俺の頭の中に敗北した暗黒の王が住み着いているが、俺はただギターを弾きたいだけだ 作:arctichare
第40章 進路希望調査表、そして私が書きたかった未来
天城グループが停止・再編成を余儀なくされた後、学校から一枚の進路希望調査表が配られた。
この出来事は本来、非常に普通のものだった。
普通すぎて、退魔界や天穹システム、百目影倉、黒弦、ソレンセンとは何の関係もないはずだった。
紙は白く、
上にはごく標準的な表が印刷されていた。
氏名。
クラス。
進学希望。
就職希望。
希望大学・学部。
興味のある職業分野。
保護者の意見。
担任面談記録。
私はその紙を、長い時間見つめていた。
天穹システムのインターフェース層を見るよりも、ずっと長く。
なぜなら、天穹システムの問題は明確だった。
それは越境していた。だから切断した。
青嵐会の問題も明確だった。
彼らは普通の人を賭けに使った。だから抑圧した。
無明講の問題はもっと明確だった。
彼らは私の錨を焼こうとした。だから止めなければならなかった。
しかしこの進路希望調査表は違った。
それは私を攻撃してこなかった。
私を記録しようともしなかった。
他人を汚染しようともしなかった。
私を道具として扱おうともしなかった。
ただ、非常に静かに尋ねてきた。
**あなたはこれから、何をしたいですか?**
私は答えられなかった。
担任が講壇に立って言った。
「これはあくまで第一次調査です。最終決定ではありません。今の気持ちで書いて構いません」
クラスメイトたちは順番に書き始めた。
誰かはすぐに大学の名前を書き、
誰かは隣の友達と小声で相談し、
誰かは「まだ考えていない」と言い、
誰かは「東京の大学に行きたい」と言い、
誰かは「デザインを学びたい」と言い、
誰かは「公務員を目指したい」と言い、
誰かは「音楽に関わる仕事がしたい」と言い始めた。
これらの声はとても普通だった。
普通すぎて、私は自分が別の世界に座っているように感じた。
私は表を見つめていた。
進学希望。
就職希望。
希望大学・学部。
興味のある職業分野。
私の頭に最初に浮かんだのは、大学ではなかった。
特調室だった。
東京特調室。
京都旧結界管理委員会。
天城グループ審査委員会。
玄海鎮守聯合。
四国地方退魔連合。
長野地方支部。
あの連中は、私が将来どこかの「異常災害協力体系」に入るべきだと思っているのだろうか?
大勢力は、これからも私に保護や資源や身分を用意しようとするのだろうか?
もし私が大学に進学したら、彼らは継承者たちを同じ大学に送り込んでくるのだろうか?
もし私が就職したら、会社や財団や研究機関を通じて、私に近づき続けようとするのだろうか?
もし私が音楽の道を選んだら、余響楽隊はますます暗面に狙われやすくなるのだろうか?
私は考えれば考えるほど、何も書けなくなった。
ソレンセンが意識の奥で口を開いた。
「退魔と書け」
私の指が一瞬、固まった。
「やめて」
「君はもうやっている」
「それは私の進路じゃない」
「事実は、君が認めなくても変わらない」
私は空白の表を見つめていた。
「私は自分の未来を、これで埋めたくない」
「では、何を書きたい?」
私は答えられなかった。
ソレンセンが低く笑った。
「見ろ」
「君は自分の未来すら、選ぶ勇気がない」
私は反論しなかった。
なぜなら、それが半分正しかったからだった。
私は全く未来を考えていないわけではなかった。
ただ、未来のことを考えるたびに、頭の中にあまりにも多くのものが浮かんでくるのだった。
もしソレンセンがずっと私の体の中にいるなら、私は本当に普通の学生のように大学に行けるのだろうか?
もし退魔界がずっと下北沢黒弦を必要とするなら、私は本当にただのギタリストでいられるのだろうか?
もし私が将来音楽を選ぶとしたら、それは本当に私が好きだからなのか、それともAfterToneという錨から離れるのが怖いからなのか?
もし私が普通の大学を選ぶとしたら、それは自分がすでに普通ではないという事実から逃げているだけではないのか?
