神の都合で全てが変わる世界で主人公探してます   作:ラ メ ル テ オ ン

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15話 采花の秘密

 

「このチュロスっていう食べ物すごく美味しいめる!」

 

「美味いだろ〜だけど食べた事は2人の秘密にしてくれよ。采花が知ったらこれ食べる為だけに遊園地に行く羽目になるからな…」

 

「わかっためる!めるると翔の秘密める!」

 

観覧車を降りた後、頭に糖分を与えてやりたかった俺はチュロスを一本買ってめるるとベンチで半分に分け合って食べている。

 

「それじゃあ糖分補給も済んだところで話の続きだ。生物以外にしか刻めなかった術式を魔力を大気中から摂取してる生物にも刻める様にしたのが呪いって事なんだよな?でもそれだけなら呪いって言われる意味がわかんないんだけど……」

 

「それはめるね……ここまで話したならもう采花が自分に掛けた呪いについて話した方がわかりやすいめるね」

 

めるるはそう言って手に持っていたチュロスを食べ切ると姿勢を正して話し始める。

 

「采花はアフリカの都会の近くにある言うなればスラムの様な場所で生活してためる。8歳で病に倒れたお母さんを看取った後は毎日ゴミだめから使える廃材を探して売りその日の飯を得て明日もご飯が食べれる様に祈りながら寝る…そんなこの国の子供達とは掛け離れた世界で生きてためる。

 

そんな生活を続けていたある日1人の男が采花に声をかけてきためる。身なりも良くてスラムに来てるからか護身用にナイフをぶら下げている見てくれのいい男が、その男は言葉巧みに采花を薄暗いけど御馳走が出てくるそんな店に連れ込んだめる……けど何も持っていないスラムの子供にそんな都合のいいことが起きる訳もなくその男の目的は……」

 

まるで自分が体験したみたいに辛そうに語るめるるに耐え切れなくなって俺は、

 

「……采花の身体だろ?強姦目的で知り合いの店にでも連れ込んだって事だよな?」

 

めるるが詰まっていた言葉を吐いてやった。まあ……あいつ顔とスタイルはかなりいい方だからな。スラムで過ごしていてもそんなクソみたいな奴に目をつけられるくらいに見栄えが良かったんだろう。

 

「……そうめる。でも采花はそんな状況でも助かるために何をすればいいのか咄嗟に判断ができためる。それは……その男が腰にぶら下げているナイフでその男を殺す事める。そしてその男殺した後……采花は証拠品のナイフを持って家に帰り震えながら眠っためる。体験したことの恐怖もあったと思うけど……1番は自分が人を殺した事実を受け入れられなくてめる。

 

そんな不安を抱えても疲れ切った子供の体は正直で辺りが暗い内に采花は眠れためる。次の日采花が目覚めるとスラムが騒がしかっためる。スラムが騒がしいこと自体は珍しい事じゃなかったけどその日は都会で働いているはずの警察がスラムを調べてためる。知り合いになんでこんな事になってるのか聞くと都会から遊びに来ていた街一番の金持ちの子供が殺されたらしいと……翔ならここまで言えばわかるめるか?」

 

めるるは采花の過去を語るのがもう耐え切れないのか俺に質問をしてくる。

 

「まあ……大体わかったよ。そのナイフを隠すために呪いを使ったってことか……でもなんで呪いなんだ?術式ならそのナイフに刻むだけなんだろ?」

 

「……その時の采花は魔法なんて知らないただの女の子だったから……呪いもお母さんが残してくれた本に書いてあったからダメ元でやってみただけめる。そして呪いには術式と大きく違う点があるめる。術式は流した魔力が魔法を行使するための量に達してなかったら不発に終わるめる。でも呪いは刻まれた身体にある物ならなんでも使って魔法を行使するめる。どんな無理難題でも叶えてしまうめる……」

 

なんとなくだが……この世界の魔法の仕組みを理解できた気がする。そして采花がやった事も、あいつは自分の身体に呪いを刻んで自分以外誰にもあのナイフが認識できない様にしたんだ。証拠が見つからなければ操作は難航する……でもその時の采花はただのスラムのガキだ。凶器が見つからなくても証拠をでっち上げて捕まえてやればいい。だから難航している間にヨーロッパに逃げたんだ……どんな手段を使ったかわからないが……采花は誰にも見えないナイフを持っている。生き延びるためにその呪いのナイフを使ってなんとかして来たんだろう……スリとかゆすりとかな。今思えば俺を脅している時も慣れを感じた。

