俺の頭の中に敗北した暗黒の王が住み着いているが、俺はただギターを弾きたいだけだ   作:arctichare

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第43章 大学入学共通テストの朝、そして私は何一つ切断しなかった

第43章 大学入学共通テストの朝、そして私は何一つ切断しなかった

 

本当に大学入学共通テストに参加する当日、私はとても早く目を覚ました。

 

携帯電話のアラームが鳴る前だった。

 

窓の外はまだ深い青色。

 

部屋の中は冷たかった。

 

机の上には、受験票、学生証、鉛筆、消しゴム、手帳、ティッシュ、使い捨てカイロ、チョコレート、そして日和がくれた予備の自動鉛筆が並んでいた。

 

昨夜、三回確認した。

 

本当に三回だけ。

 

四回目は自分に禁止した。

 

担任が、確認を何度もするのは真剣さではなく、不安だと教えてくれたからだ。

 

しかし今、目を覚ましてから、私はまた確認したくなった。

 

私はベッドに座り、机を長い時間見つめていた。

 

結局、起き上がって、受験票を手に取り、もう一度だけ見た。

 

氏名。

 

試験会場。

 

受験番号。

 

間違いはない。

 

私は小さく息を吐いた。

 

そしてすぐに緊張が戻ってきた。

 

ソレンセンが意識の奥で口を開いた。

 

「見たんだな」

 

「うん」

 

「まだ見たい」

 

「うん」

 

「四回目だ」

 

「だめ」

 

「なぜだ?」

 

「四回目は不安だから」

 

ソレンセンが少しの間、沈黙した。

 

「人間は紙を見る回数まで制限するのか」

 

「自己管理だ」

 

「弱い者の封印のように聞こえる」

 

私は顔を伏せ、受験票を透明フォルダーに戻した。

 

「そう捉えてもいい」

 

ソレンセンはこの答えに、少し満足したようだった。

 

黒海の中で、とても軽い笑い声がした。

 

今日は私は普通の受験生のように試験を受けなければならない。

 

遅刻してはいけない。

 

忘れ物をしてはいけない。

 

試験会場で慌てて鉛筆を間違えてはいけない。

 

ソレンセンに問題を干渉させてはいけない。

 

黒弦を使ってはいけない。

 

これは昨夜、すでに心の中でルールを決めておいた。

 

問題用紙に干渉しない。

 

監視員に影響を与えない。

 

他人の解答を覗かない。

 

試験の不安を切断しない。

 

英語の長文を異常汚染として処理しない。

 

最後のルールに、ソレンセンが強く不満を抱いた。

 

それは言った。

 

「あの英語の長文は確かに汚染のようだ」

 

私は否定しなかった。

 

しかし切断は禁止した。

 

朝食は母が用意してくれた温かい汁物とご飯だった。

 

母は「試験当日は消化の良いものを食べなさい」と言った。

 

私は頷いた。

 

実は緊張であまり胃が受け付けなかった。

 

それでも私は真剣に食べた。

 

食べなければ、試験中に腹が鳴るのがとても怖かったからだ。

 

低級霊体より怖い。

 

出かける前に、母がマフラーを渡してくれた。

 

「あまり緊張するなよ」

 

私は頷いた。

 

「うん」

 

この言葉は一日の中で何度も聞くことになるだろう。

 

しかし誰が言うかで、少しずつ意味が違った。

 

母が言うときは、私が無事に外に出られることを願っている。

 

日和が言うときは、私が自分を追い込みすぎないでほしいと思っている。

 

担任が言うときは、試験は人生の終わりではないと教えてくれている。

 

ソレンセンが言うときは、おそらく私の緊張が観賞価値があると思っている。

 

携帯電話が震えた。

 

余響楽隊のグループだった。

 

陽菜が一番最初に送ってきた。

 

小音! 試験がんばって!