これらの質問は多すぎた。
多すぎて、私はむしろ旧天文台と向き合う方がよかった。
少なくとも旧天文台には、ただ一本の誤った方向の線しかなかった。
私の未来は、絡み合った糸の塊のようだった。
どの糸を切れるのか、どの糸を切れないのか、わからなかった。
昼休み、森原葵が私の表がまだ空白であることに気づいた。
彼女は静かに聞いた。
「白川さん、まだ考えていないの?」
私は顔を伏せた。
「うん」
彼女が笑った。
「私も完全に決まっていないよ」
私は少し意外に思った。
「森原さんも?」
「うん。大体は進学したいと思ってるけど、学部はまだ迷ってる」
彼女は自分の表を少しだけ私に見せてくれた。
そこにはこう書かれていた。
進学希望:大学
希望学部:文学・心理学・社会学方面(未定)
興味のある職業:まだ検討中
「ほら、私もこんなに曖昧」
私は彼女の字を見た。
きれいで、自然で、退魔界の影が一切なかった。
彼女は言った。
「先生も、第一次調査は『未定』と書いてもいいって言ってたよ」
「未定?」
「うん」
森原さんは私を見た。
「すべてのことを、今決めなければならないわけじゃないから」
この言葉はとても軽かった。
しかし私にとっては、一本の縄のように感じられた。
束縛する縄ではなく、
水の中から私を引き上げてくれる縄のように。
すべてのことを、今決めなければならないわけではない。
私は表を見つめていた。
そうか、「未定」と書いてもいいのか。
普通の学生も、未来がわからないことがあるのか。
私だけではない。
ソレンセンが原因でも、退魔界が原因でも、私がダメだからでもない。
森原さんがさらに言った。
「ただ、白川さん、もし将来も音楽を続けたいと思ってるなら、それも全然アリだと思う」
私は体が固くなるのを感じた。
「私?」
「うん」
彼女は笑った。
「普段はすごく静かだけど、楽隊の話になると、少しだけ雰囲気が変わる気がする」
私はどう答えればいいかわからなかった。
「それに、白川さんはギター上手いんでしょ?」
「そ、そんな……」
「前回の音楽の授業で、先生も指導をお願いしようとしてたじゃない」
私は即座に、藤堂遥がいたあの日のことを思い出した。
音楽の先生が私に指導を頼もうとした。
私は拒否した。
あれは私が学校の中で初めて明確に「いいえ」と言った日だった。
森原さんはそれらの複雑なことは一切触れず、ただこう言っただけだった。
「もし一つのことに、緊張するけど手放したくないと思えるなら、それはきっと大事なことなんだと思う」
この言葉で、私は固まった。
緊張するけど手放したくない。
AfterToneはそうだった。
余響楽隊はそうだった。
舞台もそうだった。
「普通の生活」そのものさえ、そうだった。
私は人混みが怖い。
演出が怖い。
見られるのが怖い。
しかし誰かがそれを奪おうとしたら、私は黒弦でその手を切断する。
これは、私が本当にそれを大切にしているということではないのか?
ソレンセンが低く言った。
「錨だ」
私は否定しなかった。
「うん」
森原さんが机の上に一粒の飴を置いてくれた。
これはもう彼女の習慣になりつつあった。
「ゆっくり考えればいいよ」
私はその飴を受け取った。
「ありがとうございます」
午後、進路指導説明会があった。
校長も来ていた。
三浦校長が講壇に立ち、私たちに向かって言った。
「進路は、一回の選択で一生が決まるものではありません」
「むしろ、自分がどのように生きたいかを、繰り返し確認していく過程のようなものです」
私は「どのように生きたいか」という言葉を聞いた瞬間、顔を伏せた。
私はどのように生きたいのか?
以前の私は、おそらくこう答えていただろう。
できるだけ目立たないように。
できるだけ人に迷惑をかけないように。
できるだけ人混みから逃げるように。
AfterToneができてからは、こう思うようになった。
少なくとも、ギターを弾き続けたい。
少なくとも、日和、陽菜、澪と一緒に次の演出を終えたい。
その後、退魔界が少しずつ入ってくるようになった。
私はまたこう思うようになった。
少なくとも、彼女たちを守りたい。
少なくとも、普通の人が巻き込まれないようにしたい。
少なくとも、ソレンセンを脱困させないようにしたい。
しかしこれらはすべて「少なくとも」だった。
「したい」ではなかった。
私は本当は何をしたいのか?
