俺の頭の中に敗北した暗黒の王が住み着いているが、俺はただギターを弾きたいだけだ 作:arctichare
第43章 大学入学共通テストの朝、そして私は何一つ切断しなかった
本当に大学入学共通テストに参加する当日、私はとても早く目を覚ました。
携帯電話のアラームが鳴る前だった。
窓の外はまだ深い青色。
部屋の中は冷たかった。
机の上には、受験票、学生証、鉛筆、消しゴム、手帳、ティッシュ、使い捨てカイロ、チョコレート、そして日和がくれた予備の自動鉛筆が並んでいた。
昨夜、三回確認した。
本当に三回だけ。
四回目は自分に禁止した。
担任が、確認を何度もするのは真剣さではなく、不安だと教えてくれたからだ。
しかし今、目を覚ましてから、私はまた確認したくなった。
私はベッドに座り、机を長い時間見つめていた。
結局、起き上がって、受験票を手に取り、もう一度だけ見た。
氏名。
試験会場。
受験番号。
間違いはない。
私は小さく息を吐いた。
そしてすぐに緊張が戻ってきた。
ソレンセンが意識の奥で口を開いた。
「見たんだな」
「うん」
「まだ見たい」
「うん」
「四回目だ」
「だめ」
「なぜだ?」
「四回目は不安だから」
ソレンセンが少しの間、沈黙した。
「人間は紙を見る回数まで制限するのか」
「自己管理だ」
「弱い者の封印のように聞こえる」
私は顔を伏せ、受験票を透明フォルダーに戻した。
「そう捉えてもいい」
ソレンセンはこの答えに、少し満足したようだった。
黒海の中で、とても軽い笑い声がした。
今日は私は普通の受験生のように試験を受けなければならない。
遅刻してはいけない。
忘れ物をしてはいけない。
試験会場で慌てて鉛筆を間違えてはいけない。
ソレンセンに問題を干渉させてはいけない。
黒弦を使ってはいけない。
これは昨夜、すでに心の中でルールを決めておいた。
問題用紙に干渉しない。
監視員に影響を与えない。
他人の解答を覗かない。
試験の不安を切断しない。
英語の長文を異常汚染として処理しない。
最後のルールに、ソレンセンが強く不満を抱いた。
それは言った。
「あの英語の長文は確かに汚染のようだ」
私は否定しなかった。
しかし切断は禁止した。
朝食は母が用意してくれた温かい汁物とご飯だった。
母は「試験当日は消化の良いものを食べなさい」と言った。
私は頷いた。
実は緊張であまり胃が受け付けなかった。
それでも私は真剣に食べた。
食べなければ、試験中に腹が鳴るのがとても怖かったからだ。
低級霊体より怖い。
出かける前に、母がマフラーを渡してくれた。
「あまり緊張するなよ」
私は頷いた。
「うん」
この言葉は一日の中で何度も聞くことになるだろう。
しかし誰が言うかで、少しずつ意味が違った。
母が言うときは、私が無事に外に出られることを願っている。
日和が言うときは、私が自分を追い込みすぎないでほしいと思っている。
担任が言うときは、試験は人生の終わりではないと教えてくれている。
ソレンセンが言うときは、おそらく私の緊張が観賞価値があると思っている。
携帯電話が震えた。
余響楽隊のグループだった。
陽菜が一番最初に送ってきた。
小音! 試験がんばって!