 

その後に燃える絵文字が三つ。

 

澪が送ってきた。

 

終わったら飯。

 

日和が少し遅れて送ってきた。

 

普通に実力を出せばいい。受験票を忘れずに。道中気をつけて。

 

私は「受験票を忘れずに」という四文字を見て、また無意識に鞄に触れた。

 

受験票は入っている。

 

よかった。

 

森原さんからもメッセージが来ていた。

 

私も出た。試験会場で。

 

私は返信した。

 

私も出た。

 

送り終えてから、私は忽然と現実味を感じた。

 

今日は退魔ではない。

 

会談ではない。

 

外地協力でもない。

 

試験だ。

 

多くの普通の高校生が経験する試験。

 

そして私も、その人混みの中に入っていく。

 

試験会場は一つの大学だった。

 

冬の朝の空気は冷たく、校門にはたくさんの受験生がいた。

 

誰かは単語を暗記している。

 

誰かは友達と話している。

 

誰かは親に送られてきている。

 

誰かは路端で温かい飲み物を飲んでいる。

 

私は人波に沿って中に入っていき、手に透明フォルダーを強く握っていた。

 

ここには結界がない。

 

符紙もない。

 

特調室の車もない。

 

少なくとも表面上は。

 

しかし私は知っていた。

 

近くには最低限の保護が必ずあることを。

 

私の身分が完全に空になることはあり得ないからだ。

 

だが彼らは私の前に姿を現さなかった。

 

これは良かった。

 

今日は私は、退魔界に関わる人物を一人も見たくなかった。

 

試験会場の入り口で、監視員が受験票を確認した。

 

私の番になると、私はほとんどフォルダーを落としそうになった。

 

「受験票と学生証をお願いします」

 

「は、はい……」

 

私は書類を差し出した。

 

監視員が一目見た。

 

「はい。どうぞお入りください」

 

これだけだった。

 

異常もなければ、問題もなかった。

 

私は校舎の中に入ったとき、非常に普通だがとても重要な門をくぐったような感覚を覚えた。

 

ソレンセンが言った。

 

「第一関門だ」

 

「試験を地下ダンジョンのように言わないで」

 

「しかし確かに門があり、監視者がいて、番号付きの部屋がある」

 

「黙って」

 

私は自分の教室を見つけた。

 

席は真ん中寄りの位置だった。

 

窓際でもなく、

 

入り口でもなく、

 

最後列でもなかった。

 

これは私にとって非常に不安な位置だった。

 

なぜなら四方八方に人がいるからだ。

 

しかし座席表は私の社交不安に合わせてはくれない。

 

私は座り、鉛筆、消しゴム、手帳を並べた。

 

深呼吸。

 

他人を見ない。

 

他人が自分よりできるかどうか考えない。

 

もし失敗したらどうなるか考えない。

 

まず座る。

 

そして試験を受ける。

 

森原さんは同じ教室ではなかった。

 

これは少し残念だった。

 

しかしもしかすると良かったのかもしれない。

 

少なくとも私は、自分の緊張した顔を友達に見られる心配をしなくて済んだ。

 

第一科目が始まる前に、監視員の先生が注意事項を説明した。

 

試験開始前に問題用紙を開いてはいけない。

 

携帯電話を使ってはいけない。

 

カンニングをしてはいけない。

 

受験票は机の上に置く。

 

解答用紙の記入は正確に。

 

私はとても真剣に聞いた。

 

特に解答用紙について。

 

名前と受験番号を書き間違えるのは、英語の長文が読めないことよりずっと恐ろしい事故だからだ。

 

問題用紙が配られた。

 

私は顔を伏せて表紙を見つめた。

 

指が冷たかった。

 

ソレンセンが忽然と言った。

 

「吾に心拍を抑えさせようか?」

 

私は一瞬、固まった。

 

「いらない」

 

「君は弱小哺乳類のように震えている」

 

「私は普通の高校生だ」

 

「君は普通ではない」

 

「今日は普通だ」

 

私は鉛筆を握りしめた。

 

「今日は普通でなければならない」

 

ソレンセンはそれ以上何も言わなかった。

 

試験開始のベルが鳴った。

 

第一科目が始まった。

 

国語は思っていたより難しかった。

 

評論文の第一段落を二回読んでも、作者が山道を回っているように感じた。

 

小説文は読めた。

 

ただ、一問で人物の心情変化を聞かれ、二つの選択肢の間で長い時間迷った。

 

Aも正しそう。

 

Cも正しそう。

 

Bは絶対に違う。

 

Dは一見魅力的だが、たいていこの手の選択肢は罠だ。

 

私は選択肢を見つめ、頭の中で自動的に分析し始めた。

 

人物はこの文で直接怒りを表現していない。

 

しかし前文に抑圧があり、

 

後文に転換がある。

 

だから単なる悲しみではなく、自責と安堵が混じっているはずだ。

 

これはまるで私が普段、異常の接続を分析しているようだった。

 

