「さてと、石けん作りの職人の伝手で、他の職人とも伝手が出来たし……やりますか! 内政チート!」
「ふーむ、チートという言葉は分からぬが、内政と付くからには何か凄いことをするのか?」
独り言で呟いたつもりだったのに、信長様に聞かれていた。
ちょっと恥ずかしい。
「まずは水車を作ろうかと」
「水車? それは普通に作られているではないか?」
「ええ、ただ現状の水車では効率が悪いのですよ」
この時代の水車の活用法は製粉にする際、脱穀する際、そして低い川から高い場所に水揚げをする灌漑設備としての用途であり、炉に風を送るために水車を利用する……みたいな動力としての用途には使われていなかった。
というのも、日本の水車はまだ発展途上で、水受けの形が悪かったりして、効率的に歯車を回転させる物ではなく、出力不足な点が見られた。
尾張は手頃な川も多くあるので、水車を活用できる土壌は十分にある。
そして、水車は水路を整備する必要があり、そこで活用されるのが……
「この人工石……コンクリートになります」
「人工石? 石を人の手で作った……ということか?」
「そうなります」
近江から美濃に行く際に、藤原岳と言う場所に立ち寄り、白い粉が産出されることが判明していた。
白い粉の正体は石灰石であり、これがコンクリートを作るのには重要になってくる。
「熱田商人達に頼んで、石灰石を運んでもらい、これを使ってコンクリートを作れば水路の補強になりますので、より水流の流れを強くしても溢れない水路にすることができます」
「ふむ、城壁にも使うことはできるのか?」
「勿論です。建造物にはどれでも使うことができますので、これも量産できる工房を作っていこうかと」
「うむ、それは良いな」
というわけで、水車を活用するための水路作りの一環としてのコンクリート作り。
後々色々活用できるので、早めに作ってしまおうと知識を引っ張り出して紙に記しておいた。
コンクリートを作るためには幾つか工程があり、石灰石をよく砕いた物を10とすると、粘土が2、そして鉄粉を1加えるとセメントという物質になる。
これに水を加えるとペースト状になり、ここに浜辺の砂を加えるとモルタル、更に砂利を加え、乾燥させることでコンクリートへと変わっていく。
モルタルは石同士の接着剤としても活用できる物質で、レンガを組み上げる時に職人がレンガの間に塗っている白い粘土みたいなのがモルタルである。
窯を組み立てるのが今まで以上に楽になること間違いなし。
ちなみに砂の代わりに火山灰を使うとローマコンクリートと呼ばれるローマ時代に使われていたコンクリートに近くなる。
まぁ実際の製法は失伝しているため、あくまで似たものしか作れないし、砂を使えるなら砂を使った方が材料費用は安くなる。
熱田商人に石灰石を大量に仕入れてもらい、信長様や商人、職人が見ている前で実際に作ってみる。
「これを型に入れて固めれば人工石の完成です」
「「「おお!」」」
職人、商人達は石灰石以外はどこでも手に入れられる素材で形をある程度自由に変更することができるコンクリートに興味津々。
「川辺に並べて堤防を作れば、洪水の対策にもなりますし、家の支柱を地面に埋めるだけでなく、コンクリートを流し込めば、支柱が倒れにくくなり、地震の対策にもなります。蔵や壁を作るときもコンクリートに竹の支柱を入れることでより強度が増し、火事にも強く、それでいて今までよりも楽に土蔵や石壁を作り出すことができます」
「「「おお……」」」
商人達はこのコンクリートをいかに商売に結びつけるか計算し、職人達……どちらかと言うと大工がこれを使えば家をより強固に作ることができると感心していた。
「商人の皆さんにはこの人工石を量産することで街道と水路を整備したいと思います。石畳で舗装され、土ぼこりが舞わない道の前で商売したいと思いませんか? 人の行き来も楽になりますよ」
