Codeへようこそエルフさん   作:エルモライト

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飯テロ描写があります。

なおエルモライトは海老が食べられないので海老の表現に自信がないです。


味わう

「凄い。地面なはずなのに土がまるで見えない」

 

 車に乗って俺とマリーは街中までやってきた。車に乗った直後のマリーは馬や魔法でもないのにどうやって動いているのだと気にしてビクビクとしてしまい中々スタート出来なかったが、車の大まかな仕組みを教えてなんとか落ち着いてくれた。

「この国は平和な国なのね。魔物が存在している気配はないし、なんだか不思議なかんじ」

 

「熊や猪の害獣被害は多々あるけど、それでも日本は平和なほうだと思うよ」

 

 外国や向こうの世界と比べたらそりゃ日本は平和な国だと思う。

「それじゃここで食事にしようか」

 

「いらっしゃいませ!」

 

 せっかくだからと見栄を張って少し高めな和食のお店に入った。

「これを2つと、今日のおすすめをお願いします」

 

 和食のお店に入って今更だけどたぶんマリーは箸を使えないよな。

「フォークも1つください」

 

「かしこまりました。どうぞごゆっくり」

 

 マリーのためにフォークを頼んだのを察してくれた店員さんは少しマリーに見惚れながらもスマイルを向けていた。

「バク、今の人。私に何を言ったの?」

 

 あぁ、マリーと話す時はエルフ語だから日本語は聞き取れないんだった。

「ゆっくりしていってと言ってたんだよ」

 

「それにしても店員も町の人もまるで警戒してないのね」

 

「この世界に魔物はいないからね。それにお人好しが多いお国柄だからってのもあると思う。まあせっかくこの世界に来たんだし楽しんでくれると嬉しいかな」

 

「あなたは数少ない信用できる人だから、お言葉に甘えることにするわ」

 

 ひとまずは周囲への警戒心が軟化して良かった。

「それじゃ落ち着いたことだし、そろそろ説明してもらっていいかしら。あなたがこの世界とあちらの世界を行き来できる事の説明をね」

 

「そうだね?まず最初に言っておくと、俺はCodeの事も仮面ライダーの事も何も知らない」

 

「それはゼロとの会話の流れで何となく分かっていたわ」

 

「だけどCodeは俺が夢を通じてそっちの世界に行っていたことを分かっていたみたいなんだ。どうやら俺がそっちに行き始めた頃から監視していたらしい」

 

「監視していた事。そしてゼロもあちらの世界で行動出来ていたことも考えると、あちらとこちらの世界を行き来できるのはバクだけじゃないみたいね」

 

 監視対象な時点でそこまで多くはないんだろうけれど、少なくとも俺1人というわけじゃなさそうだ。

「この夢で世界を行き来する力。それが先天的か後天的かは分からないけど、Codeが何か知っているとは思う」

 

「お待たせ致しました!」

 

 重要な話をしようとしていた矢先、それを遮るように注文したものがきた。季節の天ぷらに旬の刺身だ。

「料理も来たことだし、続きは後にしようか」

 

「料理だけじゃなく器のお皿も綺麗ね。ありがとう」

 

「?」

 

 マリーのエルフ語は店員さんには通じなかったみたいだ。

「マリーがありがとうと言っています。それと料理だけじゃなく器の皿も綺麗だと」

 

「うふふ。どういたしまして」

 

「バク、これはソースかしら?最初からかかってはいないのね」

 

 まああっちの料理では自分でかけたりするかんじの料理は珍しいからつけながら食べるのはもっと珍しいだろう。

「天つゆに少しつけて食べるんだ。そうすればサクサクとした衣の食感が損なわれないからね」

 

「確かにサクサクとしてるわね。これはキノコかしら?」

 

 しいたけの天ぷらをフォークで刺して天つゆにつけたマリーはそれを口へと運ぶ。

「外はサクサクとしてるのに中は柔らかくてとっても美味しいわ。こっちはエビよね?」

 

 今度は海老の天ぷらを口へと運ぶ。

「エビのフライより食感が優しい。サクサクなのにふんわりしていると言うか」

 

 ひとしきり天ぷらを食べてみたマリーは刺身に視線を向ける。

「これは魚よね?しかも生の」

 

 向こうの世界には魚を生で食べるという文化はない。島国かつ冷凍して運ぶという日本だから魚を生で食べることに慣れているけど、日本人以外にはやっぱり抵抗があるんだろうな。

「そっちの醤油につけて食べてみて。そっちも美味しいから」

 

「じゃあまずはエビから」

 

 魚の生は流石に即決出来なかったからかまずは海老の刺身を醤油につけて口へと運んだ。

「柔らかくて甘い!」

 

