転生したら謎の鉱石だった件   作:街人A

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2.出会いと別れ

 

俺の意識が覚醒してから何日か経過した。

今ではもう『変幻者』による制御が出来るようになって形を自由自在に変化させる事が出来るようになった。とりあえず、今は当初の予定通りカー◯ィの身体の形にしている。

 

その間に俺は『会話者』に色々質問していた。主に自分の事について。

まず、俺のこの身体の鉱石。宇宙みたいに全体的に黒っぽいけど、中でキラキラ何かが光っているかの様な感じの鉱石なのだが、これがどういった鉱石なのか聞いてみた。

すると返ってきた答えは《不明です》の一点張り。『検索者』でもよく分からないらしい。まぁ新種の魔物らしいし、身体の鉱石も新種のものなんだろうと俺は無理矢理自分を納得させた。

 

次に俺のスキルについて。

まずユニークスキルが『先導者』『会話者』『検索者』『勇者』『変幻者』の五つ。いや、やっぱ多いな。この数は果たして普通なのだろうか?

そしてその他のスキルとしてこの前取った『万能感知』とこの妖鉱石の固有スキルである『吸収』『硬化』『伝播』の三つ。

固有スキルの三つについては読んで字の如く。周囲や相手の力等を吸収したり、自身の身体をより頑丈したり、スキル効果等を自分以外にも伝えたり出来る。

そしてユニークスキルで未だに使われていない『勇者』は自分のよりも強大なものを相手にした時、何かしらの力を得る。また、常時発動の効果として運が良くなるというのもあった。

 

分かった事はこんな感じだ。とりあえず、現状のやる事としてはこの身体に慣れる事だ。制御出来るようになったとはいえ、今のままではよく意識しないと身体を動かせないのだ。これでは何かあった時に咄嗟に動く事が出来ない。だから今のうちに慣れておきたい。

 

そんな俺は現在、この洞窟を練り歩いている。慣れるにはひたすらに使うのが一番だし、何よりこういった洞窟の探索というのはゲームにあるダンジョンというやつみたいで心が踊る。

目的地はこの洞窟の魔素濃度が濃くなっている原因と思しき場所。危険かもしれないが、何かあるかもしれないという好奇心には逆らえなかった。

 

お、第一村人発見!

結構でかい黒い蛇が現れた!

 

うーん……会話は出来そうにないな。本能のままに襲いかかってきそうだ。

 

すると黒い蛇が噛みついてきた。俺はそれを『硬化』を使って受ける。

すると黒い蛇の牙がパリンッ!と音を立てて砕けた。

 

俺は自慢の牙が砕けて驚いている黒い蛇の首根っこを掴んでブンブンと振り回してそのまま地面へと叩きつける。

 

これで終わりだ!プレスッ!!

 

俺は跳び上がって落下し、そのまま地面に倒れてる黒い蛇にのしかかる。すると黒い蛇は動かなくなった。どうやら倒す事に成功したようだ。

俺の身体の鉱石は結構な重さがあり、全身鈍器みたいなもんなのだ。

 

さあ、どんどん行こ──

 

《告。ユニークスキル『先導者』より提案。先程の黒蛇に固有スキル『吸収』を使う事を推奨します》

 

ん?『吸収』って魔素とかを吸い上げるやつだろ?でも今使っても保有許容量オーバーで返って危険になるんじゃないの?

 

《是。ですが、それとは別にユニークスキル『変幻者』で体内に魔素を蓄積する機能を作る事が可能です》

 

へぇー、そんな事まで出来るんだ。何でもありだね『変幻者』って……まぁそういう事ならやるか!魔素は沢山あった方がありがたいからね

 

 

******

 

 

そんなこんなで敵を倒しつつ、魔素を吸収していく。しばらくするととある場所に辿り着いた。

 

何だここ……魔素濃度高すぎじゃね?そこら中に魔鉱石びっしりと並んでるだけど──

 

《警告。極めて危険な魔物の生息を確認しました。種族名 死蝙蝠(カマソッソ)。撤退を推奨します》

 

俺がいる場所の真上、洞窟の天井にそれはいた。巨大な黒い体躯、それよりも大きい立派な翼。一瞬、ドラゴンに見間違える程に凶悪な姿。

 

見れば分かる、あれには勝てない。撤退だぁ!!

