ルシフェルくんちゃんの王国日記   作:Revak

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第6話

 

 週末。ルシフェルは王都を歩く。

 何気王都を歩いたことはないなと周囲を面白そうに見ながらルシフェルはガゼフと共に歩く。

 

 目的地は決まっている。不動産だ。

 

 適当な町民に不動産の場所を聞き不動産に向かう。

 

 不動産に着くと其処は二階建ての建物だ。

 中に入り受付に進む。

 

 受付に進むとガゼフが前に出る。

 ガゼフは王都に不慣れたルシフェルの為に案内役を買って出たのだ。

 ガゼフ自身家を買った事があるので経験者なので問題ないだろうと。

 まぁ下手に一人で行かせて問題起こされる方が嫌というのもあったが。

 

 受付と少し話すことで担当の者が出て来てガゼフと少し話したら席に移る。

 

 女性の社員がコーヒーを人数分机に置くと眼鏡をかけた商人が眼鏡をくいっとしながら商談に入る。

 

「それで家を買いたいとのことですが、予算はおいくら程でしょうか?」

「頭金は金貨五百枚ってとこかな」

 

 平民の一か月の給料がだいたい金貨一枚なのでその五百倍である。

 だが商人の男は動じない。

 

「なるほど。それだけあれば豪邸とは言えませんが、そこそこの家を買えるでしょう。立地などの条件はありますか?」

「風呂トイレ別で、立地はまぁ王城に近いところが良いかな」

「なるほど。でしたら──」

 

 商人の男は棚からファイルを取り出す。

 

「こちらの物件はいかがでしょうか。金貨千枚の物件になりますが宮廷魔術師の給金ならば二年ほどで買切ることが出来るでしょう」

 

 商人の男はルシフェルが名乗ってもいないのに宮廷魔術師だと言い当てた。

 ルシフェルはそれに感心する。商人の情報網も大したものだ、と。

 

 その後も幾つか物件を見る。

 ここは二千二十年代とあまり変わらない。写真を撮る魔法もあるので写真付きの物件を幾つか見る。

 

 そのうちからよさげなのを見て実際に見に行くことにした。

 

 そうして休日二日を潰してルシフェルは自宅を手に入れた。

 

 

 

 

 ■

 

 二か月が経った。

 その間、王国魔法省は平和なものだった。

 

 主な業務は魔法の開発実験と王国戦士団との模擬戦、そして魔法を使った事件への介入だ。

 そう言った業務をこなすため人員は増えた。

 

 大臣をルシフェルに。副大臣がテオ・ラケシル。一般業務が元八本指の一員のハンス、男のヨハネ、少女のカリンが行っている。

 これ以上の人員増加は予算的に難しいだろう。と言ってもハンスなども月に金貨三枚貰っているので高給取りだが。

 

 ルシフェルは業務にも慣れ、暇を持て余したころ外回りと嘘ついて街に出た。

 

 そうして街を散策する。

 この二か月で街の表通りの殆どは制覇したがそういや裏は通ったことがなかったな、と思い裏通りを進む。

 

 進んでいると夕方になりかけ、流石にそろそろ空飛んで戻るかと思いながら歩いているとある建物から少し太った男が出て来た。

 男は大きな袋を持っており、袋をゴミ捨て場に捨てると戻っていった。

 

「……」

 

 ルシフェルの視力はいい方だ。その視力をもってすれば袋がかすかに動いたことを見れた。

 

 ルシフェルは袋に近づき、しゃがんで紐を解いて中身を見る。

 中にはボロボロになった女が居た。

 顔は腫れ、足は骨が折れた後に歪に治り健が切られている。歯も幾つか抜けている。

 

 さてどうしようか、ルシフェルは年甲斐もなくワクワクしてきた。

 王国戦士長を救った時のように面白いイベントが起こるとルシフェルは少女のように興奮し出したのだ。

 

「おいそこの餓鬼、何見てんだ?」

 

 ルシフェルは立ち上がって男を見る。そこには袋を捨てた男が立っていた。

 

「君さー、これ捨てたよね?」

「……だとしたらなんだ、餓鬼」

 

 男は苛つくように言った。

 

「じゃあ僕が貰ってもいいよね、どうせ捨てた者だし」

 

 その言葉に男は「あ゙ぁ゙?!」と怒鳴った。

 

「餓鬼が何言ってんだ! んなもん出来るわけねぇ──」

 

 男が言い着る前にルシフェルは男の頬を熱線で焼いた。

 男の頬がジュっと焼けた。

 男は尻もちをついた。

 