 エビが美味しかったからか次にマグロ、その次にイカとパクパクと食べすすめた。

「良かった。生魚も平気そうだね。だったら今度はお寿司を食べに行こうか」

 

「お寿司?」

 

「この国の代表的魚料理ってとこかな」

 

 食事を終えた俺とマリーはレジへと向かう。

「バク、この国の言葉でこの場合のお礼はなんていうのかしら?」

 

「ご馳走様でした。だよ」

 

 店員さんに振り向いたマリーはすぐに日本語のお礼を覚えてくれたようで、さっそく店員さんにお礼を述べる。

「ゴチソウサマデシタ」

 

「またいらしてください」

 

 片言ながらも心からのお礼に店員さんも笑顔で返し、俺とマリーは店を後にする。そして春祭りが開かれている会場に足を運ぶと丁度桜が綺麗に満開となっていた。

「ちょうど見ごろなタイミングだったみたいだ」

 

「これが話に聞いていた桜。見たことない精霊がたくさんで酔ってしまいそうだわ」

 

 俺には精霊は見えないけど、マリーは精霊使いなので精霊が見える。とはいえこっちの世界にも精霊がいた事実は驚きだが。

「日本の春は桜が咲く時期で特別なんだ。せっかくだしこの特別を満喫してほしい」

 

「えぇ、そうさせてもらうわ」

 

 少しおどけて言ったんだけど、そんな素直な返しをされてはやりずらいな。

「こんなにもたくさんの花と精霊を見るのは初めて。まるで夢の中にいるみたい」

 

 精霊が見えるマリーの景色は俺の見ている景色とは違うかもしれない。それでも・・・。

「綺麗ねバク」

 

「うん。そうだね」

 

 この景色を見て感じるであろう気持ちは人間もエルフも変わらないと、俺は思う。

 

 

 

 

「ありがとう。凄くいいお風呂だったわ」

 

 マンションに帰宅後。マリーを先にお風呂に案内した。最初はスイッチを押すだけでお湯が出るお風呂に驚いたり、入浴剤の香りに貴族の贅沢だと言っていたマリーだけど、なんだかんだで適応してお風呂から出てきた。

「あら?良い香りがするわね?」

 

「もう少しでできるから待っていて」

 

 といた卵でとじて、うん。完成だ。

「お待たせマリー。夕食はカツ丼でございます」

 

「カツ丼、これは絶対美味しいわ」

 

 香りで美味しいを確信したマリー。果たしてマリー以上に食いしん坊なエルフがこの世界にいるだろうか。いや、いないな。

「いただきます」

 

「イ、イタダキマス」

 

 マリーも合わせて日本語でいただきますと言い、カツ丼のカツを一切れ口に運ぶ。とんかつは帰りに買ったお惣菜だけどまあまあの出来にはなったと自負してる。

「肉の旨味が卵にも染み渡ってて、素晴らしいわ」

 

「喜んでもらえてなによりだよ」

 

 夕食を食べ終わった俺とマリーはそろそろ目の前の、というより向こうで目覚めた後の事を考えることにした。

「さて、それじゃ作戦会議をしようか」

 

「何かしら?いきなり改まって?」

 

「俺達がこっちで眠ると向こうの世界で目を覚ますはずだ。だけど目を覚ましたら何処で目覚めると思う?」

 

「そういうことね。私としたことが考えていなかったわ」

 

 向こうで目覚めた時、俺達が何処にいるかは2つの可能性がある。1つは例のレトロな部屋。仮にゼッツルームと名付けることにしよう。ゼッツルームは夢と異世界の狭間。そこで目覚める可能性がかなり高い。だけどもし今までの俺がそうだったように瀕死判定や意識を失った場所で目覚めるとなれば、俺達はアークドラゴンの目の前で目を覚ますことになる。

「仮にあの部屋、ゼッツルームで目を覚ましたとしても部屋を出たらたぶん遺跡の中。それもアークドラゴンの目の前の可能性もあり得る」

 

「あの部屋がどういった仕組みかは分からない以上、アークドラゴンの目の前からと考えていたほうが良さそうね」

 

「アークドラゴンについて文献で知っている情報は?」

 

「人より高い知能。呼吸は魔力を発生させて、底がない。過去の事象としては島の破壊に火山噴火。数々の魔族や人間との戦いにその名を残しているわね」

 

 その後も俺とマリーは寝床につくまで作戦会議を続けた。そして今の今まで失念していたある事に直面した。

「さあ、対アークドラゴン秘密兵器も用意したことだし、元の世界に戻れるか試しましょう!」

 

