「
同じ音だけど、違う文字。どこかが浮いた自分を見てるような心持ちで、私は転校を選んだ。
急に人が変わった(本当のことだけど)ようになって、名前が変わって、クラスメイトと関わりづらくなった。
お母さんもそれを感じ取ったのか、転校手続きをしてくれた。
「かわいーー! きれー!」
「どんな"個性"なの!? 教えて教えて!」
「あ……えっと……」
私が来たのは、毛糸中学校。
……こっちの
周りを見れば、人間に犬に炎に猫に鶏に。
私から見たらわけのわからない社会でも、この人たちから見たらこれが普通なんだ。でも、それがまだ実感できない。
「ちょっと皆、朝氷奈さん困ってるよ!」
「透、抜け駆けはだめだよ……!!」
「抜け駆けって何!?」
「とぼけないで。まふゆちゃんとお友達になろうと躍起になってる私らを差し置いて仲良くなろうだなんて……」
「違うからね!?!?」
……葉隠さん、だったかな。
透明な女の子。私とは真逆の、快活な女の子。
「私は別に大丈……」
そう言おうとして、はっとした。
この世界のお母さんと遭遇した時、思わず仮面が剥がれた。いつの間にか異世界にいたのだから、当然のことではあると思うけど。
その時、お母さんから「別に自分を隠さなくても、こっちの子供は受け入れてくれるわよ」と言ってくれた。
「……ありがとう、葉隠さん」
「!? ……うん、どういたしまして!」
クラスメイトの顔が少し強張ったのが見える。でも、驚きとか恐怖じゃない。「もっと仲良くなりたい」という顔だ。
「よろしくね、朝氷奈さん!」
「よ、よろしく!」
「1年間だけだけど、よろしくな*1」
「うん、よろしく」
氷みたいに無表情の私を見ても、何も言わない。むしろ、それが当然かのように話してくる。
……すこしだけ、息が楽だ。
「朝氷奈さん、大丈夫だった? ごめんね、うちのクラス、皆わんぱくだからさ」
「ううん、大丈夫。……あと、まふゆでいいよ。同い年だし」
「ほんと!? 私のことも透って呼んでいいからね、まふゆ!」
放課後、たまたま登下校路が同じだった透と帰路についている。
クラスの皆は色んなことを聞いてきた。個性とか、転校理由とか。
個性は……今のところは「吹雪」で通してる。
私が、
「ねえ、まふゆ」
「?」
「高校、どうする?」
……進路。
この世界に来たばかりの私には、何が何だかわからない。だから、家に帰ってからは高校のパンフレットやホームページを見続けている。
「……わからない」
「そっか。……私は雄英! ヒーローなるの!」
「ヒー、ロー」
「うん、だから頑張って体鍛えてるの! 透明だから皆には見えないけど」
……進路、か。
「これから、ゆっくり考えるよ」
「うんうん、何かあったら私にも相談してよ! いつでも受け付けるから!」
「うん。ありがとう透」
朝氷奈まふゆ、個性「吹雪」!
自身の掌や息から吹雪を出すことができる個性だ!
ただし、使いすぎると凍傷や低体温症になる可能性が高くなるぞ!
……ちなみに、個性の成長の余地がまだあるらしいぞ。