その後に燃える絵文字が三つ。
澪が送ってきた。
終わったら飯。
日和が少し遅れて送ってきた。
普通に実力を出せばいい。受験票を忘れずに。道中気をつけて。
私は「受験票を忘れずに」という四文字を見て、また無意識に鞄に触れた。
受験票は入っている。
よかった。
森原さんからもメッセージが来ていた。
私も出た。試験会場で。
私は返信した。
私も出た。
送り終えてから、私は忽然と現実味を感じた。
今日は退魔ではない。
会談ではない。
外地協力でもない。
試験だ。
多くの普通の高校生が経験する試験。
そして私も、その人混みの中に入っていく。
試験会場は一つの大学だった。
冬の朝の空気は冷たく、校門にはたくさんの受験生がいた。
誰かは単語を暗記している。
誰かは友達と話している。
誰かは親に送られてきている。
誰かは路端で温かい飲み物を飲んでいる。
私は人波に沿って中に入っていき、手に透明フォルダーを強く握っていた。
ここには結界がない。
符紙もない。
特調室の車もない。
少なくとも表面上は。
しかし私は知っていた。
近くには最低限の保護が必ずあることを。
私の身分が完全に空になることはあり得ないからだ。
だが彼らは私の前に姿を現さなかった。
これは良かった。
今日は私は、退魔界に関わる人物を一人も見たくなかった。
試験会場の入り口で、監視員が受験票を確認した。
私の番になると、私はほとんどフォルダーを落としそうになった。
「受験票と学生証をお願いします」
「は、はい……」
私は書類を差し出した。
監視員が一目見た。
「はい。どうぞお入りください」
これだけだった。
異常もなければ、問題もなかった。
私は校舎の中に入ったとき、非常に普通だがとても重要な門をくぐったような感覚を覚えた。
ソレンセンが言った。
「第一関門だ」
「試験を地下ダンジョンのように言わないで」
「しかし確かに門があり、監視者がいて、番号付きの部屋がある」
「黙って」
私は自分の教室を見つけた。
席は真ん中寄りの位置だった。
窓際でもなく、
入り口でもなく、
最後列でもなかった。
これは私にとって非常に不安な位置だった。
なぜなら四方八方に人がいるからだ。
しかし座席表は私の社交不安に合わせてはくれない。
私は座り、鉛筆、消しゴム、手帳を並べた。
深呼吸。
他人を見ない。
他人が自分よりできるかどうか考えない。
もし失敗したらどうなるか考えない。
まず座る。
そして試験を受ける。
森原さんは同じ教室ではなかった。
これは少し残念だった。
しかしもしかすると良かったのかもしれない。
少なくとも私は、自分の緊張した顔を友達に見られる心配をしなくて済んだ。
第一科目が始まる前に、監視員の先生が注意事項を説明した。
試験開始前に問題用紙を開いてはいけない。
携帯電話を使ってはいけない。
カンニングをしてはいけない。
受験票は机の上に置く。
解答用紙の記入は正確に。
私はとても真剣に聞いた。
特に解答用紙について。
名前と受験番号を書き間違えるのは、英語の長文が読めないことよりずっと恐ろしい事故だからだ。
問題用紙が配られた。
私は顔を伏せて表紙を見つめた。
指が冷たかった。
ソレンセンが忽然と言った。
「吾に心拍を抑えさせようか?」
私は一瞬、固まった。
「いらない」
「君は弱小哺乳類のように震えている」
「私は普通の高校生だ」
「君は普通ではない」
「今日は普通だ」
私は鉛筆を握りしめた。
「今日は普通でなければならない」
ソレンセンはそれ以上何も言わなかった。
試験開始のベルが鳴った。
第一科目が始まった。
国語は思っていたより難しかった。
評論文の第一段落を二回読んでも、作者が山道を回っているように感じた。
小説文は読めた。
ただ、一問で人物の心情変化を聞かれ、二つの選択肢の間で長い時間迷った。
Aも正しそう。
Cも正しそう。
Bは絶対に違う。
Dは一見魅力的だが、たいていこの手の選択肢は罠だ。
私は選択肢を見つめ、頭の中で自動的に分析し始めた。
