朝になっても、人里の門は開かなかった。
門そのものは開いている。
木戸は外され、見張りの火消しも立っている。
誰かが縄を張ったわけでもない。
柵が増えたわけでもない。
道を塞ぐ岩もない。
だが、出られない。
北口から外へ出ようとした商人は、十歩進んだところで寺子屋の裏へ戻ってきた。
命蓮寺へ米を運ぶ荷車は、坂道を下ったはずなのに人里の井戸前へ出た。
博麗神社へ向かった老人は、三度同じ豆腐屋の前を通った。
妖怪の山へ行く信徒は、鳥居どころか人里の南口へ回された。
道が、人里の外へ続かない。
正確には、続いているように見える。
見えるだけだ。
上白沢慧音は、寺子屋の前で古い道の帳面を開いていた。
机の上には、人里周辺の地図が何枚も重ねられている。
北口。
南口。
博麗参道。
命蓮寺荷車道。
竹林救急路。
妖怪の山へ続く旧道。
畑へ抜ける細道。
火除け道。
猫道。
そのすべてに、赤い印が増えていた。
縁目会の偽札が貼られた場所だ。
藤原妹紅は、寺子屋の門にもたれて外を見ていた。
「また戻ってきたぞ」
妹紅の視線の先で、荷車を押す男たちが青い顔をしていた。
「命蓮寺に行くはずだったんだ。北の坂を出て、川沿いに曲がって……」
男は震える手で道を指した。
「気がついたら、ここに戻ってた」
慧音は筆を走らせる。
「命蓮寺荷車道、再度失敗。戻り地点、寺子屋前。通行者三名、荷一台。偽札視認あり」
妹紅が低く言う。
「記録してどうにかなるのか」
「どうにかするために記録する」
「それは分かってるが」
「道は、分からなくなった時が一番危ない。どこで戻されたのか、誰が通れたのか、何を持っていたのか。全部いる」
妹紅は小さく息を吐いた。
「帳面仕事は苦手だ」
「お前には別の仕事がある」
「関所破りか」
「今は破るな。壊すと、別の道が閉じる」
妹紅は顔をしかめた。
「厄介だな」
「縁目会は、道を壊していない。正しい道を札で隠している」
慧音は地図に線を引いた。
「通れる者には通れる。通れない者は戻される。だから、完全な封鎖より性質が悪い」
その時、人里の北口から声が響いた。
「安全通行札をお求めください!」
灰色の羽織を着た男が、北口の脇に小さな台を出していた。
台には札束。
看板には、墨でこう書かれている。
**八雲境界通行所**
**人里外出安全札 一人五文**
**荷車一台 十文**
**急ぎ道 別料金**
人々がざわつく。
「本当に通れるのか」
「金を払えば神社へ行けるのか」
「命蓮寺へ荷を出さないと困る」
「永遠亭へ行きたい者もいるんだぞ」
灰色の男は、穏やかに頭を下げた。
「縁目会は、皆様の安全な通行を保証いたします。境界は現在、大変不安定です。無理に外へ出ると、同じ道を回り続ける危険がございます」
妹紅が一歩前に出る。
「その危険を作ったのは誰だ」
男は妹紅を見た。
「道は元々不安定です」
「またそれか」
「我々は、正しい道を案内しているだけです」
妹紅の手に熱が宿りかけた。
慧音が後ろから声をかける。
「燃やすな」
「分かってる」
「札も、台も、人もだ」
「分かってる」
男は微笑んだ。
「通行札をお求めになりますか」
妹紅は低く答えた。
「お前を買う気はない」
周囲の空気が少し張り詰める。
男が一歩退いた。
その時、空から御札が落ちた。
博麗霊夢が北口の門柱に降り立つ。
「人里の門前で商売するな」
その後ろから、霧雨魔理沙が箒で降りてくる。
