ルシフェルくんちゃんの王国日記   作:Revak

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第4話

 

 カンカンカンカン、と鳴り響く鐘の音でルシフェルは叩き起こされた。

 

「うるせぇ!」

 

 そう叫びつつ早着替えのスキルで普段着に変え、宿を出る。

 こんなに鐘の音が成るという事は何かしらの緊急事態だと推測できる。

 

 外に出ると銅級の冒険者たちが避難誘導をしていた。

 

「墓地からアンデッドが湧き出してきました! すぐに避難を! 出来る限り急いで!」

 

「……アンデッドが墓地から? この世界のアンデッドはそうなのか……」

 

 そう思いつつ背中から翼を生やし街の空を飛ぶ。

 

 前線に行くとそこはぎりぎりだった。

 

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)骸の竜(スケリトル・ドラゴン)が一体ずつ出現しておりミスリル級冒険者クラルグラは苦戦していた。

 他のミスリル級は街に散った他のアンデッドの掃討に動いており救援は望めないだろう。

 

 ルシフェルは空から魔法を使って骸の竜(スケリトル・ドラゴン)死者の大魔法使い(エルダーリッチ)、その他アンデッド数十体を一発で蒸発させた。

 

 地上へと羽ばたきながら降りる。

 

「これどういう状況?」

 

 ルシフェルがそう尋ねると返答が来る。

 

「貴女は、宮廷魔術師殿か?!」

 

 そう叫んだのはエ・ランテルの冒険者組合の組合長のプルトン・アインザックだ。

 

「そうだけど、何?」

「冒険者組合長としての依頼だ! このアンデッド騒動の元凶を倒してくれ! アンデッドは西の共同墓地から湧いて出てきている!」

 

 それに対しルシフェルはめんどくさそうな顔をする。

 だがこれを無視しては寝ることも出来んとため息を吐いた。

 

「わかった。一応道中の雑魚も消しとくから、まぁすぐ終われせてくる」

 

 そう言うとルシフェルは飛びながら魔法を行使してアンデッドを薙ぎ払いながら共同墓地の奥地へ向かった。

 飛びながら道を我が物顔で歩くアンデッドどもを適当に範囲攻撃の魔法で攻撃して蹴散らしつつ。

 

 

 そうして雑魚を適当に狩りながら共同墓地奥の神殿に到着する。

 

 そこにはローブを被った男が五人居た。

 一人の男を囲うように何やら呪文をぶつぶつと唱えている。

 

「君たちが事の元凶?」

 

 ルシフェルはそう空から尋ねた。

 

「そうだと言ったらなんだ、小娘」

 

 そう事件の首魁、カジットはルシフェルを睨んだ。

 

「僕小娘じゃなくて何倍も生きてるんだけどな……まぁそれはいいとして、どうやってこんなことしたの? 召喚魔法で呼び出したにしては多すぎない?」

 

 ルシフェルは純粋な疑問を問いかけた。

 召喚魔法は基本一体しか召喚できないし、上位の魔法で下位のモンスターを召喚しようにも四体ほどが限度だ。

 ユグドラシルでは第十位階魔法で第一位階のモンスターを多数召喚するといった使い方は出来なかった。

 

「それを教えるわけがないだろう」

 

 カジットはそう吐き捨てた。

 

「ま、それもそうだね。じゃあ死ね」

 

 ルシフェルはそう言うと光線の魔法でカジットたちの頭を貫いた。

 カジットは貫かれる寸前地面から骸の竜(スケリトル・ドラゴン)の足を出し防御しようとしたが第六位階を普通に超えた魔法なので貫通し殺した。

 

 死体がどさっと倒れる。

 

 ルシフェルは地面に降りて翼を閉じる。

 

 ころころと石がルシフェルの元に転がってきた。

 

「なんだこれ」

 

 ルシフェルは気になりその石──死の宝珠を手に取ってみた。

 瞬間死の宝珠はルシフェルを精神支配しようとするが人間種ではないしそもそもレベル差もありすぎて意味がない。

 

<上位道具鑑定>(オール・アプレイザル・マジックアイテム)

 

 ルシフェルは解析の魔法を当てる。

 

(死の宝珠、アンデッドモンスターの支配強化か……死霊系じゃない僕には無用のアイテムだな)

 

 だけどいつか魔法省に死霊系の魔法詠唱者(マジック・キャスター)が来るかもしれないと思いアイテムボックスにしまった。

 

 死体を放置し奥へと進む。

 

 隠し階段は開かれており簡単に進めた。

 

 階段を降りて奥へ行くと広間があり、その中央にはスケスケの服を着用し叡者の額冠を付けているンフィーレアが居た。

 ルシフェルはンフィーレアとは初対面なので変な服着てんなぁとのんきに考えていた。

 

「これが原因かな……殺すか? いやけど殺して暴発したら嫌だな……」

 

 仕方がないと解析は苦手なんだがとルシフェルは先ほど使った鑑定魔法をあからさまに怪しい額冠に使った。

 

「面白いな……」

 

 ルシフェルは魔法省としてとっとくと便利そうだと思いつつけど人権無視は問題になりそうだと魔法で叡者の額冠を破壊した。

 

 念動力の魔法でンフィーレアを持ち上げ、ルシフェルは帰還を果たした。

 

 

 

 

 

 ■

 

 翌日。

 ルシフェルは冒険者組合に朝から呼び出されていた。

 朝起きて宿で異世界の飯うめーと貪り終えたら急に冒険者組合から人が来たのである。

 