「い、今のは魔法……しかもその外見……きゅ、宮廷魔術師の……?!」

「今更気づいたの? まぁいいや。これ貰ってくね」

 

 ルシフェルはそう言うと念動力の魔法で中の女を持ち上げた。

 

「ま、待ってくれ! そいつを持ってかれるのは困る! その女はうちの商品なんだ!」

「それが宮廷魔術師の僕に関係あるの?」

「そいつを持ってかれたら俺が殺されちまうし、あんただってただじゃすまない! 八本指の名を聞いた事ぐらいあるだろ?!」

 

 その言葉にルシフェルはあぁ、と思い出した。

 

たかが(……)アダマンタイトと同等の戦力を持ってるとかいう連中だろ? 知ってるよ、その程度脅威じゃない」

 

 ルシフェルはそう言い切った。

 

「それに……お前が殺されるというのなら、僕がとりなしてやる」

「へ?」

 

 ルシフェルは指先を男に向けた。

 それに嫌な予感がした男は逃げようとするもそれより早くルシフェルの魔法が男の頭部を貫き殺した。

 

 さて面白い物拾ったぞー、とルシフェルはうきうきで空に飛びあがり家へと飛んで行った。

 

 

 ■

 

 ルシフェルは自宅に女、ツアレを置いた後とある高級宿に来ていた。

 宿に入り、受付に進むと受付嬢が良い笑顔で対応する。

 この王都でルシフェルの名と顔を知らぬ者はいない。

 

「蒼の薔薇のリーダーに話があるんだけど、今いる?」

「わかりました。すぐに連絡しますね」

 

 そう言うと受付嬢は一礼した後去り、二階に上がって蒼の薔薇が泊っている部屋に行きラキュースを呼び出した。

 そしてともに一階に降りるとルシフェルが「よっ」と軽く手を挙げた。

 

「ルシフェル、何の用?」

 

 ルシフェルとラキュースはラナーの関係で何度も顔を合わせ仲良くなっている。敬語を使うような仲じゃない。

 

「ん-、ここで話すと不味いから僕の家で話そ」

「……わかったわ」

 

 宮廷魔術師が言う不味い事、それに対しラキュースは嫌な予感を抱えつつルシフェルと共に宿を出てルシフェルの家に向かう。

 

 暫く歩く事でルシフェルの家に着いた。

 ルシフェルの家は宮廷魔術師にしてはこじんまりとした家だが個人の所有の家としてみると結構なサイズの家だ。庭もある。

 

 家に入るとルシフェルが口を開く。

 

「実は八本指に使われてた女助けたんだけど怪我がひどくてさ、回復魔法の巻物(スクロール)使って欲しいんだ」

 

 ほらこれ、とルシフェルは<大治癒>(ヒール)が込められた巻物(スクロール)を見せた。

 

「八本指の被害者……!」

 

 そのことにラキュースは歯ぎしりする。

 被害者が生まれないよう努力しているがどうしても被害者は現在進行形で生まれてしまう。

 

「わかったわ。すぐ使うわ」

「さんくす。二階にいるよ」

 

 そうして二人は二階に上がりツアレが居る部屋に入る。

 部屋ではツアレが寝ていた。

 

「ほいよ」

 

 ルシフェルが巻物(スクロール)をラキュースに渡すとラキュースは躊躇いなく巻物(スクロール)を使った。

 

 魔法の力で中の胎児も消え、傷も消え病も消え健康な状態になる。

 

 魔法をかけると睡眠も状態異常判定を喰らったのかツアレが目を覚ます。

 

 ラキュースはツアレに寄り添い、もう大丈夫だと聖女の微笑みを見せた。

 

 一連の流れを見てルシフェルはうける、と半笑いしていた。

 

 

 

 

 ■

 

 

 ツアレが落ち着いた頃。ラキュースとルシフェルは一階で話し合うことになった。

 

「八本指の娼館に囚われていたのね……捨てられるところを助けた、と」

「そゆことー」

 

 ルシフェルがコーヒーを啜りながらこれまでにあったことを話した。

 

「……恐らく近日中に八本指がここに来るわね。奴らは馬鹿でも間抜けでもない」

「来たら返り討ちにするだけだけど」

「襲撃しに来たのならそれで済むけど……問題は奴らが表から来た場合よ」

「裏組織なのに表で動くのか」

「えぇ。表向きあの女性を連れ去った、誘拐したという事にルシフェルが成ることになってしまう。そこを突かれれば不味いことになるわ。だから今とれる手は二つ」

 

 そうラキュースは紅茶を飲むと一息ついてから話始めた。

 