「大繁盛じゃないか。嫌な商売ほどよく客が来るな」
男は霊夢へ深く頭を下げた。
「博麗の巫女様。こちらは人里外出の安全案内です」
「その“安全”を人質にしてる時点で却下」
霊夢は御札を構える。
男はすぐに台の下へ手を伸ばした。
そこには、細長い札が貼られている。
藍が言っていた。
台や看板を壊せば、道の歪みが別の場所へ移る可能性がある。
霊夢は一瞬だけ止まった。
その一瞬で、男は笑う。
「壊せませんね」
霊夢の目が冷える。
「壊せないんじゃない。壊す順番を考えてるだけ」
魔理沙が横で言う。
「霊夢が考えてる。珍しい」
「うるさい」
北口の空気が震えた。
道が二重に見える。
一つは外へ続く道。
一つは寺子屋へ戻る道。
そしてもう一つ、通行札を持った者だけが通る細い道。
人里は完全に閉じられていない。
ただし、正解の道に値段がついている。
そこへ、八雲藍が現れた。
橙と猫たちを連れている。
藍の手には、共有境界台帳。
橙の手には、猫道の地図。
藍は北口の札を見た。
「丙一号。広域出入口用」
橙が周囲を見回す。
「猫道にも貼ってある。北口の塀、井戸の裏、土蔵の屋根」
藍はすぐに台帳へ書き込む。
「人里北口、主要出入口封鎖。猫道補助線も遮断。縁目会、広域封鎖段階へ移行」
霊夢が聞く。
「直せる?」
「直します。ただし、一箇所ずつ剥がしても駄目です」
「どういうこと」
「これは人里の外周全体で一つの仕掛けになっています。北口だけを戻せば、南口が閉じる。荷車道だけを開ければ、救急路が歪む。小道を戻せば、参道に負荷が移る」
魔理沙が顔をしかめた。
「厄介な網だな」
藍は頷いた。
「縁目会は、人里を道の網で囲っています」
灰色の男は拍手をした。
「さすが八雲藍様。理解が早い」
藍は男を見た。
「霞堂縁吏はどこです」
「お会いになりたいなら、正式な交渉の場を用意いたします」
「要求は何ですか」
男は懐から巻紙を出した。
「縁目会より、八雲一家および博麗神社へ」
霊夢が横から言う。
「読み上げるな。見せなさい」
男は丁寧に巻紙を差し出した。
霊夢が受け取る前に、藍が取った。
そこには、きれいな文字で書かれていた。
**縁目会要求書**
一、八雲一家は、境界通行権の一部を縁目会に認めること。
二、博麗神社は、縁目会の安全通行札を暫定的に有効と認めること。
三、人里外周、命蓮寺物流路、竹林救急路、妖怪の山信仰路について、縁目会管理区間を設定すること。
四、通行料の一部を、境界維持費として八雲一家へ納めること。
五、以上を拒否する場合、人里外周の通行不安定化は継続する。
藍は無言で読み終えた。
霊夢が横から覗き込む。
「ふざけてるわね」
妹紅が言う。
「通行料の一部を八雲へ納める? 賄賂か」
慧音は筆を走らせた。
「人里封鎖を交渉材料として、境界通行権を要求。脅迫として記録する」
灰色の男は穏やかに言った。
「脅迫ではありません。交渉です」
藍は静かに巻紙を畳んだ。
「返答します」
男は少し笑った。
「この場で?」
「はい」
藍は巻紙を男へ返した。
「八雲一家は、縁目会の境界通行権を認めません」
霊夢が続けた。
「博麗も認めない」
慧音も言う。
「人里も認めない」
妹紅が付け足す。
「払う奴がいたら、止める」
男の笑みが少しだけ薄れた。
「では、人里の通行不安定化は続きます」
藍は男を見据えた。
「続けさせません」
男は軽く一礼した。
「では、ご健闘を」
足元の影が揺れる。
