神の都合で全てが変わる世界で主人公探してます 作:ラ メ ル テ オ ン
「ここまで来ればしばらくは大丈夫ですね……立花さん怪我はありませんか?」
モルグに捕まっていたショッピングモールの中心から少し離れた場所で俺を下ろした一ノ瀬は俺を心配してくれる。一ノ瀬にこれ以上心配をかけない様に俺は、
「まあ……全身ボロボロでピースの角度が180度になってるくらいだよ」
笑ってモルグに弄ばれた右手を見せる。
「この状況でよくそんな冗談言えますね…まあ冗談みたいな格好をしてるので今更ですが」
一ノ瀬はそんな俺の格好と態度を見て頭を抱えて呆れている。
色々あったが…やっと役者が揃ったな……そんなこと思い少しニヤついている俺に、
「で……一応聞きますがなんで貴方が女生徒の制服を着てるんですか?」
繰り出された一ノ瀬の質問に頭を悩ませる。やばい……女装してる言い訳全然考えてなかった……采花の事は言える訳ないし……どうしよう……
俺は疲れた頭をフル回転させて考えてみたが…こんな想定外の質問に思いつく答えはいつも決まって、
「そ、それはその……モルグに着替えされられた感じ」
死ぬほど情けなくなるんだ…
想定外の質問で目を逸らし冷や汗をかきながら放った俺の言い訳を聞いて、
「……今回のモルグは随分と変態なんですね」
一ノ瀬は俺の趣味だと思ったのか割れ物に触れるかの様に優しい対応をしてくる。頼むから温かい目で見るのやめろ……
そんなやり取りを経て一ノ瀬はモルグに捕まっていた俺の状態を確認し終えたのか、
「まあ…取り敢えず私がモルグを撃退するまではここで大人しくしてて下さい」
モルグと戦う為に来た道を引き返そうとする。
は?待て待て!1人で行かれたら俺の苦労が全部無駄になるだろうが!俺は急いで、
「待てよ!あいつ詠唱で洗脳してくるんだぞ!1人で行っても勝てるわけないって!」
モルグに弄ばれて得た情報を話して一ノ瀬の足を止める。そんな俺の言葉に、
「……どこでそんな知識を得たのか知りませんが詠唱で人に直接害を与えることはできません。直接人に害を与える魔法は術式や呪いの効果です」
「……でもあいつ言葉のままに人を操ってたぞ」
「であれば何かの条件満たした相手を言葉のままに操る術式……とかですね。ですがモルグは1ヶ月ほど前に魔法少女が守る輸送車を落としています。基本装備に術式侵蝕魔法が与えられている魔法少女がなす術もなく負けるということは彼の洗脳魔法は術式ではなく呪いを用いて発動させているということです………本当にめんどくさい」
一ノ瀬は魔法の解説を交えながらモルグの魔法の分析をしてくれる。
えっ……あいつ呪いで魔法使ってんの?そういや洗脳されてる奴も呪いの最先端を走るお方的な事言ってた気がする……
確か呪いって『術式を人に刻めるようにした物』だったはず……術式は電気回路みたいな仕組みで動いているから効果が途中で変わる事がない…
じゃあ呪いだって途中で効果は変わんねえ…俺の分析した魔法の仕組みは、見つけた弱点は有効だ…!後はモルグを殺す方法だけ…俺は最後のピースを求めて一ノ瀬の戦力を探る。
「…勝ち目はあるのか?」
「洗脳されている人達の被害を考えなければ……ですが一ノ瀬の名を継ぐ者としてそれだけは出来ません。なので……立花さんこれを後から来る魔法少女の誰かに渡して下さい」
一ノ瀬はどこか諦めたようなそして覚悟を決めた顔つきで黒いマガジンを俺に差し出してくる。
「……なんだよこれ」
「これにはモルグの近くにいる人間ごと吹き飛ばす事ができる術式が刻まれてます。私がモルグに負けた場合はこれを使ってなんとかする様に伝えてください」
一ノ瀬は自分の死を前提としたお願いをするのが申し訳ないのか困ったように笑っている。
一ノ瀬が考えている事は大体わかる。一ノ瀬は魔法少女。今までわかった情報的にこの世界の魔法少女は魔法を使った犯罪を秘密裏に取り締まる警察のような存在なんだろう。
警察は人質がいる限り救出を最優先として動かないといけない。人質を見捨てて脅威ごと排除するには上層部の奴らを納得させるだけのかなり大きな理由がいる。
「……断る。それはお前が使え」
俺はそんなくだらない理由になろうとしている一ノ瀬にマガジンを突き返す。
「……話を聞いてたんですか?これを使えば洗脳されてる人も巻き込まれる……」
「なら、そうならない様な状況にすれば良いだけだろ?それにあいつは魔法少女を洗脳して魔法少女軍隊作る為に日本にきたんだぞ?優秀なお前が1人で行って洗脳されたらそれこそモルグの思う壺だ」
一ノ瀬はモルグの目的知っている俺の言葉に目を見開いて驚き、
「……ただ捕まっていた訳では無いんですね」
言葉を漏らした。これでちょっとは見直してくれだろ…
「そう言う事。あいつの目的を詳しく知りたいならあいつをぶっ殺した後に全部教えてやるから今は俺があいつの魔法を分析して考えた作戦が上手くいきそうかどうかを判断してくれ」
「……わかりました。取り敢えず作戦を聞かせて下さい」
そうして俺たちの数分で終わる作戦会議が始まった。