ただ対象が汚染線ではなく、人物の心理になっただけだ。

 

私はCを選んだ。

 

正しいかどうかわからない。

 

しかし少なくとも自分で選んだ。

 

試験の途中、私は何度か前の解答を確認したくなった。

 

しかし時間が足りなかった。

 

結局、計画通りに先に進むしかなかった。

 

解答用紙を回収するベルが鳴ったとき、私の手のひらは汗でびしょ濡れだった。

 

問題用紙が回収された。

 

私は席に座ったまま、まるで黒弦のない戦いから出てきたかのように感じた。

 

ソレンセンが評価した。

 

「君は死ななかった」

 

「うん」

 

「泣きもしなかった」

 

「もう少しで」

 

「予想よりよかった」

 

私はそれが激励かどうかわからなかった。

 

しかし受け取った。

 

休憩時間、私は水筒を開けて一口飲んだ。

 

隣の受験生たちが先ほどの問題について話し合っていた。

 

私はすぐに耳を塞いだ。

 

聞いてはいけない。

 

聞くと動揺する。

 

誰かが答えはAだと言えば、私はCを選んだことを疑い始める。

 

誰かがあの評論文は簡単だったと言えば、私は自分が終わったと思う。

 

だから聞かない。

 

これが今日の私の生存ルールの一つだった。

 

英語が一番怖い科目だった。

 

私は問題用紙を受け取った瞬間、長文の量を見て心臓が一瞬、空になった。

 

多すぎた。

 

本当に多すぎた。

 

それらの英文の段落が並んでいると、まるで密林のように見えた。

 

以前の私なら、このような状況で慌てていただろう。

 

そして第一篇から一語一語死ぬほど読み、

 

後半で時間が足りなくなり、完全に崩壊していただろう。

 

しかしこの数ヶ月、森原さんが教えてくれた。

 

まず問題を見る。

 

キーワードを探す。

 

タイトルと図表に注意する。

 

転換語に注目する。

 

わからない単語と心中しない。

 

私は深呼吸をした。

 

まず問題を見る。

 

第一篇はメールと通知。

 

読めた。

 

第二篇に図表があった。

 

なんとか。

 

第三篇から長くなった。

 

私は鉛筆でhowever、therefore、in contrastなどの言葉を丸で囲んだ。

 

まるで暗闇の中で道標を探すように。

 

中盤まで来たとき、私はとても長い文に出会った。

 

主語はどこだ?

 

述語はどこだ?

 

修飾はどこで終わる?

 

私はそれをじっと見つめ、まるで死結びになった術式の線のように感じた。

 

ソレンセンが意識の中で言った。

 

「切れ」

 

「切断禁止」

 

「なら自分で解け」

 

「解いている」

 

私は文をいくつかに分けた。

 

まず主幹を探す。

 

次に従属節を見る。

 

それから指示語を見る。

 

ゆっくりと、意味が少しずつ浮かび上がってきた。

 

とても明確ではない。

 

しかし問題に答えるには十分だった。

 

私は一つの答えを選んだ。

 

先に進んだ。

 

最後の十分で、私はまだ一篇を完全に終えていなかった。

 

心拍が速くなり始めた。

 

どうしよう?

 

全部読むのは間に合わない。

 

なら問題と段落の最初と最後を見る。

 

確実に答えられるものからやる。

 

確信できないものは消去法。

 

最後の問題で、私は二つの選択肢の間で選んだ。

 

完全に確信はできなかった。

 

しかし空欄にするわけにはいかない。

 

ベルが鳴る一分前、私は最後の解答を塗りつぶした。

 

解答用紙を回収されるとき、私はほとんど席にへたり込みそうだった。

 

英語の長文は私を殺さなかった。

 

私はそれを切断しなかった。

 

これで十分、勝利の一つだった。

 

昼休み、私はキャンパスの隅の長椅子を探した。

 

弁当を開けた。

 

今日はおにぎりと温かいお茶を持ってきた。

 

澪が朝に「試験の昼はちゃんと食べろ」とメッセージをくれていた。

 

私はその通りにした。

 

おにぎりは少し冷たかった。

 

しかし食べた後、胃がようやく少し緩んだ。

 

携帯電話は試験中は使えないが、昼休みなら少しだけ見られる。

 

グループにメッセージが来ていた。

 

陽菜が:

 

小音、今は昼休みのはずだよね! ご飯食べて!

