聖闘士星矢 NEXTDIMENSION 〜終わりの始まり〜   作:くまたいよう

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 今回、先ずは対話。


天馬星座、未だ目覚めず

 

 

 

 

 敗北感に打ちのめされるが沙織は立ち上がり、星矢の身体を乗っ取ったハーデスを見据えた。確認しなけれはならないことがある。 

 

「貴方は何をする気なのです・・・・眠ったままな星矢は本当に無事なのですか?・・・・それにシャイナと魔鈴はどうしたのです?」

 

「ふむ、長い話になるからお茶でも用意させるかな?」

 

 呼び出し用の鈴を鳴らしてテーブルに案内されたが、沙織はやはり斜に構えた笑みをうかべる星矢の表情が凝視できないでいた。

 

「・・・・どうしたアテナ、まるで天馬星座から。そうだな、ペガサス彗星拳でも向けられる寸前のような表情ではないか」

 

 それは誇張であるが、少なくとも戯言では無かった。初めて自分がアテナと明かした時、星矢がフェミニストでなければ黙らせる程度に流星拳を自分の足元にでも打たれていた程度な考えはあるのだ。

 

 何度思っても、あの時は沙織は傲慢さが抜けていなかったとしていた。その時に自分を皮肉った笑みをハーデスに浮かべられて抱くのは怒りでもなく恐怖と悲哀とした時にドアが開いたが、目を疑った。

 

「あ、アテナ・・・・」

 

「お帰りになられましたか」

 

 安否を心配していたシャイナと魔鈴が紅茶とお茶菓子を運んで来たのだが、格好が異常だ。

 

 二人が本来装着していような聖衣に近い金属製のビキニを裸体のまま着込み、下の履き物の前後に赤いシルクの腰布が着けられている。これではとした時にハーデスが事もなげに説明する。

 

「生き残りの冥王軍雑兵が渡したのだが、地上におけるギャラクシアン、いやスターと付くウォーズの捕虜となった姫君がこのような格好をするものとして渡したから着たらしい。余には興味は無いが、地上を治める貴女が普段もう少し慎みのある服装でいない結果がこれなのか?」

 

「・・・・っ、それよりも二人に何もしていないでしょうね?」

 

 肩を露出させた。格好ばかりしている自分へのズレた皮肉だが確認しておくべき事は非道な仕打ちをしていないかとしたが、ハーデスを紅茶を一口飲みつまらなそうに答えた。

 

「ふむ、タナトス辺りなら余の中に眠る天馬星座への制裁として。二人を嬲りものにでもするところか?だが、それを提案した者は処刑した。余はペルセポネ以外は興味は無いな・・・・それは後にして結論を言えば余は天馬星座を平穏に目覚めさせ語り合いたくなった」

 

「か、語り合い・・・・何故です?」

 

「エリシオンで思い出したばかりだが、神話の時代。余は天馬星座に傷を負わされて、当時のアテナにその隙を突かれて封印された。それ以来に知ってのとおりに余は瞬のように地上で尤も清らかな心を持つ人間の身体を借りる事にしていた・・・・だが、それに突け入る形でタナトスにヒュプノスが余を傀儡として地上を我が物にしようとしていたのだ。あの【カノン】なる双子座の片割れがポセイドン相手にやったようにな」

 

 息を飲む沙織も密かに疑問だった事が、ハーデス軍との戦力差を覆せていた理由が判明したとした。ムウがハーデスに比べたらサガやポセイドンはアクシデントに過ぎないとした程に恐るべき要素が有り余るハーデスがそのような状況だったのが勝因としたが、やはりキッカケはとした。

 

「ふむ、やはり恐るべきは天馬星座・・・・神話の時代に冥界に攻め込み、余を傷付けエリシオンに後退させおった。それ以来はポセイドンの如く不完全な状態でいる余の隙関連が勝因な戦いに持ちこむ・・・・そして、今世においても余に傷を負わせて貴女が余の肉体を破壊する突破口を開いたか。一度対面するのも一興よ。前大戦の影響やもしれぬが」

 

「私も多少調べましたが、天馬星座の聖闘士は確かに神話の時代より私と貴方の戦いを左右する存在でした。それに関心を持つのはわかりますが、何故二人を?」

 

「二人が必要なのだ。ハッキリ言えば余だけでは呼び掛けられぬ、だが片や天馬星座の師である鷲星座の聖闘士・・・・まして?」

 

 冷徹な視線をシャイナに向ける。シャイナはそれに対して怯まずに睨み返すがハーデスには憐れみすら向けられた。

 

「ふむ、私情を押し切れておらぬ。天馬星座を貴女と同じかそれ以上に想っておる蛇遣い座の聖闘士・・・・余には分かったぞ。この女がもしも?」

 

「い、言うんじゃないよ!・・・・ご、御無礼を」 

 

 ひれ伏し、手をついてハーデスに頭をさげるシャイナに沙織は目を疑った。普段とは懸け離れ過ぎた姿なのだ。

 

「しゃ、シャイナ・・・・どうしたというのです?」

 

「聞いてやるでない。シャイナがこうしている理由が重要なのだ。アテナよ、単身で来た理由も何となくであろう。今日のところは退散して、あの時に天馬星座と共に余と戦った青銅聖闘士を連れてくるなり何なりして出直して参れ。忠告をしておくが星華なる天馬星座の姉を連れて来るでないぞ・・・・」

 

「わ、わかっております。今の星矢を見せるわけにはいきません」

 

「いや、違う。魔鈴よアレを持て」

 

 促されて魔鈴が持って来た物は下書き段階な絵であるが、描かれていたものが沙織の忌まわしい恥部を凝縮したが如くだった。

 

「あ、ああ・・・・っ。そ、それは・・・・」

 

「ほう、鏡を見ているようだな。そうだアテナ、これは貴女の幼少期を天馬星座の目線で見たものだが・・・・描かれた貴女は何に気圧されているのかわかっておるな?」

 

 魔鈴とシャイナも冷ややかである。

 

 幼少期、沙織が悔い改めている傲慢、我が儘、未勝手と星矢に糾弾された理由そのものな時期の自分。一輝との戦いを終えて帰って来た4名に自分がアテナと明かしても信じてはもらえなかったのは今でも覚えているのだ。

 

「余も天馬星座の魂の記憶と僅かに同調した際に目を疑ったわ。神話の時代よりアテナの為に尽くし抜いた天馬星座を幼少期とはいえ馬用の鞭で滅多打ちにして・・・・反抗され、気圧されてこの有り様。アテナ、いや城戸沙織よ。エリシオンにて余の作った悪行を重ねれば死後地獄に落ち、無限地獄へ落ち、未来永劫苦しむ世界を否定したが、それは貴女がアテナでなければ地獄へ落ちていた故な考えか?まあ、良い。星矢を目覚めさせる鍵候補たる姉にいらぬ事を吹き込む事はしたくない、では出直して参れ」

 

 淡々と告げるハーデスを否定できなかったのが沙織の弱点であり美点であった。アテナとして覚醒しただけでは拭えない恥部、最早語るに値しないとして退散させられたアテナの背をシャイナが見つめていた。




 城戸沙織、引き際を間違えはしなかったな回。
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