校長は続けた。
「明確な目標を持っている人もいる。それは素晴らしいことだ」
「まだ持っていない人もいる。それも問題ない」
「大事なのは、他人の期待を自分の未来と勘違いしないことだ」
この言葉で、私は思わず顔を上げた。
他人の期待を自分の未来と勘違いしないこと。
退魔界は、私が最終的な保険になることを期待している。
天城グループは、私がシステムの境界の裁き手になることを望んでいた。
御影家や九条家は、私が継承者の学習対象になることを望んでいる。
地方勢力は、私を借りて自分を証明したいと思っている。
特調室は、私が交渉可能な協力者として安定し続けることを望んでいる。
これらはすべて、他人の期待だった。
中には善意のものもあった。
中には畏怖のものもあった。
中には利用のものもあった。
しかしそれらは、私の未来ではなかった。
少なくとも、全部が私の未来であってはならなかった。
三浦校長の視線が教室を sweeping した。
一瞬だけ、私の方を見た気がした。
特別な配慮ではなく、ただ短い視線。
まるでこう言っているかのようだった。
君も同じだ。
私は顔を伏せ、手をゆっくりと緩めた。
放課後、担任が私を進路面談に呼んだ。
私は職員室の隣の小さな面談室に座り、退魔災害と向き合う時よりも緊張していた。
担任は私の空白の表を見て、穏やかな口調で言った。
「白川さん、まだ考えがまとまっていないのか?」
私は頷いた。
「はい」
「なら、まずは『未定』と書いておいていいよ」
「本当にいいんですか?」
「もちろん」
彼女は笑った。
「多くの生徒が、第一次調査では未定と書くんだ」
私は小さく聞いた。
「先生は、そういうのは良くないと思わないんですか?」
「思わないよ」
彼女は表を私の方に向けた。
「進路調査は試験じゃない。正解を書かなければならないものじゃない」
正解がない。
この言葉は、あまりにも馴染みのないものだった。
私は最近出会うすべての問題が、即座に正しい判断を求められるものばかりだった。
どこを切断するのか。
どこを残すのか。
誰を救うのか。
誰を拒否するのか。
誰を信じるのか。
どれくらいの力を使うのか。
間違えれば、誰かが傷つく。
しかし進路表はそうではなかった。
それは「わからない」ことを許した。
修正することを許した。
ゆっくり考えることを許した。
担任が聞いた。
「白川さん、何か好きなことはある?」
私は顔を伏せた。
「音楽です」
「楽隊?」
「はい」
「なら、まずは音楽関連の方向と書いておけばいい」
「でも……私は、それが職業になるかどうかわからないんです」
「大丈夫だよ」
彼女は言った。
「興味のある方向を書くことは、すぐに職業音楽家にならなければならないということではないから」
私は少し考えてから聞いた。
「もし音楽と書いて、後で違う道に行ったら、変じゃないですか?」
担任が笑った。
「変じゃない。多くの人が変わるよ」
変わる。
そうか、変わってもいいのか。
私はさらに聞いた。
「もし他に、どうしてもやらなければならないことがあるとしたら?」
担任はすぐに「それは何?」とは聞かなかった。
これで私は少し安堵した。
彼女はただこう言っただけだった。
「なら、『やらなければならないこと』と『したいこと』を分けて考えてみたらどう?」
私は固まった。
「分ける?」
「うん」
「中には責任であることもある」
「中には願いであることもある」
「それらが重なることもあるし、重ならないこともある」
彼女は私を見た。
「もしずっと責任だけを見ていたら、人はとても疲れてしまう」
私は何も言えなかった。
責任。
願い。
私はずっとそれらを混ぜてしまっていた。
普通の人を守ることは、責任だった。
そして願いでもあった。
ソレンセンを脱困させないことは、責任だった。
そして恐怖でもあった。
ギターを弾き続けることは、願いだった。
しかしそれは徐々に、自分を維持するための責任にもなっていた。
これらのものが全部絡み合っていて、私は区別できなかった。
担任が私に一枚の草稿用紙を渡した。
「まずは正式な表に書かなくていい。草稿用紙に、適当にいくつかの言葉を書いてみて」
私はペンを取った。
指が少し震えていた。
何を書く?
私は長い間考えて、最初の一語を書いた。
音楽
二語目。
普通の生活
三語目、私はとても長い間迷った。
結局、私はこう書いた。
人を助けること
退魔ではない。
異常災害でもない。
黒弦でもない。
人を助けること。
この言葉はとても普通だった。
しかし少なくとも、それは「高危協力者」よりも、私の言葉に近かった。
担任はこれらの三つの言葉を見て、笑うでもなく、驚くでもなかった。
「いいね」
「いいんですか?」
「うん」
彼女は言った。
「これはすでに、とても大事な始まりだよ」
夜、私はAfterToneへ行った。
日和は新しい編曲を整理していた。
陽菜は演出のビデオを見ていた。
澪は飯を食べていた。
私は進路調査表を鞄に入れたまま、いつもの場所に座った。
陽菜が私を見て、すぐに聞いた。
「小音、今日なんかすごく真剣だね?」
私は顔を伏せた。
「学校で進路希望調査表が配られたんです」
日和が顔を上げた。
「もうそんな時期か」
澪が言った。
「進路は飯の方向?」
日和が呆れた。
「違う」
陽菜が近づいてきた。
「小音は何て書いたの?」
私は体が固くなるのを感じた。
以前の私は、「わからない」とだけ言って、逃げていただろう。
しかし今日は、少しだけ言ってみようと思った。
「私は……未定と書きました」
陽菜が瞬きをした。
「未定でもいいじゃん!」
日和が頷いた。
「第一次調査で、最初から固く決める必要はないよ」
澪が言った。
「未定ってことは、飯の選択肢がまだたくさんあるってことだね」
この言葉は、意外と少し道理があった。
私は低く笑った。
日和が聞いた。
「興味のある方向はある?」
私はギターバッグの肩紐を握りしめた。
「音楽です」
陽菜の目が輝いた。
「やっぱり!」
私は慌てて補足した。
「職業にしなければならない、ということではなくて、ただ興味がある、というだけです」
日和が笑った。
「それも全然いいよ」
彼女は「絶対にできる」とも、「一緒にデビューしよう」とも言わなかった。
私の興味を即座に目標に変えようともしなかった。
ただ「いいね」と言っただけだった。
これで私は安心した。
私はさらに小さく言った。
「それから……人を助けること、にも興味があります」
この言葉を言い終えた後、楽屋が一瞬、静かになった。
私はすぐに後悔した。
大きすぎる。
綺麗事みたい。
私らしくない。
しかし陽菜はとても真剣に言った。
「小音は、ずっと誰かを助けてるよ」
私は顔を上げた。
彼女は笑っていた。
「小音はいつも、自分は何もしてないって言うけど」
澪が頷いた。
「一音は、お菓子を分けてくれる」
これは助けることになるのか?