「一つはあの女性をすぐにでもどこか遠くに逃がす事。そうすれば八本指もいない相手に対し追及することは出来ない。もう一つは違法娼館を先手を打って襲撃し、無くしてしまう事」

「それなら娼館潰した方がいいね。その方が楽だ」

「けどその場合、手が足りないわ」

「僕が行って潰してくるだけで済むでしょ」

「いや、それだと貴女が属する王派閥に迷惑がかかるわ。王の地位が危ぶまれるかもしれない」

「えー、僕王派閥って明言したことないけどな」

「そうは言うけど王派閥の戦士長が推薦して王が受け入れた事で貴女は自動的に王派閥に属することになってるの」

「面倒だな……いっそ八本指ごと潰そうか」

 

 その言葉にラキュースは少し考えこんだ後「それはいいかもしれない」と返した。

 

「じゃあ早速潰そうか」

 

 ルシフェルがうきうきとしながら言うもそれに待ったをかける。

 

「待って、八本指の拠点はこの王都に別れて存在する。大きなものでも七つあるわ。一度に襲撃をしないと意味がない。戦力が整うまで待って欲しい」

「その間に娼館の奴らがあの女奪還に動いたらどうするの?」

「……そうね、だとすると娼館だけは先に潰してもいいかもしれない。今からちょっと王城に行ってクライムを連れてくるわ。クライムが居れば合法的に検挙したという事実に出来る」

「わかった。それまで僕はあの女性と話してるわ」

「えぇ。すぐに動くわ」

 

 そう言うとラキュースは足早に去っていった。

 ルシフェルは取りあえず名前だけでも聞くか、とツアレの元に行くのだった。

 

 

 

 ■

 

 二時間後。

 

「それじゃあ行くよ」

「はいっ!」

 

 ルシフェルとクライムの二人は違法娼館前に来ていた。

 クライムが居るのは王国の兵士が居る事でこれは合法的な検挙だという事を示すためだ。まぁルシフェル一人でも足りたかもしれないが念には念をという事だ。

 

 クライムは事前に娼館襲撃という事でミスリルの鎧を着て剣と盾を持っている。

 

 前衛であるクライムがドアを開けると中は受付だ。

 真昼間でも受付には男が立っている。

 武装した男とコートを着た少女の二人組を見て受付はなんだ、と思う。

 女連れで来るよう場所ではないし、武装してくるような場所でもないのだ。

 

 ルシフェルが受付の男の頭に指を向ける。

 瞬間熱線が放たれ男の頭部を貫き殺した。

 

「サクサク行こうか」

 

 そうしてルシフェルとクライムの二人は娼館を攻めていった。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 娼館の奥をルシフェルとクライムは歩いていた。

 道中出て来た従業員は殺したり足を撃つなどで移動能力を無くさせるなどで放置し、奥へと進む。

 

 すると向かい側から男二人が歩いてきた。

 

 幻魔サキュロントとこの娼館の主コッコドールである。

 

「あら、私の嫌いな女の犬と、調子づいてる小娘じゃない。サキュロント、この二人も欲しいわ」

 

 コッコドールはそうウィンクと共に言った。

 それに対しサキュロントは「別料金で頼みますよ」と軽い口調で返した。

 

 サキュロントは──否八本指は、貴族たちはルシフェルを軽く見ている。

 

 貴族の殆どは信仰形の魔法を使う神官などの魔法詠唱者(マジック・キャスター)の重要さは知っているが魔力系の魔法詠唱者(マジック・キャスター)など所詮は手品師の親戚程度にしか思っていないのだ。

 だからこそ王が宮廷魔術師の地位を与えたルシフェルを見てもただの小娘としか思わない。貫禄がある訳でも威圧感があるわけでもないのだ。これはルシフェルは隠蔽系のマジックアイテムを使っているのもあるが。

 

「サキュロント……! 六腕の一人、幻魔です!」

 

 クライムがそう叫び剣を構えた。

 

「ふーん。興味ないね」

 

 ルシフェルはそう言うと指からレーザーを出した。

 サキュロントは回避しようとするも光速のそれを避けることなど出来ず両足を焼きちぎれされた。

 

「お、俺の足がぁぁぁ?!」

「うるさいなぁ、殺すよ」

「こ、殺すのは待ってください。相手は六腕、情報を持っています!」

 

 クライムが機嫌を悪くしたルシフェルを説得しようとする。

 

「ふぅん。まぁいいや。で、そこのオカマ、どうする?」

 

 ルシフェルは指先に光球を浮かべながら問いかけた。

 

「……人道的な扱いをお願いするわ」

 

 コッコドールは冷や汗を流しながら両手を上げ、降参の姿勢を取った。

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