 昨日の事で報酬でも貰えるのかと思いつつルシフェルはエ・ランテルの街中を歩く。

 街の人々の顔は暗く、街の家々は破壊されている物が多い。

 アンデッドの反乱で亡くなった者は数多くおり、そのほとんどは戦闘力を持たぬ町民だ。

 冒険者側にも多少の死者は出ただろう。

 

 そうしてこの街今後どうなんだろうなと思いつつ冒険者組合に着く。

 着くとそのまま二階に上げられ二階の会議室に通された。

 

 部屋に入ると既にプルトンとテオ、この街の都市長であるパナソレイも居た。

 パナソレイの背後には執事が立っている。

 

「ようこそ、ルシフェル殿! さぁ、どうぞ座って」

 

 作り笑顔を浮かべながらプルトンはそう座るよう促した。

 言われるがままルシフェルは座る。

 

 

 

 

 ──面倒なことになった、とプルトンは叫びたくなった。

 

 己の管理する街でアンデッドの反乱が起こっただけでなく、その騒動の元凶を倒したのが王国の宮廷魔術師というのが問題だ。

 今まで王国にそんな職業の者はおらず、どう対応したものか悩みの種だ。

 これが相手が旅人か冒険者ならば金を渡せばいいが、金で解決するのかというのとしていいのかという話がある。

 

 そんなことを考えているとはルシフェルは微塵も思わずルシフェルは座った。

 

「それで、だが。貴女はこの街を救ってくれた英雄だ。それに相応しいパーティを開こう」

 

 パナソレイがそう言った。

 貴族相手ならばまずこれで問題ないと言えるパーティだ。だがルシフェルは貴族ではないので通じるかパナソレイは冷や汗を流した。

 

「パーティとか面倒だからしなくていいよ。それよりさ、人材くれない?」

 

 ルシフェルはなんてことないかのようにパーティを断った。

 それに内心パナソレイはほっとした。

 貴族ではないが地位で言えば下級貴族にも匹敵するとパナソレイは考える。王国戦士長のように。

 

「人材、と申されますと?」

「うち魔法省だけど肝心の魔法詠唱者(マジック・キャスター)が居なくてさ、最低でも第二位階魔法が使えるやつ一人か二人欲しいんだよね」

 

 その言葉にいち早く反応したのはテオだ。

 

「では私が魔術師組合を抜けて魔法省に入りましょう」

 

 そう笑顔でテオは言い放った。

 

「ラケシル、何を考えてる?!」

 

 それをいさめようとするのはプルトンだ。

 

「私は本気だぞ、アインザック。第十位階魔法の巻物(スクロール)を持っている御方に仕えるなら何の問題もないッ!」

 

 かっと目を見開いてテオはそう叫んだ。

 

 その言葉にプルトンは驚きの声を上げた。

 

「第十位階魔法の巻物(スクロール)? そんなものが実在する訳ないだろう!」

「いいやここにある! これが証明だ!」

 

 そう言うとテオは懐からルシフェルが先日渡した巻物(スクロール)を出し堂々と掲げた。

 

「あ、それ僕のだから返してね」

 

 ルシフェルがそう言うとテオはぴしりと固まった。

 熟考の末、テオは再起動し席を立ってルシフェルに近づく。

 

「………………どうぞ」

 

 長い葛藤の末テオは巻物(スクロール)を返却した。

 

「うん」

 

 ルシフェルは軽く返すとアイテムボックスに収納した。

 あぁ、とテオが情けない声を出したが聞こえなかった事にした。

 

「それでは、アインザック君。引退した冒険者から第二位階魔法が使える魔法詠唱者(マジック・キャスター)を斡旋してもらえないかね?」

 

 パナソレイがそう言った。

 

「わかりました、私から声をかけましょう。ですが彼らにも今の生活がある。無理をして向かわせることは出来ないことは承知していただきたい」

「あぁいいよ、無理なら無理でいいから」

「ありがとうございます」

 

 プルトンはそう頭を下げた。

 

「それじゃあ、私個人から貴女に街を救ってくれた謝礼金を渡そう。好きに使ってくれ」

 

 そう言うとパナソレイは後ろの執事に目配せをした。

 

 執事がルシフェルに近づき袋を渡した。

 

 ルシフェルが中身を無造作に見ると中には金貨がぎっしりと詰まっていた。

 

「わーお。サンクス」

 

 ルシフェルはそう言うとやったりとアイテムボックスに収納した。

 

「それじゃあさ、一週間後にまたこの街に来るからそれまでに人材用意しといて、また組合に来るからさ」

 

 ルシフェルはそう言うと席から立ち上がった。

 

「それじゃあ、えーと、君名前何?」

 

 ルシフェルは何気名前を聞いてなかったテオに問いかける。

 

「テオ・ラケシルです。宮廷魔術師殿」

「ラケシルね。それじゃあ転移魔法で王都まで戻るから、準備してよ」

 

 転移魔法という言葉にプルトンとテオが驚く。

 

「複数の転移は第五位階魔法からのはず……! それが使えると?!」

「それも使えるけど使うのは……確か第七位階魔法の<上位転移>(グレーター・テレポーテーション)だよ」

 

 第七位階、という言葉にテオとプルトンは目を点にして驚いた。

 

「そんなの帝国のフールーダ・パラダインより上じゃないか?! そんなの不可能だ!」

「いや第十位階魔法ぐらい僕が居たところだと誰でも使えたし……まぁ信じなくともいいよ。じゃあ僕二時間後に魔術師組合行くから、それまでに準備しておいてね」

「わかりました!」

 

 そうしてルシフェルは退出した。

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