男は台ごと、道の歪みに沈むように消えた。
霊夢が御札を投げる。
だが、遅い。
台も札束も、看板も消える。
残ったのは、人里北口に貼られた数枚の偽札だけだった。
そして、道はまだ歪んでいる。
*
寺子屋は、臨時の作戦場になった。
机の上には、地図が重ねられている。
藍の共有境界台帳。
慧音の人里道筋控。
橙の猫道地図。
魔理沙が境界市場から持ち帰った通行図。
命蓮寺、守矢、紅魔館、永遠亭からの連絡札。
村紗が飛び込んできた。
「命蓮寺の荷が止まった。寺の前まであと少しのところで、人里の井戸に戻される」
早苗も来た。
「山道が三つに分かれています。正しい道には通行札が必要と書かれていました。神奈子様が自力で札を剥がそうとして、別の坂に飛ばされました」
咲夜は静かに現れた。
「紅魔館から人里への使者が、何度やっても湖畔へ戻されます。お嬢様は“館を袋小路にするな”と」
鈴仙も息を切らして入ってきた。
「竹林の救急路が危険です。案内札に従うと、永遠亭の裏ではなく、竹林の奥へ回されます」
慧音は一つずつ記録する。
「命蓮寺物流路、封鎖。守矢信仰路、分岐偽装。紅魔館湖畔線、回帰。竹林救急路、誤誘導」
魔理沙が地図を見て言った。
「全部、人里から外へ出る道だな」
藍は頷いた。
「人里を中心に、外へ伸びる道を押さえています」
霊夢は腕を組んだ。
「人里を人質にして、全勢力を交渉の席に引っ張る気ね」
「はい」
橙が猫道地図を広げる。
「でも、まだ細い道があるよ。猫道一号、二号、三号。小さい妖怪なら抜けられる」
妹紅が言う。
「人間は?」
「無理」
「そうか」
橙は少し悔しそうにする。
藍は橙の地図を見た。
「人間が通れなくても、情報は通せる」
慧音が頷く。
「情報が通れば、道を開く準備ができる。命蓮寺、守矢、紅魔館、永遠亭へそれぞれ連絡を送る必要がある」
霊夢が言った。
「橙、頼める?」
藍がすぐに口を開く。
「危険です」
橙は藍を見る。
「行けるよ」
「縁目会は猫道も狙っている」
「だから、私が知ってる道を使う」
藍は黙った。
橙は言った。
「帰れない子がいるなら、迎えに行く道がいる。藍さまが言った」
「私が言ったのではない。お前が言った」
「じゃあ、私が行く」
藍はしばらく橙を見つめた。
その目には、心配と信頼が混じっていた。
「一人では行くな。猫たちと行け。危ない札を見つけたら迂回しろ。霞堂に近づくな」
「うん」
「無理をするな」
「うん」
「本当にだ」
「うん!」
霊夢が横で言う。
「藍、過保護ね」
「当然です」
橙は胸を張った。
猫たちが寺子屋の窓辺に集まる。
黒猫、白猫、茶尻尾の猫。
さらに屋根の上から数匹。
橙は紙片を三つに分けた。
命蓮寺へ。
永遠亭へ。
紅魔館へ。
守矢へは早苗が直接飛ぶことになった。
ただし、山道の歪みを避けるため、橙の猫道情報が必要だった。
藍は各紙片に、本物の八雲符を小さく添えた。
「これは通行札ではない。戻り道を固定するための目印だ。売るためではなく、帰るための札」
橙は頷く。
「売らない」
「当然だ」
橙は窓から飛び出した。
猫たちが続く。
屋根の上へ。
塀の上へ。
井戸の影へ。
人間の道が閉じられた人里で、小さな道が動き始めた。
*
人里の外周には、見えない壁があった。
橙はそれを、壁としてではなく、匂いの変化として感じた。
外の風が、途中で丸く戻ってくる。
草の匂いが同じ場所を回る。
