俺の頭の中に敗北した暗黒の王が住み着いているが、俺はただギターを弾きたいだけだ 作:arctichare
第45章 志望校フォルダー、そして他人に代わって埋められてはならない未来
共通テストが終わった後、私は最難関の部分はもう過ぎたと思っていた。
結果は、まだまだ甘かった。
試験当日は確かに怖かった。
しかし試験が終わった後の「志望校の整理」と「個別試験の準備」は、また別の種類の怖さだった。
それは英語の長文のように、大量の文字を直接顔に叩きつけてくるものではなかった。
数学の問題のように、冷たく「君は間違っている」と教えてくれるものでもなかった。
それはまるで一枚のとても大きな地図のようだった。
地図の上にはたくさんの道があった。
どの道も、一見すると歩けそうに見えた。
しかしどの道の後ろにも、異なる要求が書かれていた。
共通テストの利用方法。
個別学力検査。
小論文。
面接。
志望理由書。
活動経歴。
学費。
通学時間。
学科内容。
卒業後の進路。
私は進路指導室に座り、机の上に五つの大学の資料を広げ、まるで紙になってしまいそうだった。
担任が私の向かいに座り、穏やかな口調で言った。
「白川さん、まずはあまりたくさん見ないで。三つの条件で絞りましょう」
彼女は紙に書いた。
一、学びたい分野
二、通学と生活の現実性
三、入試方式が自分に合っているか
私は頷いた。
「うん」
しかし心の中では、もう一つ条件があると思っていた。
四、退魔界、大勢力、財団、システム、継承者、奇妙な研究機関に狙われやすいかどうか
もちろん、この一文は進路指導表には書けない。
本当に書いてしまったら、担任は長い時間沈黙するだろう。
ソレンセンが意識の奥で口を開いた。
「書いてもいい」
「書けない」
「なぜだ?」
「普通の進路表に『退魔界に浸透されやすいかどうか』とは書けない」
「弱い人間のフォーマットだ」
私は認めたくなかった。
しかし確かに、普通の表は私の問題を収容しきれなかった。
担任がいくつかの大学の資料を並べた。
「この大学は音楽文化の方向が比較的強く、心理学に関連する授業もある」
「この大学は社会学とメディア研究が良い」
「この学校は下北沢に少し近いから、通学の負担が小さい」
「この学校は偏差値が少し高いが、共通テストの成績が良ければ挑戦できる」
挑戦。
この言葉を聞いた瞬間、私の心臓が一瞬、締めつけられた。
私はあまり挑戦が得意ではなかった。
私はむしろ、追い詰められてからやむを得ず動く方が得意だった。
自らある大学に挑戦する、というのは、自分を危険区域に送り込むように聞こえた。
しかし担任は私を無理に押しませんでした。
ただこう言っただけだった。
「挑戦校、相応校、安全校に分けてもいい」
私は真剣に書き留めた。
挑戦校。
相応校。
安全校。
この分類はとても明確だった。
まるで戦術のレイヤーのようだった。
すべての目標を一度で成功させなければならないわけではない。
また、最も安全なものだけを選ばなければならないわけでもない。
普通の進学にも、戦略が必要なのだ。
黒弦の戦略ではなく、人生の戦略だ。
私は顔を伏せ、ノートに書いた。
志望校候補
第一志望候補:A大学 音楽文化学科
第二候補:B大学 心理社会学科
第三候補:C大学 文化メディア学科
安全校候補:D大学 総合人文学部
ここまで書いたとき、私は止まった。
第一志望候補。
この言葉はとても重かった。
まるで書き留めた瞬間、何かがその方向に動き始めそうだった。
担任は私の躊躇に気づいた。
「今はまだ候補だよ」
私は小声で聞いた。
「変えてもいいんですか?」
「もちろん」
「何度でも?」
「いいよ」
彼女は笑った。
「進路は封印じゃない。書き留めたら変えられないというものではない」
私はこの言葉で、ほとんどむせそうになった。
担任はもちろん、私がなぜ「封印」という比喩にこんなに反応したのかを知らない。
ソレンセンが意識の奥で低く笑った。
「彼女は上手く言うな」
私は顔を伏せた。
「うん」
進路は封印術ではない。
書き留めても変えられる。
この言葉は、私は覚えておくことにした。
個別試験の準備の中で、私が一番怖かったのは小論文と面接だった。
小論文はまだいい。
少なくともそれは紙だ。
紙は怖いけれど、私を見返してくることはない。
面接は違う。
面接には人がいる。
しかもその人たちは私の前に座り、私を見つめてくる。
そしてこう聞く。
なぜこの学科を選んだのか?