いやダメだ。めっちゃこっち追いかけてきてるじゃん!確実に追いつかれるよ!あ、しめた!あそこの壁の隙間に入り込めれば、奴は追いかけてこれない筈だ。

 

そうして俺はその隙間にダイブする様に入った。するとその壁を壊そうとカマソッソが壁に攻撃している。

 

なぁ、『検索者』。あの死蝙蝠とかいう魔物はどういうやつなんだ?

 

《ユニークスキル『検索者』より解。Aランク級の魔物。一度狙った獲物は死ぬまで地の果てでも追いかけてくる程に執念深く知性を持つ狡猾な魔物ですが、今回出会ったのは魔素濃度の濃いところにいた事により、魔素を過剰摂取した結果自我を失い暴走して知性が失われていると推測します》

 

地の果てでも追いかけてくるっておっかないな。このまま逃げてても意味はないって事か。こんな時のために『変幻者』の形状変化以外も出来るようにしておいて良かったぜ。

 

『変幻者』──体色変化、無色透明

 

すると俺の身体がどんどん透明化していって姿が消える。後は気配を殺しながらここから離れよう。これで見つかったらもう終わりだ。

 

《告。気配を殺すには身体から漏れ出ている魔素を抑える必要があります》

 

なんでだろう、何だか嫌な予感がする。

それはどうやるのか聞いていいか?

 

《解。鉱石には魔力を扱う器官が存在しない為、今の主人には出来ません。そのため、新たにスキルを得る必要があります》

 

やっぱりね……これまで、視覚などの感覚も身体を動かす事も全てスキルを通して行ってきた。俺は鉱石だから、生き物ではないから生き物らしい事は全てスキルを通して行わなければならないのだ。

 

《告。ユニークスキル『検索者』より提案。エクストラスキル『魔力操作』を取得しますか? YES/NO》

 

イエス。よろしく頼むよ。

 

《了。スキルの取得を開始します……成功しました》

 

さて、早速魔素を抑え込まないとだな。早くしないとここら一帯が破壊されちまう。

 

 

……何とか撒いたみたいだな。

あれから十数日経過。カマソッソが俺を探してあちこちで暴れていたが今はそれがなくなっている。気配もないので撒いたと思って良さそうだ。ちゃんと『会話者』と話して問題ないか確認もしたしな。

 

やっとこの透明化を解除できるな。これほんの少しずつとはいえ魔素を消費するから長く使ってるとすっごい疲れる。

 

そうして透明化を解除して少し歩いていると目的地に辿り着く事が出来た。

 

うん?あそこに何かいるな。あれは……ドラゴンだ!それからスライムもいるな。何か話してるのかな?なんにも聞こえないな。

 

すると突然、ドラゴンがこちらを向いた。

どうやら気づかれたっぽいな

 

(そこにいる小さき者よ。そんな所にいないで出てくるといい)

 

声が心に直接響いてきた。なにこれ

 

《解。コモンスキル『念話』の効果です》

 

へぇー、そうなのか。コモンスキルって事はやろうと思えば出来るのかな?

 

そんな事を考えながら、俺は言われるがままにドラゴンとスライムがいる所へ近づいていった。

 

(何だかカー◯ィみたいなフォルムしてるな……)

 

するとスライムからそんな呟きが聞こえてきた。

こいつ、カー◯ィを知っている……!?まさか!

 

(そこのスライムさんも転生者なのか?)

 

(──! ”も”ってことはお前もそうなのか!)

 

どうやら伝わったらしい。『念話』ってこんなあっさり出来るものなんだね。

それにしてもまさか同じ転生者に会えるとは思わなかった。

 

(にしても、お前の種族は何だ?材質的に石なのか?これ)

 

(うん、よく分からん変な鉱石らしいぞ)

 

(おい、こら!お前たちだけで盛り上がるでない!)

 

俺とスライムが会話しているとドラゴンが割り込んできた。

話によるとスライムに『魔力感知』のスキルを教えていた所だったらしくスライムはあっさりとそのスキルを獲得したのだとか。

 

それからドラゴンが自己紹介をした。

ドラゴンの名前は暴風竜ヴェルドラという世界に四体しか存在しない竜種の一体らしく見た目通りの凄い存在のようだ。

 

そんなヴェルドラは300年程前にうっかりで街を灰にしたら、勇者なる者にユニークスキル『無限牢獄』で封印されたそうだ。いや、うっかりで街を灰にするって……完全に自業自得じゃないか?

