東方仁無録   作:キーマカレー

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キーマカレーです。
とりあえずどうぞ。


40話 理不尽な暴力

「静次、話があるわ」

仕事が終わりさっさと甘味処に寄って神社に帰るかと思い、小走りで移動しようとすると背後から落ち着きのある大人びた女性の俺を呼び止める声が聞こえた。

振り替えると凛とした立ち姿の咲夜が俺を見ていた。

「あれ、咲夜どうした」

何時もは里での買い物の途中で偶然に会ったりしていたのだが今回のように咲夜自身が俺に会いに来るのは初めての事だった。珍しい事が起こったのに対し、色々と考えてしまう。

咲夜が自分の都合で会いに来るとは余り考えにくい。するとレミリアが用事があるのか?

「それがね・・・」

先程から何か都合の悪そうに何回も俺から目を逸らし、指で頬を掻いたりする仕草をして見せていた。

「お嬢様がフランと遊んであげてって・・・」

「・・・最近ってか数日前に行ったばかりだろ」

そう、フランとは一週間で二日位のペースで遊んでおり、どうしても仕事と被り帰る時間が遅くなるという事が多々あるのだがそれは別の話で。

「まぁ、流石に明日来てとは言わないわ。遅くても明後日位には・・・」

「別に良いけどこのままじゃいかん気がするな」

フランとは遊んでも良いのだが流石に沢山行きすぎると生活のペースを壊しかねない。

「そうなんだけど・・・まぁ、一応伝えたい事は伝えたから。じゃあね」

とだけ言い残し咲夜は消えてしまった。

この事は後で考えるか・・・。そういえば甘味処に寄って霊夢に買っていかないと。

里の大通りの大体中心に位置する甘味処に寄り、最近のお気に入りの饅頭を数個買い、神社に向かう。夏のせいか空はまだ明るく太陽は白く光り輝いていた。

空を飛んでいると 俺と同じく空を飛んでいる少女がいた。

その姿は太陽によってシルエット状になっており、箒に股がっているのが目立った。彼方も此方の存在に気が付いたようで手を大きく振っていた。此方も手を軽く振り返すと此方にゆっくりと近づいて来た。

「よぉ、静次。仕事帰りか?」

その正体は魔理沙。少し暑いのか手で顔を煽る仕草を何回もしていた。

「まぁね。魔理沙は神社のほうから飛んできたから霊夢と遊んでたのか?」

「ああ。それと聞いてくれよ。面白い茸を見つけたんだぜ」

「茸?」

そういえば魔理沙は大の茸好きだったっけ。魔理沙が面白い物と言うととても不安になるが。

「神社に置いてきたから後で二人で食ってみろよ。きっと美味いぞ」

へへっと指で鼻の下を軽く擦りながら若干どや顔で言う彼女。別に死ぬような茸ではないだろうと心の中に言い聞かせながら彼女の話を聞く。

「ああ、それと」

まだ何かあるらしく魔理沙は人差し指をピンと立てて

「何か霊夢が怒り気味だったぞ。何かしたのか?」

「いや・・・別に」

今日は特に気に障る様な事はしていない筈だ。

――もしかしたら朝のメモ書きのせいだったり・・・ないない。霊夢はそんなことで怒ったりしない筈。

「取り敢えず私は帰るぜ。茸の事だけどお前にピッタリだと思うぜ?」

「ああ・・・?」

俺にピッタリと言われてもいまいちピンとこない。

深く考えてもわからないままだったので、さっさと日がくれぬ内に帰ることにした。

 

 

 

神社に着く頃には辺りがいつの間にか日が沈み、暗くなっていた。帰る時間が遅れると少し霊夢に怒られるのだが今日はお土産も買ってきたし怒られることは無いだろうと余裕を持ち境内に入っていった。

廊下は暗く歩くたびに床の板が軋み廊下に良く響いた。薄暗い廊下の先には明るくぼんやりと光っている障子があり、中で人影が動いているのを確認できた。

障子を音を発てずに開けると魔理沙が置いていったと考えられる物と此方に気付いた霊夢が目にはいった。

「あら、お帰り」

「ただいま・・・?」

少しは怒っていると心の中で思い覚悟はしていたが、何処も怒っている様子はなく、いつも通りの可愛らしい顔だった。

「見てこれ。魔理沙が置いていったの」

両手で抱えるほどの大きさの茸。良く民間療法などで昔から使われてきたサルノコシカケ。しかもその大きさは50センチはあるのではと思えるほどの大きさだった。

「サルノコシカケか。魔理沙にしては意外だ・・・な」

そこで少し疑問を持った。そして、魔理沙が俺に言った言葉をもう一度頭のなかで再生させる。

 

 

 

『取り敢えず私は帰るぜ。茸の事だけどお前にピッタリだと思うぜ?』

 

 

 

魔理沙。つまり俺は病弱のひ弱な人間だと。

大きなサルノコシカケを持ったりしながら愚痴る。

まぁ、でも身体に良いしな。食べたこと無いけど。

木質なサルノコシカケを叩いたりしていると霊夢が隣で喋りだした。

「まぁ、あんたも帰ってきた事だし」

と言うと俺にたち膝で近づいてくる霊夢。そして、

「いっ・・・!!」

思いっきり腹パンをかましてきた。

「な、何すんだ霊夢・・・」

腹を押さえながら必死に声をだす。かなり痛い。

「自分の胸に手を当てて聞いてみなさい」

「・・・・・・何もわからんが」

「へぇ・・・」

すると霊夢は立ち上がりご飯作ってくるとだけ言うと今度は腹を蹴ってきた。

「あ・・・あ・・・」

腹パンされたところに蹴ってきやがった。畜生。

「まぁ、静次。貴方は、貴方でいなさいよ?」

「は?」

何処か辛そうな顔をしながら話す霊夢を見てとても気になったが、多分言っても教えてくれないと思うので

「何時になっても俺は俺だ」

少し格好つけて言ってみる。すると、

「なら良し」

と、満面の笑みの彼女がいた。

 




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