 

澪が:

 

食え。

 

日和が:

 

午前中お疲れ。午後も落ち着いて。答え合わせはするな。

 

日和は本当にわかっている。

 

答え合わせはするな。

 

この言葉は人生のルールに書き加えなければならない。

 

森原さんもメッセージをくれていた。

 

午前中終了。英語難しかった。午後もがんばれ。

 

彼女も「英語が難しかった」と言ってくれているのを見て、私は少し安心した。

 

私だけが難しいと思っていたわけではない。

 

これはとても重要だった。

 

私は返信した。

 

午後もがんばって。

 

送信後、私は携帯電話を片付けた。

 

顔を上げてキャンパスの木を見た。

 

今日の大学キャンパスは、オープンキャンパスの日とは違っていた。

 

学生ボランティアはいない。

 

学科説明会もない。

 

食堂体験もない。

 

ただ試験だけだった。

 

しかし私はここで弁当を食べながら、忽然と思った。

 

もし来年、または再来年、本当にどこかの大学に入ったら、

 

こんな長椅子で昼ごはんを食べることになるのだろうか?

 

教科書を持って教室に入ることになるのだろうか?

 

サークルに入ることになるのだろうか?

 

いつか「観摩」や「協力」という名目ではなく、普通の学生として大学に来ることになるのだろうか?

 

この想像はまだ遠かった。

 

しかし以前より、少しだけはっきりしていた。

 

ソレンセンが口を開いた。

 

「また普通の未来を空想している」

 

「うん」

 

「試験はまだ終わっていない」

 

「わかっている」

 

「まず午後を生き延びろ」

 

「その通りだ」

 

珍しく、私とソレンセンは意見が一致した。

 

午後は数学と他の科目だった。

 

数学の前半はまだ順調だった。

 

少なくとも模試で初めて問題を見たときよりはよかった。

 

私は日和に教わった方法で、まず条件を整理し、それから代入した。

 

わからない問題はマークして、先に進んだ。

 

これは私にとってとても難しかった。

 

なぜなら私は一つの問題に簡単に囚われてしまうからだ。

 

まるで汚染線に絡みつかれたように、解けないと先に進めない。

 

しかし試験はそれを許さない。

 

わからない問題は、時には一度手放さなければならない。

 

これは生活にも少し似ている。

 

今解けない問題もある。

 

先に進む。

 

この言葉はまるで担任が言いそうなことだった。

 

また、私が最近やっと少しだけ学んだことでもあった。

 

社会科目は思っていたより細かかった。

 

いくつか全く自信のない問題があった。

 

復習時の印象で選ぶしかなかった。

 

書き終えてから、私は二つの概念を逆に覚えていたのではないかと疑い始めた。

 

しかし疑っている時間はなかった。

 

先に進む。

 

最後の科目が終わったとき、空はもう少し暗くなっていた。

 

監視員の先生が解答用紙を回収した。

 

みんなが順番に立ち上がった。

 

誰かはため息をついた。

 

誰かはすぐに友達と問題について話し始めた。

 

誰かは「ようやく終わった」と言った。

 

私は席に座ったまま、数秒間動かなかった。

 

終わった。

 

私は本当に大学入学共通テストを終えた。

 

遅刻もせず、

 

受験票を忘れず、

 

カンニングもせず、

 

ソレンセンも使わず、

 

黒弦も使わず、

 

英語の長文の前で完全に崩壊することもなく。

 

私は文房具を鞄に片付けた。

 

指はまだ少し震えていた。

 

しかし完全に怖さだけではなかった。

 

とても小さく、とても小さな達成感もあった。

 

ソレンセンが口を開いた。

 

「終わったな」

 

「うん」

 

「死ななかった」

 

「うん」

 

「紙も切断しなかった」

 

「うん」

 

「結果は未知」

 

「うん」

 

「どうだった?」

 

私は少し考えてから答えた。

 

「とても疲れた」

 

「君はいつもそう言う」

 

「でも今回は違う」

 

私は校舎の外に出た。

 

廊下には受験生が溢れていた。

 

みんなが階段を下りて外に向かっていた。

 

私は人混みに紛れていた。

 

今回は、誰も私が下北沢黒弦であることを知らなかった。

 

誰も百目影倉のせいで私を見ることはなかった。

 

誰も天城グループのせいで私を避けることはなかった。

 

みんなただの受験生だった。

 

私もそうだった。

 