「そいつは良いな! それだったら熱田衆も喜んで金を出すわ」
「ええ、ええ、それにこれは作るのに量がいりますので工房の設置と従業員の雇用を手伝ってもらえれば……」
「織田家が保証してくれるのであれば……」
商人達は信長様の方を見る。
「うむ、織田信長が保証する。母上にも城の壁などで使うように進言するゆえに、当面は織田家が買い取ることを保証するからじゃんじゃん作れ!」
「「「おお!」」」
信長様の一声で、大口契約が取れると知った商人達は我先にと投資を行い、信長様の母親である信秀様に事の顛末を伝えると、
「ハッハッハ! 信長は奇抜な事をするな! よいよい! 責任者には佐久間信盛を当てよう。あやつも若いながら見込みがあるからな。信盛を上手く使ってみせよ」
「は!」
というわけで佐久間信盛さん(巨乳)が信長様の元に派遣されることになり、コンクリート作りの責任者に抜擢される。
「職人に、この人工石の長方形の塊を沢山作らせれば良いんですよね? 信盛頑張っちゃいます!」
茶髪で元気そうな女性って印象。
史実の様に金や権力、土地にがめつい感じではなく、スポーツやってそうな高校生くらいの女性であった。
ちなみに乳は豊満である。
信長様の下に派遣されてからは、謙信ちゃんと気が合うらしく、2人でよく大食い勝負をしている姿が見られた。
そんな彼女は普通に優秀で、集めた人員と予算で短期間で大量のコンクリートを作り出し、俺が求める量の数倍を生み出すのであった。
「余ったコンクリートは街道整備に使いましょう。街道もこの様に作ると数百年維持できる代物になりますよ」
「池は本当に博識だな……」
「はい! でしたらその仕事は私明智光秀もやらせてはもらえませんでしょうか!」
「お! まな板やる気だな! よし、池、まな板にやり方を教えてやってくれ」
「は!」
「まな板にも予算を付けるから熱田や津島だけでなく那古野城下も整備してみよ。まな板の陣張りで城下に熱田に負けぬ町を作る気でいけ!」
「はい!」
仕事を割り振られた明智光秀さんは嬉しそうである。
「さて、では絵図にてやり方を説明しましょう」
「お願いします」
ローマ街道のパクリである。
柔らかい地面を掘って、硬い地面まで掘り、手の平大の石を入れ、その上に砂利を敷き詰め、最後にコンクリートブロックとセメントで道を固めていく。
排水がしやすいように若干中央が盛り上がるドーム上にしておくのがポイント。
幅は荷車が行き来できる様に現在の2車線並みの広さで、歩道はそこまで凝る必要は無いので、掘る深さを半減させて、砂利の上にコンクリートブロックを置いてセメントを流し込めば良い。
これで雨が降っても泥濘まない舗装路となる。
「なるほど……この様な方法が」
「天竺よりも西の異国ではこの方法で千年も道が残り続けていると聞きます」
「なんと! そしたらこの道を日ノ本で初めて作れば私ももしかしたら千年後もなまえが残るかも?」
「名前は残らなくても生きた証は道として残り続けるでしょうね」
まぁ明智光秀は史実では謀反人として歴史に名を刻んだ訳だが……。
「私のやった仕事が歴史に残る〜♪」
史実とは別の道取り辿ってるし、こんな愛嬌ある人が裏切るとは思わないんだよな。
ストレスケアちゃんとしておけば大丈夫だろう。
「そう言えば……池田さん仕事がちゃんと出来たら……ご褒美くれませんか!」
「ご、ご褒美とは?」
「私見ちゃったんです……信長様と池田さんが交わってるの……信長様にも許可をもらいますが、私も子宝が欲しいので、どうか……」
「うーん」
美人にそんな事言われるとなぁ……。
「信長様の許可が降りたらね」
「やった!」
俺がセックスすればやる気出るんだったらヤリ得かぁ?
信長様に怒られないと良いけど……。