 そう。マリーと一緒に寝ないといけないんだ。俺は覚悟を決めてマリーと共に布団の中に入る。

「あの時はしっかりと捕まっていたわよね」

 

 マリーは状況再現のために俺に抱きついてくる。・・・落ち着け俺。寝れなくなるぞ。

「あったかいわね」

 

「うん、そうだね」

 

 気持ちを落ち着かせ、俺とマリーは眠りに入る。そして意識が覚醒するとやはりと言うべきかゼッツルームで俺とマリーは目覚めた。

『やぁおやすみコードセブン。それとエルフさん』

 

 エルフ語でコードゼロが挨拶をしてきた。というかおやすみがここでのおはようなのか。

「マリアーベルよ」

 

『よろしく。マリアーベル』

 

 そういえばマリーはコードゼロに名乗ってなかったな。

「ところでコードゼロ。これはなにかしら?」

 

 マリーは昨日ゼッツルームに来た時にはなかったガシャポンのような機械に興味を示した。

『カプセム支給装置、カプセムドロッパーだ。エージェントの君の潜在意識とリンクして運用可能なカプセムを探索・支給する』

 

 ガシャポンか。となれば。

「この世界に100円は持ち込めていないのですが、お金はかかるんですか?」

 

『お金は必要ない。しかし君の潜在的成長に合わせて1度に回せる回数には限度がある』

 

 お金はかからないかわりに制限回数はあるってことか。

「じゃあさっそく」

 

 カプセムが排出されるということは仮面ライダーゼッツの、つまりは俺の戦い方にバリエーションが出来るってことだ。何かいいアイテムが出てくれるといいな。

 

 1回目のカプセムドロッパー回し。出てきたのはインパクトカプセムと同じ赤いカプセムだけど絵柄が違っていた。

「これは?」

 

『ふむ。使いたまえ。ゼッツフォンだ』

 

 コードゼロはスマホのような携帯機器を俺に渡してくる。

『ゼッツフォンにカプセムをスキャニングさせることで、そのカプセムの情報を読み取ることができる。もちろんスマホとしての機能以外にも索敵・探知に地図作成といった他の機能も多彩だが、それは追々試してみるといい』

 

 便利なアイテムだとは思うけど、そもそも何故肝心のカプセムはランダムみたいになっているんだろうか。そう考えてしまいつつも俺は新しいカプセムをゼッツフォンでスキャニングしてみた。

【Transform】

 

「これはどうやら肉体を変幻自在に変形させられるカプセムらしい」

 

 表示されたモニターにそんな説明が書かれていた。

「もう1回回してみるか」

 

 もう1回カプセムドロッパーを回してみると、またもや赤いカプセムが出てきた。

「今度こそダブり、ではないな」

 

 これも違うカプセムだったのでゼッツフォンで情報を読み取る。

【Wing】

 

「ウイング。空飛ぶ翼のカプセムか」

 

 飛べる。それだけでも戦術の幅はだいぶ広がるな。

「もう少し、あ。動かないか」

 

 どうやら今の俺にカがプセムドロッパーを回せる回数は2回らしい。

「新しく手に入れたカプセムは2つなのね」

 

「あぁ。2つとも良い戦力になりそうだ」

 

「ねぇバク。これ、私も回せるかしら?」

 

 マリーは興味本位でカプセムドロッパーを回してみると、本当にマリーでも回せたようで青いカプセムが出てきた。

「色が違うカプセムね。これはどんな・・・きゃっ!?」

 

 ゼッツフォンで青いカプセムをスキャニングしようとすると、いきなりレトロな雰囲気の部屋に似つかわしくないスクリーン画面が下りてきた。びっくりしたマリーは跳び下がりながら俺の背後に隠れると、スクリーンには遺跡内部にワンハンドのマントを羽織っている昨日のサルノテとは違う別の男がやって来ている姿が映し出された。

『どうやら再びあの遺跡にワンハンドが侵入してきたようだ。アークドラゴンの戦闘力を考えればそちらは心配ないだろうが、昨日の今日で再び同じ遺跡に来たのは理由があるはずだ。それに対して探りを入れつつワンハンドを撃退してくれ』

 

 普通に考えればサルノテが言っていた通りアークドラゴンの討伐または捕獲なんだろうが、昨日の今日で、ましては別の人物が単身でやってくるか?同じ人物だったらリベンジを考えるけど。

「ミッション了解」

 

 何かアークドラゴン以外に目的はありそうだが、それは直接確かめる事にした俺は扉を開きマリーと共に再び遺跡の中。それもアークドラゴン前で意識が覚醒する事になった。




次回「謀る」
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