「今回は普通の疲れだ」

 

私は心の中で言った。

 

ソレンセンが少しの間、沈黙した。

 

それから低く笑った。

 

「普通でも、君をこんなに疲れさせられるのか」

 

「うん」

 

「本当に弱いな」

 

「うん」

 

私は反論しなかった。

 

なぜなら、普通の高校生が試験を受けた後に疲れるのは、許されていることだからだった。

 

校門の外で、森原さんが私を待っていた。

 

彼女はマフラーを巻き、鼻の頭が少し赤くなっていた。

 

「白川さん」

 

私は近づいた。

 

「ご苦労様でした」

 

彼女は笑った。

 

「あなたも」

 

私たちは答え合わせをしなかった。

 

これは事前に約束していた。

 

天気のこと、昼ごはんのこと、試験会場の椅子が少し硬かったこと、英語が難しかったことだけを話した。

 

これらの話題はとても安全だった。

 

駅の前まで来たとき、彼女が聞いた。

 

「終わった後、AfterToneに行くの?」

 

私は頷いた。

 

「うん。みんなでご飯を食べると言ってた」

 

森原さんが微笑んだ。

 

「それはいいね。今日はしっかり休んで」

 

私は言った。

 

「森原さんもお疲れ様でした」

 

彼女は頷いた。

 

「うん。帰ったら寝る」

 

私たちは駅で別れた。

 

私は下北沢行きの電車に乗り込んだ。

 

車窓に私の顔が映った。

 

とても疲れているように見えた。

 

しかし敗北者には見えなかった。

 

少なくとも、そうは見えなかった。

 

私は携帯電話を取り出した。

 

グループにはもうメッセージが殺到していた。

 

陽菜が:

 

試験終わった!? ご飯食べた!?

 

澪が:

 

飯。

 

日和が:

 

終わったら直接AfterToneに来てもいいし、来なくてもいい。無理はしないで。

 

私はこれらのメッセージを見て、鼻の奥が少し熱くなった。

 

私は返信した。

 

終わった。AfterToneに行く。

 

陽菜が即座に返信してきた。

 

おかえり! おかえり!

 

私は「おかえり」という四文字を見つめていて、忽然と胸の奥が柔らかくなった。

 

今日は戦場から帰ってきたわけではない。

 

外地から帰ってきたわけでもない。

 

ただ試験会場から帰ってきただけだ。

 

それでも彼女たちは「おかえり」と言ってくれた。

 

これはとても良かった。

 

AfterToneの明かりがついていた。

 

私はドアを押したとき、陽菜が最初に飛び出してきた。

 

「小音! 試験お疲れ!」

 

私はほとんど後ずさりしそうになった。

 

「た、ありがとう……」

 

日和が楽屋から出てきて、手に温かいお茶を持っていた。

 

「まず座って」

 

澪はすでに食べ物をテーブルに並べていた。

 

「試験後飯」

 

テーブルにはおにぎり、唐揚げ、サラダ、デザート、そして誰が買ったのかわからないケーキまで置いてあった。

 

私は座った瞬間、忽然と体が完全に緩むのを感じた。

 

私は本当にずっと緊張していたのだとわかった。

 

陽菜が聞いた。

 

「どうだったどうだった?」

 

日和がすぐに言った。

 

「点数は聞かない。答え合わせもしない」

 

陽菜が慌てて口を覆った。

 

「そうだ! 聞かない!」

 

澪が唐揚げを一つ私の方に押し出した。

 

「食え」

 

私は手に取り、一口かじった。

 

熱かった。

 

美味しかった。

 

試験会場の昼休みのおにぎりよりずっと美味しかった。

 

二口目を食べたとき、私はほとんど泣きそうになった。

 

唐揚げのせいではない。

 

(唐揚げにも貢献はあるが)

 

今日が終わったからだった。

 

私は本当に一日をやり遂げた。

 

日和が隣に座り、静かに聞いた。

 

「今日はとても疲れたでしょう?」

 

私は頷いた。

 

「うん」

 

「でもやり遂げた」

 

私はまた頷いた。

 

「うん」

 

陽菜が笑いながら言った。

 

「小音、超すごい!」

 

私はすぐに首を振った。

 

「ただの試験なのに……」

 

日和が私を見て言った。

 

「ただの試験でも、すごいよ」

 

この言葉で、私は動けなくなった。

 

ただの試験。

 

それでもすごい。

 