土の上にあるはずの足跡が、寺子屋の方向へ曲げられている。
縁目会の札が、あちこちに貼られていた。
**丙一号 広域出入口用**
**丙二号 荷車回帰用**
**丙三号 救急路誤導用**
**乙五号 小通行路遮断**
橙は札には触れない。
藍に言われた通り、位置だけを見る。
猫たちが先を走る。
人里北口の土塀の下。
古井戸の裏。
柿の木の根元。
倒れた石灯籠の影。
そこに、まだ細い道が残っていた。
橙はまず命蓮寺への紙片を黒猫に渡した。
「村紗さんに渡して。荷車道は使わないで、寺の裏の軒下から」
黒猫は鳴き、屋根を飛んでいく。
次に、白猫へ永遠亭宛ての紙片。
「竹林の入口はだめ。古い水路跡から入って。鈴仙さんか、てゐさんを見つけて」
白猫は尻尾を振って走った。
茶尻尾の猫には、紅魔館への紙片。
「湖畔の道は戻されるから、霧の低いところを通って。咲夜さんに渡すんだよ」
茶尻尾の猫は、少し不満そうに鳴いた。
紅魔館は遠い。
でも、走った。
橙は残った猫たちと、守矢への山道を見に行く。
その途中だった。
道の先に、小さな影が見えた。
子供だった。
寺子屋の子だ。
手には、守矢の信徒から預かった小さな包みを持っている。
たぶん、山へ届けるはずだったのだろう。
子供は同じ場所を何度も歩いていた。
北へ行ったはずなのに、また同じ木の前へ戻る。
泣きそうな顔で、包みを抱えている。
橙はすぐに走った。
「こっち!」
子供が振り返る。
「あ、橙ちゃん……」
「手を出して」
子供は震える手を伸ばす。
橙はその手を掴んだ。
「目を閉じて。私がいいって言うまで開けないで」
「うん」
橙は足元を見る。
人間用の道は塞がれている。
でも、木の根の横に細い道がある。
子供には狭い。
だけど、少しだけ境界を滑らせれば通れる。
藍ならもっと綺麗にやる。
紫なら一瞬で開く。
橙は、そんなふうにはできない。
でも、猫道なら分かる。
「こっち」
橙は子供の手を引き、木の根と石の間を抜けた。
景色がぐにゃりと歪む。
子供が怖がって手を強く握る。
「大丈夫。帰れる道だから」
次の瞬間、二人は寺子屋の裏に出た。
子供は目を開け、泣きそうな顔で笑った。
「帰れた」
「うん。もう一人で外に行っちゃだめ」
「うん」
橙は子供を寺子屋へ押し込む。
慧音がすぐに出てきて、子供を受け取った。
慧音は橙を見る。
「助かった」
「まだ行く」
「気をつけろ」
「うん」
橙は再び屋根へ飛んだ。
その後ろで、子供が小さく言った。
「ありがとう」
橙は振り返らずに手を振った。
*
寺子屋では、藍が台帳の上に札を並べていた。
橙と猫たちから戻ってくる情報が、次々に追加される。
命蓮寺裏軒下、通行可。
永遠亭古水路跡、通行可。
紅魔館霧低路、要注意だが通行可。
人里北口木根道、子供救出成功。
山道表参道、不可。旧獣道、要確認。
慧音は人里側の古道記録を重ねる。
霊夢は博麗札で北口の一部を固定している。
妹紅は戻ってくる人々を整理し、混乱を抑えている。
魔理沙は、縁目会の市場地図と照合しながら位置を割り出す。
「見えたぜ」
魔理沙が地図の中央を指した。
「人里を囲む札、全部が同じ中心に繋がってる」
霊夢が覗く。
「どこ」
「人里の外れ、昔の火除け道の終点。今は使われてない辻だ」
慧音が顔を上げる。
「古い辻か。そこは昔、博麗参道、命蓮寺荷車道、山道、竹林道が交わっていた場所だ」
藍は地図を確認する。
「縁目会は、そこを中心に人里外周の道を束ねている」