それから後百年程でヴェルドラの魔素が切れて朽ち果ててしまうらしい。封印の解除法も分からないのでどうする事も出来ないらしい。

 

続いて俺が話をする流れになったので自分が死んだ経緯を話した。すると……

 

(お前の言うその通り魔に刺された人に物凄く心当たりがあるぞ……)

 

(え……?)

 

スライム曰く自分が死んだ原因が通り魔に刺された事らしい。あの場にいたのがこのスライムだとすればすごい偶然だ。前世の時点で既に出会っていたとは……

 

(お前たち、物凄く稀な生まれ方をしたな)

 

ヴェルドラがそう言うと俺とスライムは二人揃って首を傾げる。

ヴェルドラ曰く、異世界人はいるけど転生者は初めて見たそうだ。普通は魂だけで世界を渡ると耐えられないらしい。

 

異世界人がいるとなれば他にも日本人がいるかもしれない。そう思ったスライムはその異世界人を探して会ってみたいらしい。俺も同意見だ。少し話をしてみたい。

 

(なんだ、もう行ってしまうのか……?)

 

俺たちがここを去ってしまうと思ったのだろうヴェルドラはすごくしょんぼりしながら言う。

まぁ300年一人だったんだもんな。俺も友達のいない人生送ってきたし、気持ちは分かる。しかも300年ともなると俺なんかじゃ想像出来ない程に寂しかったに違いない。

 

(なぁ二人とも、俺と友達にならないか)

 

(お、それいいな!)

 

(何だと!この暴風竜と恐れられるこの我と友達だと!?)

 

唐突にされたスライムからの提案を俺はあっさり受け入れた。しかしヴェルドラは声を憤慨しているように見える。そんなに嫌だったかな、友達になるの

 

(嫌なら別にいいんだけど──)

 

(バ、バカ!誰も嫌だとは言っておらぬだろうが!お、お前たちがどうしてもって言うなら考えてやっても……いいんだからねっ!)

 

((ツンデレか!!))

 

思わずスライムと一緒になって叫んでしまった。

でもヴェルドラが満更でもなさそうなのはよく分かった。

 

(どうしても、だ。お前も一緒だろ?)

 

(ああ、俺たちと友達になってくれ!)

 

(仕方ないな、お前たちの友達になってやろうではないか。感謝せよ!)

 

こうして俺たちは友達になり、三人で手を合わせたのだった。

 

 

******

 

 

(さて、それでこの封印どうするか)

 

俺達は今ヴェルドラの封印である『無限牢獄』を解けないかの相談をしていた。流石に友達を封印されたまま放っておく訳にもいかないからね。

 

『会話者』達曰く、外側からだけでなく内側からも解析する必要があるそうだ。要はヴェルドラが内側の情報を寄越してそれを俺達が解析する事で解析自体は進められるのだが……

 

(だが、それでは時間がかかろう。お前たちは早くここから出発して同郷の者に会いに行きたいのであろう?)

 

そう、時間がかかるのだ。だからこそ、どうするか悩んでいるのだが……

するとスライムがこんな提案をした。

 

(ヴェルドラ、俺の胃袋に入らないか?)

 

どうやらスライムの持つ『捕食者(クラウモノ)』のスキルであれば魔素の拡散が防げるので朽ち果てる心配もないし、解析も並列して進める事が出来るのだとか。

 

(クアハハハハ!面白い!ぜひやってくれ。お前に、我の全てを委ねる!)

 

(そんな簡単に信じていいのか?)

 

(無論だ!ここで、お前たちが帰って来るのを待つよりも、お前の中で外へ出る為に『無限牢獄』を破る方が面白そうだ!)

 

なぁ、『会話者』。この解析、俺も手伝えたりするか?