高校時代で一番頑張ったことは何か?
大学でどのように学びたいか?
社会に対してどのような関心があるか?
何か伝えたいことはあるか?
どの質問も、まるで罠のようだった。
特に「高校時代で一番頑張ったことは何か」。
私は絶対にこう言うわけにはいかない。
「一番頑張ったのは、ソレンセンを脱困させないこと、天城システムの越権権限を切断すること、そして何度も東京以外で退魔を完了させたことです」
絶対にだめだ。
しかしただ「楽隊活動です」と言えば、足りないだろうか?
「学習です」と言えば、普通すぎるだろうか?
「人を助けることです」と言えば、空虚すぎるだろうか?
私は進路指導室で、試しに答えてみた。
担任が聞いた。
「高校時代で一番力を入れた活動は何ですか?」
私は顔を伏せた。
「楽隊です」
「もう少し具体的に?」
「友達と一緒に練習をし、合同公演に参加し、新曲の準備をして……」
「いいね。もう少し加えて、その中で何を学んだか」
私は沈黙した。
何を学んだか?
舞台は怖い。
友達は大事だ。
契約は丁寧に読まなければならない。
撮影機材が白鏡監督の媒介になる可能性がある。
財団を簡単に信じてはいけない。
もちろん後半の三つは言えない。
私は小声で言った。
「私は……一人ではできないことも、みんなと一緒なら少しずつできることを学びました」
担任の目が少し輝いた。
「いいね」
「本当ですか?」
「本当だよ」
彼女は私の言葉を書き留めた。
「この回答は面接でも使える」
私は少し驚いた。
こんな言葉でもいいのか?
華麗でもなく、
優等生らしい発言でもない。
それでも担任は「使える」と言った。
担任はさらに聞いた。
「では、なぜ音楽文化や心理社会の方向を学びたいのか?」
私は長い時間考えた。
「なぜなら……私は、人々がなぜある場所やある音を必要とするのかを知りたいからです」
担任は私を遮断しなかった。
私は続けた。
「たとえば小さな音楽空間。ほかの人にとってはただの公演会場かもしれないけれど、ある人にとっては、生活を続けていくための場所かもしれない」
言い終えた後、私は忽然と、この言葉があまりにも本物であることに気づいた。
AfterToneは私にとって、まさにそうだった。
ただの舞台ではない。
私が黒弦として存在し続けられる場所だった。
担任は真剣に頷いた。
「この考えはとても良い」
私は顔を伏せた。
「変じゃないですか?」
「変じゃない」
彼女は言った。
「『音楽が好きだから学びたい』と言うより、ずっと具体的だ」
私は小さく息を吐いた。
ソレンセンが意識の中で言った。
「ようやく錨を人間の面接言語に翻訳できるようになったな」
私は面接練習の中で、表情が崩れそうになった。
同じ頃、東京特調室も白川一音の志望校整理の進捗を受け取っていた。
眼鏡の女性が内部会議で資料をスクリーンに投影した。
もちろん、学校名はすべて保護用の代号にされていた。
A大学:音楽文化方向
B大学:心理社会方向
C大学:文化メディア方向
D大学:総合人文方向
久我山統括官は読み終えると、最初にこう言った。
「天城グループ、御影家、京都家系、その他の勢力と深い関わりがある大学はあるか?」
分析官が答えた。
「A大学は藤堂グループの音楽プロジェクトから資金提供を受けているが、支配的な関係ではない」
「B大学には天城グループの研究基金があるが、主に情報システム研究科にあり、目標の学部との関連は弱い」
「C大学はメディア企業との協力が多いため、映像系のプロジェクトに注意が必要」
「D大学は比較的普通だが、退魔界の保護資源は弱い」
久我山統括官は少しの間、沈黙した。
「保護資源を、彼女に選ばせる際の第一の要素にしてはならない」
若い分析官が一瞬、固まった。
「しかし安全という観点からすると……」
久我山統括官が彼を見た。
「彼女は大学を選んでいるのであって、避難所を選んでいるわけではない」
会議室が静かになった。
眼鏡の女性が頷いた。
「私たちはリスク提示をするだけで、志望の誘導はしない」
久我山統括官は続けた。
「もし彼女が音楽文化を学びたいと言うなら、ある大学に財団の資金提供があるからといって、すぐに否定してはならない」
「もし彼女が心理社会を学びたいと言うなら、その方向が協力者の安定に役立つかもしれないからといって、積極的に誘導してはならない」