妹紅が言う。
「なら、そこを叩けば」
「いえ」
藍は首を振った。
「叩けば、道の歪みが一斉に暴れます」
霊夢が聞く。
「じゃあどうするの」
藍は台帳を見た。
「周囲から固定します。博麗札で参道を、人里記録で古道を、猫道で小通行路を、命蓮寺と永遠亭から戻り道を固定する。その上で中心の札を剥がす」
慧音が頷く。
「外側から囲み返すのか」
「はい。縁目会が人里を囲むなら、こちらは道の記録で囲み返す」
霊夢が笑った。
「帳面で包囲戦ね」
魔理沙が言う。
「地味だが燃えるな」
妹紅が横目で見る。
「燃やすなよ」
「比喩だ」
その時、橙が戻ってきた。
息が上がっている。
だが、目は輝いていた。
「藍さま! 山道の裏、まだ通れる! でも細い。早苗さんなら飛べるけど、人は無理」
早苗が立ち上がる。
「十分です。守矢へ伝えます」
藍は橙の頭に手を置いた。
「よくやった」
橙は嬉しそうに笑う。
「子供も帰した」
「聞いた。よくやった」
藍の声は、少しだけ柔らかかった。
しかし、次の瞬間、寺子屋の外で鐘が激しく鳴った。
今までよりも大きい。
道迷いの鐘ではない。
封鎖の鐘だ。
慧音が立ち上がる。
「北口だけではない。南口も閉じた」
人里全体が揺れた。
地面ではなく、道が揺れている。
窓の外を見ると、遠くの道が霧に沈み、曲がり角が一つずつ消えていく。
人里の外周すべてに、縁目会の札が光っていた。
霞堂縁吏の声が、どこからともなく響く。
「八雲一家へ。博麗神社へ。人里へ」
声は穏やかだった。
だが、人里全体に届いている。
「縁目会は、境界通行権の承認を再度求めます」
霊夢が外へ出る。
藍も続いた。
空には、薄い線が浮かんでいる。
人里を囲む境界線。
霞堂の声は続く。
「道は誰かが管理しなければならない。八雲が隠すなら、我々が開く。博麗が裁くだけなら、我々が通す。人里が使うだけなら、我々が値をつける」
藍は拳を握った。
「通れる道には、値がつくものです」
その言葉を最後に、声は消えた。
人里は、完全に閉じられたわけではない。
だが、外へ出る正しい道は、すべて縁目会の札の向こうへ隠された。
霊夢は低く言った。
「上等じゃない」
慧音は帳面を開く。
「人里封鎖、発生。縁目会、境界通行権の承認を要求。人里外周全域に偽札展開」
妹紅が道の先を見た。
「次はどうする」
藍は共有境界台帳を開いた。
そこには、今日集めた線がすべてある。
人里の古道。
博麗参道。
命蓮寺物流路。
竹林救急路。
山道。
紅魔館連絡路。
猫道。
八雲だけでは足りない。
だが、八雲だけではない台帳が、ここにある。
藍は静かに言った。
「全ての道を重ねます」
橙が横に立つ。
「猫道も」
「もちろんだ」
霊夢が御札を構える。
「じゃあ、縁目会の囲いを破るわよ」
藍は首を振った。
「破るのではありません」
「じゃあ何」
「正しい道を、全員で思い出させます」
人里の空に、偽の境界線が光っている。
その下で、藍は台帳の最初の頁を開いた。
紫が一人で隠してきた境界ではない。
幻想郷の者たちが、それぞれ知っている道を重ねた台帳。
その台帳で、人里を取り戻す。
道は売るためにあるのではない。
帰るためにある。
藍はその言葉を胸の内で繰り返した。
次に来るのは、縁目会との正面からの裁定だ。
人里を囲む線の向こうで、霞堂縁吏は待っている。
八雲一家が、境界をどう扱うのか。
その答えを、引きずり出すために。