 

《解。固有スキル『吸収』と『伝播』を使えば可能です》

 

曰く『吸収』で『無限牢獄』の情報だけ仕入れて『検索者』の解析鑑定で調べて『伝播』で解析結果を送り返すらしい。

『吸収』の対象をそんな細かく指定できる事に驚きなんだが……

 

(俺も解析手伝うよ。胃袋に入った後でも問題ないみたいだからさ)

 

(ああ、よろしく頼む)

 

そんなこんなでスライムが早速行動に移そうとするとヴェルドラがそれを止めた。

 

(その前に、だ。お前たちに名前をつけてやろう。そしてお前たちも我に名前をつけろ。同格という事を魂に刻むのだ)

 

ヴェルドラが俺たちに名前を与える事は加護になるらしい。また、俺たちはまだ名無しである為、名持ちの魔物の仲間入りが出来るそうだ。

 

(名持ちの魔物か……いいなぁ!)

 

(いいだろう。かっこいいのを頼むぞ)

 

かっこいいのか……

俺はスライムに速攻で助けを求めた。ネーミングセンスに自信はないのだ。

 

(どうする?暴風竜だから、暴風関係の言葉にするか?)

 

(そうだな。暴風……英語でストームか?イマイチだな……)

 

(ストームがダメとなると……)

 

そこで俺とスライムは同時に閃いた。

 

((テンペスト!))

 

(テンペストなんてどうかな?)

 

スライムが代表してヴェルドラに提案した。するとヴェルドラは大声で叫びだした。

 

(何ィ!!テンペストだとぉぉ!!!素晴らしい響きだ!今日から我は、ヴェルドラ=テンペストだぁ!)

 

(気に入ったのかよ……)

 

(紛らわしいやつだな……)

 

いきなり大声で叫ばれると心臓に悪いから本当に控えていただきたい。今世は心臓あるかは知らないけど。

 

(そして次はお前たちだ。まずはスライムの方からだ。お前にはリムルの名を授ける。リムル=テンペストと名乗るがよい)

 

するとスライム──いや、リムルの身体が輝きだした。

 

(次にそこの鉱石よ。お前にはレノの名を授ける)

 

レノか……悪くないな。むしろ良い!気に入った!

 

(レノ=テンペストと名乗るがよい)

 

すると先程のリムルと同じく俺の身体も輝きだした。その瞬間、魂の奥底で何かが変化した。レノ=テンペストの名が魂に刻まれたようだ。

 

そして……

 

(じゃあ、今から食うけど、さっさと『無限牢獄』から脱出してこいよ)

 

(そうだぞ、ヴェルドラ。待つのだって楽じゃないんだからな)

 

(任せておけ。そう長くは待たせずに会いまみえようぞ)

 

リムルがスキルを発動する。リムルの身体が『無限牢獄』を覆い尽くし、元の姿へと戻っていく。そしてヴェルドラの気配が完全に消えた。

 

これが、世界に激震を走らせる事になるとは二人は知る由もなかった。

 

 

******

 

 

リムルが『無限牢獄』を食った日から数日経過。

 

「リムル!」

 

あれから、洞窟の脱出を目指してリムルと彷徨いながら遭遇した魔物を倒してリムルが食ったり、俺が吸収したりして。リムルが良い感じのスキルを取ったら俺も取ろうとしたりもした。リムルが声を発する事が出来た時とか速攻でリムルの真似をした。お陰で俺も声を発することが出来るようになった。

 

──そして、現在。俺たちは……いや俺は最悪なやつと再会した。カマソッソである。

 

俺は奇襲を受けそうになったリムルを庇って『硬化』で奴の攻撃を耐える。

 

「逃げろ、リムル!今の俺たちじゃこいつに勝てねぇ!」

 

どう足掻いても勝てない。俺はまだ多少は耐えられるけどリムルは奴の攻撃をまともに受けたら致命的だろう。なんで、なんで前会った時よりも強くなってるんだよ……!

 

「で、でも──」

 

「早くしろ!もしお前がここでやられたら、ヴェルドラはどうなるんだ!」

 

「……!!」

 

「俺なら大丈夫だ。頑丈さには自信があるし、一度はこいつから逃げ切ってる。だから任せろ……!」

 

頼む。逃げてくれ、リムル。奴の意識がこっちに向いてるうちに……!

 

「行け!!!」

 

「クッソォ!!」

 

そうしてリムルは走りだした。

これで良い。これで……後は俺が生き残るだけでいい。それが一番難しいんだけどな……

 

さて、やるか!

 




次回、「『勇者』」
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