「彼女の選択は、まず彼女自身に属するものでなければならない」
若い分析官が低頭して記録した。
「了解しました」
久我山統括官はスクリーン上の志望校代号を見つめていた。
「それから、個別試験期間中は、外部勢力が面接指導、小論文指導、奨学金説明、大学関係者という身分で彼女に接触することを、厳しく防止する」
眼鏡の女性が補足した。
「特に天城グループ」
久我山統括官は頷いた。
「彼らは剛才権限を切断されたばかりだ。再び別の形で近づかないとは限らない」
京都旧結界管理委員会の反応はもっと複雑だった。
七条が私の志望校方向を委員会に提出した後、幾人かの委員が長い時間議論した。
一人の委員が言った。
「心理社会方向は、彼女が自身の状態を理解する助けになるかもしれない」
もう一人の委員が言った。
「音楽文化方向の方が、彼女の普通の錨に近い」
三番目の委員が言った。
「もし文化メディア方向に入れば、映像技術に触れる可能性があり、白鏡監督関連のリスクに注意が必要だ」
七条は少しの間、聞いていたが、結局口を開いた。
「皆さん、これらはすべて私たちの判断です」
会議室が静かになった。
彼女は続けた。
「彼女は京都の育成対象ではない」
「志望校は、私たちが彼女に代わって選ぶ術式の路線ではない」
老委員が頷いた。
「七条の言う通りだ」
彼は皆を見回した。
「京都がするべきことは二つだけだ」
「第一に、地元の家系が進学という名目で接近することを防ぐ」
「第二に、もし彼女が将来、京都側の安全証明や協力を必要とするなら、私たちは正式なルートを提供する」
誰かが聞いた。
「もし彼女が選んだ大学のリスクが高い場合は?」
老委員が言った。
「リスクは東京特調室に提示する。本人に直接干渉してはならない」
七条は低頭して記録した。
彼女は心の中で少し驚いていた。
もしほかの協力者であれば、京都はもっと強硬に安全路線を勧めるだろう。
しかし白川一音に対しては、誰もが軽々しく手を伸ばそうとしなかった。
重視していないからではない。
重視しすぎていたからだ。
なぜなら彼らは皆知っていた。
彼女を「退魔界の管理に適した」方向に押しやれば押しやるほど、彼女にとって最も重要な普通性を壊してしまう可能性があることを。
七条は備考欄に書き留めた。
白川一音の進学選択は、術式家系化、協力者職業化、異常身分優先化を避けるべきである。
書き終えた後、彼女は少し間を置いてから、もう一文を加えた。
普通の学生としての志望を尊重する。
天城グループ内部では、この件に対する議論はもっと慎重だった。
天城グループは剛才再編成を経験し、急進派の権限は切断され、白川一音に関わる議題が出るたびに会議室の空気が冷たくなるようになっていた。
天城怜司が書類を卓上に置いた。
「白川さんは志望校を整理し、個別試験の準備をしている」
一人の新任安全委員会メンバーが慎重に聞いた。
「候補大学の中に天穹システムの接続リスクが存在するかどうかを確認する必要がありますか?」
天城怜司が答えた。
「必要だ。しかし特調室を通じてリスクリストを提出するだけで、白川さんに直接連絡してはならない」
もう一人のメンバーが言った。
「もし彼女が天城の研究基金がある大学を選んだ場合、利益相反が生じるのではないか?」
天城美咲が隣に座り、直接言った。
「その場合は、私たちが関連プロジェクトから自主的に退出する」
会議室が一瞬、静かになった。
そのメンバーが眉を寄せた。
「天城グループが一人の学生のために大学協力を放棄するわけにはいかない」
天城美咲が彼を見た。
「それでは彼女に、私たちがまた彼女の普通の進学をシステムの接触点にしていると思わせることになる」
誰も話さなかった。
この言葉は今、非常に殺傷力があった。
なぜならグループ全体が覚えていたからだ。
東京湾データタワーのあの日、彼女が安全技術委員会の権限をどのように切断したかを。
天穹を壊したわけではない。
越界した者に資格を失わせたのだ。
天城怜司が頷いた。
「美咲の言う通りだ」
「彼女の志望校に関わるすべてのプロジェクトに対して、隔離審査を行う」
「もし彼女に接近していると誤解される可能性のある行動があれば、一律に停止する」
「奨学金を提供してはならない」
「顧問を派遣してはならない」
