転生したら謎の鉱石だった件 作:街人A
これはダメだ……攻撃を耐えるのに精一杯で防戦一方。後、俺はどれくらい耐えればいいんだ?この時間稼ぎに意味はあるのか?
《解。以前として個体名リムル=テンペストを狙っています。このまま時間を稼いでも諦める事なく追いかけてくるものと推測します。結論としてあまり意味はありません》
でも、あいつリムルの場所把握してるの?見失えばこの前みたいに逃げられるのでは?
《ユニークスキル『検索者』より解。カマソッソは攻撃の際に特有の目印を付けて獲物を追いかけます。そして個体名リムル=テンペストは既にカマソッソの攻撃を受けています》
うーん、リムルには『
《カマソッソの目印は目印を付けた個体のカマソッソを倒さない限り、決して消える事はありません》
つまりあいつを倒すしかないってか?冗談きついよ?
《いい加減、現実を見てください》
……はぁ。こうなったら当たって砕けろだ。俺の全身全霊をかけて華々しく散ってやる……!
俺がそう思ってカマソッソと戦う覚悟を決めた瞬間、身体の内側からどんどん力が溢れてきた。なにこれ
《解。ユニークスキル『勇者』の効果です》
あーこれがそうなのか。でもあいつを倒すにはまだ足りないな。それでもやるしかない。
「行くぞ!」
そう言ってカマソッソに突撃するが、カマソッソの姿が消えて空振りに終わる。どこから来るか周囲全てを警戒する。
《ユニークスキル『先導者』より推測。右です》
『先導者』の言う事を信じて右に向かって『変幻者』で手の部分を伸ばして鞭のようにしならせて振るうと見事に大当たり。だが大して効いてなさそう。反応的に少し痛いくらいかな?
打撃系が無理なら斬ったり刺したりすればいけるか?
カマソッソは今度は姿を消さずに、けれどそう錯覚する程の速さで一瞬にして──
《警告。背後に来ます》
──背後を取られた。
「くっ……!」
『硬化』&『変幻者』!ニードル!!
その瞬間、カマソッソの蹴りが直撃。咄嗟に刺刺しくした俺の身体がカマソッソの足に突き刺さるがそれをものともせずにその足で俺を蹴りあげたのだ。
足に穴が空いたというのに何一つ気にする様子がないんだけど。奴にとっては擦り傷程度のものなのか?
《警告。左へ跳んでください》
間を空けずに警告される。急いで左に跳ぶのと同時に俺がいた場所とその周辺が突然弾けて崩れ去った。なにいまの……?
《カマソッソが発した超音波と推測します》
超音波?衝撃波の間違い──《警告》くそっ!息つく暇もないな!
『硬化』&『変幻者』!ソード!
手を大剣に変えて近づいてきたカマソッソをギリギリまで引きつけてからぶった斬った。
皮膚かっったいなぁ!胴体硬すぎでしょ!?これなら足を斬った方が良かったか!?
するとカマソッソが咆哮を上げる。どうやら激怒しているご様子。そりゃ餌をお預けにされた上に痛くされたら誰だって怒りますよね……?
そして、カマソッソによる今まで以上の猛攻が始まった。
これじゃあ、攻撃なんて出来ないぞ!反撃も無理だろうな、これ。最初の方は姿消して奇襲の繰り返しだけだったのに!なんでこうなった!?
《奇襲が通じないとみて攻め方を変えたと思われます──警告》
だろうな!そんなの分かってらぁ!!
そんな事を思いながら全力で攻撃を回避しようとするが、攻撃を回避する事は叶わなかった。
「ぐっ……!」
やばい……身体に亀裂が……だんだん回避が難しくなってる。というより俺の回避を読まれてる?
『先導者』!打開策はないか!?このままじゃ死ぬ!
《警告。超音波が来ます》
「──! 避けきれねぇ……!」
轟音を響かせて周囲の地面も壁も全てが一瞬で砕ける。俺の身体も一部が砕けた。そこを中心に全身に亀裂が入る。そうして瓦礫に埋もれた。
《ユニークスキル『先導者』より解。一つだけ、勝つ方法があります》
マジかよ……そんな方法あるなら早めに──
《──なお、この方法は命の危険が伴います。命を賭ける覚悟がありますか?》
ああ、そういうパターンか。それは嫌だなぁ……だって怖いじゃん?命を賭けるだなんて……いや、分かってるよ。俺は今、死ぬ覚悟を問われてる訳じゃない。
俺が問われてるのは
命の危険を賭してまでして、そこまでして勝ちたいのかどうか
これを今俺は問われている。
それならば俺の答えは決まっている。
俺は勝ちたい
せっかく前世含めても初めて胸を張って友達といえるやつに出会えたのだ。それなのに、こんなところで手放したくない。そいつを守って、あいつに勝って生き残ってそんでもってハッピーエンド。それ以外認めてなるものか。
だから、死ぬつもりなんて毛頭ない。俺は俺の命を賭けない……賭ける事になるのは、
当たり前だけど、こんな事で自分の命の危険が変わるわけではない。こんなものはただの現実逃避。自分が死ぬ可能性から目を逸らしたいだけ。ただの臆病。
──それでも、俺は勝つためにこの危険な道を歩むのだ……それはきっとこんな臆病な俺にも”勇気”というものがあったという事。
すると、俺の身体の欠けたところから亀裂の入ったところから金色の光が溢れ出てくる。俺の上に積み重なった瓦礫が溢れた力によって宙に浮いていく。力が……湧いてくる!