日和が私を見て、声がとても優しかった。
「人を助けることにも、いろいろな形があるよ」
「すべてが、自分を傷つけるような助け方である必要はない」
私は固まった。
この言葉は、私が今まで見ようとしなかった場所に触れたようだった。
私は顔を伏せた。
「はい」
ソレンセンが意識の奥で言った。
「彼女たちは、君が本当は何をしたのかを知らない」
「わかっている」
「それでも、彼女たちは君に教えている」
「うん」
「普通の進路指導の方が、スペニの残影より役に立つな」
この言葉はあまりにも変だった。
私は思わず笑いそうになった。
練習が始まる前に、私は普通のピックを取り出した。
それは少しずつ、手に馴染んできていた。
日和が拍子を取った。
陽菜が歌い始めた。
澪のベースが続いた。
私は顔を伏せて、演奏した。
今日の音はとても普通だった。
黒弦もなければ、切断もなければ、封印のルールもなかった。
ただ音楽だけだった。
しかし弾いている途中で、私は忽然と思った。
もしかすると進路とは、「私は何になるか」だけではないのかもしれない。
「私はどのように歩き続けたいか」でもあるのかもしれない。
私は今、退魔界から逃れられない。
ソレンセンからも逃れられない。
自分が完全に普通の女子高生であるかのように装うこともできない。
しかし私は決めることができる。
それらのものが、私に代わって表を埋めることを許さない、と。
私の未来は、ただこう書かれるべきではない。
下北沢黒弦
異常災害協力者
ソレンセン宿主
そこには、白川一音自身の文字も必要だ。
音楽
普通の生活
人を助けること
未定
これらの言葉はとても弱々しい。
とても曖昧で、
かっこよくもない。
しかしこれは、私が今、書ける未来だった。
家に帰った後、私は進路希望調査表を取り出した。
正式な表に、私はゆっくりと書いた。
進学希望:未定、進学を希望する方向
希望学部:音楽文化、心理学、社会学方面(検討中)
興味のある職業分野:音楽に関わる仕事、または人を助けることに関わる仕事
書き終えた後、私はその一行を、長い時間見つめていた。
人を助けることに関わる仕事
これはとても漠然としていた。
漠然としすぎて、先生は後で具体化するよう勧めるだろう。
しかし構わなかった。
第一次調査は、この程度でいい。
人生も、しばらくはこの程度でいいのかもしれない。
ソレンセンが口を開いた。
「退魔とは書かなかったな」
「書かなかった」
「逃げている?」
「違う」
「では何だ?」
私は表を見つめていた。
「それを、他人が代わりに決める答えにしたくないから」
ソレンセンが少しの間、沈黙した。
「君は遅かれ早かれ、また行くことになる」
「わかっている」
「また吾の力を使うことになる」
「わかっている」
「また多くの人に、下北沢黒弦と呼ばれることになる」
「わかっている」
「では、この紙に何の意味がある?」
私は顔を伏せ、表をゆっくりとフォルダーに入れた。
「これは、白川一音が書いたものだから」
黒海が静かになった。
長い沈黙の後、ソレンセンが低く笑った。
「良い」
「門番も、門の外に自分の名前を貼り始めたか」
私はそれが何を意味しているのか、よくわからなかった。
しかし今回は、怖くなかった。
私は電気を消す前に、再び携帯電話のメモを開いた。
あの数行の言葉の下に、新しい一行を追加した。
私の未来は、責任だけで埋められるべきではない。
書き終えた後、私はこの言葉もやはり少し中二だと思った。
しかし私は削除しなかった。
なぜなら、それが本当だったからだった。
少なくとも、今は本当だった。