戦国爆乳信長   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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転生特典……スパダリ

「ふう……何とか売り切った……」

 

 俺は堺の宿の中で、そう呟いた。

 

「池、まだ起きているか?」

 

 銭束の数を数えていた俺に、信長様が声をかけてきた。

 

「信長様いかがしましたか?」

 

「池、お主……余に何か隠してないか?」

 

「隠し事ですか? いえ、特には」

 

「いや、それなら産まれた時からずっと一緒に居たのに知るはずも無い知識を得ているのは何故だ? 明智の事など知る由もなかっただろう? それにこれほど商人のように銭を稼げる素振りを尾張にいた頃は見せなかったではないか」

 

「ああ、その点ですか……信長様気味悪がらないって約束してくれますか?」

 

「ん? 気味悪がるようなことなのか?」

 

「一応普通の人が聞いたら気狂い扱いされますし」

 

「ふむ、真面目に聞こうか」

 

「実は私……転生者なんですよ」

 

「転生? 仏教の輪廻転生のことか?」

 

「それに近いですね……」

 

「ふむ、詳しく聞く前に、聞き耳を立てておる、不届き者達入ってこい」

 

「だからバレてるって言ったじゃないですか!」

 

「美男美女が盛るかもしれないって思ったら覗きに行くのが野暮ってもんだろ」

 

「信長ちゃん、アタシは止めに入ったんだけどね!」

 

「うわ謙信ちゃん自分だけ罪軽くしようとしてるでござる!」

 

「良いから入ってこい」

 

「「「「「はい……」」」」」

 

 聞き耳を立てていたのは謙信ちゃん、森さん、千、タッキー、丹羽の5人であった。

 

 明智の2人と岩成さんは荷物運びの手伝いをさせられて、疲れて爆睡中らしい。

 

「で、池田が転生者であるって話までは聞いていたぜ。転生者って何だ?」

 

 森さんが気にせずに聞いてくる。

 

「前世の記憶があると言えばいいでしょうか……いや別の世界の記憶と言えばいいかな」

 

「んー、ああ、だから私と出会った時に洗濯板の普及させればという知識を披露したんですね」

 

「まぁそれもある。俺はこの世界については知らないけど、自分の居た世界でも織田信長や謙信は居たんだ……男だったけど」

 

「えー? そっちの謙信は男だったの? 面は良かった?」

 

「軍神って言われて皆から恐れられて、酒の飲み過ぎで便所で踏ん張ったら頭の血管が切れてそのまま亡くなるくらいには逸話が残りまくってたけど」

 

「ダッサ! そっちの世界の謙信ダサいよー!」

 

「いや、凄かったよ。戦に出れば殆ど勝ってたくらい強かったし……まぁこの世界だと長尾家を飛び出して信長様の配下になっている時点で歴史が変わりまくっているんだけど」

 

「歴史が色々そっちの世界と違うんだ……まぁ男女が違うって事はそうなのだろうが……」

 

「そもそもこっちの世界みたいに男女の比率が崩れず1対1に近かったからな」

 

「何その夢のような世界……こっちは男が少なくて苦労してるっすのに……」

 

「まぁその世界が歴史として語られるくらいはるか未来に俺は生きていたんだが……」

 

 皆静かに俺の話を聞くので、俺は未来で商人……サラリーマンをしていたこと、歴史が好きで戦国の世を色々調べていたこと、農業にも嗜み程度には知識があることを伝える。

 

「なるほどのぉ……前世の知識があったから歴戦の商人達とも交渉をやれたのであるな」

 

 信長様が納得したかの様に頷いていた。

 

「で、俺は死んだ際に神様に出会っているんだ」

 

「神……本当に居るのだな」

 

「毘沙門天? 毘沙門天!」

 

「いや、毘沙門天ほど高名な方ではなくて、下っ端もいいところの神様だったけど、その神様から能力を貰っていたりするんだ」

 

「なるほど……ということは神から権能をいただいたと……どんな権能なの?」

 