「教授、校友、研究プロジェクトを通じて接触してはならない」
彼は少し間を置いてから、もう一言加えた。
「それから、彼女の試験成績を聞き出してはならない」
この一文はとても普通に聞こえた。
しかし天城グループ内部では、誰もがそれが非常に重要であることを知っていた。
成績を聞き出さない。
潜在力を評価しない。
彼女の学力、志望、面接回答、小論文のテーマをデータに変えない。
これが天城が学ばなければならない境界だった。
天城美咲は資料を見つめながら、白川一音が音楽文化方向を準備している可能性があるのを見て、わずかに微笑んだ。
それは策略的な笑みではなかった。
少し安心した笑みだった。
なぜなら彼女は忽然と、いつも頭を低く垂れているあのクラスメイトが、本当に自分の未来に向かって歩き始めていることを感じたからだった。
天城が与えた未来でも、
退魔界が手配した未来でもなく、
彼女自身が選んだ未来だ。
御影家の議論は、少し気まずさを伴っていた。
御影秋人が私の志望校方向を見た後、静かに笑った。
「音楽文化、心理社会、人文メディア」
御影冬子が冷ややかに彼を見た。
「何を笑っている?」
「ただ、彼女らしいと思った」
「どこが?」
「すべて人に関わることだ」
御影冬子は反論しなかった。
御影秋人は続けた。
「彼女はいつも人から逃げたいように見えるが、実際一番気にかけているのも人だ」
「普通の観客」
「楽隊のメンバー」
「学校のクラスメイト」
「巻き込まれた退魔者」
「敵でさえ、底线を越えなければ、できるだけ傷つけないようにしている」
一人の長老が低い声で言った。
「だからこそ、協力者育成体系に入るよう導くべきだ」
御影冬子の茶碗が、強く卓上に置かれた。
「まだわかっていないのか?」
その長老が眉を寄せた。
御影冬子が言った。
「彼女は御影家に、自分の『適した』というものを定義してほしいわけではない」
「私たちにとっての『適した』とは、利用価値の最大化だ」
「彼女にとって、それはもしかすると、また一本、自分の生活に伸びてくる線かもしれない」
この言葉はとても重かった。
会議室で、すぐに続ける者はいなかった。
御影秋人が静かに言った。
「もし本当に御影家が関係を改善したいと思うなら、最善のやり方は何も送らないことだ」
「資料を送らない」
「推薦を送らない」
「指導を送らない」
「人を送らない」
御影冬子は頷いた。
「特に君を送らない」
御影秋人が無力な笑みを浮かべた。
「私はまだその層まで考えていなかった」
「いずれ考えるだろう」
「あなたは本当に私のことをよく知っている」
玄海鎮守聯合でも、短い会議が開かれた。
宗像怜央が私の志望校方向を見たとき、長い時間考え込んでいた。
白髪の宮司が聞いた。
「何を考えている?」
「彼女が選んだ方向は、どれも『より強くなるため』ではないように見える」
「うん」
「退魔体系に入るためでもないように見える」
「うん」
宗像怜央は低く言った。
「これは良いことだ」
白髪の宮司が微笑んだ。
「なぜ?」
「なぜなら、もし彼女がただより強くなることを追求するなら、それはとても怖いことになるからだ」
「もし退魔界が彼女にただより強くなることを追求するよう強いるなら、それもとても怖いことになる」
宗像怜央は玄海湾のあの一幕を思い出した。
黒弦が海面を圧した。
潮鏡社のすべての媒介が一瞬で無効になった。
あの強さは、もう学校で育成する必要などなかった。
本当に育成が必要なのは、彼女が依然として、力を普通の未来の後に置くことを望んでいることかもしれない。
宗像怜央が言った。
「玄海鎮守は、九州の大学からの特別推薦や神社関連の教育枠を、一切提供してはならない」
白髪の宮司は頷いた。
「同意する」
「もし彼女が将来、自分で九州の大学を選んだ場合は?」
「その場合は普通の学生として扱う」
宗像怜央は真剣に言った。
「私を同校に配置しないでほしい」
白髪の宮司が笑い出した。
「ようやく自分の家族の穴を自分で塞ぐことを学んだな」
宗像怜央は少し恥ずかしそうだった。
「これは必要な境界だ」
中小勢力のフォーラムでは、情報はもっと早く伝わっていた。
もちろん、彼らは具体的な志望校までは知らなかった。
ただ知っていたのは、
彼女が志望校を整理し、個別試験の準備を始めたということだけだった。
スレッドの下には、すぐにさまざまな反応が現れた。
