神の都合で全てが変わる世界で主人公探してます   作:ラ メ ル テ オ ン

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16話 ショッピングモールへ襲来

 

俺がめるると采花の2人をもてなし始めて1週間が経った。俺はこの1週間2人の目的が隠れながら魔力回復をする事なのもあって特に何かが起きる事なく3人で学生が使ってもおかしくない額の遊び講座を毎日開催していた。今日は学校帰りにショッピングモールのゲームセンターで遊んでいる。所々ケチってるとはいえ相当痛い出費だが……2人とはそれなりに仲良くなれたと思う。その成果が特に表れているのが会話で、

 

「采花〜見て欲しいめる!これ5回で取れためる!」

 

「えっ…?じゃあ何でこれ10回やっても取れないの?」

 

「それは采花様がシンプルに下手くそだからですよ」

 

「……殴られたいの?」

 

この通り様付けで呼べば大抵の軽口を大目に見てもらえる様になりました!いや〜マジでここまで好感度上げるのに苦労した…遊園地連れて行った次の日に似た様なこと言ったら顔の横にナイフ飛んできたからな……だがここまで好感度を上げても采花は俺に対してよくわからないラインを引いているのか、

 

「クレーンゲームで遊ぶついでの雑談なんだけどさ魔法って……」

 

「あんた…何回言えばわかるの?魔法や呪いの事は必要最低限しか教えないって言ってるでしょ?」

 

肝心な物語の展開を考察するための情報は話してくれない……とは言え考える時間はあったのでめるると采花が一カ月前に出会ったにしては仲が良すぎる理由や、めるるが使われてなかった理由は考察が進んだ。

 

まずめるるが使われてなかった理由……それは現代では燃費が悪すぎるからだ。采花は言っていた『人は生きているだけで空気中の魔力を吸っている』と、1世紀頃の世界人口は大体2億5000万人そして現代の世界人口は約80億人……めるるが作られた頃に比べると人間は32倍にも増えている。単純計算でもめるるが作られた頃は空気中に32倍の魔力があったと考えられる。その環境に合わせて作られためるるは……現代では使い物にならないだろう。

 

例え1日に1回変身できる様に調整されていたとしても現代じゃ1回変身するために1カ月の時間を要する……治安維持を行う人間が1カ月1回しか出勤できませじゃ話にならない。そして魔力が足りない時に変身すればめるるが使用者の命を吸い上げる……と、それを何とかしようと思っても術式も呪いも消す事はできない。それでもサブウェポンとして使えばいいと思うが……そうできない理由でもあるのだろう。教えてくれないのでわからんが……なら研究資料として保管しておくのも頷ける。

 

そして采花とめるるが出会って1カ月と思えないほどに仲がいい理由それは…どちらも呪いに翻弄されていると言う共通点があるから。友好関係を構築するのに共感できる部分があるのとないのではかなり違いがでる。それが辛い過去なら尚更だ。それに気づいて以降は『共同生活をしている内に2人に両親を重ねて感傷的になる高校生』を演じていたんだが……

 

「いや…でもさ……」

 

「チッ……大事な事忘れてるんじゃないの?翔は奴隷で私は主人。奴隷は黙ってご主人様の言う事聞いてればいいのよ」

 

「ええ……」

 

全然効果が無さそうです……俺のしつこい詮索に采花は眉をひそめながら話を強引に終わらせてくる。もう勘弁してくれよ……こうやって遊んでる裏で物語は進んでるんだ…せめて敵の情報くらい知らないと対策を練ることすらできないんですけど…そんな膠着する状況に頭を抱えていると、

 

「采花…めるるは少しくらい話してあげてもいいと思うめるよ」

 

めるるが助け舟を出してくれる。

 

「……何で?」

 

「采花が心配している様な事は起こらないと思うからめる」

 

「…………それでも嫌」

 

だがめるるの説得すら通用しない何かが心に引っかかっているのか采花はそう言ったきり喋ることすらやめてしまった。采花の人生は俺なんかより遥かに悲惨だそりゃ言いたくないことの1つや2つあって当たり前……だけど物語の考察を怠れば俺の命が危ない。だから今日こそは何としても喋ってもらう。そんな事を意気込み俺は、

