「べ、ベル!まだ走れるか!?」
「な、なんとか!」
「速度上げられそうか!?」
「頑張ります!」
「よし!行くぞ!」
ダンジョンの5階層、俺達は本来現れるはずのないミノタウロスに追いかけられている。まだ冒険者になってからほとんど時間が経っていないというのにとんでもない事態になってしまった。こうして走って逃げているが、追いつかれるのも時間の問題だ。いったいどうすれば……!
どうするべきか悩みながら走っていると、唐突に俺以外の全てが動きを止めた。く、くそっ、こんな時に!!
『ベルを逃がし、助けを呼びに行かせる。その間、何とか持ちこたえよう(一時的に全アビリティ数値が大幅に上昇する)』
『土下座だ。土下座をすれば許してもらえる』
目の前に2つの選択肢が浮かび上がる。そう、これは俺のスキル『脳内選択肢』によるものだ。俺達の主神であるヘスティア様から恩恵を授けられた際、俺にはこのスキルが発現していた。だがこのスキルは時と場合、さらに内容を選ばない。それに制限時間もあり、それを過ぎるとひどい頭痛に襲われる。だが悪いところだけではない。上の選択肢のように全アビリティを上昇させるといったメリット付きの選択肢もある
そこを踏まえて今回の選択肢なんだが、上一択だ。この脳内選択肢とか言うクソスキルは土下座でモンスターが許してくれると思っているらしい。脳内お花畑かな?まあそんなことはどうだっていい。さっさと選んでしまおう
「リーダー?どうして速度を落として……」
「ベル。ここは俺が時間を稼ぐ、その間にお前は助けを呼びにいけ」
「はぁ!?何言ってるんですかリーダー!そんな事したら死んじゃいます!」
「お前が早く助けを呼んでくれりゃ助かるさ。ベル、リーダーにカッコつけさせてくれ。な?」
「そんな……!!」
「よし、行け!」
「く、うう……!絶対死んじゃダメですからね!!」
保証はできないな。いくら全アビリティが大幅に上昇するとはいえ、相手はあのミノタウロスだ。そもそものアビリティが低いのもあってあんま期待はできない。けどやるしかねぇ!
「ミノタウロス、俺と遊ぼうぜ?」
「ウヴォォォォォォォ!!」
ミノタウロスは巨大な拳を振り下ろす。それをバックステップで躱し、近くに落ちていた石を手で砕き、ミノタウロスの目に振りまいた。するとミノタウロスは目を押さえて狼狽える。その隙を逃さず、ガラ空きになった胴体に打撃を食らわせる。アビリティが上がった影響か、ミノタウロスにダメージを与えられるほどの攻撃力を得ていた
「けど、さすがに倒すのは無理そうかな。それに一時的な強化だからいつ効果が切れるかもわかんねぇ。できるだけ早く助けを呼んできてくれよ。ベル」
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「ガフッ……!?」
「ウヴォォォォォ!!」
「……はっ、お前の負けだ」
俺は血を吐きながらミノタウロスに向かってそう言い放つ。その瞬間、ミノタウロスは細切れにされ、魔石となって消えた。足音が聞こえてきたから、ベルが助けを呼んできたと思ったが、やはりそうだった。俺の目の前には金髪の美少女がいた
「アイズ・ヴァレンシュタイン……」
「あの、大丈夫ですか?」
「ああ、ミノタウロスに腹をぶん殴られた時は流石に死ぬかと思ったよ……」
「リーダー、本当に良かった……!!」
「はは、悪いなベル。でも今はミノタウロスの血を真正面から浴びちまった。近寄らないほうがいい」
はあ、早く帰ってシャワー浴びなきゃな……その前にお礼言っといたほうがいいよな。そう思い、アイズ・ヴァレンシュタインの方へ振り向いた。だがその瞬間再び世界が止まった
『一目惚れした。ここで告白してしまおう』
『誰が助けてくれなんて頼んだ。とっとと失せろ』
こういうことね!!こんなふうに時と場合を選ばずにヤバい選択肢を出してくる。消えてくんねえかなこのスキル……上はキモいやつになるし下はもうクズ。命の恩人に対して何言わそうとしてんの?でも選ばないことに始まらないし、腹くくるしかないかぁ……
「え、リーダー!?」
「……?」
「一目惚れしました。俺と結婚してください」
「え?」
「え、えええええええ!?リ、リーダー!?何言ってるんですか!?」
「なーんて!冗談ですよ冗談!じゃ、今のことは忘れてくれ!俺たちは行くから!」
俺はポカンとしながら立っているアイズちゃんを置いて、ベルの腕を掴みそのまま走り出した。ていうか後ろの方にいた狼人の男がえげつない形相で俺のこと睨んでたから逃げなきゃ殺される。こんなとこで死んでたまるか
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シャワーを浴びてからギルドにやってきた俺とベル。そんな俺たちは今、アドバイザーの女の子にめちゃくちゃ怒られてます
「貴方達、駆け出しの冒険者が不用意に下層に降りるのはだめといったでしょ!」
「まあまあ、エイナちゃん。こうして無事に戻ってきたわけだしさ?もう迂闊に下に降りたりはしないから許して?ね?」
「リュウセンさん。貴方は以前もそう言って降りたでしょう?」
「……」
「しかも装備もなしに!なんでそんな軽装でダンジョンに行くんですか!」
「うぐっ……」
そう、何故か俺は装備を付けずにダンジョンに潜っている。というのもあのクソスキルが『装備なんていらない。当たらなければとうということはない』と『これからは全裸でダンジョンへいこう』という選択肢を出してきた。全裸で行くのは間違いなく大問題になるから装備なしの方を選ぶしかなかった。クソが
「とにかく!こういった事はもうしないでください!いいですね?」
「はい……」
「リーダー……」
エイナちゃんにこっぴどく叱られた俺たちは二人して項垂れた。女の子に叱られるのは心に来るな……あ、また世界が止まりやがった
『そんなに心配してくれるなんて、好き♡』
『黙ってろこの野郎。メガネかち割るぞ』
……………もうやだこいつ。なんで告白か辛辣かの二択しかないわけ?女の子に対しては大体そうじゃん。なに?そういう趣味か?お前はそうでも俺は違うんだよ。頼むからもう出てくんな
「そんなに心配してくれるなんて、好き♡」
「リーダー!?」
「大丈夫だよベル君。リュウセンさんはいつもこんな感じだから。それよりも、今日の出来事を胸に刻んで、これはから冒険しないようにね!」
「は、はい!」
「リュウセンさんも、わかりましたね?」
「うん。んじゃ、またね〜」
俺はそう言ってギルドを出て行く。ベルはアイズちゃんの事についてエイナちゃんに聞く事にしたらしいから俺は先に帰る事にした
リュウセン君は一応20歳で身長は170後半、髪色は黒髪に白のメッシュが入っていて目は青色です。結構イケメン。でも選択肢のせいで基本奇人扱いされるため恋人などはできたことありません