人物はこの文で直接怒りを表現していない。
しかし前文に抑圧があり、
後文に転換がある。
だから単なる悲しみではなく、自責と安堵が混じっているはずだ。
これはまるで私が普段、異常の接続を分析しているようだった。
ただ対象が汚染線ではなく、人物の心理になっただけだ。
私はCを選んだ。
正しいかどうかわからない。
しかし少なくとも自分で選んだ。
試験の途中、私は何度か前の解答を確認したくなった。
しかし時間が足りなかった。
結局、計画通りに先に進むしかなかった。
解答用紙を回収するベルが鳴ったとき、私の手のひらは汗でびしょ濡れだった。
問題用紙が回収された。
私は席に座ったまま、まるで黒弦のない戦いから出てきたかのように感じた。
ソレンセンが評価した。
「君は死ななかった」
「うん」
「泣きもしなかった」
「もう少しで」
「予想よりよかった」
私はそれが激励かどうかわからなかった。
しかし受け取った。
休憩時間、私は水筒を開けて一口飲んだ。
隣の受験生たちが先ほどの問題について話し合っていた。
私はすぐに耳を塞いだ。
聞いてはいけない。
聞くと動揺する。
誰かが答えはAだと言えば、私はCを選んだことを疑い始める。
誰かがあの評論文は簡単だったと言えば、私は自分が終わったと思う。
だから聞かない。
これが今日の私の生存ルールの一つだった。
英語が一番怖い科目だった。
私は問題用紙を受け取った瞬間、長文の量を見て心臓が一瞬、空になった。
多すぎた。
本当に多すぎた。
それらの英文の段落が並んでいると、まるで密林のように見えた。
以前の私なら、このような状況で慌てていただろう。
そして第一篇から一語一語死ぬほど読み、
後半で時間が足りなくなり、完全に崩壊していただろう。
しかしこの数ヶ月、森原さんが教えてくれた。
まず問題を見る。
キーワードを探す。
タイトルと図表に注意する。
転換語に注目する。
わからない単語と心中しない。
私は深呼吸をした。
まず問題を見る。
第一篇はメールと通知。
読めた。
第二篇に図表があった。
なんとか。
第三篇から長くなった。
私は鉛筆でhowever、therefore、in contrastなどの言葉を丸で囲んだ。
まるで暗闇の中で道標を探すように。
中盤まで来たとき、私はとても長い文に出会った。
主語はどこだ?
述語はどこだ?
修飾はどこで終わる?
私はそれをじっと見つめ、まるで死結びになった術式の線のように感じた。
ソレンセンが意識の中で言った。
「切れ」
「切断禁止」
「なら自分で解け」
「解いている」
私は文をいくつかに分けた。
まず主幹を探す。
次に従属節を見る。
それから指示語を見る。
ゆっくりと、意味が少しずつ浮かび上がってきた。
とても明確ではない。
しかし問題に答えるには十分だった。
私は一つの答えを選んだ。
先に進んだ。
最後の十分で、私はまだ一篇を完全に終えていなかった。
心拍が速くなり始めた。
どうしよう?
全部読むのは間に合わない。
なら問題と段落の最初と最後を見る。
確実に答えられるものからやる。
確信できないものは消去法。
最後の問題で、私は二つの選択肢の間で選んだ。
完全に確信はできなかった。
しかし空欄にするわけにはいかない。
ベルが鳴る一分前、私は最後の解答を塗りつぶした。
解答用紙を回収されるとき、私はほとんど席にへたり込みそうだった。
英語の長文は私を殺さなかった。
私はそれを切断しなかった。
これで十分、勝利の一つだった。
昼休み、私はキャンパスの隅の長椅子を探した。
弁当を開けた。
今日はおにぎりと温かいお茶を持ってきた。
澪が朝に「試験の昼はちゃんと食べろ」とメッセージをくれていた。
私はその通りにした。
おにぎりは少し冷たかった。
しかし食べた後、胃がようやく少し緩んだ。
携帯電話は試験中は使えないが、昼休みなら少しだけ見られる。
グループにメッセージが来ていた。
陽菜が:
小音、今は昼休みのはずだよね! ご飯食べて!
