神の都合で全てが変わる世界で主人公探してます 作:ラ メ ル テ オ ン
「で、話すのはいいんだけど……なんで?」
俺は観覧車に乗った後、正面の椅子に座ってるめるるに采花が言いたくないと言った事をわざわざ説明しようとしてくれるめるるの真意を探る。こいつさっき魔法と呪いの説明って言ってたからな……話が全部終わった後『これからお前を生贄にするめるよ〜』とか言い出してもおかしくないぞ……そんな不安もあり最初にそんな話しづらい事を話す理由を聞きたい。
「理由は聞いてないめる。だからめるるの予想だけど……采花は翔にとって大事な何かを無理やり聞き出してしまったと思ってるんじゃないかな?だから代わりに納得できずに誰にも言いたくない事をめるるに頼んででも伝えようとしてると思うめる」
めるるはどこか悲しそうにそして優しく語る。……これあれかな?俺が采花がどんな奴か測るために話した両親絡みの激オモエピソードを無理やり聞き出したって勘違いしてんのかな……いやまあ確かに命握られてる奴から聞かれたらどれだけ嫌でも話すけど……ぶっちゃけもう事実として受け入れてるから采花のナイフとはまた別なんだけど……
だが、これはチャンスだ。采花の過去を知るついでに新たな世界の法則を物語の根幹に関わってそうな奴から教えてもらえるのは一ノ瀬やこれから出て来るであろう敵キャラの対策を立てる上でかなり使える。そんな思惑もあり俺は、
「そういう理由なら遠慮はいらねえな!じゃあめるるさん!魔法と呪いの違いについて分かりやすく教えてください!できれば根本的なところから教えてくださると助かります!」
全力で乗っかる事にした。この3日間一ノ瀬に頼らず危険人物である采花を匿ったのは立場やしがらみのない采花の方が魔法関係の事を教えてくれそうだからだ。なのに……あいつずっと家にある漫画読み漁って全然魔法の話してくれないし!俺には物語を上手く終わらせるために世界の情報が何よりも必要なんだ。こいつらに金を惜しまなかった成果がやっと出てくれた。だからここでめるるに聞けるだけ聞いておこう。
「じゃあまず根本的なところから、基本的に魔法は『詠唱』魔力を多く持つものが口で唱えるか、『術式』あらかじめ魔力の通り道を引いてそこに魔力を流す事によって通り道にある機構を動かす事によって発動させるめる。詠唱は術式と違って自由度が高いけど魔力を多く消費するせいでできる人が限られてるし現代じゃほとんど使う機会がないから現代で使われてる魔法はほとんど術式絡みめるね」
いきなりむっず……俺が転生者で40年蓄えた知識があるからなんとか咀嚼できるけど普通の高校生がいきなり言われて理解できる話じゃねえぞ……
えっと……詠唱ってのはつまり普通の人が想像するような魔法って感じだよな?多分あの一ノ瀬が連れていた鶏が使っていた奴がそれだろう。あいつは話すだけで風を起こし光を放って回復魔法を使っていた……まあ俺に効果なかったんだけど……でもあの鶏は口を動かすだけで魔法を使っていたあれがまさに詠唱ってわけだ。
で、術式の方は……多分電気回路と似たような仕組みだろう。おそらく……電気を流せば電球が光るように魔法道具によって魔力を流した時の効果を変えられる感じだろう。一ノ瀬がキングを気絶させる前に持っていた銃のマガジンを交換していた。多分あれは撃つ弾を変えているわけじゃなくて状況にあった術式に交換しているって感じか……いやこれ……
「あの……すごく難しい話してません?」
「それは……ごめんなさいめる。魔法を使うわけじゃないならそこまで重要じゃないから覚えなくていいめるよ。基本的な事から教えて欲しいって言われたから嬉しくなって色々話しちゃっためる」
あまりに専門的な話が始まった俺の感想にめるるは申し訳なさそうにしょんぼりしている。
「いや…頼んだ俺が悪いから落ち込まないでくれ……つまりこの話で重要なのは術式の方って理解で大丈夫なんだよな?」
「そうめる!翔は頭がいいめるね!」
めるるは俺の言葉に満開の笑顔を見せて俺のことを褒めてくれる。こいつは采花と違って分かりやすくて助かる。
「俺はナイフ向けられて即座に命乞いできる男だぞ?頭の回転だけは誰にも負けねえよ」
まあ……もう既に結構回りづらくなってるんですけど……
「ふふ、そうだっためるね。じゃあそのナイフの話めるけど……」
そこまで言った後、めるるは一呼吸置き真面目な顔をして話し始める。
「術式はすごく便利める。一度刻めば刻んだ物自体が壊れたりしない限りいつでも使えるめる。でも色々と欠点があるめる。
1つ目は術式自体に魔力を貯めれないこと、だから常時動かさなきゃいけないものには使えないめる。
2つ目は1度刻んだ術式は消せない事。後で術式を追加したり術式自体を改造して魔力効率や出力を変えることはできるけど発動する効果自体は変えられないめる。
そして術式の最後の欠点であり後に呪い呼ばれる技術が生み出される事になった理由。それは直接生物に刻めないことめる」
「……で?それが采花のナイフにどう関係あるんだ?」
俺は話が見えないめるるの術式解説にさっさとナイフとの繋がりを見せろと圧をかける。
「……采花のナイフは翔には見えているけど本来采花以外には常に見えないし認識する事すら出来ないものなんだ」
「は…?あのナイフに術式がかかってんの?いやでもあのナイフ特に変な所なかったぞ?光ってもなかったし」
俺は過去を振り返りながら言葉を吐く。俺が実際に使われている魔法をこの目で見たのは3回、1回目はキングにかけられた魔法、2つ目は一ノ瀬が持ってた銃、3つ目は鶏の回復魔法、そのどれもに共通する点は発動させるタイミングで光を放つ事。だが俺はあのナイフが光ってる所を一度だって見たことは無い。
「あのナイフに魔力が流れてないのに見えないのは采花の体に刻まれている呪いのおかげだからめる。呪いは術式を生物に刻める様にした技術で……」
「……?」
俺はめるるの言葉が詰まった事に疑問に思いめるるの視線の先を眺める。長話のおかげもあって気がつくと観覧車は頂点に達していた。そんな場所から見える景色は最高で時間帯もあって空のオレンジと水色の面積が均一だと錯覚してしまう、見ているだけで嫌なことが吹き飛んでしまう綺麗な空が広がっていた。
「……すごく綺麗める!」
めるるはこの景色が見たかったのか飛び跳ね回って喜びを表現している。そんな講義も忘れてはしゃぐめるるに、
「まあ…綺麗だな……」
文句を言わなかったのは俺の頭がパンクしそうだったからだ……取り敢えず景色見ながら一旦頭を休めよう……続きは観覧車降りて糖分補給してから頼むか……