私は顔を伏せた。

 

「ありがとう」

 

澪が言った。

 

「食い終わったらもっとすごい」

 

この言葉は変だったが、私は頷いた。

 

「うん」

 

その日は練習をしなかった。

 

ただ食事をし、関係のない話をした。

 

陽菜が最近見た変な広告の話をした。

 

澪が真剣にケーキの甘さを評価した。

 

日和が次回の練習は新曲の二番から始めようと言った。

 

私は彼女たちの話を聞きながら、ゆっくりと自分が試験の状態からここに戻ってきたことを感じた。

 

AfterToneに戻ってきた。

 

音と食べ物と笑声の中に戻ってきた。

 

ソレンセンが意識の奥で口を開いた。

 

「今日は吾の力を使わなかったな」

 

「うん」

 

「黒弦も使わなかった」

 

「うん」

 

「それでも一つのことを成し遂げた」

 

私は一瞬、固まった。

 

これは普段のソレンセンが言いそうな言葉ではなかった。

 

「褒めているの?」

 

「違う」

 

それは即座に否定した。

 

「吾はただ事実を述べているだけだ」

 

「そう」

 

事実でもいい。

 

私は事実を受け取った。

 

今日は私はソレンセンの力を借りなかった。

 

黒弦を使って問題を解決しなかった。

 

私はただ一人の日本の高校生として、大学入学共通テストを受けた。

 

朝から夜まで。

 

一科目ずつ。

 

一問ずつ。

 

わからない問題は飛ばし、

 

わかる問題はできるだけ解き、

 

最後に提出した。

 

この出来事はとても普通だった。

 

しかし私にとっては、非常に重要だった。

 

なぜならこれは、私が自分で選んだ未来の一部だったからだ。

 

誰かに与えられた任務ではない。

 

退魔界が私を必要としたからでもない。

 

財団が私に何かを証明させようとしたからでもない。

 

私は大学に行くために試験を受けた。

 

これは天穹システムを切断することと同じくらい重要だろうか?

 

全日本の退魔界にとっては、もちろん違う。

 

しかし私にとっては、もしかすると同じくらい重要だった。

 

あるいはもっと重要だった。

 

家に帰った後、私は受験票を鞄から出した。

 

少し折れていた。

 

私はそれをフォルダーの中にしまった。

 

隣にはオープンキャンパスの資料、模試の成績表、志望校リスト、学習計画があった。

 

私はこれらの紙を見つめていて、忽然と、それらがとても普通だがとても丈夫な一本の線のように感じた。

 

黒弦ではない。

 

封印の鎖でもない。

 

私が自分で少しずつ引き出した線だった。

 

「未定」から「大学を見てみたい」へ。

 

オープンキャンパスから模試へ。

 

模試から共通テストへ。

 

次のステップはもしかすると出願かもしれない。

 

もしかすると個別試験かもしれない。

 

もしかすると面接かもしれない。

 

もしかすると落ちるかもしれない。

 

もしかすると受かるかもしれない。

 

私はまだ知らない。

 

しかし少なくとも今日、私はここまで来た。

 

私は携帯電話のメモを開き、大学準備計画の下に書いた。

 

共通テストを受けた。

 

黒弦は使わなかった。

 

逃げなかった。

 

とても疲れた。

 

しかしやり遂げた。

 

書き終えた後、私は長い時間それを見つめていた。

 

ソレンセンが低く言った。

 

「君はいつも小さなことを勝利宣言のように書く」

 

私は携帯電話を閉じた。

 

「私にとっては勝利だから」

 

黒海が静かになった。

 

それから、ソレンセンが笑った。

 

「いいだろう」

 

「今日の勝利者、早く寝ろ」

 

この言葉をソレンセンの口から聞くのはとても奇妙だった。

 

私は一瞬、怖がるべきかどうかわからなくなった。

 

結局、私は普通のおやすみなさいとして受け取ることにした。

 

「うん」

 

私は電気を消した。

 

部屋が暗くなった。

 

窓の外は東京の夜。

 

潮鏡もなく、

 

天穹システムの警報もなく、

 

ただ試験後の疲労と、

 

とても静かな安心だけがあった。

 

明日もまたトラブルがあるかもしれない。

 

退魔界は永遠に静かではない。

 

ソレンセンもまだ封印を研究している。

 

しかし今日は、私はただ試験を終えた高校生だった。

 

これで十分だった。

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