澪が:
食え。
日和が:
午前中お疲れ。午後も落ち着いて。答え合わせはするな。
日和は本当にわかっている。
答え合わせはするな。
この言葉は人生のルールに書き加えなければならない。
森原さんもメッセージをくれていた。
午前中終了。英語難しかった。午後もがんばれ。
彼女も「英語が難しかった」と言ってくれているのを見て、私は少し安心した。
私だけが難しいと思っていたわけではない。
これはとても重要だった。
私は返信した。
午後もがんばって。
送信後、私は携帯電話を片付けた。
顔を上げてキャンパスの木を見た。
今日の大学キャンパスは、オープンキャンパスの日とは違っていた。
学生ボランティアはいない。
学科説明会もない。
食堂体験もない。
ただ試験だけだった。
しかし私はここで弁当を食べながら、忽然と思った。
もし来年、または再来年、本当にどこかの大学に入ったら、
こんな長椅子で昼ごはんを食べることになるのだろうか?
教科書を持って教室に入ることになるのだろうか?
サークルに入ることになるのだろうか?
いつか「観摩」や「協力」という名目ではなく、普通の学生として大学に来ることになるのだろうか?
この想像はまだ遠かった。
しかし以前より、少しだけはっきりしていた。
ソレンセンが口を開いた。
「また普通の未来を空想している」
「うん」
「試験はまだ終わっていない」
「わかっている」
「まず午後を生き延びろ」
「その通りだ」
珍しく、私とソレンセンは意見が一致した。
午後は数学と他の科目だった。
数学の前半はまだ順調だった。
少なくとも模試で初めて問題を見たときよりはよかった。
私は日和に教わった方法で、まず条件を整理し、それから代入した。
わからない問題はマークして、先に進んだ。
これは私にとってとても難しかった。
なぜなら私は一つの問題に簡単に囚われてしまうからだ。
まるで汚染線に絡みつかれたように、解けないと先に進めない。
しかし試験はそれを許さない。
わからない問題は、時には一度手放さなければならない。
これは生活にも少し似ている。
今解けない問題もある。
先に進む。
この言葉はまるで担任が言いそうなことだった。
また、私が最近やっと少しだけ学んだことでもあった。
社会科目は思っていたより細かかった。
いくつか全く自信のない問題があった。
復習時の印象で選ぶしかなかった。
書き終えてから、私は二つの概念を逆に覚えていたのではないかと疑い始めた。
しかし疑っている時間はなかった。
先に進む。
最後の科目が終わったとき、空はもう少し暗くなっていた。
監視員の先生が解答用紙を回収した。
みんなが順番に立ち上がった。
誰かはため息をついた。
誰かはすぐに友達と問題について話し始めた。
誰かは「ようやく終わった」と言った。
私は席に座ったまま、数秒間動かなかった。
終わった。
私は本当に大学入学共通テストを終えた。
遅刻もせず、
受験票を忘れず、
カンニングもせず、
ソレンセンも使わず、
黒弦も使わず、
英語の長文の前で完全に崩壊することもなく。
私は文房具を鞄に片付けた。
指はまだ少し震えていた。
しかし完全に怖さだけではなかった。
とても小さく、とても小さな達成感もあった。
ソレンセンが口を開いた。
「終わったな」
「うん」
「死ななかった」
「うん」
「紙も切断しなかった」
「うん」
「結果は未知」
「うん」
「どうだった?」
私は少し考えてから答えた。
「とても疲れた」
「君はいつもそう言う」
「でも今回は違う」
私は校舎の外に出た。
廊下には受験生が溢れていた。
みんなが階段を下りて外に向かっていた。
私は人混みに紛れていた。
今回は、誰も私が下北沢黒弦であることを知らなかった。
誰も百目影倉のせいで私を見ることはなかった。
