人は苦しみの中で生きるものである。
だからこそ生とは美しいものであり、
意味あるものであるのだ。
そして苦しみこそ物語の始まりだ。
ならばもし最初から最後までずっと世界が
困難に、絶望に、苦難に溢れているならばどうしたらいいのだろうか
希望を持てない現状がただ広がっているならばどうしたらいいのだろうか
この物語は僕がそんな終末世界を生きていくだけの話だ。
目が覚めて一番に確認するのは自分の生存だ。
息ができること
身体に傷がないこと
周囲に異常がないこと
近くにすぐに扱える武器があること
様々なことを確認したあとで“僕“は身体を起こす
「今日も生きてる」
生存確認を完了した僕、キールは周りを見渡す。
まだみんなは起きていないらしい
いつもより少しばかり早く起きてしまったようだ。
もう一度寝るか迷うところだが、目が覚めてしまった。
まあだからといってしたいことがある訳でもないし、
しないといけないこともないから暇だ
「外」に出る訳にはいかないからな
暇だからトレーニングでもしようかと考えていると
シルビアがルームに入ってきた。
「おぉ、キールじゃん おはよ」
シルビアがトレーニングルームから出てきた。
彼女も僕と同じ境遇にある女性だ。
2076年11月
日本から起こった世界的パンデミック
詳細な日時や原因は不明だが、その頃から「感染者」とよばれる者が確認されるようになった。
まあ分かりやすく言うならゾンビってやつだ。
映画なんかでは楽に殺されてくれるやつらだが、
現実は違った。
初めは誰も気に止めていなかった。
だからだろう"それ"はどんどん拡散していった。
拡散の原因をになっていたのがその異常な程の感染力だ。
「感染者」の体液や細胞などを取り込んでしまうと
「感染」してしまう。症状が発症するまでの時間は
個人の耐性の有無、ウイルスの摂取量による差異
があるが、大体一分程度
そして厄介なのが「感染者」の身体能力だ。
やつらは人間には出来ないことを軽々と行う
5メーター以上を飛び越え、鉄の壁を破り、負傷しても再生してくる。
初めの十日間ほどで奴らは爆発的に数を増やし、インフラを破壊していった。
国としてもできることが少なかったらしい。
奴らは多く人がいる地点を狙い、仲間を増やしていく。
国が最終手段として行った爆撃すら奴らを殺し切ることはできなかった。
今や世界は感染者に占領され、人類は滅亡の危機に陥っている。
僕らはそのパンデミックを生き延びた人類の末裔
そしてゾンビどもを駆逐し、元の活動圏を取り戻すために戦いを続ける組織、
「墓守」の一員である。
次話は6月25日に出します。