 

「いや……流石に理由を教えてくれないか?脅されてるとは言え惜しみなく親の遺産に手をつけて養ってるのにお前らがどんな状況に置かれてるかすら教えてもらえてないのは幾ら何でも酷いだろ」

 

采花の感情に訴えかける。采花と俺の悲しい共通点は親を失った事。なら親をダシにすれば話してくれる確率も上がるだろう。そんな俺の思惑が叶ったのか、

 

「……あんたには魔法の才能がないから魔法に興味を持ってほしくないの」

 

采花は口を開いてくれた。

 

「それは……才能ない奴は呪いを使わないといけないからか?」

 

「そうよ……」

 

采花は俺が呪いを使った未来を想像してから頭についてるケモ耳を少し垂らして悲しそうに告げる。なるほどな……自分と同じ目にあってほしくなくて俺に魔法の情報を出し渋ってたってわけか。そんな采花の心配に気づいた時俺の心を満たしていたのは……怒りだった。俺はこの1週間でお前らの事をだいぶ理解したってのに……!こいつはどれだけ俺の事を理解してないんだよ!俺は、

 

「あのさ……お前の失敗談聞いてる俺が何で呪いを使うんだよ!」

 

筐体や楽しそうな人の声で騒がしい周りも気にせず采花に怒りをぶちまける。

 

「えっ…?」

 

「え?じゃねえよ!お前馬鹿なの?俺ずっと命を大事にで行動してんだろうが!何でそんな俺が命削ってしょうもない手品覚えるんだよ!」

 

「は!?今私のナイフの事しょうもない手品って言ったの!?」

 

「しょうもないだろ!俺以外に見えないだけで生活を豊かにするわけでもないクソみたいなナイフじゃねえか!」

 

「見えないだけな訳ないでしょ!いい?このナイフは『認知』できないの!このナイフで壊した物も殺した人間も何でそうなったのか誰も理解する事ができないすごいナイフなの!それにしょうもないのは命乞いのために親が残してくれたものを気軽に使うあんたでしょ!私はお母さんが残してくれた本大事に保管してるもん!」

 

「は!?全然しょうもなくないんですけど!命は1番大事だろうが!両親も遺産が息子の助けになって天国で喜んでるよ!と言うか使う事になった元凶がそんな事……」

 

そんな周りを気にしない俺たちの口喧嘩を止めたのは、

 

「ふふ…ふふふふふ…」

 

口を押さえているのに溢れ出すめるるの笑い声だった。

 

「……何笑ってんのよ」

 

「だって……采花と翔が口喧嘩出来るくらい仲良くなれたと思ったら嬉しくて思わず笑っちゃっためる」

 

「「…………。」」

 

そんなめるるの空気を読めていない発言に俺たちは口喧嘩をするのが馬鹿馬鹿しくなってお互い同時に目を逸らす。一応精神年齢40歳なのに公共の場で何してんだろ…身体が思春期で感情豊かとはいえだな……そうして冷静になった時俺はある事に気づく。

 

……何で周りに人がいないんだ?普通あんだけ学生が騒いでたら店員が注意しにくるはず……それにさっきまで聞こえてた楽しそうに遊ぶ人の声も聞こえない……俺は不気味に思い周りを見回してみるが店員どころか他の客すらいない。この状況は既視感がある……人よけ魔法だ。

 

「……しょうがないから私達を狙ってる奴らの事を教えてあげる」

 

采花はまだ異常に気づいていないのか話を続けようとしている。俺は一応確認として采花に質問をする。

 

「……采花今人よけの魔法って使ってないよな?」

 

「は?遊んでるだけなのに使うわけないでしょ」

 

「じゃあ何でこの店、俺たち以外に人いないんだ?」

 

俺の言葉に采花は目を見開いて驚くと、

 

「……!めるる解析魔法使って!解析するのは人よけ魔法の効果範囲!」

 

めるるに魔法を使う様に命令する。

 