「彼女は本当に普通に大学を受けようとしているんだな」
「そうでなければ? 彼女は本来、高校生だ」
「私はまだ彼女を志望理由書と結びつけるのが難しい」
「志望理由:越界の線を切断するため」
「死にたいならフォーラムに引っ張るな」
「真面目に言うと、誰が彼女に面接指導をする勇気がある?」
「面接官:高校時代で一番頑張ったことは? 彼女:東京を守った」
「管理人早く来て、このスレッドが消える」
すぐに、管理人がいくつかの逸脱した返信を削除した。
しかし真面目な議論は続いていた。
「私はこれが彼女にとって良いことだと思う。もし彼女が普通の大学に入れたら、普通の身分がまだ安定していることを示す」
「普通の大学は本当に彼女を支えられるのか?」
「大学は下北沢黒弦を支える必要はない。ただ白川一音を受け入れればいい」
「言うのは簡単だ。万一誰かが大学を通じて彼女に近づいたらどうする?」
「その人は天城グループの末路をまず見ておいた方がいい」
この返信の後、多くの沈黙の絵文字が続いた。
天城グループが権限を切断された後、すでに全日本の暗面における新しい警告事例になっていた。
今、誰もが知っていた。
彼女の普通の人生の節目を接触点に変えてはならない。
さもなければ、彼女は必ずしも君を攻撃するとは限らない。
しかし君が手を伸ばす資格を失わせるかもしれない。
そして私自身は、今、AfterToneの楽屋で志望理由書の草稿を書いていた。
一行目を三回書き、三回消した。
私は音楽文化を学びたい。なぜなら音楽が好きだからだ。
あまりにも普通だ。
私は音楽文化研究を通じて、人と場所の間の関係を理解したい。
資料冊子のように見える。
私はなぜ、いくつかの小さな舞台が、人を前に進み続けさせることができるのかを知りたい。
これは少し本物のように思えた。
しかし変すぎるだろうか?
私はこの一文を長い時間見つめていた。
日和が近づいてきて、一目見た。
「この文は良いよ」
私はびっくりして飛び上がった。
「き、君、見てたの?」
「ごめん、つい目に入ってしまった」
彼女は隣に座った。
「でも本当にこの文は良い」
私は顔を伏せた。
「作文みたいじゃない?」
日和が笑った。
「志望理由書は本来、作文だよ」
その通りだった。
陽菜が近づいてきた。
「小さな舞台が人を前に進み続けさせる、かっこいい!」
私の顔が一瞬で熱くなった。
「読まないで……」
澪がソファから顔を上げた。
「舞台にも飯が必要だ」
日和が言った。
「澪、この文は書かないで」
私は低く笑った。
それから書き続けた。
私は高校時代に楽隊活動に参加し、徐々に音楽空間が単なる公演会場ではなく、人と人が関係を再構築する場所でもあることを意識するようになった。
ここまで書いたとき、私は少し止まった。
これは本当のことだった。
ただ、完全に書ききれていなかった。
AfterToneは私にとって、これだけではなかった。
それは私と黒弦の間の境界でもあった。
ソレンセンに飲み込まれないための錨でもあった。
退魔任務から白川一音に戻るための入口でもあった。
しかし志望理由書にはこう書けない。
だから私はそれを普通の言語に翻訳した。
したがって、私は大学で音楽文化、地域文化、心理社会に関連する知識を学び、音楽活動が人と場所の関係にどのように影響を与えるかを理解したいと思う。
日和は読み終えて頷いた。
「とても明確だ」
陽菜が強く頷いた。
「しかも小音らしい!」
私は小声で聞いた。
「私らしい?」
陽菜が笑いながら言った。
「うん。小音はいつもこういうことを真剣に考えているから」
私は顔を伏せた。
そうかもしれない。
私は確かにいつもたくさんのことを考えていた。
ただ、以前それらの考えはとても乱れていた。
今、それらは少しずつ、大学に提出できる文章に書き直されつつあった。
これはとても不思議だった。
ソレンセンが口を開いた。
「君は錨を学術的な興味に書き直した」
「それが悪いことか?」
「とても人間らしい」
私は今回、これを褒め言葉として受け取ることにした。
夜、家に帰った後、私は志望校フォルダーを整理した。
一つの大学につき一ページ。
A大学:音楽文化、第一志望候補
メリット:授業が興味に近く、通学可能、オープンキャンパスの印象が良かった
不安:個別試験に小論文と面接がある