誰も天城グループのせいで私を避けることはなかった。
みんなただの受験生だった。
私もそうだった。
「今回は普通の疲れだ」
私は心の中で言った。
ソレンセンが少しの間、沈黙した。
それから低く笑った。
「普通でも、君をこんなに疲れさせられるのか」
「うん」
「本当に弱いな」
「うん」
私は反論しなかった。
なぜなら、普通の高校生が試験を受けた後に疲れるのは、許されていることだからだった。
校門の外で、森原さんが私を待っていた。
彼女はマフラーを巻き、鼻の頭が少し赤くなっていた。
「白川さん」
私は近づいた。
「ご苦労様でした」
彼女は笑った。
「あなたも」
私たちは答え合わせをしなかった。
これは事前に約束していた。
天気のこと、昼ごはんのこと、試験会場の椅子が少し硬かったこと、英語が難しかったことだけを話した。
これらの話題はとても安全だった。
駅の前まで来たとき、彼女が聞いた。
「終わった後、AfterToneに行くの?」
私は頷いた。
「うん。みんなでご飯を食べると言ってた」
森原さんが微笑んだ。
「それはいいね。今日はしっかり休んで」
私は言った。
「森原さんもお疲れ様でした」
彼女は頷いた。
「うん。帰ったら寝る」
私たちは駅で別れた。
私は下北沢行きの電車に乗り込んだ。
車窓に私の顔が映った。
とても疲れているように見えた。
しかし敗北者には見えなかった。
少なくとも、そうは見えなかった。
私は携帯電話を取り出した。
グループにはもうメッセージが殺到していた。
陽菜が:
試験終わった!? ご飯食べた!?
澪が:
飯。
日和が:
終わったら直接AfterToneに来てもいいし、来なくてもいい。無理はしないで。
私はこれらのメッセージを見て、鼻の奥が少し熱くなった。
私は返信した。
終わった。AfterToneに行く。
陽菜が即座に返信してきた。
おかえり! おかえり!
私は「おかえり」という四文字を見つめていて、忽然と胸の奥が柔らかくなった。
今日は戦場から帰ってきたわけではない。
外地から帰ってきたわけでもない。
ただ試験会場から帰ってきただけだ。
それでも彼女たちは「おかえり」と言ってくれた。
これはとても良かった。
AfterToneの明かりがついていた。
私はドアを押したとき、陽菜が最初に飛び出してきた。
「小音! 試験お疲れ!」
私はほとんど後ずさりしそうになった。
「た、ありがとう……」
日和が楽屋から出てきて、手に温かいお茶を持っていた。
「まず座って」
澪はすでに食べ物をテーブルに並べていた。
「試験後飯」
テーブルにはおにぎり、唐揚げ、サラダ、デザート、そして誰が買ったのかわからないケーキまで置いてあった。
私は座った瞬間、忽然と体が完全に緩むのを感じた。
私は本当にずっと緊張していたのだとわかった。
陽菜が聞いた。
「どうだったどうだった?」
日和がすぐに言った。
「点数は聞かない。答え合わせもしない」
陽菜が慌てて口を覆った。
「そうだ! 聞かない!」
澪が唐揚げを一つ私の方に押し出した。
「食え」
私は手に取り、一口かじった。
熱かった。
美味しかった。
試験会場の昼休みのおにぎりよりずっと美味しかった。
二口目を食べたとき、私はほとんど泣きそうになった。
唐揚げのせいではない。
(唐揚げにも貢献はあるが)
今日が終わったからだった。
私は本当に一日をやり遂げた。
日和が隣に座り、静かに聞いた。
「今日はとても疲れたでしょう?」
私は頷いた。
「うん」
「でもやり遂げた」
私はまた頷いた。
「うん」
陽菜が笑いながら言った。
「小音、超すごい!」
私はすぐに首を振った。
「ただの試験なのに……」
日和が私を見て言った。
「ただの試験でも、すごいよ」
この言葉で、私は動けなくなった。
ただの試験。
それでもすごい。