 謙信ちゃんが聞いてくる。

 

「俺が貰ったのはスパダリって言う能力だな」

 

「す、スパダリ? 異国語か?」

 

「良夫賢父って言葉があるだろ?」

 

 この世界における良妻賢母のことである。

 

 男女が逆になっているので、それぞれ男の意味に置き換わっている。

 

 ちなみにスパダリはスーパーダーリンの略で、ルックス、経済力、包容力、場合によっては子宝に恵まれやすかったり、家事力が高かったり……複合的な能力と言ってよい。

 

 それを俺はチートとして神様に与えられた。

 

「それってどんな効果があるっすか?」

 

 丹羽が質問してくる。

 

「俺もどこまで能力が発揮できるか分からないんだけど、運が良くなったり真偽の判定が今のところできたことかな」

 

「ああ、だから明智のイカサマを見抜けたっすね」

 

「いや、あれは賽の目の偏りが凄かったのと、床下から気配を感じたからで、能力は一切使ってないよ」

 

「あれ~」

 

「京で贋作をつかまされそうに成ったときか」

 

「謙信ちゃん正解」

 

 実際明日千宗易さんの知り合いの鑑定師の方に鑑定を依頼してあるので、それで贋作かどうかの判定をしてもらうが、半分が名物でも元が取れると思っている。

 

「ちょっと不気味に思いました?」

 

「いや、池は池なのであろう? それは池自身の能力だ。別にそれで嫌になったりはせんよ」

 

「信長様……」

 

「何だよ……そんなことで不安がっていたのかよ……俺はそんなことで気にしないぜ」

 

「僕もっす! その能力すごいじゃないっすか! 家内繁栄間違いなしって」

 

「んー! そうですよ! 私は秘密を共有できて、ますます好きになりましたよ」

 

「そうでござるよ! 池田殿は気にし過ぎでござる」

 

「森さん、丹羽、千、タッキー……」

 

「池君気にし過ぎ、ここにいる面子は信長様の家臣だけど、池君に苦手意識を持っている人は誰もいないんだから……それに異世界のアタシみたいに便所で死にたくないし、長生きしてみせるから!」

 

「謙信ちゃん……皆、ありがとうございます」

 

「異世界の信長も天下統一までいったの?」

 

「いえ、道半ばで倒れてます」

 

「ふーん、じゃぁ余はそれを超えねばならんな! 池、皆よ。余はこの国を変える。場合によっては幕府をも潰す。そして乱世を終わらせ太平の世を作るとしよう。協力してくれるか」

 

「「「「はは!」」」」

 

 俺は信長様の前で頭を下げる。

 

「うむ、となれば更に家臣を集めねばならぬな。池、山口の帰りは陸路で山陽を巡り、人材を集めるぞ! 良いな」

 

「は! 山口の町で陸路での長旅ができる準備を整えておきます」

 

「うむ! では明日に備えて眠ることにするぞ」

 

 その日、信長様は俺と一緒に眠りたいと言い、信長様と同じ寝床で眠るのだった。

 

「のお、池」

 

「はい、信長様」

 

「池は余の夫になるべきものだ……他の者に種を分けることがあっても、最後には余と一緒に居てくれるな?」

 

「もちろんです。私は信長様の事が大好きなので、最後の時までお供させてもらいます」

 

「うむ……それは異世界の信長を知ってか?」

 

「いえ、私が仕えているのはこの世界の織田信長……貴女様です。家臣ではなく夫婦と周りからも認められるくらい頑張りますよ」

 

「……それを聞けて安心した。ねぇ池……」

 

「はい、何でしょう」

 

 その瞬間信長様は俺の唇を奪った。

 

「ふふ、先に接吻だけな。これからよろしく頼むぞ」

 

 キスされて、俺はびっくりしていたが、信長様も顔を真っ赤にしてもう寝ると言い、反対を向いて眠ってしまった。

 

 俺も、

 

「おやすみなさい信長様」

 

 と言って眠るのであった。

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