B大学:心理社会、第二候補
メリット:ストレス、人間関係、社会的支援を学べる
不安:授業が理論寄りになる可能性があり、志望理由がまだ明確でない
C大学:文化メディア
メリット:音楽、映像、社会が交差している
不安:映像関連分野が暗面のリスクを引き寄せる可能性がある
D大学:総合人文
メリット:選択の幅が広く、安全校としての可能性が高い
不安:本当にここに行きたいかどうかがまだ確定していない
私は「不安」という欄を見つめていて、忽然と自分が以前より少し進歩したことに気づいた。
以前の私は、「不安」は悪いことだとしか思えなかった。
今、私はそれを表に書き込んだ。
それは議論できる内容になった。
すぐに切断しなければならないものではなく、
抑え込まなければならないものでもなく、
ただの情報になった。
ソレンセンが言った。
「君は恐怖を分類した」
「うん」
「これが、スペニの残影が言っていた、恐怖にすべてのルールを決めさせない、ということか?」
「もしかすると」
「面白い」
私は個別試験の準備を書き続けた。
小論文のテーマ練習:
音楽と地域社会
青少年の心理支援
地方文化空間の役割
デジタルメディアと実体験
どのテーマもとても普通に見えた。
しかし私は知っていた。
私はこれらの普通のテーマの中で、ゆっくりと自分を表現する練習をすることになる。
黒弦を使わず、
封印を使わず、
代号を使わず、
ただ文字だけで。
これは退魔より難しいかもしれない。
しかし私は試してみたいと思った。
同じ頃、多くの大勢力が、珍しく一致した結論に達していた。
彼女の志望校に近づかない。
彼女の面接に干渉しない。
彼女の進学を利用しない。
継承者を送り込まない。
奨学金を与えない。
成績を聞き出さない。
彼女の未来を、自分の策略に書き換えない。
これらの命令が、東京、京都、九州、四国、長野、御影家、藤堂グループ、天城グループ再編委員会などの勢力の決定層から、一層一層と伝えられていった。
もちろん、すべての人々が聞くわけではない。
必ず誰かが抜け道を探そうとする。
必ず誰かが、自分はもっと賢いと思っている。
しかし少なくとも今、大多数の者が天城グループの教訓を覚えていた。
伸ばしてはならない線がある。
伸ばせば、切られる。
そして切られるのは、指かもしれない。
資格かもしれない。
私はこれらの暗面の変化を知らなかった。
私はただ、机の前に座り、志望理由書の第一版を書き終えた。
書き終えた後、私は一度読み返した。
完璧ではなかった。
いくつかの場所が硬すぎた。
いくつかの文が長すぎた。
結びも十分に自然ではなかった。
しかしそれは、私が自分で書いたものだった。
私はファイルを保存した。
ファイル名:
志望理由書_第一版
「第一版」という三文字を見たとき、私は忽然と少し安心した。
第一版ということは、第二版があるということだ。
第三版。
修正版。
最終版。
一部の退魔現場のように、一度間違えれば挽回できない、というものではない。
文字は変えられる。
未来も、もしかすると少しずつ変えられる。
私は携帯電話のメモを開き、大学準備計画の下に書いた。
志望校の整理を始めた。
志望理由書第一版を完成させた。
未来はまだ決まっていないが、いくつかの候補はある。
ソレンセンが口を開いた。
「君は未来をフォルダーに入れた」
「うん」
「フォルダーは災害を防げない」
「わかっている」
「吾を防げない」
「それもわかっている」
「では何の意味がある?」
私は机の上のフォルダーを見つめていた。
表紙はとても普通の透明プラスチックだった。
中には大学の資料、試験計画、志望理由書、小論文の練習問題が入っていた。
それは確かに災害を防げない。
しかしそれは私に思い出させることができる。
私は災害だけに属しているわけではない、と。
私は低く言った。
「それは私に、私にはほかの道もあることを思い出させてくれる」
黒海が少しの間、静かになった。
それからソレンセンが低く笑った。
「では歩いてみろ」
「君がこの道を大学の門まで歩けるかどうかを」
私はフォルダーを見つめ、手の指をゆっくりと表紙に置いた。
「私は試してみる」
今回は、私は「できるだけ」とは言わなかった。
「試してみる」と言った。
今の私にとって、これで十分に勇気ある言葉だった。