神の都合で全てが変わる世界で主人公探してます   作:謎謎おじさん

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10話 命乞い

 

その言葉に、西園の気分次第で俺の命を簡単に奪える状況を整えられていたのだと気づく。

 

昨日キングに追いかけ回された時と一緒だ……夕方の住宅街なのに腹を空かせてくる誰かの夕飯の匂いも遊び終えて帰路についている子供達の声も1日の終わりを感じさせるカラスの鳴き声だって感じない。街そのものが俺達を除いてジオラマに変わってしまったかの様な感覚。

 

魔法か神が作ったルールかはわからないが…おそらく西園が俺の事を敵と認識して人に見られない様に人よけを済ませたという事だろう……

 

「できるだけ楽に殺してあげるから安心してね」

 

そんな状況を分析している間に首元にナイフを持ってこられた俺は、

 

「ち、ちょっと待ってください!!僕西園さんの役に立てます!!」

 

全力で命乞いを始める。

 

「……そうなんだ。でも一ノ瀬の人間に目をつけられてる君を殺さない方が危険なんだよね。君は私にどんな利益を提供できるの?」

 

殺人はあくまで手段なのか西園は俺の命を損得勘定の天秤に乗せ始める。

 

「か、隠れ家!隠れ家を提供できます!僕独り身で一軒家に住んでるので部屋も別々です!」

 

「ふ〜ん……それで?」

 

「親の遺産もあるので食事と服も提供できます!た、多少なら贅沢しても問題ないです!」

 

「……それだけじゃだめかな〜」

 

「家使ってる間はなんでも言うこと聞きます!!もう本当に何でもするので命だけはご容赦ください!!」

 

そんな自分で言いながら情けなくなって涙目になってくる命乞いに西園は、

 

「そこまで言うなら提案に乗ってあげる」

 

納得してくれたのかナイフを首から少し遠ざけてくれた。まだその気になれば命を奪える距離ではあるが…

 

提案を受け入れることにした西園は、

 

「でも勘違いしないでね一旦保留にするだけだから。少しでも私の機嫌を損ねたら……その時はわかってるよね?」

 

その絶妙な距離感を保ったまま俺たちの関係性をハッキリさせる為脅しをかけてくる。つまりこれからは西園の奴隷になれという事だろう… 1日で家臣から奴隷にランクダウンする事ってあるんだ…

 

「…わかった?」

 

しょうもない事を考えて返答が遅れた俺にムカついたのか西園は再度ナイフを首に押し当てて返事を迫ってくる。

 

「はい!もうわかったんでナイフしまってください!滅茶苦茶怖いです!」

 

「まだ立場をわかってないような気がするけど……まあいいか。めるる!人よけの魔法といていいよ」

 

西園のがそう言うと昨日見た長い垂れた耳を持ったウサギの様な生き物が近くの草むら出てくる。めるるは草むらから出るとリスの様に西園の肩によじ登り会話を始める。

 

「最近魔法使ってばっかりで疲れためる〜そろそろ補給しないともう魔法使えないめるよ〜」

 

「それなら大丈夫。ちょうど一軒家が手に入ったから!しばらくは安心して眠れるよ!」

 

すみません…家の所有権までは譲ったつもりは無いんですけど… だがまあ流れで明日やりたかった俺を守るだけの力を持っているやつを近くに置くことには成功した。関係はすごく歪だし親の遺産に手をつける事になるが…

 

そんなすごく情けない自分にため息を吐く俺を、

 

「…でも本当にいいめるか?僕たちの近くに居るとよく無いことに巻き込まれる可能性があるめるよ」

 

めるるは心配してくれている。ナイフで脅した後に心配されると悪いやつなのかいい奴なのか判断に困るからやめて欲しいんですけど…

 

「まあ全然よくは無いんだけど…命に比べれば安いから我慢するよ。ただ俺のこと奴隷にするなら何かに巻き込まれた時はちゃんと守ってくれよ」

 

「何で?」

 

「何でじゃねえよ!ペットでも奴隷でも飼う奴が最後まで面倒を見るのが当たり前だろうが!」

 

「そうなの?」

 

「まあ…普通はそうだと思うめるよ…」

 

「へ〜…なら私の近くに居る間は守ってあげる。私がいない時は自分で何とかして」

 

西園はめるるに確認した後渋々条件を呑んでくれた。色々あったがとりあえず保険は作れたと言っていいだろう…これから家に住む様になるんだ一ノ瀬に襲われたら西園までダッシュで向かえば何とかなるだろ。

 

はあ…今日は本当に疲れた。今後はこいつらの信用を稼ぎながら敵勢力の目的の確認や一ノ瀬の対策なんかを考えよう。

 

「わかったよ。2人はこのまま家に来るんだろ?ならさっさと帰ろうぜ。頭使いすぎてしんどいし…」

 

「あ!途中で何処かに寄って甘いものを買って欲しいめる!」

 

「私も色々買いたいからお金出して」

 

そんな帰路に着こうと提案した俺にたかる気満々の2人を見て居ると親が残したお金でよくわからんペットと女の子を養うという行動をとった罪悪感が脳みそを支配してくる……

 

「できる限り安い奴買ってね…」

 

本当に……一ノ瀬の話素直に信じてれば良かった……
















本当に世界感を開示していただけですが一章はこれにておしまいです。ナイフで脅してくる系魔法少女との同居生活から始まる二章は話が動きそうなところまで書き溜めてから投稿するので暫しお待ち頂けると幸いです。

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