たった今、理解した。この『勇者』の力は俺の勇気に呼応して力が増幅するのだと。そしてこの力は、可能性を司る力であるのだと。
やるぞ、『先導者』!道を示せ!
《解。ユニークスキル『勇者』の力をユニークスキル『変幻者』に集中させてください》
ああ、なるほど。それをすれば間違いなく俺は無防備になるし身体も柔くなるから一撃でも受けたら俺は木っ端微塵だ。確かにこれは命を賭けろって言われるわけだ。
だがまだ周囲には瓦礫が沢山ある。あいつはまだ俺を見つけていない。
やるなら今のうちだ。
《……確認しました。個体名 レノ=テンペストの
それを告げたのは世界の言葉。
けれど俺にはそれを聞いている余裕はなかった。
制御がエグいくらい難しいんだけど……『会話者』ヘルプミー!
……あれ?『会話者』?
《告。ここからは
え?お前が制御するんじゃないの!?
《是。現在の主人ではスキルの行使は困難だと思われます》
え、そうなの……?でも俺がこの制御をやるとしたらもう時間がないぞ。身体の負担がヤバくてもう持たない。身体の亀裂がどんどん広がってるし、内側から破裂しそう。
《告。これからスキルを行使する事で魔素を大量に消費するため、さらなる負荷がかかります》
マジで?行使が困難ってそういう事なの?いやそんな事より、やるなら早くして!死ぬ、死んじゃう!
《了。アルティメットスキル『無常之王』を発動します》
──物質変化
すると、周囲の瓦礫が一斉に宙に浮いて光に変わり、それが俺の目の前に一つに収束し、エネルギー波が放たれた。そのエネルギー波は俺の周囲にあった瓦礫の山ごと超音波で追撃しようとしていたカマソッソを狙う。
当たり前のように回避されたがそのエネルギー波はまるで生きているかのようにカマソッソを追尾して最終的に回避しきれずにカマソッソに直撃する。あの硬かったカマソッソの胴体を容易く貫いた。
それでもカマソッソが攻撃を止めない。超音波で俺に攻撃しようとするが……
──状況反転
いつの間にかカマソッソから発せられた超音波が俺から発せられていて攻撃した筈のカマソッソが攻撃を受ける事となった。その超音波で最後の力だったのだろう。カマソッソはその場にぶっ倒れた。
それでもまだ息のあるカマソッソに『会話者』が俺の身体を使って近づいて触れる。
──存在掌握&『吸収』
するとカマソッソから光が発せられてそれが俺の身体に流れ込み、そのままカマソッソは生き絶えた。
そしてそれを見届けた俺は強烈な脱力感と共に意識が遠のいていってそのまま意識を手放した。
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とある場所にて
「なんなんだ、あれは……あの力は……!」
彼は【転生したらスライムだった件】というライトノベル作品が存在する世界から転生してきた転生者である。
そんな彼は今、激しく混乱していた。
「今までのループではあんな力はなかった筈だ。今まではあの場所で始末出来ていた筈だ……!」
とある者が齎しているこのループ。彼はそれを最初から把握出来ていた。そして彼は原作を本来の世界線を知っているからこそ、原作には存在しないイレギュラーな存在がいるというのは彼にとってあまりに不都合で気に入らなかった。だから、いつ本編の世界線になっても良いようにイレギュラーは徹底的に排除してきた。
それなのにどんな世界線になっても必ず転生してくるイレギュラーがいた。そいつはあろう事か毎回のように主人公であるリムルと出会い、ヴァルドラから名をもらうのだ。
それでも毎回、強力な魔物を用意して奴は排除してきた。だが今回の様にそれを打倒する事は初めての出来事だった。
「ユニークスキル『勇者』……か。ふざけやがって……!」
明らかに今までの世界線とは違う。そう思わせる程の衝撃だった。もしかしたらこの世界線こそが……。彼が想定する限りで最悪の状況だ。奴は必ず殺す。それが例えリムル達が歩む道のりが険しくなろうとも。
「奴が生きるこの世界線を俺は絶対に認めない」
だが、彼はまだ知らない。この世界が彼のいう原作のようにリムル一人で乗り越えられる様に出来てはいない事を。既に原作からかけ離れていて、むしろレノがいないと原作のように成り立たないという事を彼はまだ知らなかったのだ。
ユニークスキル『勇者』について
このスキルはスキル所有者の勇気や誰かを守ろうとする正義感等に反応して力が解放され、その思いの強さに応じてスキル効果が強まる。その効果は二つのみ。
一つが 万能開花
身体能力やスキルなどあらゆるものの可能性を引き出す
もう一つが 運勢向上
常時、運が良くなる
※この能力は力が解放とか関係なく常に発動している。