「わ、わかっためる!……ぐぬぬ術式が凄く複雑で解析が難しいめるけど……500mくらいあるめる!大体このショッピングモールと周りの道路をを覆うくらいめる!」

 

「チッ…じゃあモグルね!タイミングが悪すぎる……翔!急いでここから抜け出すわよ!」

 

采花はそういう時めるるを肩に乗せてゲームセンターから走り去る。何も説明されてないのでいまいち状況が掴めなかった俺は、

 

「あの……どう言う状況?」

 

采花を追いかけて説明を求める。

 

「ああもう!使えないわね!モグルは私に魔術を教えてた人であの魔王カイザーの魔法の師匠よ!」

 

「は!?何でお前そんなすごい奴に狙われてんの!?」

 

「それはめるると一緒に逃げたからめる!」

 

「そう!それでこの街に隠れてたの!あいつは今この建物を中心に人よけの魔法を張ってるから一ノ瀬家の連中がそれに気づくまで私達は死ぬ気で逃げないといけないの!」

 

「捕まるとどうなるんだ?」

 

「洗脳魔法で死ぬまで奴隷める!」

 

「は!?何でそんなヤバいやつから反感買うような事してんだよ!」

 

「もう人なんか殺したくなかったからよ!私のナイフの使い道なんてそれくらいしかないでしょ!」

 

采花はショッピングモールを走りながら隠していた情報を次々と開示していく。おい…!こんなタイミングで重要な情報を羅列するんじゃねえよ!しかも絶対初日に言うべき事も混ざってるし!だが今そんなこと考えてても仕方がない……!俺は走る速度が速い采花を死ぬ気で追いかけながら同時に死ぬ気で頭を回す。

 

考察が捗る情報まみれで助かるが今はそのモルグって奴を何とかするのが先だ。このクソみたいな状況を何とかする為の情報だけ考察しろ……

 

まず采花が一ノ瀬達を頼ってる時点でめるるには変身できるだけの魔力が溜まってないんだろう。ここまで設定や過去が練られてる采花はこの物語の重要人物なのは確定している。こんな所で命を賭けて変身されたら世界が終わる可能性がある……だから采花に絶対に変身させたらダメだ。そして今回の障害、モルグってやつは洗脳魔法を使ってくる。なら洗脳された大量の一般人に追いかけ回されるのが1番考えられる展開だ。洗脳魔法がどれくらいの精度によるが……魔法が使えない今逃げ回ってるだけじゃジリ貧……その内捕まるのがオチだ。そして魔王の師匠とかやってるすごい奴が使う人よけ魔法がそう簡単に気づかれるわけがない……一ノ瀬達が気づくまでに1時間とか掛かる可能性も無いわけじゃ無い。なら人よけ魔法の範囲外で問題を起こす必要があるな……そこまで考え1つ作戦を思いついた時、

 

「一応聞くけど目的は?」

 

俺はモルグの目的を確認する。

 

「私とめるるの回収に決まってるでしょ!」

 

「ならわざわざ逃げ回る必要はないな」

 

そんな作戦の方向性が決まった俺の言葉に采花は足を止め、

 

「……そうよね。翔はモルグの標的じゃないから私たちに付き合う必要はないわよね」

 

寂しそうに呟いてくる。何の心配してんだよこいつ……

 

「いや……そうじゃなくて逃げ回って時間稼がなくても一ノ瀬が異常に気付けば良いんだろ?」

 

「……そうだけど」

 

「なら俺に1つ作戦があるんだけど聞くか?」

 

俺は自信満々に人差し指を立てながら采花に提案する。そんな俺の提案を、

 

「……やるかどうかは聞いてから判断するわ。話してみて」

 

采花は出会ってから初めて素直に聞いてくれた気がする。きっとこの1週間がなければ采花はここまで素直に話を聞いてくれなかっただろう。この1週間の好感度上げは無駄じゃなかった……俺は少し感慨深くなりながらも気合を入れて作戦を采花に話し出す。

 

「わかった!まず采花は服を脱いでくれ!」

 

「は?」

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