私は顔を伏せた。
「ありがとう」
澪が言った。
「食い終わったらもっとすごい」
この言葉は変だったが、私は頷いた。
「うん」
その日は練習をしなかった。
ただ食事をし、関係のない話をした。
陽菜が最近見た変な広告の話をした。
澪が真剣にケーキの甘さを評価した。
日和が次回の練習は新曲の二番から始めようと言った。
私は彼女たちの話を聞きながら、ゆっくりと自分が試験の状態からここに戻ってきたことを感じた。
AfterToneに戻ってきた。
音と食べ物と笑声の中に戻ってきた。
ソレンセンが意識の奥で口を開いた。
「今日は吾の力を使わなかったな」
「うん」
「黒弦も使わなかった」
「うん」
「それでも一つのことを成し遂げた」
私は一瞬、固まった。
これは普段のソレンセンが言いそうな言葉ではなかった。
「褒めているの?」
「違う」
それは即座に否定した。
「吾はただ事実を述べているだけだ」
「そう」
事実でもいい。
私は事実を受け取った。
今日は私はソレンセンの力を借りなかった。
黒弦を使って問題を解決しなかった。
私はただ一人の日本の高校生として、大学入学共通テストを受けた。
朝から夜まで。
一科目ずつ。
一問ずつ。
わからない問題は飛ばし、
わかる問題はできるだけ解き、
最後に提出した。
この出来事はとても普通だった。
しかし私にとっては、非常に重要だった。
なぜならこれは、私が自分で選んだ未来の一部だったからだ。
誰かに与えられた任務ではない。
退魔界が私を必要としたからでもない。
財団が私に何かを証明させようとしたからでもない。
私は大学に行くために試験を受けた。
これは天穹システムを切断することと同じくらい重要だろうか?
全日本の退魔界にとっては、もちろん違う。
しかし私にとっては、もしかすると同じくらい重要だった。
あるいはもっと重要だった。
家に帰った後、私は受験票を鞄から出した。
少し折れていた。
私はそれをフォルダーの中にしまった。
隣にはオープンキャンパスの資料、模試の成績表、志望校リスト、学習計画があった。
私はこれらの紙を見つめていて、忽然と、それらがとても普通だがとても丈夫な一本の線のように感じた。
黒弦ではない。
封印の鎖でもない。
私が自分で少しずつ引き出した線だった。
「未定」から「大学を見てみたい」へ。
オープンキャンパスから模試へ。
模試から共通テストへ。
次のステップはもしかすると出願かもしれない。
もしかすると個別試験かもしれない。
もしかすると面接かもしれない。
もしかすると落ちるかもしれない。
もしかすると受かるかもしれない。
私はまだ知らない。
しかし少なくとも今日、私はここまで来た。
私は携帯電話のメモを開き、大学準備計画の下に書いた。
共通テストを受けた。
黒弦は使わなかった。
逃げなかった。
とても疲れた。
しかしやり遂げた。
書き終えた後、私は長い時間それを見つめていた。
ソレンセンが低く言った。
「君はいつも小さなことを勝利宣言のように書く」
私は携帯電話を閉じた。
「私にとっては勝利だから」
黒海が静かになった。
それから、ソレンセンが笑った。
「いいだろう」
「今日の勝利者、早く寝ろ」
この言葉をソレンセンの口から聞くのはとても奇妙だった。
私は一瞬、怖がるべきかどうかわからなくなった。
結局、私は普通のおやすみなさいとして受け取ることにした。
「うん」
私は電気を消した。
部屋が暗くなった。
窓の外は東京の夜。
潮鏡もなく、
天穹システムの警報もなく、
ただ試験後の疲労と、
とても静かな安心だけがあった。
明日もまたトラブルがあるかもしれない。
退魔界は永遠に静かではない。
ソレンセンもまだ封印を研究している。
しかし今日は、私はただ試験を終えた高校生だった。
これで十分だった。