 

そして、めるるが話していた『詠唱』『術式』『呪い』は細かい違いはあれど魔法という事象を起こすための方法だ。その違いは詠唱なら大量の魔力を使って自由度の高い魔法を使え、術式なら物に刻んだ魔法しか使えないが効率的な魔力運用が出来る、そして呪いは……そこまで考えをまとめて俺は気づく、

 

「………それ采花は大丈夫なんだよな」

 

めるるはさっきこう言った『身体にある物ならなんでも使って魔法を行使する』と、つまり呪いは身に宿した魔力以上の魔法を使う時魔力の代わりになる物を使うって事だ。物語で出てくるこういう設定は力の代わりになるものは大体決まって……命や身体の一部だ。

 

「采花が払った代償はお母さんから受け継いだ人よりも遥かに多い魔力める。だから普通に生きてるだけなら大丈夫める。ただ……めるるの魔力がない時に魔法少女になると采花の命を削ってしまうから命の危険があるめる」

 

「は?おかしいだろそれ。術式は魔力が足りないと発動しないって……もしかしてお前にも呪いが刻まれてるのか?」

 

「……そうめる。めるるには使う魔力がなくなった時は使用者から無理やり魔力を引き出す呪いが刻まれてるめる。だからめるるの魔力がなくなっても変身してる女の子の魔力を使って戦うことができる様になってるめる。でも生命活動に必要な魔力以外のほとんどをナイフに注ぎ込んでいる采花にその呪いが発動すると……」

 

「命を吸い取って采花を殺してしまうって訳だな……」

 

「そうめる……」

 

なるほど……つまり呪いは条件付けなんかはできるが魔力を大気中から吸い上げる生物に直接刻むせいで基本は発動しっぱなしの術式とは真逆の性質を持つ訳だ……そんな枷でしかない物を采花が放ったらかしてるのはおそらく…術式と同じで刻んだら消せないから、だから『呪い』なんだ。

 

采花は世界で自分だけが認識できるナイフなんて無茶苦茶な物を自分の才能や未来を犠牲にして作ってしまった……あのナイフは采花にとって失敗の象徴であり同時に生きるために必要な物。見たくもない物を使い続けないといけないなんて……どうな気持ちなんだろうな……俺には想像もできない。それなのに……そんな過去をめるるづてにでも話してくれたんだ……俺の触れてほしくない過去を暴いてしまったと思ったから……

 

「……だから翔には本当に悪いめるけど采花の我儘にはできる限り付き合ってほしいめる。采花はようやく自由を得ためる。いつ一ノ瀬家の魔法少女達とモルグに見つかるかわからないめるから……」

 

一通り語り終わった後めるるは俺に新しい情報を出しながら要望を伝えてくる。設定咀嚼し終えたと思えば……また新しい登場人物でやがったな……誰なんだよモルグさんは……まあそれはまた明日にでも聞こう今日はこの魔法の設定周りを記憶する事に脳みそを使いたい。それに……

 

「舐めんなよめるる〜俺がそんな話聞いてお前らをもてなさない訳ないだろ?俺は元々金を全然使わない人間だから今日以上の贅沢はさせてやらないけど、金をあんまり掛けずにできる高校生らしい楽しみ方ってのを教えてやるよ!」

 

今はこの世界で運に恵まれなかった奴らに最高の両親と会えた俺が幸せを分けてやりたい。遺産は今以上に使っちまうが今までの命乞いの為だけに使うより遥かにマシだ。

 

「取り敢えず今日は……出費はでかいけど帰りにうまいラーメン屋ハシゴで食べ歩きな!めるるにもちゃんと食わせてやるから胃袋開けとけよ!」

 

「本当に……翔は変わってるめるね」

 

めるるはすごく優しい顔で笑いかけてくる。別に俺だって同情してこんなことしてる訳じゃない。俺は俺なりの目的がある、世界が変わっても俺の記憶は思い出は変わらない。だから……采花の笑顔を見るのはついでだ俺は居候との思い出を作って生きる糧にする。それにどうせ一緒に暮らすんなら刺客かもしれない采花の好感度はあげといた方が良いからな!采花の笑顔の為なら親の遺産に手をつける理由としては悪くない……よな?まあ色々と問題だらけだけど……1週間くらいは物語のことは置いておいて采花とメルルを全力でもてなしてやってもいいだろう。そんなことを思いながら采花とユウジが待ってる場所にめるるを抱えて歩いていく。

 

この判断が間違いにならないといいな……

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