そして、何故メイド長を任されたのか。それは代々メイド長は妹様のご飯の配達や衣服の洗濯などの仕事をするらしい。

「お嬢様、それなら何故妹様を外に出してあげないのですか!?・・・・・・すいません」

つい、暑くなりすぎて思っていることをそのまま言ってしまった。

「気持ちは分かるけど少し落ち着きなさい。それと何故外に出してあげない・・・か」

「出過ぎたこと言ってしまって申し訳御座いません」

「いや、その通りだと思うわ」

「え?」

お嬢様は窓の傍まで歩き戸を開ける。すると雨が降ってきた。誰かの涙のように。

「言ったでしょう?勇気が出ない小鳥の話、と。本当よね。最早くあの子、フランを外に出してあげれればもっと変わっていたかもしれない・・・でも遅かったわ。あの小鳥は飛べなかった。私のせいで」

「そ、そんなこと」

「私のせいなの。私が早く籠から出してあげなかったから。私はあの子に何て思われてるのかしらね」

何も言えなかった。この残酷な話を聞いているだけで私は何も言えない。「こんなので本当にメイド長が務まるのかしら」などと思ったりもした。

「でもね、もう一度。もう一度飛べるチャンスが来たのよ」

悲しそうな顔から一変、何処か嬉しそうな表情になった。

「全てを受け入れる理想郷――幻想郷。後数ヵ月したらそこに移住するわ。そこでこの残酷な運命を変える。絶対に変えてみせるわ。だから貴女も私に手をかして貰えないかしら?」

手を差し出すお嬢様。それに私は

「喜んで」

妹様、お嬢様を従者として、いやメイド長として何としても救って見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それから数ヵ月して異変を起こしたのだけど」

「霊夢たちにこてんぱんにされたと」

「ええ。でも魔理沙が妹様に希望を持たせてくれたお陰で今はあんなに楽しそうに過ごせているのよ。もちろん貴方にも感謝しているわ。きっとお嬢様も」

ここまで咲夜が過去の事を話してくれたが俺には重すぎた。あんなか弱い子がそんなに辛く苦しい運命を辿っていたなんて。

「ほら、着きましたよ」

「ああ、ありがとな・・・」

「ごめんなさいね」

「俺が聞いたことだし咲夜は悪くないよ。それにフランの過去も知れたことだし」

「妹様、フランをこれからも宜しくね静次」

「喜んで」

自分が今できる精一杯の笑顔を咲夜に向けた。

 

 

 




読み返すと何か変なんですよね。こう、何て言うか展開が急過ぎるって言うか・・・なんなんでしょうね。
では次話で。
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